さまざまなきっかけで外壁塗装を検討されるかと思います。
しかし、いざ外壁塗装について調べていくと、以下のような不安を抱かれる人が多いようです。
「外壁塗装業者に工事費用で騙されたりしないかな……」
「外壁塗装って詐欺が多いらしいけど、どうすれば騙されずにすむんだろう?」
結論から言うと、外壁塗装の成功のカギは、「業者選び」が握っていると言っても過言ではありません。
なぜなら、自分に合った優良業者を選ぶことが出来れば、費用・塗料・施工品質のいずれに関しても、騙されることはないからです。
そこで、本記事では外壁塗装で詐欺が横行しやすい理由、悪徳業者の手口から、優良業者の選び方まで外壁塗装の業者について徹底解説します。
ご自身に合った塗装業者選びの参考になれば幸いです。
はじめての外壁塗装を検討されている方は、こちらの記事もおすすめです。
外壁塗装業界に悪徳業者が多い理由
外壁塗装業者は悪徳業者が多いことで有名です。
国民生活センターの調査によると、2020年におけるリフォーム工事に関する相談件数は、8,160件にも上りました。
2017年の調査発表と比較すると、相談件数が1,700件以上増加していることから、この傾向に改善の兆しは見られません。
なぜ外壁塗装業界はこんなに詐欺被害が発生するのでしょうか。
外壁塗装業界に悪徳業者が多い理由を解説します。
依頼主と業者との間に知識の差があるから
もし依頼主が外壁塗装に対する専門知識がある場合、騙される心配はありません。
しかし、依頼主のほとんどは外壁塗装に関する素人です。そうした知識の差が、「高い塗料と形式的に見せかけて実際は安い塗料を利用している」といったごまかしや、「本来は三回塗りを行うべき工程を二回塗りで済ませる」といった、手抜き工事が生まれる原因になってしまいます。
外壁塗装の品質は施工後すぐに判断できないから
外壁塗装工事の不具合に気付くタイミングは、数年後に不具合が発生した時です。外壁塗装は、基本的には新しい塗料で外壁をきれいに塗り替える工事になるので、どれだけ手抜き工事を行っても、仕上がりは新築さながらの美観を取り戻すことができます。
はっきりとした凹凸やヒビ、塗りムラがある場合は別ですが、一般の方々には仕上がり直後の状態から工事全体の品質を判断することは難しいでしょう。
外壁塗装工事には定価が存在しないから
足場設置、人件費、塗装代、諸経費に至る外壁塗装の工事工程には決まりきった定価というものは存在しません。
使用する塗料自体には定価がありますが、業者によって仕入れルートが異なるため塗料にすら一定の単価を付けることができません。
さらに外壁塗装は、施工宅の築年数、周辺環境、使用している外壁材などによって変動するため、工事内容は自宅の事情によって多種多様です。提案された工事内容や施工金額は高いか、安いかを判断するための指針となる定価が存在しないことも、悪徳業者が多くなる理由の一つです。
訪問販売には要注意!外壁塗装の悪徳業者がよく利用する手口
ここからは、外壁塗装の悪徳業者が実際に利用する手口を紹介します。
詐欺被害が多数報告されていることから、悪徳業者がどんな手口を利用しているのかということも明らかになっています。連絡を取っている業者がもしかしたら悪徳業者かもしれないと不安に感じている方は、下記で紹介する悪徳業者の手口に覚えがあるかどうか確認してみてください。
突然営業マンが訪問してくる
突然自宅に訪れて外壁塗装の営業を行う業者は、悪徳業者であるケースが多いです。いわゆる訪問販売というものです。
訪問販売では、「いまならモニター価格で大幅に値引きします!」といいながら相場より高い見積もりを出すという手口が頻繁に見られます。
訪問販売の業者と話をすすめている場合は、まずは地域の塗装業者から見積もりを取得してください。
見積もりを比較することで、提案されている工事内容や金額が適切かどうか判断する材料になります。また、訪問してきた営業マンの話し方や特徴、話題からも悪徳業者かどうか判断することもできます。
詳しくは下記の記事で解説しておりますので、参考にしてください。
不安を煽って契約を急かす
「お宅の外壁、クラックが入ってて今にも雨漏りしそうですよ! 早く施工しないと!」などと急かし、不安を煽るというのも常套手段の一つです。
さらに、「本日中に契約する場合は割引きを適用できる」といって、契約を急かしてくることもあります。過剰に不安を煽って契約をとろうとする業者は、施主の判断力を鈍らせて不当な金額の契約書にサインさせようとしている可能性もあります。
もちろん、状況によっては「早く施工しないとまずい」ということはあるでしょうが、誠実な業者は無理やり契約を急かすことはありません。足場がゼロ円/半額と訴求する
施工品質を確保するために重要な役割を果たす足場は、職人にとって大切な道具です。
この足場代をゼロ円と訴求する業者はかなり危険です。外壁塗装にかかる費用のうち、20%は足場代です。
この20%がゼロ円になってしまうと、業者の利益はほとんど残らなくなってしまいます。こうした業者の利益を勘案すると、足場代を半額と訴求してくる場合や、そもそもの工事費用が異様に安いというケースにも注意が必要です。
費用の前払いを提案してくる
「費用の一部、あるいは全額前払いしていただけると、費用が安くなりますよ」などと、前払いを提案してくる手口もあります。費用を前払いしてしまうと、最悪の場合は工事代金を持ち逃げされてしまいます。
また、持ち逃げに至らない場合でもお金はもらったからといって、中抜き工事をするケースも報告されています。全ての業者が悪徳だとは言えませんが、費用の前払いを提案してくるというのも、悪徳業者がよく利用する手口です。
特定の塗料や製品を過度におすすめする
どんなに機能が優れた塗料でも外壁材の種類や環境によって合わないものがあります。
しかし、悪徳業者はとにかく商品の良い点を並び立て、デメリットなど一切ないかのように話します。ご自宅の環境にあった塗料で塗装をするためには、塗料・外壁材・屋根材に対して適切な塗料を使用することが大切です。
特定の塗料について良いことばかりを言われ、知らぬ間に業者の売りたい塗料に誘導されていないか気を付けましょう。外壁塗装はどんな業者に依頼できる?
外壁塗装を依頼できる企業は、大きく3つの企業形態があります。
外壁塗装を依頼できる業者 | メリット | デメリット | 自社施工 |
---|---|---|---|
大手ハウスメーカー | ・長期保証がついてくる | ・費用が高い ・自社施工ではないため、中間マージンがかかる |
✕ |
総合リフォーム会社・工務店 | ・ハウスメーカーよりも安い ・塗装以外のリフォームも依頼することができる |
・塗装専門業者よりも高くなりがち ・自社施工ではない場合は中間マージンがかかる |
△ |
塗装専門業者 | ・中間マージンがかからないので、最もコストをおさえられる | ・業者を見つけるのが大変な場合がある | ◯ |
まずはじめに確認してほしいポイントとして、「自社施工かどうか」があります。
自社施工とは、下請けや外注を行わずに自社の職人のみで施工を行うことです。自社施工の業者は中間マージンがかからないので費用が安いという特徴があります。また、自社内で施工を行うので職人と営業担当のコミュニケーションがスムーズで、施主の要望が職人まで伝わりやすいと言われています。
もちろん下請けによる施工も悪くはないですが、自社施工の塗装業者へ依頼することが基本的にはおすすめです。ここからは、それぞれどのような業者なのか簡単に解説します。
①大手ハウスメーカー
大手ハウスメーカーとは、「ダイワハウス」「住友林業」などの全国展開をしているハウスメーカーを指します。
ハウスメーカーでお家を建てた方は、何年かに一度点検がある際に、一緒に塗装を勧められたという経験があるのではないでしょうか。
ハウスメーカーは施工を下請け業者に流しているので、中間手数料が発生します。直接、地域の業者に依頼するより、1.5倍ほど費用が高くなるのが一般的です。
②総合リフォーム業者・工務店
総合リフォーム業者とは、水回りから外装の工事まで全般を請け負うリフォーム会社のことを言います。
また、工務店は、地域に根ざした建設会社のことを指します。
総合リフォーム業者・工務店の場合でも大手ハウスメーカーと同じで中間手数料は発生しますが、その割合は大手ハウスメーカーよりも低いです。
また、業者によっては塗装専門の職人を抱えており、自社施工ができる場合もあります。
③塗装専門業者
塗装専門業者は、自社施工であり中間マージンがかからないという点に大きなメリットがあります。また、地域密着型の塗装業者であれば、その土地のことをよく理解した施工が可能なのも魅力です。
質の悪い工事をすると近隣の依頼がこなくなるので、長年地域でやっている塗装業者は、優良業者である可能性が高いとも言えるでしょう。塗装専門業者の多くは社長自身も職人であり、宣伝活動などをあまり行っていないことがあります。その場合は、自分自身で業者を見つけるのが大変です。
外壁塗装業者の選び方
ここからは、業者の選び方について解説します。
外壁塗装の業者選びは、仕上がりの命運を分けるもっとも大切なポイントです。優良業者から施工をしてもらうためにも、下記のポイントをぜひ把握しておいてください。
建設業許可・塗装技能士資格のある業者を選ぶ
まず初めに抑えておきたいのが、建設業許可と塗装技能士資格を持っているかです。
これらをきちんと取得しているかどうかで、ある程度、業者の信頼性を見分けることができます。
耳慣れない言葉だと思うので、それぞれどのようなものなのかも解説します。
建設業許可(塗装工事業許可)とは
塗装業者と話す際には、建設業許可(塗装工事業許可)を持っているかを確認してみましょう。
建設業許可とは、国土交通大臣または知事による「この業者は建設業を行っている業者ですよ」というお墨付きです。
驚かれるかもしれませんが、建設業というのは、受注金額が500万円を超えない限りは無許可でも営業が可能です。
でも、大事なお家を任せるなら、公的機関から許可を得た業者が安心ですよね。
依頼する際には、「建設業許可はお持ちですか?」と聞いてみるのがよいでしょう。または、業者の名前が分かれば、国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業上検索システム」で確認することもできます。
塗装技能士とは
塗装技能士とは、塗装の実技・学科に関する試験に合格した職人に与えられる国家資格です。塗装技能士1級の受験条件は実務経験が7年以上必要となっており、合格には確かな技術が必要不可欠といえます。
塗装技能士の資格を保有している職人の技術は信頼してもよいでしょう。
依頼する業者を決めるときは、「塗装技能士の方はいらっしゃいますか」と確認してみることをおすすめします。施工実績を公開している業者を選ぶ
施工の質に自信のある塗装業者は、宣伝もかねて過去の施工実績をHPなどで公開していることがほとんどです。
なので、依頼をする塗装業者を選ぶときはHPの施工事例なども参考にしましょう。施工実績は、下記のようにHPで公開されています。
もし施工実績を公開していない・頼んでも見せてくれない、ということであれば、その業者は施工の質に不安があるのかもしれません。
HPがない業者はどうすればいい?
塗装業界はまだまだIT化の遅れた業界なので、社長自身が現役の職人という業者の場合、HPを用意していないこともあります。
ただ、HPがないからといって怪しい業者というわけではないので安心してください。むしろ、宣伝活動が少なくても塗装の質で仕事をとってこれる業者なのかもしれません。
仮に施工事例がHPなどで公開されていなくても、見積もりを依頼したときなどに頼めば、多くの業者は過去の実績を見せてくれます。
アフターフォローのある業者を選ぶ
各社のアフターフォロー内容についても確認をしておきましょう。
塗装工事は、仮に施工不良があったとしても、症状が現れるのが完工の数年後です。そのため、工事の保証期間を長くとっている業者を選ぶのがおすすめです。
5年以上の保証か、可能であれば10年以上の保証をつけてくれる業者がよいでしょう。
定期的点検サービスを設けている業者もいるので、ご希望にあったアフターフォローを選択してください。
ちなみに、塗装工事の保証は、「工事保証」「アフター保証」「自社保証」などの名前がつけられていることが多いです。
受領した見積もり書が適切な業者を選ぶ
見積もり書から業者の質を見極めることもできます。
優良業者とそうではない業者が作成する見積もり書には大きな違いがあります。見積もり書のチェックポイントとして、下記の点に注目をしましょう。
- 見積もりに「一式」という表現が多用されていないか
- 工事工程が省略されていないか
- どの箇所にどのような塗料を使用するか記載されているか
上記の点を確認するだけでも、良い見積もりか悪い見積もりかを判断することができます。
見積もり書の見方など、外壁塗装の見積もりについて詳しく知りたい方は下記の記事も参考にしてください。
外壁塗装業者を探す方法
インターネットを利用するのが一般的だと考えられがちな外壁塗装業者の探し方ですが、実は様々な方法があります。
外壁塗装業界はデジタル化の過渡期を迎えており、全ての業者をインターネットから検索することはできません。
小さな規模で事業を展開する優良な地域密着業者の情報は、ネットからは掴みづらいこともあります。ここからは、外壁塗装業者を探す方法について紹介します。
知人に紹介してもらう
もっともおすすめする方法は、「ご近所様や友人から信頼できる業者を紹介してもらう」です。
施工技術や職人さんの雰囲気、営業マンの態度など業者のサービスに満足したからこそ、ほかの人にもおすすめできるわけなので、優良な業者である可能性が高いと言えます。
信頼している人からのご紹介であれば、一層安心して業者へ依頼することができるでしょう。ただし、現場によって工事内容が異なるため、知人以外の他現場でも期待に沿う工事が絶対にできるわけではありません。その点には留意をしておきましょう。
チラシや広告から探す
インターネット以外の方法として、チラシや街にある看板から業者を探すというのも有効な手です。
地元密着型の小さな業者はテクノロジーを利用して、販促費に充てる資金や財政的な余力がないため、各家庭のポストにチラシを入れて宣伝を行う場合があります。
こうしたアナログな手法は大手業者の宣伝方法とは違い洗練度にかけますが、宣伝の質は塗装技術と比例しないことも事実です。
特に長く地元に密着して営業している優良業者の中には、販促に力を入れずとも顧客を獲得できるため、インターネットでの集客に力を入れることはありません。
チラシや広告を利用した探し方は、インターネット検索で表れてこない優れた業者を見つける可能性を秘めています。
▼「外壁塗装のチラシについて詳しく知りたい方は、下記の記事も合わせて参考にしてください。」についてもっと詳しく知りたい方はコチラ
見積もりサイトを利用する
外壁塗装の見積もりサイトを利用すれば、複数の業者から一括で見積もりを取得することができます。
はじめからインターネットで会社名を検索するというより、まずは接触する業者の候補を複数出しておきたいという方は、まずは見積もりサイトを利用しましょう。
見積もり依頼に値する業者か見分ける方法としては、業者のホームページを確認してみましょう。
- 会社の情報(住所・電話番号・代表者の氏名・創業年月日・資格など)が漏れなく記載されているか。
- 費用の目安や施工事例、代表者やスタッフの顔写真も掲載されているか。
実際に依頼する業者の選別については、見積もりが出揃ってから、改めて吟味されることをおすすめします。
▼「外壁塗装の一括見積もり」についてもっと詳しく知りたい方はコチラ
外壁塗装の業者選びで失敗した人の事例
業者の選び方はわかったとして、どんな失敗や後悔があるのか気になる方もいらっしゃることでしょう。最後に、業者選びで失敗した人の体験談をご紹介します。
(本事例は、「【増加する住宅リフォーム工事のトラブル】(独立行政法人国民生活センター)」の調査をもとに紹介しております)
工事を契約したが、請求額が最初の金額よりも1.5倍高い
(前略)今回のリフォームに当たって、業者に対し書面を交付するよう契約前にも契約後にも伝えたが、渡されなかった。口頭での打合せはしており、100 万円の工事になるとのことだった。しかし、工事終了後に 150 万円を請求されている。
(相談受付年月:2013 年 1 月、契約当事者:50 歳代、女性、東京都)
契約内容について、口頭で依頼をする口約束はトラブルのもとになります。事後に「言った・言っていない」の水掛け論を招きかねません。このようなトラブルは、特に契約を結んだ業者が知り合いや近所であったりするケースが多く見られます。
トラブルを未然に防ぐために、請求金額が確定するまでは工事を進めてもらわずに、施工内容や金額に関する取り決めは必ず書面でやりとりするようにしましょう。
訪問販売で屋根の塗装工事を依頼したが、業者が工事に来ない
(前略)近隣宅の塗装工事をしていた業者が来訪し、屋根の塗装工事を勧誘された。最初は金額に納得がいかず断ったが、金額が値下げされたので契約した。見積書や契約書は渡されていない。近隣宅の施工の際にも、先に塗料代は受け取ったとのことだったので支払った。塗料代の支払いから相当経過したが、業者が来ず工事が始まらない。
(相談受付年月:2013 年 1 月、契約当事者:80 歳代、女性、愛媛県)
材料代など、事前に工費の一部を支払っているにも関わらず、一方的に業者が工事をキャンセルし、そのまま連絡が取れなくなるケースです。
契約書や見積書には、「工事着工日は吉日」など、いつ、どのような工事がなされるのかが明記されているかどうか必ず確認するようにしましょう。
施工がずさんで請求額が見積りと違う
(前略)付属品の代金が別途請求され、請求額が増えていた。工事が設計書どおりに施工されておらず、業者を自宅に呼んだが来ようとしない。
(相談受付年月:2013 年 1 月、契約当事者:80 歳代、女性、愛媛県)
工事内容の技術的な問題や、図面通りに工事がなされないといったケースも報告されています。工事を依頼するときは、工事内容の見積りを必ず複数の業者からとるようにしましょう。
特に重要なことは、金額だけでなく工事内容や材料の種類、単価についても確認をし、わからないことがあれば業者に問合せすることです。
工事について納得ができるまでは費用の支払いを急かされたとしても、慎重に判断をするようにしましょう。
まとめ
外壁塗装をする際に業者を選ぶというのは、ファーストステップでもあり、一番難しいことでもありますよね。
その分、優良な業者を選べさえすれば、外壁塗装はほとんど成功したといっても過言ではないくらい重要な過程でもあります。
まずは、業者に色々なことを言われても、焦らず慎重に調べてみたり、第三者に聞いてみたりするのが良いでしょう。
ヌリカエでは些細なご相談でも知識のある専門員が丁寧に回答させていただきます。
「こんなこと聞いても良いのかな?」という質問でも大歓迎なので、お待ちしております。
今回は外壁塗装の業者について解説をしましたが、屋根塗装の業者に特化した情報が欲しい方は、下記の記事を参考にしてください。