外壁塗装の満足度を大きく左右する塗料選び。
ご自宅に沿った塗料を選ぶことが大切ですが、そもそもどんな種類があるのか分からない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、初めての外壁塗装を検討している方に向けて、塗料の基礎知識や選び方を解説しています。
- 外壁塗装の塗料は主に6種類、「アクリル塗料」「ウレタン塗料」「シリコン塗料」「ラジカル制御形塗料」「フッ素塗料」「無機塗料」がある
- 外壁塗装の塗料をコスパで選ぶ際は、価格と耐用年数のバランスを見ることが大切
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監修者:外壁劣化診断士 小林 成光
600件以上の現地調査を実施する過程で得た専門性を生かし、日本発のネット見積もりシステムでビジネスモデル特許を取得。ヌリカエにて、外装工事の専門家として、顧客・加盟企業のサポート・コラムの監修に従事。
▼略歴・プロフィール |
外壁塗装塗料の9種類一覧
「アクリル」「ウレタン」「シリコン」「フッ素」「無機」など、外壁塗装の塗料には様々なグレード・種類が存在しています。
機能性などによっても分類されており、外壁用塗料は一般的に以下の9種類に分けることができます。
※塗料名のリンクを押すと、各塗料の解説へ飛ぶことができます。
【外壁塗装に用いる塗料6種類一覧】
塗料の種類 | 耐用年数 | 実勢価格 |
---|---|---|
アクリル塗料 | 5年~7年 | 1,500円/㎡ |
ウレタン塗料 | 8年~10年 | 1,950円/㎡ |
シリコン塗料 | 10年~15年 | 2,300円/㎡ |
ラジカル制御形塗料 | 12年~16年 | 2,400円/㎡ |
ナノテクノロジー塗料 | 12年~15年 | 4,000円/㎡ |
遮熱・断熱塗料 | 10年~20年 | 2,500~3,500円/㎡ |
ピュアアクリル塗料 | 15年~20年 | 4,500円/㎡ |
フッ素塗料 | 15年~20年 | 4,300円/㎡ |
無機塗料 | 25年~30年 | 5,300円/㎡ |
塗料①ラジカル制御形塗料
ラジカル制御型塗料とは、「ラジカル」という塗膜の劣化させる成分の発生を抑える力をもつ塗料です。ラジカル塗料は、シリコン塗料とほぼ同価格で耐用年数が1~2年長いため、人気の高い塗料になっています。
外壁塗装にラジカル(制御形)塗料を用いる場合、価格は2,400円/㎡前後、耐用年数は12~16年が目安です。
メリットは最もコストパフォーマンスに優れること、デメリットは選べるメーカーの少なさです。
こんな方におすすめ
コストパフォーマンスをもっとも重視したい人
汚染や紫外線に強い塗料を使いたい人
>>ラジカル塗料ってなにがすごいの?メリット・デメリットを徹底解説!
塗料②シリコン塗料
シリコン塗料は、耐用年数・費用ともに標準的でバランスの取れた塗料です。
2012年にラジカル制御形塗料が登場する前は、もっともコストパフォーマンスのよい選択肢でした。現在でも人気があり、様々な製品が開発されています。
外壁塗装にシリコン塗料を用いる場合、価格は2,300円/㎡前後、耐用年数は10~15年が目安です。
メリットは商品ラインナップが盛んであること、デメリットは製品によっては耐用年数が短いことです。
こんな方におすすめ
実績のある塗料を使って安心したい人
様々な製品から自分にあった塗料を選びたい人
価格、バランス、知名度を重視したい人
>>シリコン塗料って本当にいいの?おすすめ製品やメリット・デメリット、注意点を解説
塗料③フッ素塗料
フッ素塗料は多少値が張りますが、耐用年数が長く、塗り替え回数を少なくできるメリットがあります。
一回あたり塗装費用が高額になる大きな邸宅や、塗装工事による休業や通行規制をなるべく避けたい商業施設への使用がおすすめです。外壁塗装にフッ素塗料費用は4,300円/㎡前後、耐用年数は15~20年が目安です。
メリットは長期目線だとトータルコストを抑えられること、デメリットは塗膜が硬いためひび割れに弱いことです。
こんな方におすすめ
現在住んでいる住宅に15年以上住み続ける予定の人
長期的な観点に立ってトータルコストを抑えたい人
将来のメンテナンスの頻度を少なくしたい人
>>フッ素塗料の特徴、費用対効果は? 高価でも「屋根」と「雨どい」にはフッ素が効く!
塗料④無機塗料
無機塗料は成分に有機物をほぼ含まないため劣化が遅く、寿命が非常に長いのが特徴です。
耐用年数が最も長く、塗り替えの回数を減らしたいという方におすすめです。耐用年数が長い分、他の外壁メンテナンス周期も考慮すると、コストパフォーマンスが下がる可能性もあります。
無機塗料の塗装費用は5,300円/㎡前後、耐用年数は25~30年が目安です。メリットは耐用年数が非常に長いこと、デメリットは他の箇所のメンテナンス周期を考慮すると割高であることです。
こんな方におすすめ
カビやコケの発生を抑えたい人
費用がかかっても耐用年数の長い塗料を使用したい人
>>無機塗料って?メリット・デメリットと価格、代表的な塗料名を解説!
塗料⑤ウレタン塗料
ウレタン塗料も6種類のなかでは耐用年数が短く、昨今では外壁塗装に使われることは少ないです。
費用をなるべく抑えたい場合や、10年以内に退去や解体をする場合に向いています。外壁塗装にウレタン塗料を用いる場合、価格1,950円/㎡前後、耐用年数は8~10年が目安です。
メリットは10年以内に退去が決まっているケースに最適であること、デメリットはコストパフォーマンスはシリコンに塗料に劣ることです。
こんな方におすすめ
10年以内に退居することが決まっている人
光沢や艶がある高級感を仕上がりに求める人
付帯部用の塗料を探している人
>>ウレタン塗装はどんな場合に向く?性能・費用・製品・塗装できる素材などを詳しく解説
塗料⑥アクリル塗料
アクリル塗料は耐用年数が短く、特に屋外の耐久性に弱みがあるために外壁塗装で使われることは少ないです。
外壁塗装にアクリル塗料を用いる場合、価格は1,500円/㎡前後、耐用年数は5~7年が目安です。
メリットは価格が最も安いこと、デメリットは屋外の耐久性に欠けることです。
こんな方におすすめ
短期的なコストパフォーマンスにこだわらず、直近の工事費用を抑えたい人
短いスパンで外壁の塗り替えをしてリフレッシュしたい人
初心者であるがDIYで外壁塗装をしてみたい人
>>アクリル塗料の特徴とは?他塗料と比較したメリットデメリット
塗料⑦遮熱・断熱塗料
遮熱・断熱塗料は、その名の通り、暑さを軽減する効果をもつ塗料です。断熱塗料は暑さ・寒さ両方の対策になりますが、遮熱塗料は暑さの対策効果のみという違いがあります。
外壁塗装に遮熱塗料を用いる場合、価格2,500円/㎡前後、耐用年数は10~15年が目安です。断熱塗料を用いる場合、価格3,500円/㎡前後、耐用年数は15~20年が目安です。
メリットは快適な気温を保つことができること、デメリットは一般的な塗料よりは高めであることです。
こんな方におすすめ
室内の暑さを軽減し、室内で快適に過ごしたい方
節電・省エネをしたい方
省エネ系の外壁塗装の助成金を使いたい方
>>遮熱塗料とは?メリット・デメリットや代表商品、使用がおすすめのケースを解説
>>【2021年】断熱塗料のおすすめ商品5選!代表商品と特徴を徹底解説
塗料⑧ ピュアアクリル塗料
ピュアアクリル塗料は、通常アクリル塗料に含まれる不純物を除き、耐久性と防水性に優れた塗料です。
外壁塗装にピュアアクリル塗料を用いる場合、価格4,500円/㎡前後、耐用年数は15~20年が目安です。
メリットは弾性があるのでひび割れに強いこと、デメリットは費用が高め・取り扱い業者が少ないことです。
こんな方におすすめ
モルタルなどひび割れしやすい外壁の方
塗料⑨ ナノテクノロジー塗料
ナノテクノロジー塗料は、ナノテクノロジーによって樹脂をナノレベルまで小さくすることで、低汚染性などさまざまなメリットを引き出した塗料です。
外壁塗装にナノテクノロジー塗料を用いる場合、価格4,000円/㎡前後、耐用年数は12~15年が目安です。
メリットは汚染・色褪せに強いこと、デメリットは製造メーカーが少ない・選べる艶や色が限られることです。
こんな方におすすめ
色へのこだわりが少ない方
外壁を常に綺麗に保っていたい方
最後に:後悔のない外壁塗装を目指して
塗料選びは、外壁塗装の成否を分ける大事な作業です。
塗料次第で家の耐用年数が数年間変わったり、費用が数十万円変わったりします。
だからこそ、冒頭でお伝えした「本当に理解・納得した上でのベターな選択なのか?」という問いを忘れず、時々この記事に立ち返りながら、ぜひ、賢い塗料選びを実践していってください。
塗装方法や種類、使用する道具については、こちらの記事で詳しく解説しております。
ぜひ参考にしてください。