お風呂リフォームでは、国や各自治体からリフォーム費用の一部を補助してくれる補助金制度があります。
補助金制度を利用するには工事の着工前に申請が必要となりますので、事前に補助金制度の概要や申請タイミングなどを確認し、早めの申請を行いましょう!
本記事ではお風呂リフォームで利用できる補助金制度の種類や申請方法、申請時の注意点について解説しています。
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監修者:FP技能士 サワサキ カツヒコ
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士試験 合格(ともに令和4年度)。 ▼略歴・プロフィール |
お風呂リフォームで受けられる補助金の種類
お風呂リフォームで受けられる補助金の種類は以下の4種類です。
補助金の種類 | 制度詳細 | 補助金額 |
---|---|---|
介護保険 | バリアフリー化工事を行う際に受けられる制度 | 最大18万円 |
こどもエコすまい支援事業 こどもみらい住宅支援事業 |
子育て世帯や若者夫婦世帯の新築住宅の取得や住宅の省エネ改修などに対して支援をする事業 | 5~60万円 |
長期優良住宅化リフォーム推進事業 | 子育て世帯向けに住宅の性能向上を行うリフォームを支援する事業 | 100~250万円 |
自治体 | 自治体により異なる 例)環境配慮型住宅リノベーション推進事業(世田谷区) |
10~100万円 ※自治体により異なる |
①介護保険の補助金制度
介護保険の補助金制度は、手すりの設置や段差の解消などのバリアフリー化工事を行う際に受けられる制度です。要介護・要支援者の方がこれまでよりも安全に暮らせるように「住宅改修」をすることを目的とした制度です。
リフォーム時に使える介護保険の補助金制度について、詳しくは下記の記事も参考にしてください。
>>介護保険の補助金制度が使えるリフォーム工事内容と必要な申請を解説
介護保険制度の概要
介護保険制度の補助金額は、適用対象となる工事費用の9割相当が工事終了後に償還払いで支給されます。
そのため、以下の2点を必ず対応しましょう。
- 自宅で行う工事が適用対象となるかを確認する
- 工事費用の内訳や事実がわかる書類を保管 + 工事完了後に提出
介護保険の補助金制度の概要は以下の通りです。
▼介護保険の補助金制度
適用対象の工事 | ・手すりの取り付け ・段差の解消 ・滑りの防止や円滑に移動するための床材の変更 ・引き戸などへの扉の取り替え |
---|---|
申請条件 | ・利用者が要支援もしくは要介護に認定されている ・利用者が福祉施設や病院に入居・入院していない |
補助金額 | 最大18万円(支給限度基準額は20万円) ※工事費用のうち、1割は自己負担となるため、補助金額は最大18万円となります ※要介護度が3段階以上上がる、または転居した場合は、再度20万円までの支給限度基準額が支給されます |
申請者 | 担当ケアマネジャーと被保険者 |
申請手順
介護保険の補助金制度の手順は以下の通りです。
担当のケアマネジャーと相談し、どのような工事を行うことが良いのかを相談したうえでリフォーム業者を決定しましょう。
2.申請に必要な書類(※1)の提出・確認
3.施工 → 完成
4.住宅改修費の支給申請(※2)・決定
また、提出が必要な書類は複数あるため、ぬけもれなく用意しましょう。
▼注釈
(※1)申請に必要な書類以下の書類の提出が必要です。
・支給申請書
・住宅改修が必要な理由書
・工事費見積もり書
・住宅改修後の完成予定の状態がわかるもの
(※2)住宅改修費の支給申請
以下の書類の提出が必要です。
・住宅改修に要した費用に係る領収書
・工事費内訳書
・住宅改修の完成後の状態を確認できる書類
・住宅の所有者の承諾書
■問い合わせ窓口
▼要介護認定を受けている場合
・担当のケアマネジャー
・担当の訪問介護事業所
▼要介護認定を受けていない場合
・各地方自治体の介護保険担当課
・各地域の地域包括支援センター
②こどもエコすまい支援事業・こどもみらい住宅支援事業
「こどもエコすまい支援事業」と「こどもみらい住宅支援事業」は、子育て世帯や若者夫婦世帯の新築住宅の取得や住宅の省エネ改修などに対して支援をする事業です。「こどもみらい住宅支援事業」は2022年11月末に予算上限に達し、募集を終了しています。この制度に代わり、「こどもエコすまい支援事業」が2022年12月に開始されました。本章では「こどもエコすまい支援事業」についてまとめます。
「こどもエコすまい支援事業」の対象となる工事には省エネ改修(断熱工事・エコ住宅設備の設置など)、その他(子育て対応改修、バリアフリー改修など)の2種類があります。
省エネ改修についてはこの制度の補助金を受けるために必須の工事となるため、必ず工事内容に組み込みましょう。その他の工事については任意ですが、省エネ改修工事と合わせて行うことで補助金が受けられる工事なのでまとめて実施するのがおすすめです。
こどもエコすまい支援事業では、リフォーム工事の内容やその面積に応じて補助金額があらかじめ決められており、その累計金額が5万円に達した場合のみ補助金の支給を受けることができます。
また補助金の申請自体はリフォーム業者が代行してくれますが、契約した業者が「こどもエコすまい支援事業」に登録している業者でなければ制度自体が利用できないので必ず確認しましょう。
- 補助金制度の事業者登録している業者かどうかを確認する
- 「こどもエコすまい支援事業」の公式サイトを見て、工事別の補助金額を確認する
- 省エネ改修工事の内容を考える + その他(子育て、バリアフリー、耐震改修など)の工事も検討する
制度の概要は以下の通りです。
▼こどもエコすまい支援事業
適用対象の工事 | ・断熱改修 ・エコ住宅設備の設置 ・子育て対応改修(手すりの設置、浴室乾燥機の設置 など) ・バリアフリー向上改修 ・耐震改修 など |
---|---|
申請条件 | ・2022年11月8日以降に工事に着手し、2023年12月31日までに工事が完了する住宅であること ・こどもエコすまい支援事業と工事請負契約等を締結し、リフォーム工事をする ・リフォームする住宅の所有者等であること |
補助金額 | 5~60万円/戸 |
申請者 | 施工業者(工事請負業者) |
申請期間 | 2022年3月下旬~予算上限に達するまで(遅くとも2023年12月31日まで) |
■問い合わせ窓口
・窓口:こどもエコすまい支援事業事務局
・電話番号:0570-200-594(ナビダイヤル)、045-330-1340
※受付時間 9:00~17:00(土日祝含む)
https://kodomo-ecosumai.mlit.go.jp/
③長期優良住宅化リフォーム推進事業
「長期優良住宅化リフォーム推進事業」は子育てしやすい生活環境を整えるために、既存住宅を長期的に使えるように改修したり、子育て世帯向けに住宅の性能向上を行うリフォームを支援する事業です。
2022(令和4)年度については2023年1月31日(火)まで募集しています。
また、この事業の補助金を受けるにはリフォーム後の自宅の性能が「評価基準型」か「認定長期優良住宅型」に当てはまる水準になる必要があります。そして、このどちらに認定されるかによって補助金額が変わってきます。
申請自体はリフォーム業者が代行してくれますが、その業者が「長期優良住宅化リフォーム推進事業」に事業者登録をしている必要があります。事業者登録をしていない業者に依頼した場合は、補助金を利用できないので注意しましょう。
- 補助金制度の事業者登録している業者かどうかを確認する
- 評価基準・認定基準を満たす工事内容になるように業者と相談する
制度の概要は以下の通りです。
▼長期優良住宅化リフォーム推進事業
適用対象の工事 | ・劣化対策 ・耐震性(新耐震基準適合)の基準を満たす工事 ・維持管理・更新を容易にする工事および設備改修 ・省エネ性能を向上させる工事および設備改修 ・バリアフリー対策 など |
---|---|
申請条件 | 以下の要件にすべて適合すること ・工事前にインスペクションを行う、かつ維持保全計画及びリフォームの履歴を作成すること ・工事後に以下の性能基準を満たしていること (1)構造躯体等の劣化対策、耐震性(新耐震基準適合等)、省エネルギー対策の基準 ※必須 (2)維持管理・更新の容易性、高齢者対策(共同住宅)、可変性(共同住宅)の基準 ・上記のいずれかの性能向上に資するリフォーム工事、三世代同居対応改修工事、 子育て世帯向け改修工事、防災性・レジリエンス性の向上改修工事のうち一つ以上行うこと |
補助金額 | ・100~150万円/戸(評価基準型)
・200~250万円/戸(認定長期優良住宅型) |
申請者 | ・リフォーム工事の施工業者 ・買取再販事業者 ※施工業者が申請する場合は発注者に還元 |
申請期間 | ・通年申請タイプ 2022年4月8日(金)~2023年1月31日(火) |
■問い合わせ窓口
・窓口:国立研究開発法人 建築研究所 長期優良住宅化リフォーム推進事業評価室
・電話番号:03-5805-0522
※平日 10:00~16:00(12:00~13:00除く)
https://www.kenken.go.jp/chouki_r/
申請手順
「こどもみらい住宅支援事業」と「長期優良住宅化リフォーム推進事業」の補助金制度の手順は以下の通りです。
申請はリフォーム業者が行うため、補助金を利用したい場合は事前にリフォーム業者と打ち合わせをしておきましょう。
2.リフォーム業者が国に申請・補助金付与
3.リフォーム業者から消費者に還元
④各自治体の補助金制度
自治体の補助金制度については、各自治体によって提供しているものが異なります。ここでは、実際に補助金制度がある自治体の例を参考にし、どのような内容で補助金が受けられるのかを紹介します。
- 【世田谷区】環境配慮型住宅リノベーション推進事業
- 【福岡市】バリアフリー改修に伴う減額措置
世田谷区環境配慮型住宅リノベーション推進事業
東京都世田谷区では「環境配慮型住宅リノベーション推進事業」として、次の内容を対象に補助金制度を実施していました。
浴室のリフォームで考えるなら、高断熱浴槽の設置の部分が該当します。補助金制度では上限金額を20万円として対象工事の費用の10%が支給されました。
適用対象の工事 | ・外壁などの断熱改修 ・窓の断熱改修 ・屋根の断熱改修 ・太陽熱ソーラーシステムまたは太陽熱温水器の設置 ・節水トイレの設置 ・高断熱浴槽の設置・分譲マンション共用部改修 |
---|---|
申請条件 | ・世田谷区に住民登録があること ・世田谷区内に店舗、営業所などを置く施工業者(個人事業者を含む)と契約し、施工すること ・建築基準法令に適合している建物であること など |
補助金額 | 10~40万円
※工事経費の10%(窓の断熱改修は20%) |
申請者 | 以下のいずれかに該当する人 ・世田谷区内にある自分が所有する住宅に居住している世田谷区民 ・区内にある賃貸住宅を所有している世田谷区民 |
問い合わせ | 世田谷区環境政策部 環境・エネルギー施策推進課 電話番号:03-6432-7133 所在地:世田谷区玉川1-20-1 二子玉川分庁舎内 |
福岡市のバリアフリー改修に伴う減額措置
福岡県福岡市では、「バリアフリー改修に伴う減額措置」が実施されています。対象となるのは築10年以上の賃貸以外の住宅に住んでいる人で、65歳以上か 要介護認定または要支援認定を受けている、あるいは障がい者である人が当てはまります。
適用対象の工事 | ・廊下の拡幅 ・階段の勾配の緩和 ・浴室の改良 ・便所の改良 ・手すりの取り付け ・床の段差の解消 ・引き戸への取り替え ・床表面の滑り止め化 |
---|---|
申請条件 | ・新築された日から10年以上を経過した住宅(賃家住宅を除く) ・次のいずれかの方が居住する住宅 (1)65歳以上の方 (2)要介護認定または要支援認定を受けている方 (3)障がい者の方 |
減額範囲 | 固定資産税額の3分の1を減額 ※100㎡以上の住宅の場合は、100㎡に相当する部分の固定資産税額の3分の1を減税 |
申請者 | 福岡市内に住民票がある人 |
問い合わせ | 福岡市役所 各区役所課税課 電話番号:092-645-1031(東区役所) 受付時間:8時45分~17時15分(土日祝・年末年始除く) |
これらの工事を行った場合に、100㎡部分までの固定資産税額を、3分の1に減額できます。補助金として金銭が支給される形ではなく、減税による支援制度であることは特徴のひとつです。
▼住宅リフォーム支援制度検索サイト
一般社団法人住宅リフォーム推進協議会が運営している、全国の自治体の補助金制度を検索できるサイトも要チェック!
出典:一般社団法人リフォーム推進協議会/地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト
お風呂リフォームで補助金を受ける際の5つの注意点
お風呂リフォームをする際に補助金を受ける際には、次のように注意すべきことがいくつかあります。
2.業者の指定の有無を確認する
3.国・自治体の補助金は予算額に達すると申請受付終了になる
4.補助金制度がある保証はない
5.早めに申請に必要となる見積りを準備する
以上の5つの注意点について詳しく解説していきます。上手に補助金を活用するためにもしっかりと把握しておきましょう。
補助金の申請タイミングを確認する
リフォームの補助金にはさまざまな種類がありますが、申請のタイミングはそれぞれの制度によって異なります。
主に以下のケースに分けられるので注意しましょう。
- 工事の契約前に申請を行わなければならないケース
- 申請を行う前に契約をしなければならないケース
さらに正しいタイミングで申請を行ったとしても交付されることが決まる前に契約や工事を始めた場合は対象外になります。したがって、利用する補助金の条件を事前に確認して間違えのないように申請や契約を行うようにしましょう。
業者指定の有無を確認する
補助金制度によっては、リフォーム業者が指定されていることもあります。万が一、指定された業者以外の業者に依頼してしまうと制度が利用できなくなります。
そのため、補助金制度を利用する際は業者指定の有無の確認と対象業者かどうかの確認を必ず行いましょう。
国・自治体の補助金は予算額に達すると受付終了になる
国や地方自治体が実施する補助金制度は年度ごとに予算が決まっており、多くの場合は予算が上限に達すると申請の受付が終了になります。また、予算が決まるまでは詳細情報が公開されないことも多いため、気付いたら受付が終了になっていたということもあります。受付期間を正しく把握し、なるべく早めに申請を行いましょう。
補助金制度がある保証はない
自治体独自の補助金制度は全ての地域で実施されているわけではなく、制度を実施していない地域も多数あります。そのため、自治体の補助金を利用したい場合はまず制度そのものがあるかを確認しましょう。その後、適用条件などチェックして申請の準備を進めることが基本の流れとなります。
また、補助金制度があったとしてもお風呂リフォームに適応されるかどうかは分からないため、この点も確認する必要があります。
なお、お住まいの地域の補助金を探すには「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」を利用しましょう。
早めに申請に必要となる見積りを準備する
補助金制度を利用するためにはまず申請を行う必要がありますが、その際には工事の見積りが必要です。支給額には上限が定められていますが、実際に支給される金額は工事内容によって異なるためです。よって、お風呂リフォームが決まり、補助金制度の利用を視野に入れている場合は早めに見積りを取って準備しておきましょう。
まとめ
お風呂リフォーム費用を抑えるには、国や自治体が実施する補助金制度を活用することがおすすめです。自治体ごとの制度は実施されているかどうかも地域によって異なるため、まずはそれを確認してみることが大切です。適用できる補助金制度を見つけ、上手に使ってリフォームの費用負担を抑えましょう。