築年数の古い家では今でもタイル貼りの在来浴室が多く存在します。しかし、在来浴室は浴室が冷えやすかったり、機能性が低かったりと欠点もあります。
在来浴室のリフォーム方法はいくつかありますが、一般的にはユニットバスへリフォームするのが主流です。
今回は、昔ながらの在来浴室をリフォームする際に知っておきたい基礎知識や在来浴室リフォームならではの注意点を紹介します。
在来浴室の4つのリフォーム方法
在来浴室のリフォームには4つのパターンがあり、それぞれの特徴があります。特徴を押さえ、どのパターンが自分の浴室に合っているか、考えてみましょう。
2.在来浴室から在来浴室
3.在来浴室からハーフユニットバス
4.在来浴室からユニットバス風浴室
1.在来浴室からユニットバス
一般的に在来浴室はユニットバスにリフォームするのが主流です。新築同様に生まれ変わるので心機一転してお風呂時間を楽しむことができます。
メリット
ユニットバスは保温性に優れ、掃除がしやすい点が一番の魅力です。
また、浴槽から床や壁、天井、ドア等が一体となっているので、施工しやすくリフォームやメンテナンスの工期が短いのも特徴です。
また、在来浴室からユニットバスにすべき理由については、記事の後半で紹介していますのでぜひ合わせてご覧ください。
デメリット
一方、在来浴槽と異なり、サイズやデザインにはメーカーが取り扱っている製品のみになるので限定的になります。そのため、オリジナリティのある浴室を作りたい人には、少しもの足りないかもしれません。
2.在来浴室から在来浴室
浴室のデザインをオーダーメイドにしたい場合や、既存の浴室にユニットバスが入らないような場合は、在来浴室から在来浴室に再度リフォームしましょう。
メリット
在来浴室は自由度が高く、スペースに合わせてオリジナルの浴室を作れることが魅力です。バリアフリー対策をする際も、ドアの大きさや手すりの位置、浴槽周りの高さなど、ユニットバスではできない希望通りの浴室を作り上げることができます。
デメリット
在来浴室は防水機能がユニットバスよりも劣るので、しっかりと防水処理を行う必要があります。この処理に不備があると水漏れしてしまう可能性があります。
また、施工にはさまざまな業種の職人が必要になったり、材料費がかかるため、コストがかさんでしまうことも多いです。
3.在来浴室からハーフユニットバス
ハーフユニットバスとは、在来浴室とユニットバスの良いとこどりをした浴室です。見た目はユニットバスで、浴槽、床、壁の下部分がユニットバスと同じくセットで、壁の上の部分や天井が好みの素材でオーダーメードできます。
出典:ハーフバス08 | 浴室 | 商品情報 | TOTO株式会社
メリット
どんな浴室のサイズでも施工することができる点が最大の魅力です。浴槽の位置やドアの位置などもある程度変更できるので、オリジナルの浴室を作り上げることができます。
デメリット
ただし、ハーフユニットバスは取り扱いメーカーや商品のバリエーションが少ないという欠点があります。よって、ハーフユニットバスを検討する際は、一度メーカーや商品を確認してみるといいでしょう。
4.在来浴室からユニットバス風浴室
ユニットバス風浴室とは、浴室を解体せずに既存の壁・床にパネルやシートを貼り、ユニットバスに見えるようにする工法です。
出典:手軽にユニットバス風に出来るパネル工法|浴室再生職人会
メリット
解体をしないので費用かからず、比較的安価にリフォームができます。また、解体期間を省けるため、工期も2~4日程度で済みます。
ユニットバス風浴室は、ユニットバスがサイズ的に入らないような狭い浴室でもリフォームができる点も魅力です。
デメリット
ただし注意点として、床の上からパネルやシートで覆うため、床下を確認できません。そのため、腐敗や水漏れが起きても、確認できないことが難点になります。
在来浴室リフォームの費用相場
在来浴室リフォームの費用相場は、20~200万円ほどとリフォーム方法によって幅が広くなります。在来浴室の工事内容別の費用は以下の通りです。
工事内容 | 費用 | 期間 |
---|---|---|
在来浴室からユニットバス | 40~200万円 | 約1週間 |
在来浴室から在来浴室 | 80~200万円 | 4~5日間 |
在来浴室からハーフユニットバス | 50~200万円 | 約1週間 |
在来浴室からユニットバス風浴室 | 20~60万円 | 約1週間 |
「ユニットバス交換の費用相場」についてはこちら
>>ユニットバス交換の費用相場は?節約する3つの方法や施工事例を紹介│ヌリカエ
在来浴室からユニットバスにリフォームした事例
ここからは実際に在来浴室からユニットバスにリフォームした施工事例を紹介します。
【事例①】1.25坪のユニットバスにサイズアップ
0.75坪の在来浴室の位置を変え、1.25坪のユニットバスにサイズアップ。タイルパネルや調光調色照明でくつろぎの雰囲気を演出しています。
建物形態 | 戸建て |
---|---|
費用 | 290万円 |
期間 | 7日 |
製品 | LIXIL:スパージュ |
【事例②】高級感のある浴室にリフォーム
古い在来浴室にLIXILの「スパージュ」を導入することで、高級感のある浴室に生まれ変わりました。
建物形態 | 戸建て |
---|---|
費用 | 77万円 |
期間 | 7日 |
製品 | LIXIL:スパージュ |
【事例③】温かみのある浴室にリフォーム
緑色の在来浴室から温かみのある色の浴室にリフォーム。浴槽にはLIXILの浴槽の特徴である「アクアフィール(肩湯)」がついていて心地よい入浴を楽しめます。
建物形態 | 戸建て |
---|---|
費用 | 234万円 |
期間 | 4日 |
製品 | LIXIL:スパージュ |
【事例④】バリアフリーにリフォーム
脱衣場から浴室への段差をなくし、移動しやすいように手すりの位置の調整し、バリアフリーを実現した浴室に生まれ変わりました。
建物形態 | 戸建て |
---|---|
費用 | 96万円 |
期間 | 6日 |
製品 | LIXIL:アライズ |
【事例⑤】足元が暖かいユニットバスにリフォーム
タイル貼りの冷たい床から足元が暖かいユニットバスにリフォーム。冬場も暖かく過ごせるようになりました。
建物形態 | 戸建て |
---|---|
費用 | 79万円 |
期間 | 3日 |
製品 | LIXIL:アライズ |
【事例⑥】出窓を生かした新しい浴室にリフォーム
出窓とシステムバスが一体化した既設浴室を解体し、タカラスタンダードの「プレデンシア」を導入。出窓をペアガラス(複層ガラス)にすることで、浴室の断熱効果が上がりました。
建物形態 | 戸建て |
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費用 | 187万円 |
期間 | 8日 |
製品 | タカラスタンダード:プレデンシア |
【事例⑦】段差のないバリアフリーな浴室にリフォーム
タイル貼りの在来浴室をTOTOの「サザナ」にリフォーム。浴室入口の段差解消や手すりの設置、断熱対策の実施などバリアフリーで安全な浴室に生まれ変わりました。
建物形態 | 戸建て |
---|---|
費用 | 110万円 |
期間 | 5日 |
製品 | TOTO:サザナ |
【事例⑧】カウンターの設置で使いやすい浴室にリフォーム
鏡のついた浴室の収納棚を撤去して、TOTOの「マンションリモデルバスルームWYシリーズ」のスリムカウンターを設置。浴室の段差解消や汚れにくいドアへの変更など、快適に使える浴室に生まれ変わりました。
建物形態 | マンション |
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費用 | 90万円 |
期間 | 2日 |
製品 | TOTO:マンションリモデルバスルームWYシリーズTタイプ |
在来浴室からユニットバスにすべき理由
在来浴室のリフォームを考える際、まず最初に思い浮かぶのがユニットバスへの交換です。ユニットバスに交換することのメリットを2つ紹介します。
ユニットバスはヒートショックが起きにくい
暖かい場所から寒い場所に移動した際の急激な温度変化による体の負担を「ヒートショック」といいます。この「ヒートショック」は、暖かいリビングから冷えやすい在来浴室への移動、さらに熱いお湯につかるなどの急激な温度変化により発生しやすくなります。
特に高齢者の「ヒートショック」は浴室内での転倒やケガにつながる可能性があるため、高齢者がいる家庭の場合はユニットバスにリフォームするのが良いでしょう。
ユニットバスはバリアフリーにしやすい
古い在来浴室の場合は、浴室内に段差があったり、手すりが設置されていなかったりと安全性に欠ける浴室が存在します。
ユニットバスは全面バリアフリー対応ができる製品が多いため、高齢者や小さい子どもがいる家庭にとっては安心です。
在来浴室リフォームで知っておきたい注意点
在来浴室リフォームをする際に知っておきたい注意点を紹介します。
- 補強工事(追加工事)を事前に想定しておく
- ユニットバスが設置できない場合がある
- 窓の位置が変更になる場合がある
- 内窓が取り付けられない場合がある
補強工事(追加工事)を事前に想定しておく
築年数の古い在来浴室は湿気が溜まりやすく、劣化や腐食、シロアリの被害が発生する可能性があるため、解体時に壁や床下の補強工事が必要になる場合があります。
その場合は、追加費用として5~10万円程度必要になるほか、工事期間の延長なども発生します。
そのため、古い在来浴室の場合ははじめから追加で費用を用意することと余裕をもった工事スケジュールを立てることが大切です。
ユニットバスが設置できない場合がある
在来浴室は特殊な形状をしていて柱や梁を避けられないため、規格品のユニットバスを設置することができない場合があります。
特注品のユニットバスをオーダーメイドで販売しているところもありますが、通常の規格品よりも高額になるほか、製作期間が1カ月以上かかる場合があります。
窓の位置が変更になる場合がある
在来浴室ではリフォームの内容次第で窓の位置が変更になる場合があります。また、窓自体が不要になるケースもあり、どのようなリフォームをするかによって費用や対応が異なります。
そのため、リフォーム業者との打ち合わせの際によく確認しておきましょう。
内窓が取り付けられない場合がある
在来浴室には窓が設置されていることが多く、浴室が冷える原因にもなっています。在来浴室にすでに窓がある場合でも内窓を追加で取り付けることで寒さの解消を図ることができます。
しかし、浴室の奥行が広いと内窓が取り付けられないことがあります。取り付けの可否や追加費用の有無は事前に確認しておきましょう。
まとめ
在来浴室リフォームが失敗しないための知識として、費用からリフォーム申し込みから工事の流れや工期期間の相場を紹介いたしました。そして、理想の浴室を完成させるために、在来浴室リフォームのパターン、注意点を解説しました。リフォームを一から始めると期間を有するので早めに行動しましょう。リフォームプランがまとまったら、複数のリフォーム業者に見積もりを依頼して比較してみてください。