お住まいである日突然起こる雨漏り。
室内が濡れてしまうだけでなく、直すのが遅れて家の基礎が傷んでしまわないか心配ですよね。
本記事では、雨漏りの修理についてお悩みの方に向けて、雨漏りの修理にかかる時間や費用を解説し、より早く・安く修理できる方法を伝授します。
監修者:外壁劣化診断士 小林 成光
600件以上の現地調査を実施する過程で得た専門性を生かし、日本発のネット見積もりシステムでビジネスモデル特許を取得。ヌリカエにて、外装工事の専門家として、顧客・加盟企業のサポート・コラムの監修に従事。
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雨漏りを発見!自分で修理できる範囲は?
雨漏りを発見したときに、自分で修理できる範囲を紹介します。
例に挙げたもの以上のことを自分で修理するのは基本的に控え、あとは業者へ依頼して修理してもらうのが最善の方法と言えるでしょう。
雨漏り部分にブルーシートを被せる
まず応急措置として挙げられるのは、雨漏り部分にブルーシートをかぶせることです。
身近にあるもので安価なので、雨漏りが止まらないときの応急措置としては手軽に試せるものとなります。
一旦被せた後、業者へ依頼し、雨漏りの根本を直してもらいましょう。
屋根に上る場合は危険なので控えてほしい
もし雨漏り発生箇所が屋根の疑いがある場合、自分で上ることになってしまい、大変危険です。
必然的に濡れている箇所で作業するため、事故につながるリスクが大きくなります。
そのため屋根の場合はできるだけブルーシートを被さず、雨漏り業者を早急に探すことを優先しましょう。
雨漏り部分を防水テープでふさぐ
窓枠などといった、屋外と屋内がつながっている部分は、雨漏りが発生しやすい場所。
隙間から雨水が入って雨漏りになっている可能性があるため、防水テープなどで一時的にふさぐ方法も場所によっては効果的です。
ただし、こちらもブルーシート同様、一時的な応急措置に過ぎません。
ふさいだ後はそのままにせず、雨漏り修理の専門業者に依頼して修理してもらいましょう。
応急措置程度にとどめ、必ず業者依頼すること
雨漏りを今すぐに自分で治したい気持ちもわかりますが、自分で対処することでより悪化する可能性もあります。
自分で雨漏りを止めたい場合は、雨漏り箇所もそのまま残せる状態で応急措置をした後、雨漏り専門業者に調査・修理してもらいましょう。
雨漏りの修理にかかる費用相場
雨漏りの修理費用の合計は計3~50万
雨漏りの工事費用 | 3~20万円 |
---|---|
雨漏りの原因調査 | 3~30万円 |
合計 | 3~50万円 |
雨漏り修理にかかる費用の全体像を、ざっくりつかみましょう。
費用は大きく分けて「修理費用」と「原因調査費用」の2つにわかれ、このうち後者の原因調査費用は不要なこともあります。
雨漏りの工事費用について
雨漏りを直すためにどんな工事をするかは原因(水の侵入箇所)によって異なります。
雨漏り修理工事の種類と各金額に関しては、「【原因別】雨漏り修理の方法と金額」の項目で具体的に解説しています。
雨漏りの原因調査費用について
雨水の侵入箇所が外見から分からない場合、原因調査費用が別途発生します。
多くの場合では「散水調査」という3~10万円程度の方法が選ばれることが多いようです。
原因調査の種類とそれぞれの金額に関しては、「雨漏りの原因調査にかかる費用」の項目で具体的に解説しています。
【例外】大規模修理が必要な場合は「合計80~200万円」
工事方法 | 費用 | 工事内容 |
---|---|---|
屋根の葺き替え | 140~200万円 | 屋根材・防水シートの全交換 |
屋根のカバー工法 | 80~140万円 | 古い屋根を新しい屋根材で覆う |
外壁の張り替え | 160~200万円 | 外壁材・透湿防水シートの全交換 |
外壁のカバー工法 | 120~180万円 | 古い外壁を新しい外壁材で覆う |
万一家の劣化が非常に進んでいて、家の全体修理が必要になった場合、80~200万円ほどの費用がかかります。
このように大きな出費を発生させないためにも、雨漏りに気付き次第すぐに調査・修理を行うことが重要です。
【原因別】雨漏り修理の方法と金額
雨漏りの原因箇所(工事箇所)ごとの工事費用は、以下のとおりです。
雨漏り修理の箇所と費用の相場
修理箇所 | 工事内容 | 修理費用 |
---|---|---|
屋根 | 屋根材の修理 | 2~6万円 |
屋根棟の交換 | 15万円 | |
雨樋の交換 | 3万円(一部交換)、10万円(全交換) | |
換気棟の設置 | 3万円 | |
天窓の修理 | 5万円 | |
外壁 | ひび割れの修理 | 5~10万円 |
コーキングの打ち替え | 3万円 | |
換気口の設置 | 5万円 | |
ベランダ | 排水口の掃除 | 0円(自己作業) |
ベランダ放水工事 | 10万円~20万円 | |
開口部 | 窓のサッシ周囲の補修 | 3万円 |
雨戸の防水化 | 10万円 |
上記の表では、主に雨漏りが発生する箇所と修理する工事内容、費用感についてまとめました。
雨漏りが発生している箇所かも?と思った修理箇所をタップすることで詳細へジャンプできます。
屋根の雨漏り修理費用
工事内容 | 修理費用 | 内容 |
---|---|---|
屋根材の修理 | 2~6万円 | 屋根材に対し、部分差し替え、ズレの補正作業などを行い、雨の侵入を止める |
屋根棟の交換 | 15万円 | 屋根の棟・谷・破風・ケラバなどの取り合い部分に対し、板金交換や修理作業を行い雨漏りを止める。やや高め。 |
雨樋の交換 | 3万円(一部交換) 10万円(全交換) |
雨樋の破損等が雨漏りの原因の場合は、一部ないし全交換。 |
換気棟の設置 | 3万円 | 屋根裏の結露が原因の場合は、棟に換気口を新しく取り付けて結露防止を図る。 |
天窓の修理 | 5万円 | 主に天窓のパッキンの交換作業を行う。屋根工事業者を呼ぶのが適切。 |
屋根周りの雨漏りが発生したときの工事内容は、主に5つを挙げました。
屋根の面積・素材・劣化具合によっても変わりますが、換気棟の設置であれば3万程度、高くても屋根棟の交換で15万円程度を見込んでおきましょう。
外壁の雨漏り修理費用
工事内容 | 修理費用 | 内容 |
---|---|---|
ひび割れの修理 | 5~10万円 | ひび割れ特定した後は、「カットシーリング工法」が一般的。 自分ではできないため、業者依頼をすることになる。 |
コーキングの打ち替え | 3万円 | コーキングが雨漏りの原因となっている場合、「打ち替え」を行う。 自分でもできるが、なるべく業者依頼を推奨。 |
換気口の設置 | 5万円(1箇所につき) | 外壁の結露が原因の場合は、換気のための穴を開けてフードを取り付ける工事で解決できる。 |
外壁から雨漏りが発生している場合の修理方法は上記の3つ。
ひび割れ箇所からの雨漏りや、コーキング劣化に伴ったものが原因として考えられます。
コーキングの打ち替えなど自分でも施工可能なものもありますが、基本的には業者へ依頼した方が結果的にコスパが高い場合が多いです。
完全に雨漏りの修理を完了するまで過程を考えると、可能な限り自分で治そうとせず、業者へ依頼することをおすすめします。
カットシーリング工法:雨水の侵入口となっているひび割れ特定した後、原因のひび割れにそって外壁を少し削り、できた溝にシーリング材を埋めるのこと
打ち替え:古いコーキングを剥がしたあと新しいコーキング剤を充填する施工方法のこと
ベランダの雨漏り修理費用
工事内容 | 修理費用 | 内容 |
---|---|---|
排気口の掃除 | 0円 | 長柄のブラシなどで自分で掃除できる場合は、自己作業。 ランダ・バルコニーの排水口の詰まりを掃除し、正しく水が流れるようにする。 |
ベランダ防水工事 | 10~20万円 | 劣化したベランダの床面の防水層を直して雨漏りを解消。 作業は防水工事業者に依頼するため、やや高め。 |
雨漏りの原因としては主に防水シートの破損や経年劣化、コーキングの施工不良などが主に考えられます。
他にも、自分で掃除するだけで解決する排気口の掃除の場合も考えられます。
ベランダから雨漏りしている場合、周囲依頼する前に排気口のチェックをしてみると良いかもしれません。
開口部の雨漏り修理費用
工事内容 | 修理費用 | 内容 |
---|---|---|
窓のサッシ周囲の補修 | 3万円~ | 「打ち替え」を行う。 自分でもできるが、なるべく業者依頼を推奨。 |
雨水の防水化 | 10~20万円 | 防水処理されていない戸袋を防水化するか、雨戸をシャッター等に交換する工事を行う。 依頼先は大工。 |
他にも開口部からの雨漏りも、修理が必要なレベルで発生している可能性があります。
その場合、窓のサッシ周囲の補修や雨水の防水化を大工さんに依頼するなどの対応をすることで、修理できます。
「雨漏りの原因」や「アルミサッシの補修」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「雨漏りのよくある原因TOP10。発生部位別の原因、修理費用も解説」
>>塗装を長持ちさせる!アルミサッシの塗装は7つの工程を丁寧に
雨漏りの原因調査にかかる費用
雨漏りの解決には、修理費用だけでなく原因調査費用が発生することがあります。
原因調査は5種類あり、無料のものから30万円近くかかるものまであります。
調査方法 | 費用相場 |
---|---|
目視調査 | 無料 |
散水調査 | 3~15万円 |
発光液調査 | 10~20万円 |
赤外線サーモグラフィ調査 | 18~30万円 |
ガス調査 | 10万円 |
目視調査
雨漏り部位のすぐ外側や、家に目立つ劣化がありそこが原因だった場合、目視のみの調査で済みます。
費用はほとんどの場合無料です。
散水調査
家の外装全体を点検し、原因の疑いがある箇所に一つずつホースで水を流し込んで雨漏りが再現するか確かめる調査を散水調査と言います。
この調査は雨漏り専門業者が行い、費用は10~30万円、時間も1日~数日かかります。
目視調査で原因が明らかにならなかった場合、ほとんどはこの散水調査が行われるでしょう。
発光液調査
雨水の侵入箇所と思われる部分に発光塗料を流し込み、紫外線ライトを当てて雨水の経路を確かめるのが発光液調査です。
雨水の侵入口が複数あると思われる場合に向いています。
費用は10~20万円です。
赤外線サーモグラフィー調査
サーモグラフィーカメラで壁や天井を映し、表面温度の低い場所から雨水の経路を特定するのが赤外線サーモグラフィー調査です。
費用は18~30万円程度かかります。
ガス調査
雨漏りの原因箇所と思われる部分に高圧ガスを注入し、外部に漏れ出てきたガスを専用のセンサーで検知することで原因を特定する方法です。
主に鉄筋コンクリート造の建物の雨漏り調査などで利用され、費用は10万円前後が一般的です。
調査費用が高額になる場合
家が3階建て以上の場合や、隣家との間隔が狭く作業がしづらい場合は、足場の仮設が必要となり追加で15~20万円の費用がかかることがあります。
雨漏り修理費用に火災保険はおりる?
地震以外の自然災害や火災の場合は対象
雨漏りの原因が、台風などの災害によるものであれば火災保険の対象となります。
雨漏りの修理にかかる費用が20万円以上かつ、雨漏りの原因が災害であれば、修理費用には全額ないし一部に保険がおりるでしょう。
つまり、実質無料で雨漏りを修理できるということですね。
経年劣化や人為的な事故の場合は対象外
ただし、「経年劣化」や「人為的な事故」が原因の場合は対象外です。
また、地震が原因の破損の場合は、火災保険とは別に「地震保険」の付帯が必要となので、注意しましょう。
雨漏りの原因と火災保険有無責の対応
雨漏りの原因 | 火災保険の対象か否か |
---|---|
火災 | 対象となる |
風災 | |
雪災 | |
雹災 | |
落雷 | |
経年劣化 | 対象外 |
人為的事故 | |
地震 |
以上のことから、火災保険の対象になる雨漏りの原因と、対象外になる原因をまとめました。
地震以外の自然災害や火災の場合は、火災保険がおりる認識で良いでしょう。
「雨漏りと火災保険の適用条件・金額」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「自宅の雨漏りは火災保険で修理できる?適用条件・金額・手続き方法」
雨漏り修理業者を決める前の注意
声をかける修理業者やはじめの対応によって、雨漏り修理の完了は早くすることができます。
具体的には、以下のようなことに気をつけましょう。
車で15分以内の業者を選ぶ
家に近い業者を選ぶと業者の出動もしやすく、現地調査や修理工事の日程が早くなりやすいです。
目安としては車で15分以内であれば最高、遠くても1時間以内の業者を選んだほうがよいでしょう。
「建築士」か「雨漏り診断士」のいる業者を選ぶ
雨漏りの原因がなかなか特定できず、修理が始められないといった事態は避けたいものです。
業者の雨漏り調査・修理が上手かどうかは、住宅の構造に詳しい「建築士」か、その道のスペシャリストと認定された「雨漏り診断士」のどちらかの資格をもった担当がいるかでわかります。
業者のウェブサイトの記載をチェックしましょう。
雨漏りの状況を細かく思い出し、調査前に伝える
住人しか分からない雨漏りの状況は、実は雨漏りの原因特定を早める情報の宝庫です。
うまく業者に伝えられれば、原因特定が早く終わり、その分雨漏り修理も早く始められます。
修理業者にとって助かる情報は、以下のようなものです。
雨漏り原因の特定に役立つ情報
- 雨漏りはいつから始まったか
- 過去に雨漏りしたの日の日付(わかる範囲で)
- 弱い雨でも雨漏りするか、強い雨のときだけか
- 短い雨でも雨漏りするか、1日以上続く雨のときだけか
- 風がない雨でも雨漏りするか、強風をともなう雨のときだけか
- 雨漏りはどのぐらいの勢いか
- 雨がやんだら雨漏りもすぐ止まるか
これらの情報があれば、気象庁発表の降水量・風量などのデータとつき合わせて雨水の侵入箇所の位置・方向・漏水部位からの距離がかなり絞れてくるでしょう。
複数の業者から相見積もりをとる
工事契約決める前に、複数の業者から相見積もりをとることで3~10万円、もしくはそれ以上安く修理できます。
雨漏り修理の見積もり金額は、業者先によって大きく変わるのが普通[/text]です。
なぜならば、修理費用のもととなる施工面積の測定方法や、顧客に勧める工事方法は業者によりバラツキがあるからです。
雨漏り修理前にはできれば3社以上からは見積もりをとり、費用や応対の誠実さなどを比較することで、安く確実な修理に繋がります。
- 費用の安い業者を選択できる
- 悪徳業者に頼んでしまうリスクが下がる
- 複数の業者のチェックを受けることで、自宅の状況を多角的に知れる
- 価格交渉の材料になる
その後のしつこい営業電話はなく、相見積もりの結果キャンセルする業者への連絡も窓口担当者が代わりに行ってくれるので便利です。
あなたのお家
屋根塗装するといくら?
まとめ
雨漏りの修理は、雨漏りの原因によってかかる費用や時間が大きく異なります。
そのため、まずは一度専門家の意見を聞いてみることが大切です。
また、「たかが床が濡れるだけ」と放置してしまうと、最悪の場合建物全体が腐食する可能性もあります。
ご自宅の雨漏り修理の費用感を確認し、どうすべきか決めるためにも、早めに業者に相談しておきましょう。