築年数の古い家では今でもタイル貼りの在来浴室が多く存在します。しかし、在来浴室は浴室が冷えやすかったり、機能性が低かったりと欠点もあります。
在来浴室のリフォーム方法はいくつかありますが、一般的にはユニットバスへリフォームするのが主流です。
今回は、昔ながらの在来浴室をリフォームする際に知っておきたい基礎知識や在来浴室リフォームならではの注意点を紹介します。


あなたのお家のお風呂
リフォームするといくら?








在来浴室からユニットバスにすべき理由
在来浴室のリフォームを考える際、まず最初に思い浮かぶのがユニットバスへの交換です。現在日本での普及率は95%程と言われています。まずはユニットバスに交換することのメリットを4つ紹介します。
ユニットバスはヒートショックが起きにくい
暖かい場所から寒い場所に移動した際の急激な温度変化による体の負担を「ヒートショック」といいます。この「ヒートショック」は、暖かいリビングから冷えやすい在来浴室への移動、さらに熱いお湯につかるなどの急激な温度変化により発生しやすくなります。
特に高齢者の「ヒートショック」は浴室内での転倒やケガにつながる可能性があるため、高齢者がいる家庭の場合はユニットバスにリフォームするのが良いでしょう。
ユニットバスはバリアフリーにしやすい
古い在来浴室の場合は、身体が不自由な高齢の方には負担が大きいです。例えば、浴室内に段差があったり、手すりが設置されていなかったり、滑りやすいタイル張りっだたりという点が危険なポイント。
一方で、最新のユニットバスは全面バリアフリー対応ができる製品が多いです。バリアフリーのユニットバスにすることで、サポートする側の負担軽減にもつながります。高齢者や小さい子どもがいる家庭にとっては安心ですね。
◆主なバリアフリー対策◆
- 転倒防止用の手すりを設置
- 浴槽の床に滑り止めを設置
- 出入り口の段差を解消
- 縁の高さを低くし、またぎやすくする
- 腰掛けられるように浴槽の縁を広くする
ユニットバスは汚れが付きにくい
在来浴室は、汚れが溜まりやすくお手入れに苦労されている方も多いでしょう。タイルの目地はカビが溜まりやすく。拭き掃除をしても汚れが落ちにくいです。
対して最新のユニットバスは、防水性や防汚性に優れてお手入れが楽になる機能が満載です。水はけのよい素材を使いカビの発生を抑えたり、カウンター部分を取り外せたりなど各メーカー工夫を凝らしています。
ユニットバスは洗練されたデザインから選べる
在来浴室は細部までこだわれる一方で決めることが多いため、特に浴室にこだわりが無い方にとってはメリットとは言えません。
ユニットバスは、壁、浴槽、床などの設備がセットになった状態で発売されています。そのため、浴室内のデザインを1つ1つ細かく決めなくても、カタログから用意されたでデザインを選ぶだけでも、十分おしゃれになります。
WEB上でカラーシュミレーションを公開しているメーカーもあり、お風呂全体の色の組み合わせを自宅で手軽に確認することができます。
在来浴室からユニットバスにリフォームした場合の費用・工期
一般的に在来浴室はユニットバスにリフォームするのが主流です。新築同様に生まれ変わるので心機一転してお風呂時間を楽しむことができます。
メリット
ユニットバスは保温性に優れ、掃除がしやすい点が一番の魅力です。
また、浴槽から床や壁、天井、ドア等が一体となっているので、施工しやすくリフォームやメンテナンスの工期が短いのも特徴です。
デメリット
一方、在来浴槽と異なり、サイズやデザインにはメーカーが取り扱っている製品のみになるので限定的になります。そのため、オリジナリティのある浴室を作りたい人には、少しもの足りないかもしれません。
リフォームの費用相場
在来浴室からユニットバスにリフォームする場合は、60~200万円が費用相場になります。新しく導入するユニットバスの商品やグレードによっても大きく変わるため、予算を考えながら商品を選びましょう。
リフォームの工期
在来浴室からユニットバスにリフォームする場合の日数は、4~8日間ほどが目安になります。ユニットバスを安定して設置するために、下地工事を行う分、ユニットバスからリフォームする場合と比較して工期が長いです。
在来浴室からユニットバスにリフォームした事例
ここからは実際に在来浴室からユニットバスにリフォームした施工事例を紹介します。
【事例①】1.25坪のユニットバスにサイズアップ
0.75坪の在来浴室の位置を変え、1.25坪のユニットバスにサイズアップ。タイルパネルや調光調色照明でくつろぎの雰囲気を演出しています。
建物形態 | 戸建て |
---|---|
費用 | 290万円 |
期間 | 7日 |
製品 | LIXIL:スパージュ |
【事例②】高級感のある浴室にリフォーム
古い在来浴室にLIXILの「スパージュ」を導入することで、高級感のある浴室に生まれ変わりました。
建物形態 | 戸建て |
---|---|
費用 | 77万円 |
期間 | 7日 |
製品 | LIXIL:スパージュ |
【事例③】温かみのある浴室にリフォーム
緑色の在来浴室から温かみのある色の浴室にリフォーム。浴槽にはLIXILの浴槽の特徴である「アクアフィール(肩湯)」がついていて心地よい入浴を楽しめます。
建物形態 | 戸建て |
---|---|
費用 | 234万円 |
期間 | 4日 |
製品 | LIXIL:スパージュ |
【事例④】バリアフリーにリフォーム
脱衣場から浴室への段差をなくし、移動しやすいように手すりの位置の調整し、バリアフリーを実現した浴室に生まれ変わりました。
建物形態 | 戸建て |
---|---|
費用 | 96万円 |
期間 | 6日 |
製品 | LIXIL:アライズ |
【事例⑤】足元が暖かいユニットバスにリフォーム
タイル貼りの冷たい床から足元が暖かいユニットバスにリフォーム。冬場も暖かく過ごせるようになりました。
建物形態 | 戸建て |
---|---|
費用 | 79万円 |
期間 | 3日 |
製品 | LIXIL:アライズ |
【事例⑥】出窓を生かした新しい浴室にリフォーム
出窓とシステムバスが一体化した既設浴室を解体し、タカラスタンダードの「プレデンシア」を導入。出窓をペアガラス(複層ガラス)にすることで、浴室の断熱効果が上がりました。
建物形態 | 戸建て |
---|---|
費用 | 187万円 |
期間 | 8日 |
製品 | タカラスタンダード:プレデンシア |
【事例⑦】段差のないバリアフリーな浴室にリフォーム
タイル貼りの在来浴室をTOTOの「サザナ」にリフォーム。浴室入口の段差解消や手すりの設置、断熱対策の実施などバリアフリーで安全な浴室に生まれ変わりました。
建物形態 | 戸建て |
---|---|
費用 | 110万円 |
期間 | 5日 |
製品 | TOTO:サザナ |
【事例⑧】カウンターの設置で使いやすい浴室にリフォーム
鏡のついた浴室の収納棚を撤去して、TOTOの「マンションリモデルバスルームWYシリーズ」のスリムカウンターを設置。浴室の段差解消や汚れにくいドアへの変更など、快適に使える浴室に生まれ変わりました。
建物形態 | マンション |
---|---|
費用 | 90万円 |
期間 | 2日 |
製品 | TOTO:マンションリモデルバスルームWYシリーズTタイプ |
在来浴室からユニットバスにできない場合の対処法
自宅の在来浴室の状況によっては、「サイズの合うユニットバスがなかなか見つからない」「柱や梁があり、これ以上解体できない」などユニットバスにリフォームできない場合もあります。
▼浴室リフォームが難しい場合(どれか1つでも当てはまる場合は対応ができないケースも)

出典:ぴったりサイズシステムバス|タカラスタンダード
その場合は以下のような対処法があるので、それぞれ紹介していきます。
- タカラスタンダードの「ぴったりサイズシステムバス」を活用
- 小さいサイズのユニットバスを選ぶ
タカラスタンダードの「ぴったりサイズシステムバス」を活用
タカラスタンダードの「ぴったりサイズシステムバス」は、浴室スペースに合わせて、間口・奥行ともに2.5㎝刻みでサイズオーダーできるユニットバスです。梁や柱のある浴室でも浴室の形状に合わせて、ぴったり合ったサイズでリフォームができます。
ユニットバスのサイズは、業界最小クラスの1450×968mmから2450×1868mmまで対応しており、狭い浴室であってもリフォームの幅が広がります。
小さいサイズのユニットバスを選ぶ
小さいサイズのユニットバスが種類が限られていますが、マンション用のユニットバスでは以下の2種類が小さいサイズのラインナップを用意しているので、ご自宅の浴室に合うものであれば検討してみてはいかがでしょうか。
戸建て用のユニットバスではなかなか小さいサイズはないので、注意しましょう。
TOTO:WHシリーズ(マンション用)
TOTOのマンション用ユニットバスの「WHシリーズ」は小さい浴室向けの商品で、最小で1000×1014mmのサイズ展開があります。「カラリ床」や「お掃除らくらく鏡」などTOTOならではの機能も搭載されており、機能性も十分です。
LIXIL:リノビオフィット(マンション用)
LIXILのマンション用ユニットバスの「リノビオフィット」も最小で1000×1014mmのサイズを展開しています。浴室の壁や浴槽などのカラーバリエーションが充実しているのが特徴。オプションでLIXILの「エコアクアシャワー」などのつけることができます。
在来浴室リフォームのその他の方法
在来浴室はユニットバスへのリフォーム以外にも、以下の3つのパターンがあり、それぞれの特徴があります。デメリットや費用も参考に、どのパターンが自分の浴室に合っているか、考えてみましょう。
工事内容 | 費用 | 期間 |
---|---|---|
在来浴室から在来浴室 | 80~200万円 | 7~10日間 |
在来浴室からハーフユニットバス | 50~200万円 | 約1週間 |
在来浴室からユニットバス風浴室 | 20~60万円 | 2~4日間 |
また、在来浴室リフォームの費用相場は、20~200万円ほどでリフォーム方法によって幅が広くなります。リフォーム予算や実現したいことを想定しながら、どのリフォームにするかを決めていきましょう。
「ユニットバス交換の費用相場」についてはこちら
>>ユニットバス交換の費用相場は?節約する3つの方法や施工事例を紹介│ヌリカエ
1.在来浴室から在来浴室
浴室のデザインをオーダーメイドにしたい場合や、既存の浴室にユニットバスが入らないような場合は、在来浴室から在来浴室に再度リフォームしましょう。
メリット
在来浴室は自由度が高く、スペースに合わせてオリジナルの浴室を作れることが魅力です。バリアフリー対策をする際も、ドアの大きさや手すりの位置、浴槽周りの高さなど、ユニットバスではできない希望通りの浴室を作り上げることができます。
デメリット
在来浴室は防水機能がユニットバスよりも劣るので、しっかりと防水処理を行う必要があります。この処理に不備があると水漏れしてしまう可能性があります。
また、施工にはさまざまな業種の職人が必要になったり、材料費がかかるため、コストがかさんでしまうことも多いです。
リフォームの費用相場
在来浴室から在来浴室にリフォームする場合は、80~200万円が費用相場になります。オーダーメイドの浴室になるため、新しい浴室に求めるデザインや機能、工事の規模によって価格が大幅に変動するので注意しましょう。
リフォームの工期
在来浴室から在来浴室にリフォームした場合の一般的な工期は、7~10日間程度が目安となります。オーダーメイドの浴室になるため、こだわった分だけ工期も長くなります。
2.在来浴室からハーフユニットバス
ハーフユニットバスとは、在来浴室とユニットバスの良いとこどりをした浴室です。見た目はユニットバスで、浴槽、床、壁の下部分がユニットバスと同じくセットで、壁の上の部分や天井が好みの素材でオーダーメードできます。
出典:ハーフバス08 | 浴室 | 商品情報 | TOTO株式会社
メリット
どんな浴室のサイズでも施工することができる点が最大の魅力です。浴槽の位置やドアの位置などもある程度変更できるので、オリジナルの浴室を作り上げることができます。
デメリット
ただし、ハーフユニットバスは取り扱いメーカーや商品のバリエーションが少ないという欠点があります。よって、ハーフユニットバスを検討する際は、一度メーカーや商品を確認してみるといいでしょう。
リフォームの費用相場
在来浴室からハーフユニットバスにリフォームする場合は、50~200万円が費用相場になります。天井や壁がオーダーメイドになるため、素材やデザイン、色、質感などにこだわるのであれば価格が変動しやすいので注意しましょう。
リフォームの工期
在来浴室からハーフユニットバスへのリフォームは1週間前後が目安です。タイルやモルタルの処理に時間がかかると、より日数がかかってしまう点は留意してください。
3.在来浴室からユニットバス風浴室
ユニットバス風浴室とは、浴室を解体せずに既存の壁・床にパネルやシートを貼り、ユニットバスに見えるようにする工法です。
出典:手軽にユニットバス風に出来るパネル工法|浴室再生職人会
メリット
解体をしないので費用かからず、比較的安価にリフォームができます。また、解体期間を省けるため、工期も2~4日程度で済みます。
ユニットバス風浴室は、ユニットバスがサイズ的に入らないような狭い浴室でもリフォームができる点も魅力です。
デメリット
ただし注意点として、床の上からパネルやシートで覆うため、床下を確認できません。そのため、腐敗や水漏れが起きても、確認できないことが難点になります。
リフォームの費用相場
在来浴室からユニットバス風浴室にリフォームする場合は、20~60万円が費用相場になります。浴室を解体せずに工事できるのでその分の工事費用がカットでき、比較的安く抑えることができます。
リフォームの工期
下地がまだ劣化していないのであれば、そこにパネルを取り付けるだけなので、2~4日程度でリフォームが完了します。
在来浴室リフォームで知っておきたい注意点
在来浴室リフォームをする際に知っておきたい注意点を紹介します。
- 補強工事(追加工事)を事前に想定しておく
- ユニットバスが設置できない場合がある
- 窓の位置が変更になる場合がある
- 内窓が取り付けられない場合がある
補強工事(追加工事)を事前に想定しておく
築年数の古い在来浴室は湿気が溜まりやすく、劣化や腐食、シロアリの被害が発生する可能性があるため、解体時に壁や床下の補強工事が必要になる場合があります。
その場合は、追加費用として5~10万円程度必要になるほか、工事期間の延長なども発生します。
そのため、古い在来浴室の場合ははじめから追加で費用を用意することと余裕をもった工事スケジュールを立てることが大切です。
ユニットバスが設置できない場合がある
在来浴室は特殊な形状をしていて柱や梁を避けられないため、規格品のユニットバスを設置することができない場合があります。
特注品のユニットバスをオーダーメイドで販売しているところもありますが、通常の規格品よりも高額になるほか、製作期間が1カ月以上かかる場合があります。
窓の位置が変更になる場合がある
在来浴室ではリフォームの内容次第で窓の位置が変更になる場合があります。また、窓自体が不要になるケースもあり、どのようなリフォームをするかによって費用や対応が異なります。
そのため、リフォーム業者との打ち合わせの際によく確認しておきましょう。
内窓が取り付けられない場合がある
在来浴室には窓が設置されていることが多く、浴室が冷える原因にもなっています。在来浴室にすでに窓がある場合でも内窓を追加で取り付けることで寒さの解消を図ることができます。
しかし、浴室の奥行が広いと内窓が取り付けられないことがあります。取り付けの可否や追加費用の有無は事前に確認しておきましょう。
窓のリフォームについては、以下の記事を参考にしてください。
>>お風呂に窓を付けるメリット・デメリットを解説!種類・サイズの選び方とリフォーム費用│ヌリカエ
まとめ
在来浴室のリフォームはユニットバスが一般的ですが、浴室をこだわりたい方や設置が難しい場合は、在来浴室やハーフユニットバスといった選択肢もあります。デメリットや費用などを参考に、ご自身にあったリフォーム方法を選ぶようにしましょう。
当社では、在来浴室リフォームをご検討されている方向けに無料の相談窓口 を設置しています。よろしければこの機会にご利用ください。
また、お風呂の一般的なリフォーム費用やポイントについて知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。