本記事では、外壁塗装の見積もりが手元に来たものの、見積もり書の見方や金額の相場がわからず、契約してよいか迷っているかたに向けて、
「自分の予定しているのと同じ工事の見積もり書を見たい!」
「外壁塗装の費用はそもそもいくらが適正か?」
「良い業者・悪い業者、それぞれの見積もりの特徴」
といった内容を紹介しています。
本記事を通して読むことで、金額が相場より高いことに気づくことができたり、万一見積もりを出したのが悪い業者だったとしても騙されるのを回避することができます。
この記事のポイントは下記の通りです。
- 外壁塗装工事の費用は、30坪住宅で70~90万円が相場
- 良い業者の出す見積もりは「作業工程ごとに記載」「製品名や使用量が明記」
- 悪い業者の出す見積もりは「“一式”が多い」「値引き金額が大きい」
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監修者:外壁劣化診断士 小林 成光
600件以上の現地調査を実施する過程で得た専門性を生かし、日本発のネット見積もりシステムでビジネスモデル特許を取得。ヌリカエにて、外装工事の専門家として、顧客・加盟企業のサポート・コラムの監修に従事。
▼略歴・プロフィール |
外壁塗装の見積もりでよくある質問
はじめて外壁塗装の見積もりをとる方で、多く寄せられる不安や疑問についてお答えします。
- 外壁塗装の見積もりはすぐ出せる?
- 外壁塗装は相見積もりをした方が良い?
- 外壁塗装の一括見積サイトを利用する場合の注意点は?
- 外壁塗装の見積もりが、思ったより高いけど値引き交渉できる?
- 外壁塗装の見積もりは値段以外に、どんなところを見ればいい?
外壁塗装の見積もりはすぐ出せる?
外壁塗装の見積もりはすぐには出ません。見積もり依頼してから2週間は見ておきましょう。
見積もり依頼した後、塗装業者が「現地調査」でご自宅の状況をチェックするまでに1週間はかかります。その後に見積もり作成するため、さらにもう1週間かかります。
現地調査では外壁の素材や状態をチェックしたり、塗装する面積を計測したりします。
外壁塗装は相見積もりをした方が良い?
同じ家を外壁塗装する場合でも、業者によって金額が異なるため相見積もりをしましょう。業者によって使用する塗料や、塗る面積や塗装する箇所も異なるためです。
目安としては3~4社に依頼するとよいでしょう。
社数が多すぎると「現地調査」も増えて立ち合いの手間が大きくなるほか、どの業者にするか決めるのも難しくなります。
外壁塗装の一括見積サイトを利用する場合の注意点は?
「運営元が信頼できる企業か」どうかをいちばんに注意してご利用ください。運営元が怪しい・信頼できない場合は悪質業者を紹介される可能性もあります。上場企業が運営していれば、社会的な信用があるので一定信頼しても良いでしょう。
また紹介された業者に関しても、業者のホームページに以下掲載あるかをご確認ください。
- 会社概要
- 代表・職人の顔や名前
- 建設業許可番号
- 施工事例
- お客様の声など
当サービス「ヌリカエ」は東証スタンダード市場に上場している株式会社Speeeが運営しています。
- また業者の加盟基準も、工事実績や設立年数など独自の基準を設けております。
一括見積したい際にどのサイトか迷った際には、当サービス「ヌリカエ」にご相談ください。
外壁塗装の見積もりが、思ったより高いけど値引き交渉できる?
外壁塗装の見積もりの値引き交渉は可能ですが、端数の切り落としや総コストの10%が限度です。
基本的に見積もり時点で適正価格のため、大幅な値引きには工事内容の変更が必要になります。
工事内容変更する場合は、例えば塗料をより安くてグレードの低い塗料に変更してもらう、などがあります。
外壁塗装の見積もりは値段以外に、どんなところを見ればいい?
外壁塗装の見積もりで値段以外にチェックすべき箇所は以下です。
- 「一式」という表記が多用されていないか
- 塗装面積がかさ増しされていないか
- 具体的な塗料名が書かれているか
- 工程が省略されていないか
詳しくは本記事の「契約すべきでない見積もりの特徴」をご覧ください。
外壁塗装の見積もり実例
最も一般的な30坪の住宅で、よくある工事内容を事例を見積もり書を紹介しています。
外壁塗装の費用感を掴む参考情報として活用してください。
工事内容 | 見積もり金額 |
---|---|
外壁塗装(ウレタン塗料使用) | 762,138円 |
外壁塗装(ラジカル塗料使用) | 827,107円 |
外壁塗装(フッ素塗料使用) | 971,482円 |
外壁+屋根塗装(シリコン塗料) | 1,245,217円 |
外壁+屋根塗装(フッ素塗料) | 1,519,530円 |
データ出典
各試算例は、一般社団法人 経済調査会『積算資料ポケット版 リフォーム編2023』の算出例・作業規格・単価等をもとにヌリカエ編集部が作成しました。
①外壁をウレタン塗料で塗装
- 建物:一戸建て 延べ坪数30坪
- 工事内容:外壁塗装(125㎡)のみ
- 使用塗料:ウレタン系樹脂塗料(耐用年数8~10年)
工事項目 | 単価 | 数量 | 金額 |
---|---|---|---|
仮設足場 | 700 | 258(架㎡) | 180,600 |
飛散防止ネット | 200 | 258(架㎡) | 51,600 |
高圧洗浄 | 200 | 125(㎡) | 25,000 |
マスキング養生 | 150 | 200(m) | 30,000 |
下地調整 | 360 | 125(m) | 45,000 |
外壁塗装 (ウレタン塗料・3工程) |
1,950 | 125(㎡) | 243,750 |
軒天塗装 | 1,130 | 33(㎡) | 37,290 |
雨樋塗装 | 700 | 50(㎡) | 35,000 |
諸経費 | – | 5% | 32,412 |
消費税 | – | 10% | 68,065 |
合計 | – | – | 748,717円 |
リフォーム用としてはもっとも安価な「ウレタン(系樹脂)塗料」で外壁塗装をし、最低限の付帯部(軒天・破風板)も同時に施工した場合の見積もりです。
合計費用は約76万円となりました。
外壁塗装のリフォーム金額は家の大きさが同じなら、基本的には使用する塗料のグレードによって変わります。
この金額を基本として、次以降のパターンを見ていきましょう。
「ウレタン塗料」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
②外壁をラジカル塗料で塗装
- 建物:一戸建て 延べ坪数30坪
- 工事内容:外壁塗装(125㎡)のみ
- 使用塗料:ラジカル(制御型)塗料(耐用年数12~16年)
工事項目 | 単価 | 数量 | 金額 |
---|---|---|---|
仮設足場 | 700 | 258(架㎡) | 180,600 |
飛散防止ネット | 200 | 258(架㎡) | 51,600 |
高圧洗浄 | 200 | 125(㎡) | 25,000 |
マスキング養生 | 150 | 300(m) | 30,000 |
下地調整 | 360 | 125(m) | 45,000 |
外壁塗装 (ラジカル塗料・3工程) |
2,400 | 125(㎡) | 300,000 |
軒天塗装 | 1,130 | 33(㎡) | 37,290 |
雨樋塗装 | 700 | 50(㎡) | 35,000 |
諸経費 | – | 5% | 35,225 |
消費税 | – | 10% | 73,971 |
合計 | – | – | 813,686円 |
現在人気が増している「ラジカル(制御型)塗料」で外壁塗装をし、加えて最低限の付帯部(軒天・破風板)も施工した場合の見積もりです。
合計費用は約82万円となりました。
ひとつ前のウレタン塗料使用の場合と違うのは、「外壁塗装」の項目の単価とそれに伴う同項目の「金額」の計算結果、「業者諸経費」、「消費税」、「合計」の5箇所のみです。
塗料の単価が450円上がると、30坪住宅ではおおよそ6万円の総工費アップとなることがわかりました。
「ラジカル(制御型)塗料」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
③外壁をフッ素塗料で塗装
- 建物:一戸建て 延べ坪数30坪
- 工事内容:外壁塗装(125㎡)のみ
- 使用塗料:フッ素塗料(耐用年数15~20年)
工事項目 | 単価 | 数量 | 金額 |
---|---|---|---|
仮設足場 | 700 | 258(架㎡) | 180,600 |
飛散防止ネット | 200 | 258(架㎡) | 51,600 |
高圧洗浄 | 200 | 125(㎡) | 25,000 |
マスキング養生 | 150 | 300(m) | 30,000 |
下地調整 | 360 | 125(m) | 45,000 |
外壁塗装 (フッ素塗料・3工程) |
2,400 | 125(㎡) | 425,000 |
軒天塗装 | 1,130 | 33(㎡) | 37,290 |
雨樋塗装 | 700 | 50(㎡) | 35,000 |
諸経費 | – | 5% | 41,475 |
消費税 | – | 10% | 87,096 |
合計 | – | – | 958,061円 |
住宅用の樹脂系塗料ではもっともグレードの高い「フッ素塗料」で外壁塗装をし、加えて軒天・破風板も最低限施工した場合の見積もりです。
合計費用は約97万円となりました。
「フッ素塗料」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
④外壁と屋根をシリコン塗料で塗装
- 建物:一戸建て 延べ坪数30坪
- 工事内容:外壁塗装(125㎡)+屋根塗装(100㎡。うち板金部30㎡)
- 使用塗料:シリコン塗料(耐用年数10~15年)
工事項目 | 単価 | 数量 | 金額 |
---|---|---|---|
共通 | |||
仮設足場 | 700 | 293(架㎡) | 205,100 |
飛散防止ネット | 200 | 293(架㎡) | 58,600 |
マスキング養生 | 150 | 300(m) | 45,000 |
外壁塗装 | |||
高圧洗浄 | 200 | 125(㎡) | 25,000 |
下地調整 | 360 | 125(m) | 45,000 |
外壁塗装 (シリコン塗料・3工程) |
2,300 | 125(㎡) | 287,500 |
屋根塗装 | |||
高圧洗浄 | 250 | 100(㎡) | 20,000 |
研磨・錆止め | 1,000 | 30(㎡) | 30,000 |
下地調整 | 400 | 70(㎡) | 28,000 |
屋根塗装 | 2,300 | 100(㎡) | 240,000 |
縁切り(タスペーサー) | 250 | 100(㎡) | 25,000 |
付帯部塗装 | |||
軒天塗装 | 1,130 | 33(㎡) | 37,290 |
雨樋塗装 | 700 | 50(㎡) | 35,000 |
諸経費 | – | 5% | 53,575 |
消費税 | – | 10% | 112,506 |
合計 | – | – | 1,237,571円 |
ここからは、外壁塗装と同時に屋根塗装を行う場合の見積もり例です。
もっとも普及率の高い「シリコン塗料」で外壁・屋根ともに塗装をし、加えて付帯部も最低限施工した場合、合計費用は約125万円となりました。
金額の差は、屋根塗装関連の作業が加わっている他に、
- 足場代の増加(架設高が若干増えるため)
- 諸経費の増加(全体額の増加のため)
- 消費税の増加(同上)
も、施工範囲が広がったとこによって外壁塗装単独のパターンよりも上がっています。
⑤外壁と屋根をフッ素塗料で塗装
- 建物:一戸建て 延べ坪数30坪
- 工事内容:外壁塗装(125㎡)+屋根塗装(100㎡。うち板金部30㎡)
- 使用塗料:フッ素塗料(耐用年数15~20年)
工事項目 | 単価 | 数量 | 金額 |
---|---|---|---|
共通 | |||
仮設足場 | 700 | 293(架㎡) | 205,100 |
飛散防止ネット | 200 | 293(架㎡) | 58,600 |
マスキング養生 | 150 | 300(m) | 45,000 |
外壁塗装 | |||
高圧洗浄 | 200 | 125(㎡) | 25,000 |
下地調整 | 360 | 125(m) | 45,000 |
外壁塗装 (フッ素塗料・3工程) |
3,400 | 125(㎡) | 425,000 |
屋根塗装 | |||
高圧洗浄 | 250 | 100(㎡) | 20,000 |
研磨・錆止め | 1,000 | 30(㎡) | 30,000 |
下地調整 | 400 | 70(㎡) | 28,000 |
屋根塗装(フッ素塗料) | 3,400 | 100(㎡) | 340,000 |
縁切り(タスペーサー) | 250 | 100(㎡) | 25,000 |
付帯部塗装 | |||
軒天塗装 | 1,130 | 33(㎡) | 37,290 |
雨樋塗装 | 700 | 50(㎡) | 35,000 |
諸経費 | – | 5% | 65,950 |
消費税 | – | 10% | 138,494 |
合計 | – | – | 1,523,433円 |
もっとも高級な「フッ素塗料」で外壁・屋根ともに塗装をした場合、合計費用は約152万円となりました。
さらに高価な塗料には、特殊塗料の「光触媒塗料」「断熱塗料」「無機塗料」などがありますが、概ね150万円上記が外壁と屋根をセットで塗装する場合の上限額とみてよいでしょう。
「光触媒塗料」「断熱塗料」「無機塗料」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
外壁塗装の見積もり書の内訳相場
見積書には、細かい作業項目と単価・数量(=施工面積)が記載されているかと思います。
外壁塗装の見積もりに登場する項目と、それぞれの単価相場は以下の通りです。
内訳(工程名) | 単価相場 |
---|---|
仮設足場工事 | 700円~900円/㎡ |
飛散防止ネット | 100~200円/㎡ |
高圧洗浄 | 150~300円/㎡ |
下塗り(外壁塗装) | 600円~1,000円/㎡ |
中・上塗り(外壁塗装) | 800円~4,000円/㎡ |
コーキング処理 | 500円~1,000円/㎡ |
付帯塗装 | 500円~1,500円/㎡ |
下地補修 | 500円~1,000円/㎡ |
諸経費 | 10~20% |
「3章 契約すべきでない見積もりの特徴 – 特徴⑤工程が省略されている」から来た方は、こちらから戻ることができます。
以下では、それぞれの項目の作業内容や価格の決まり方について解説していきます。
仮設足場工事
仮設足場工事は、外壁と屋根を塗装する場合には、必ず必要な工事になります。
1㎡あたりの単価はおよそ700円~1,000円です。なお、仮設足場工事のみ平米単価ではなく架平米(掛平米)という単位が用いられる場合があります。
「外壁塗装の足場」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「外壁塗装の足場費用はいくら?足場の設置理由と悪徳業者の見分け方も紹介」
飛散防止用メッシュ養生
養生とは、塗料が塗装現場から飛び散ってしまうことを防ぐための工程です。
平米単価の目安は、100円~200円ほどです。
「外壁塗装の養生」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「外壁塗装の養生とは?工事前に必ず知っておきたい塗装の基礎知識!」
高圧洗浄
高圧洗浄とは、塗装工事に入る前に壁を水で洗浄する工事のことです。
高圧洗浄の平米単価はおおよそ200円~400円ほどです。
「外壁塗装の高圧洗浄」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「外壁塗装に高圧洗浄は必須?高圧洗浄の方法と費用を解説!」
下地調整
下地補修は塗装する箇所の下地を整えることで、外壁塗装を長持ちさせるための工程です。
-
- ・ケレン作業
- ・セメント補修
- ・パテ埋め
平米単価の目安は、600円~1000円ほどです。
「下地補修」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「塗装の下地処理とは?方法と費用を解説! | 外壁塗装の基礎知識」
下塗り(外壁塗装)
下塗りは、外壁の下地と上塗り塗料をうまく接合させるための工程です。
下塗りには以下のような作業が含まれます。
- ・シーラー塗装
- ・プライマー塗装
平米単価の目安は、600円~1000円ほどです。
「下塗り」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「外壁塗装に下塗りは必須!下塗りの重要性・ポイント・手順を解説!」
中・上塗り(外壁塗装)
中塗りと上塗りは、厳密には別の工程ですが、単価は2回塗りとして計算されます。
平米単価は使用する塗料のグレードによって大きく異なりますが、2000円~4000円ほどです。
外壁塗装に利用される塗料はいくつかグレードがあり、それぞれ耐用年数と価格が異なります。
もっともも一般的な塗料は「シリコン塗料」です。
「外壁塗装の塗料」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「【2022年最新】外壁塗装の塗料6種類の特徴・価格は?選び方と人気塗料ランキングも紹介」
付帯塗装
付帯塗装は、住宅の壁と屋根以外の箇所(付帯部)の塗装を指します。平米単価ではなく、「付帯部塗装一式」と表現されることもあります。
付帯部には以下のようなものが含まれます。
- ・軒天
- ・破風板
- ・雨樋
- ・鼻隠し
平米単価は使用する塗料によって異なりますが、500円~1500円の間であることが多いです。
「付帯塗装」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「部位ごとの名称と特徴をカンタン理解!住宅を塗装するための基礎知識」
コーキング処理
コーキング工事とは、サイディングボードの間の目地の部分の補修工事です。
コーキング工事の平米単価は500円~1000円ほどです。
「外壁コーキング工事」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「外壁コーキングは必要?費用はいくら?工事で注意したいポイントを解説!」
諸経費・運搬費
塗装工事で発生したゴミの処理や職人の交通費などを諸経費・運搬費として見積もりに掲載します。
この費用は平米単価・一式などではなく、工事費用の総額に一定の割合をかけて請求します。
諸経費・運搬費は、総工事費用の5%~15%ほどの塗装会社が多いです。
契約すべきでない見積もりの特徴
外壁塗装工事は、「工程の省略」や「工事代金の水増し」などの不正を働く塗装会社が一定数存在しているのが実情です。
知識のない方であれば、悪徳業者の出した見積もり書の内容をそのまま受け入れ、損をしてしまうことも珍しくありません。
この章では、悪徳塗装業者に騙されないために、契約するのはおすすめできない見積もりの特徴」を6つご紹介します。
特徴①「一式」という表記が多用されている
見積書の中に「◯◯一式」という表記が多用されていないか、確認しておきましょう。
「○○一式」という表記自体は、付帯部塗装などに利用される一般的な表記です。
塗装面積を正確に測るのが難しい箇所などに利用されます。
ただ、外壁や屋根の塗装の内訳には使用しないものなので、「外壁塗装一式」や「屋根塗装一式」といった内訳が記載してある場合には詳細の確認が必要です。
「○○一式」という表現では、塗装面積や使用する塗料の単価が分からないので、騙されていても判別がつかなくなります。
特徴②塗装面積がかさ増しされている
外壁の塗装面積は、知識のない方がパッと見ただけではどのくらいの面積が分かりにくいです。
そのため、「どうせばれないだろう」と塗装面積をかさ増しし、工事代金をあげようとする塗装会社が存在します。
このような手口に騙されないように、家の大きさに対して塗装面積が大きすぎないかはチェックが必要です。
延床面積 | 塗装面積(目安) | 塗装面積(平均値) |
---|---|---|
15坪 | 50~70㎡ | 60㎡ |
20坪 | 65~85㎡ | 75㎡ |
25坪 | 85~105㎡ | 95㎡ |
30坪 | 105~145㎡ | 125㎡ |
35坪 | 125~145㎡ | 135㎡ |
40坪 | 135~155㎡ | 145㎡ |
45坪 | 165~185㎡ | 155㎡ |
50坪 | 145~165㎡ | 175㎡ |
55坪 | 180~200㎡ | 190㎡ |
60坪 | 230~250㎡ | 240㎡ |
65坪 | 250~270㎡ | 260㎡ |
70坪 | 270~290㎡ | 280㎡ |
特徴③具体的な塗料名が書かれていない
見積もりの中に具体的な塗料名が記載されているかはしっかり確認しましょう。
塗装会社によっては「シリコン塗装」「フッ素塗料」などのグレードでしか書いてない場合がありますが、同じグレードでも価格はピンきりです。
廉価なシリコン塗料の価格を、高価なシリコン塗料の価格で計算している可能性もありえます。
その場合、1㎡あたり500円~1000円ほど適正価格よりも高いかもしれません。
塗装会社が出してきた見積もりの価格が相場価格なのかどうか確認するために、必ず具体的な塗料名を見積もりに記載してもらってください。
特徴④工程が省略されている
先述しているように、悪徳塗装会社はよく工事の必要工程を省略した手抜き工事を行います。
この手抜き工事にあたらないためには、見積もりに必要工程が詳しく書いてあるかをきちんと確認する必要があります。
一般的に記載のある工程についてはこちらをご覧ください。
足りない部分については今回の塗装で必要な工程なのか確認しましょう。
足りてない場合は明記してもらってください。
見積もりに書いてない工程の場合、万が一省略されてしまっても反論する術がほとんどありません。
業者の言うことを鵜呑みにするのではなく、自分でも塗装の知識をつけて業者の言うことが本当かどうかを見極められるようにしましょう。
参考記事:外壁塗装にかかる期間はどれくらい?画像付きで工事ステップごとに期間を解説!
特徴⑤値引き額が大きすぎる
塗装会社に工事代金の値引きをしてもらった場合は、値引かれた代金が大きすぎないかをチェックしてください。
工事代金の10%~15%程度までなら企業努力の可能性が高いですが、それを超えてくると必要な工程を省略して価格を安くしている可能性があります。
あるいは、もともと出していた工事代金が相場より大幅に高かったということも考えられます。
契約を取るために悪徳業者がよく行う手法なので、くれぐれも注意しましょう。
特徴⑥工事費用が適正価格からかけはなれている
平均的な広さの戸建て住宅(約30坪)の外壁をシリコン塗装で塗装する場合の相場価格は、70万円~90万円ほどです。
屋根も外壁と一緒に塗装する場合には、80万~110万円ほどかかります。
坪数×使用塗料による、詳細な費用相場一覧はこちらをご覧ください。
上記から大きくはずれる見積もり書をもらった場合は注意しましょう。
塗装工事の価格は塗料によっても異なりますが、上記の相場価格より50万円以上はずれているときは、しっかり理由を聞いて下さい。
優良業者は技術の高さを理由に価格をつり上げません。適正価格での工事をを行ってくれます。
そのため、相場よりも高すぎる見積もり書を出す塗装業者は、いくら話がうまくても優良業者とはいえないでしょう。
業者との間に起こるトラブルの例
ずさんな業者が施主との間に起こすトラブルの例を、国民生活センターの資料からいくつか引用すると、
- 請求額が見積もり金額よりも高い
- 代金を支払ったあと連絡がつかなくなる
- 見積もり書の内容と違う工事をされる
などがあります。
私どもでは、見積もりの内容や業者の態度に対し少しでも「おかしい」と感じた方のために、専門家への無料相談窓口
をご用意しています。
自分で判断できなければ専門家の意見を聞こう
ここまでで危険な見積もりの特徴をご紹介してきましたが、素人目に見積もり書がいくら正しそうに見えても、プロに意見を聞くと「それは騙されてるよ!」と返答されてしまうことも多いです。
そのため、安心して外壁塗装をしたければ、相見積もりをして他の塗装会社の意見を聞くのがおすすめです。
「塗装会社に何社も声をかけるのが面倒……」「断るのが申し訳ないから相見積もりをしたくない」
そんな風に考えられる方も、もしかするとおられるかもしれません。
ヌリカエなら、優良塗装会社のネットワークの中からお客様のご条件に当てはまる塗装会社を複数社に絞ってご紹介することができます。
また、以下のツールでは、ご自宅の広さと使用する塗料から、外壁塗装にかかる工事費用を算出することができます。
お家の広さがわからない場合は、日本の戸建住宅の平均の坪数が30~40坪なので、それを基準にして選んでみて下さい。
よい外壁塗装業者の特徴・選び方
外壁塗装を失敗させないもっとも重要なポイントが、どんな業者に工事をしてもらうかという点です。
本当に外壁塗装で失敗をしたくないのであれば、いかにして優良業者を探しだし工事をしてもらえるかが非常に重要になります。
ここからは、外壁塗装の見積もりを起点とした、優良業者を選びポイントを解説します。
真摯にヒアリングをしてくれる業者
まず、見積もり前の現地調査の段階で業者をチェックしておきましょう。
業者の素振りや話し方や話題からも、その業者がお金儲けのことばかり考えていないかどうかを見抜くことができます。また外壁は、お住いの地域の気候条件や周辺環境に大きな影響を受けます。
そのため、お住いの地域に根付いた信頼できる業者へ現地調査をお願いすると施工内容にも安心することができるでしょう。
丁寧な現地調査をする業者
優良業者を見極める際のポイントとして、もっともわかりやすいのが現地調査時の対応です。
現地調査にかかる時間は、以下の通りです。
- 情報収集とヒアリング:30分~1時間
- 建物診断:30分~1時間
- 合計:1時間~2時間
目安の時間より短すぎる場合は、適正な調査がなされていない可能性があるので注意しましょう。
調査内容を画像や動画で説明する業者
現地調査は、家主が目視できない箇所にまで調査が及ぶため、診断結果に対して疑問を持つこともあるでしょう。
そのような疑念を晴らすために、調査内容を画像や動画で説明してくれる業者があります。
現地調査の報告においても、優良業者かどうかの信頼度を図ることができます。
また、調査内容は必ず書面でも送ってもらうようにしましょう。
外壁塗装の現地調査や業者の選び方については下記の記事でも詳しく解説しています。
外壁塗装には通常いくらかかる?
相場は70~90万円
一般的な30坪の戸建ての外壁塗装にかかる金額は、70~90万円が相場です。
金額の内訳は「塗料と塗装の人件費」「塗装以外の作業費」「足場代」「諸経費・消費税」などに分かれます。
そのため外壁塗装の費用は、家の大きさや使用する塗料のグレードによっても変化します。
上記の費用は、一般的なグレードの「シリコン樹脂塗料」を使用した場合。屋根塗装費用は含みませんのでご注意ください。
坪数×塗料別 目安費用の一覧
家の大きさや使用する塗料のグレードが平均的なものと異なる場合は、相場の一覧をご覧ください。
延床面積 | 外壁面積 | シリコン塗料 | ラジカル塗料 | フッ素塗料 | 断熱塗料 |
---|---|---|---|---|---|
15坪(約50㎡) | 約60㎡ | 41万円 | 42万円 | 49万円 | 57万円 |
20坪(約66㎡) | 約80㎡ | 54万円 | 56万円 | 65万円 | 75万円 |
25坪(約83㎡) | 約98㎡ | 66万円 | 69万円 | 80万円 | 92万円 |
30坪(約66㎡) | 約120㎡ | 81万円 | 84万円 | 98万円 | 113万円 |
35坪(約115㎡) | 約138㎡ | 93万円 | 97万円 | 112万円 | 130万円 |
40坪(約132㎡) | 約158㎡ | 107万円 | 111万円 | 129万円 | 149万円 |
45坪(約149㎡) | 約180㎡ | 122万円 | 126万円 | 147万円 | 170万円 |
50坪(約165㎡) | 約198㎡ | 134万円 | 139万円 | 161万円 | 187万円 |
55坪(約182㎡) | 約218㎡ | 147万円 | 152万円 | 178万円 | 205万円 |
60坪(約198㎡) | 約238㎡ | 161万円 | 166万円 | 194万円 | 224万円 |
65坪(約215㎡) | 約258㎡ | 175万円 | 175万円 | 210万円 | 243万円 |
70坪(約231㎡) | 約280㎡ | 189万円 | 196万円 | 228万円 | 264万円 |
「3章 契約すべきでない見積もりの特徴 – 特徴⑥工事費用が適正価格からかけはなれている」から来た方は、こちらから戻ることができます。
外壁塗装のリフォーム用の塗料には、予算に合わせてさまざまな選択肢があります。
試算に登場する4種類の塗料の耐用年数(寿命)と価格の目安は以下のとおりです(いずれも下塗りの材料工賃込み)。
塗料のグレードと単価
- シリコン塗料(寿命10~15年):2,200円/㎡
- ラジカル塗料(寿命12~16年):2,400円/㎡
- フッ素塗料(寿命15~20年):3,400円/㎡
- 無機塗料(寿命20~30年):4,500円/㎡
一般的には「シリコン塗料」か「ラジカル塗料」が人気でよく用いられます。
記事のおさらい
契約すべきではない見積もり書の特徴は?
内訳が曖昧で「一式」と表記、塗装面積がかさ増し、工程が省略されているなどあります。詳しく知りたい方は契約すべきでない見積もりの特徴をご覧ください。
良い業者の特徴や選び方は?
真摯にヒアリングしてくれる、丁寧な現地調査をする、調査内容を画像や動画で説明するなどの特徴があります。詳しくはよい外壁塗装業者の特徴・選び方をご覧ください。
外壁塗装には通常いくらかかる?
一般的な]30坪の戸建ての外壁塗装にかかる金額は、70~90万円が相場です。また、家の大きさや使用する塗料のグレードによっても変化します。詳しくは外壁塗装には通常いくらかかる?をご覧下さい。
以上、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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