屋根塗装をお考えの方へ、こちらの記事では費用相場や安くする方法を解説いたします。
この記事のポイントは下記のとおりです。
- 屋根塗装のみの工事は30~60万円が相場
- 費用を抑えるには「相見積もり」や「助成金の申請」が有効
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監修者:外壁劣化診断士 小林 成光
600件以上の現地調査を実施する過程で得た専門性を生かし、日本発のネット見積もりシステムでビジネスモデル特許を取得。ヌリカエにて、外装工事の専門家として、顧客・加盟企業のサポート・コラムの監修に従事。
▼略歴・プロフィール |
屋根塗装の費用相場は30~60万
屋根塗装をした場合の相場額は30~60万です。本サービス「ヌリカエ」成約データから算出しています。(2023年2月現在)
坪数 | 相場額 |
---|---|
20坪 | 20~50万 |
30坪 | 30~60万 |
40坪 | 40~60万 |
50坪 | 40~70万 |
坪合算 | 30~60万 |
また坪数合算ですと、40万~60万円が全体の約25%といちばん多くなっています。
※ヌリカエ成約データのうち、屋根塗装のみ実施の1,824件より作成(2023年2月現在)
屋根塗装の金額はさまざまな要素で変動します。屋根の数・形・面積、使用する塗料、また塗装を依頼する業者によっても、安くなったり高くなったりします。
屋根塗装工事の見積もり例
平均的な大きさの一戸建ての屋根塗装の見積もり書を公開します。
これから工事をお考えの方は施工費用の把握に、すでに見積もり書を持っている方は金額は適正かの確認にお役立てください。
相場に沿った見積もり書の例
平均的な30坪前後の住宅の屋根塗装工事を屋根のみ単独で依頼した場合の、標準的な見積もり書の内容は以下のとおりです。
建物の条件
延床面積:32坪 屋根面積:100㎡(うち板金部30㎡)足場仮設面積:258㎡ 使用塗料:シリコン樹脂系塗料
工程 | 単価 | 数量 | 金額 |
---|---|---|---|
足場仮設 | 700 | 258(架㎡) | 180,600円 |
シート養生 | 200 | 258(架㎡) | 51,600円 |
高圧洗浄 | 180 | 100(㎡) | 18,000円 |
下地調整(板金部) | 130 | 30(㎡) | 3,900円 |
さび止め塗布(板金部) | 780 | 30(㎡) | 23,400円 |
下地調整(屋根部) | 400 | 70(㎡) | 28,000円 |
屋根塗装(シリコン系塗料) | 2,400 | 100(㎡) | 240,000円 |
縁切り(タスペーサー) | 250 | 100(㎡) | 25,000円 |
諸経費 | 全体の5%加算 | – | 28,525円 |
消費税 | 10% | – | 59,903円 |
合計 | 658,928円 |
出典:一般社団法人 経済調査会『積算資料ポケット版 リフォーム編2022』P.198をもとに、実勢価格を考慮のうえ編集部作成
費用全体のうち、屋根塗料と塗装作業にかかる費用は全体「約35%」、足場にかかる費用も全体「35%」、塗装以外の作業費と経費・税がどちらも「約15%ずつ」となっています。
「下地調整」とは?
上記見積もり例で2箇所でてくる「下地調整」とは、塗装前に行う汚れの除去やヤスリ掛け作業です。あとに塗る塗料の耐久性の確保と仕上がりが美しくなる効果があります。
「シリコン系塗料」「塗料の種類」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
屋根塗装費用が高くなる場合
上記の見積もり例よりも金額が高かった場合、原因として以下のいずれか、あるいは複数の該当が考えられます。
高級な塗料を使う場合
見積もり例で使用しているシリコン樹脂塗料は、住宅用としては4つのランクのうち上から2番目のグレードの製品で、さらに上があります。
さらに樹脂のグレードを上げるだけでなく特殊な機能をもつ塗料を選ぶと、1㎡あたり5,000円以上まで上がることもあります。
遠方の業者に依頼した場合
同じ作業でも、業者の所在地が遠方なほど運搬費や人件費(拘束時間)がかかり、結果として屋根塗装代も高くなります。
料金を安くする上では、なるべく近い業者に依頼するのが合理的です。
ハウスメーカー等に依頼した場合
新築時のハウスメーカーに屋根塗装を依頼しても、作業は都合のあう下請け業者が派遣されてきます。
ハウスメーカーに依頼した場合は、施工業者に直接発注したときに比べて中間マージンがかかるぶん、1.2~1.5倍以上は費用が高くなると言われています。
悪意のある業者に依頼した場合
塗装業者には、それと施主に分からせず相場より大幅に高い工事料金を提示する業者も存在します。
そういった業者に引っかからないよう、じゅうぶん注意しなければなりません。
くわしい事例は国民生活センターの紛争事例などをご参考ください。
屋根塗装の内訳の単価相場
つづいて、見積もり書の項目ごとに、屋根塗装費用の相場を見ていきましょう。
屋根塗装工事は①足場、②高圧洗浄、③下地補修、④タスペーサー、⑤屋根塗装、⑥諸経費の6つの工程に分けることができます。
それぞれ価格はいくらが適当で、作業はどのようなものなのか解説します。
①足場
足場代=700~1,000円/㎡ ×(足場の架設面積)
屋根塗装は高所作業になるため、家の周りに仮設足場を設置する必要があります。
足場の組み立て・解体・運搬にかかる諸費用の相場は、1㎡あたり600円~800円です。
これに加えて、高圧洗浄水や塗料が隣の家や前面道路に飛散しないように足場をメッシュシートで覆って養生する必要があります。
このシート代は1㎡あたり100円~200円です。
②高圧洗浄
高圧洗浄代=200~350円/㎡ (屋根塗装面積)
高圧洗浄とは、勢いよく噴射した水で屋根の表面の汚れを落とす工程のことです。
この工程を行うことで屋根の表面が綺麗になり、塗料がなじみやすくなります。
高圧洗浄は、塗装面積1㎡あたり200円~350円です。
③下地補修
下地補修代=15,000~40,000円
下地補修は、塗装をする前に、屋根材の傷んだ箇所を整える作業です。
作業内容は、屋根材や劣化症状によって異なりますが、屋根材や板金などの補修が必要な場合は、30坪の一般的な戸建てで15,000~40,000円程発生します。
④タスペーサー
タスペーサー代=400~600円/㎡ ×(屋根塗装面積)
タスペーサーは、スレート屋根の塗装の際などに用いられる道具で、塗料が屋根材同士の隙間を塞いでしまうのを防ぐ役割があります。
屋根材と屋根材の間には適切な隙間を設ける必要があり、ここが埋まってしまうと雨漏りに繋がります。
以前はタスペーサーではなく「縁切り」という工程で隙間を作っていましたが、屋根材の傷みにつながる可能性があることから、昨今ではタスペーサーを使用する業者が多いです。
タスペーサーは、塗装面積1㎡あたり400円~600円です。
⑤屋根塗装
塗装代=塗料により(1,400~5,500)× (屋根塗装面積)
屋根塗装は、文字通り屋根の塗装の工程を指します。
屋根塗装にかかる費用は、塗装に使用する塗料の種類で大きく変化するので注意が必要です。
塗料のグレードは主に7つに分かれ、価格帯と特徴は以下の通りです。
グレード | 耐久性 | 単価(㎡)*3回塗りの合計 |
---|---|---|
アクリル塗料 | 5~7年 | 1,400~1,600円 |
ウレタン塗料 | 8~10年 | 1,700~2,200円 |
シリコン塗料 | 10~15年 | 2,300~3,000円 |
ラジカル制御型塗料 | 10~15年 | 2,500~3,000円 |
フッ素塗料 | 15~20年 | 3,800~4,800円 |
光触媒塗料 | 15~20年 | 4,200~5,000円 |
無機塗料 | 20~25年 | 4,500~5,500円 |
日本の屋根で頻繁に使用されるのはシリコン塗料です。
初めて屋根塗装をする場合は、まずシリコン塗料をメインに見積もりを取ることをおすすめします。
坪数(延べ床) | 屋根面積の目安 |
---|---|
20坪 | 36~50㎡ |
25坪 | 62~87㎡ |
30坪 | 74~104㎡ |
35坪 | 87~122㎡ |
40坪 | 100~140㎡ |
45坪 | 118~165㎡ |
50坪 | 124~174㎡ |
▼「屋根面積」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>屋根面積がすぐわかる方法!図面不要・手順や計算もやさしく解説
⑥諸経費
ここまでの合計金額の5~10%上乗せ
上記で解説したもののほかに、諸経費として、工事金額の5~10%が上乗せされます。
諸経費とは、移動費・現場管理費・廃棄物処理費用・消費税などをまとめたものです。
⑦消費税
一律10%
最後に、諸経費までを合計した金額に、さらに10%の消費税がかかります。
屋根塗装工事の見積もり事例
- 20坪×シリコン塗料<465,505円>
- 20坪×フッ素塗料<537,577円>
- 30坪×シリコン塗料<680,734円>
- 30坪×フッ素塗料<845,206円>
- 40坪×シリコン塗料<826,576円>
- 40坪×フッ素塗料<1,048,336円>
ここからはよくある屋根塗装工事の見積もり事例を紹介します。
紹介する事例は、よく使用されるシリコン塗料・フッ素塗料を使って、20~40坪の住宅で屋根塗装工事をした場合を想定しています。
どれもよくある事例をピックアップしましたので、あなたの状況に近い実例がきっと見つかるはずです。
ぜひ参考にしてください。
20坪シリコン塗料の見積もり例<465,505円>
20坪フッ素塗料の見積もり例<537,577円>
30坪シリコン塗料の見積もり例<680,734円>
30坪フッ素塗料の見積もり例<845,206円>
40坪シリコン塗料の見積もり例<826,576円>
40坪フッ素塗料の見積もり例<1,048,336円>
よくある事例に絞って、紹介をしました。
屋根塗装の費用相場は、自宅の大きさ(屋根の大きさ)・使用する塗料・足場代によって、費用が変わることがお分かりいただけたかと思います。
それぞれ、費用が変動する理由について詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてください。
▼「自宅の大きさ(屋根の大きさ)」について詳しく知りたい方
>>屋根面積がすぐわかる方法!図面不要・手順や計算もやさしく解説
▼「使用する塗料」について詳しく知りたい方
>>屋根塗料の種類は多種多様!それぞれの特徴を解説
▼「足場代」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>足場代の相場はいくら?外壁・屋根塗装の足場はなぜ高い?
記事のおさらい
屋根塗装の費用相場はいくら?
日本の平均的な自宅の大きさである30坪で、屋根塗装工事のみをした場合の費用相場は40万円~50万円、外壁・屋根塗装を同時に工事した場合の費用相場は110万円~120万円です。
詳しく知りたい方は屋根塗装の費用相場は?をご覧ください。
塗料の単価相場はいくら?
ウレタン塗料で、1,700円/㎡~2,000円/㎡、シリコン塗料で2,500円/㎡~3,000円/㎡、フッ素塗料で3,800円/㎡~4,800円/㎡が、単価相場です。屋根塗装の相場は自宅の大きさや使用する塗料の種類によって異なるため、確からしい費用相場を知りたい方は、塗料の単価を確認しましょう。
詳しくは【外壁塗装の工程表】をご覧ください。
屋根塗装の費用が高くなるのはどんなとき?
相場よりも費用が高くなる原因として、「高級な塗料を使う場合」「遠方の業者に依頼した場合」「ハウスメーカー等に依頼した場合」「悪意のある業者に依頼した場合」が挙げられます。
詳しくは屋根塗装費用が高くなる場合をご覧下さい。
- 菊池克弘『住宅リフォーム重要事項32選』都市環境建設 2015
- 建築工事研究会『積算資料ポケット版 リフォーム編 2022年度版』一般社団法人経済調査会 2021
- みんなの建材倶楽部『使える!!内外装活用シート 2016-2017』エクスナレッジ 2016
- 田村誠邦・甲田珠子『プロのための住宅・不動産の新常識』エクスナレッジ 2019