トイレは毎日の生活になくてはならない場所。壊れていたり、使いづらさを感じている場合にはなるべく早くリフォームしてしまいたいところです。
とはいえ、トイレのリフォームにはおおよそ10~50万円の費用がかかります。決して安い金額ではないため、なるべく安く済ませられる方がうれしいですよね。
そこで本記事では、トイレのリフォームをする際に使える助成金・補助金制度についてご紹介します。
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監修者:宅建士・FP技能士 澤﨑 勝彦
宅地建物取引士(東京都登録)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。 ▼略歴・プロフィール |
トイレのリフォームで使える助成金・補助金
トイレリフォームで受けられる補助金・助成金は以下の4つです。
- 【国】こどもエコすまい支援事業(募集中)
- 【国】長期優良住宅化リフォーム推進事業(一部募集中)
- 【国】介護保険の住宅改修補助金(通年受付中)
- 【自治体】各市区町村の補助金制度(利用前に要お問合せ)
トイレのリフォームに使える助成金には、介護保険と国や地域の自治体が行う助成金があり、以下のような工事が対象となります。
手すりや段差をなくすバリアフリーリフォーム、和式を洋式にするリフォーム(汲み取り式を水洗式にするリフォーム)、節水型トイレにする省エネリフォーム、三世帯で同居するためのトイレの増設です。
特に高齢者や身体障がい者向けのリフォーム、省エネ化を目指したリフォームでは助成の対象になりやすい傾向です。
制度は複数あるため、どれが利用できそうかチェックして、もっとも条件がよいものを選びましょう。
【国の助成金】こどもエコ住まい支援事業
「こどもエコすまい支援事業」は、子育て世帯・若者夫婦世帯が高い省エネ性能を持つ新築住宅の取得や住宅のリフォームを行う場合に、一部の費用を助成するという制度です。
「こどもエコすまい支援事業」の対象となる工事には①省エネ改修、②その他(バリアフリー工事など)の2種類があります。
それぞれの種類に使えるトイレの改修工事は以下となります。
◆対象となる工事内容◆
- ①省エネ改修:節水型トイレの設置
- ②その他:手すりの取付け
- ②その他:出入口の段差解消
ただ、トレイリフォームのみだと補助対象にはならないので、その他リフォームも一緒に行う必要があります。
制度の大事なポイント
- 補助金額は1台あたり2万円を支給
- 節水型トイレの設置などが補助対象
- 申請期間は2023年3月31日から遅くとも2023年12月末まで
- ただし、外壁や屋根の断熱工事やバリアフリー工事などと一緒に工事するのが必須
補助金額
「こどもエコすまい支援事業」ではリフォーム工事の内容やその面積に応じて補助金額があらかじめ決められており、その累計金額が5万円以上に達した場合のみ補助金を受けることができます。
リフォームの内容に応じて、1戸あたり最大30万円が支給されます。トイレのリフォームの場合は以下の通りです。
掃除がしやすい機能付きのもの | 20,000円/台 |
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掃除がしやすい機能がないもの | 19,000円/台 |
手すりの取付け | 5,000円/戸 |
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出入口の段差解消 | 6,000円/戸 |
最低補助金額が5万円のため、トイレ1か所のリフォームだけでは補助を受けることができません。
2か所以上のトイレリフォーム、またはその他の部位のリフォームも同時に行って補助額を合計5万円以上とする必要がありますのでご注意ください。
支給条件
「こどもエコすまい支援事業」の補助対象となるのは、次の3つを満たす戸建て・マンションのリフォームです。
- こどもエコすまい支援事業者(※)と工事請負契約等を締結し、リフォーム工事をする方
- リフォームする住宅の所有者等であること(個人、法人、賃借人、管理組合)
- 2022年11月8日以降に着工し、2023年12月31日までに完了する工事であること
※こどもエコすまい支援事業者とは:工事発注者に代わり、交付申請等の手続きを代行し、交付を受けた補助金を工事発注者に還元する者として、予め本事業に登録をした工事施工業者のことを指します。
申請方法
本制度の申請はリフォーム会社が行います。
リフォームを依頼する方が手続きをする必要はないため、申請をスムーズに進めてくれるリフォーム会社を選ぶことが大切になります。
申請手順は以下の通りです。
2.工事請負契約の締結
3.共同事業実施規約の締結
4.着工~完了
5.補助金交付申請
6.補助金交付決定
7.補助金の請求
8.完了実績報告
9.補助金の振込
■問い合わせ窓口
・窓口:こどもエコすまい支援事業事務局
・電話番号:0570-200-594(ナビダイヤル)、045-330-1340
※受付時間 9:00~17:00(土日祝含む)
https://kodomo-ecosumai.mlit.go.jp/
現在の募集状況(2023/09)
令和5年度の募集を現在受付中です。予定していた予算達成まであと少しとなり、終了間近です。
本制度は2023年3月31日~予算上限に達するまで(遅くとも2023年12月31日まで)募集しています。リアルタイムの申請状況は公式サイトにてチェックしましょう。
【国の助成金】長期優良住宅化リフォーム推進事業
長期優良住宅化リフォーム推進事業は、住宅の性能を向上させたり、子育てしやすい環境を整備するようなリフォームをする際に費用の一部を助成してもらえる制度です。
助成金制度の目的として、一定以上の省エネ性向上や耐震性向上をさせる必要があるため、トイレリフォームも含めたある程度大規模なリフォームの実施が前提となります。
◆トイレの改修で対象となる工事内容◆
- 節水型トイレの設置
- 手すりの取付け
- 出入口の段差解消
- 内窓の取付け
- 三世代同居のためのトイレ増設
上記のように、省エネとなるトイレ改修、子ども・高齢者の方が暮らしやすい改修に活用できます。
制度の大事なポイント
- 補助金額は評価基準型が100万円~150万円/戸、認定長期優良住宅型が200万円〜250万円/戸
- 評価基準型は募集終了、認定長期優良住宅型は2023年12月22日(金)まで
- 節水型トイレの設置、内窓の取り付け、同居のためのトイレ増設などが補助対象
- 工事前の建物状況調査と工事後の耐震性・劣化対策・省エネルギー性確保が必須
補助金額
リフォーム費用の3分の1の額が補助されます。
評価基準型:100万円(150万円)/戸
- 認定長期優良住宅型:200万円(250万円)/戸
※()内の金額は工事内容が「三世代同居対応改修工事」「子育て世帯向け改修工事」に当てはまる場合のみ
認定長期優良住宅型は、評価基準型より高い耐震性や耐久性、省エネ性のリフォームが求められます。事前の建物状況調査などの工事費以外に対しても一部補助金がおります。
支給条件
長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助対象となるのは、次の2つを満たす戸建て・マンションのリフォームです。
- 建物状況調査を実施し、維持保全計画・履歴を作成すること
- 工事後に国が指定する耐震性と劣化対策、省エネルギー性の基準を満たすこと
- 上記を満たす性能向上リフォーム、三世代同居対応改修工事、子育て世帯向け改修工事、防災性・レジリエンス性向上改修工事のうち、1つ以上を行うこと
お風呂リフォームでは「三世代同居対応改修工事」「子育て世帯向け改修工事」の2つが対象となる可能性があります。単なる設備交換や内装工事などは対象外となりますので注意しましょう。
申請方法
本制度の申請は、契約したリフォーム業者が行います。工事発注者が自分で手続きする必要はありません。
申請手順は以下の通りです。
2.工事請負契約の締結
3.共同事業実施規約の締結
4.着工~完了
5.補助金交付申請
6.補助金交付決定
7.補助金の請求
8.完了実績報告
9.補助金の振込
■問い合わせ窓口
・窓口:国立研究開発法人 建築研究所 長期優良住宅化リフォーム推進事業評価室
・電話番号:03-5805-0522
※平日 10:00~16:00(12:00~13:00除く)
https://www.kenken.go.jp/chouki_r/
現在の募集状況(2023/09)
評価基準型は2023年5月18日に募集が終了していますが、認定長期優良住宅型の交付申請は現在も受付中です。
予定よりも早く予算に到達した場合はその時点で受付終了になりますのでご注意ください。
リアルタイムの申請状況は公式サイトにてチェックしましょう。
【国の助成金】介護保険の住宅改修補助金
介護保険の住宅改修補助金では、要介護または要支援の認定を受けている65歳以上の高齢者、特定の疾患を持っている方が自立した日常生活を送るために支給される制度です。
介護保険の補助金が使えるリフォームは、高齢者や体が不自由な方にとって使いやすいトイレとなるようなリフォームです。
◆対象となる工事内容◆
- 洋式便器などへの便器の取替え
- 扉を引き戸に変更
- すべりにくい床材に変更
- 出入口の段差を解消
- 手すりの取付け
介護保険の対象となる加入者であれば、利用しやすい制度となります。
制度の大事なポイント
- 補助金額は上限18万円まで
- 洋式便器への交換、段差解消・引き戸への交換などのバリアフリー工事が補助対象
- 要介護認定を受けている方が対象
補助金額
介護保険制度の助成金は工事費用の90%に対し補助され、1人につき上限18万円まで利用できます。複数回のリフォームに分けて使うこともできます。
また、要介護度が3段階以上あがったり、転居した場合は、再度1人つき18万円まで利用が可能です。
支給条件
介護保険における住宅改修補助金を受けるには、主に以下のような条件を満たす必要があります。
介護保険に加入していること
利用者が要支援1~2、要介護1~5のいずれかに認定されていること
利用者が実際に住んでいる家であること(かつ介護施設や病院などに入居・入院中でないこと)
この制度を利用するには担当のケアマネジャーに「住宅改修が必要な理由書」を作成してもらうことが必要です。
申請方法
介護保険制度の申請~トイレのリフォーム~助成金の受け取りまでの流れは以下の通りです。
【2】施工業者を選び、見積もりを依頼
【3】お住まいの市区町村の自治体に工事する前に申請
【4】事前承認通知書が届いたらリフォームを実施
【5】工事後に、お住まいの自治体に事後申請
現在、担当のケアマネジャーがいない場合は地域包括支援センターに相談しましょう。
■問い合わせ窓口
▼要介護認定を受けている方
・担当のケアマネジャー
・担当の訪問介護事業所
▼要介護認定を受けていない場合
・各地方自治体の介護保険担当課
・各地域の地域包括支援センター
現在の募集状況(2023/09)
介護保険の住宅改修補助金制度は通年申請を受け付けております。
【自治体の助成金】各市区町村の補助金制度
地方自治体の中には、トイレのリフォームに使える補助金・助成金制度を提供している市区町村があります。
自治体によって制度の有無や内容は異なりますが、おおむねバリアフリー化や省エネ化、空き家リフォーム、同居対応や子育て世帯に向けた制度が多いです。
自治体の補助金制度を調べられる検索サイト
地方自治体の助成金・補助金制度を調べる際は以下の「住宅リフォーム支援制度検索サイト」が便利です。
▼住宅リフォーム支援制度検索サイト
一般社団法人住宅リフォーム推進協議会が運営している、全国の自治体の補助金制度を検索できるサイトも要チェック!
出典:一般社団法人リフォーム推進協議会/地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト
補助金以外にも、リフォームに関する融資や減税などの制度を調べることが可能です。
トイレリフォームに関することのみ知りたい場合は、市区町村を選択後、支援分類で「②バリアフリー化」「⑥同居対応」から絞り込むと該当する制度が見つけやすいので、おすすめです。
自治体の補助金制度をまとめている記事
リフォームに関する相談や見積取得を無料で提供しているヌリカエでは、地方自治体の助成金・補助金制度を市区町村ごとに調べ、制度の要点をわかりやすくまとめた記事があります。
以下の都道府県の補助金制度を紹介する記事内で、各市区町村の制度や記事ページをご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
トイレのリフォームに補助金・助成金を活用する際には、指定されたリフォーム業者へ依頼しないと補助金・助成金を受け取れない場合があります。特に自治体の制度では、対象となるリフォーム業者が指定されていることが多いです。
とはいえ、はじめて補助金・助成金を使う方にとっては、「業者が指定されているか」「お近くの業者が指定業者かどうか」などを確認するのは骨が折れるのではないでしょうか。
はじめて補助金・助成金を使ったリフォームをする際には、優良リフォーム業者紹介サービスの「ヌリカエ」 もぜひご活用ください。知識豊富なオペレーターが、あなたの条件に合ったリフォーム業者をご案内させていただきます。