スレート、ガルバリウム鋼板、瓦にトタン……
屋根材には実にたくさんの種類があり、どれを選べばいいか迷ってしまう方も多いのでは?
そこで本記事では、住宅用の屋根材のおすすめ人気ランキングを作成しました!
屋根の選び方にはさまざまな観点がありますが、私たちが至ったのは、
「結局みんな、長持ちして、メンテナンスの手間が少なくて、費用がかからない屋根がいいよね!」
という結論でした。
つまり、「耐用年数」が長く、「費用・手間のコスパ」が優れているものほど、高い順位になるよう選んでいます。
住宅用としての現実性ともバランスをとりながら、第1位~10位まで10種類の屋根材をチョイスしました。
屋根のリフォームを検討している方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
💬屋根材の正しい選び方がわからない…
屋根材おすすめランキングTOP10!
本記事では、住宅によく使用されるものから、以前主流だったもの、やや珍しいものまで10種類の屋根材について解説します。
ランキングで採用した評価方法
ランキングでは「耐用年数の長さ」「価格の安さ」「メンテナンスの手間の少なさ」の3つを軸に屋根材を評価したあと、“対応業者の数”や“住宅用の屋根材として現実的か”などを考慮して、加点・減点を行ないました。
具体的には「耐用年数」「価格」「手間」の3項目を各10点満点で評価したあと、「特記」で「-5」~「+5」点の加減をして、最終的な点数の高いものほど高順位になっています。

もちろん屋根材の役割や機能は、上記の3つだけではありません。
とくにこのランキングでは、デザインなど主観的な要素は今回は考慮していません。
それよりも、多くの人が求めているであろう「安くて・長持ちで・手間いらず」な屋根材を明らかにすることを重視しました。
リフォームにおすすめの屋根材TOP10
ランキングの結果と、各屋根材ごとの特徴やデータを先にします。
屋根材の名称をクリックすると、解説箇所までジャンプします。
順位 | 屋根材の種類 | メリット | デメリット | 価格 | 耐用年数 |
---|---|---|---|---|---|
第1位 | ガルバリウム鋼板 | ・耐用年数が長め ・軽量、耐震性に優れる |
・断熱性が低い ・キズやへこみに弱い |
6,000円/㎡~ | 30年~40年 |
第2位 | アスファルトシングル | ・防音性が非常に高い ・重量が軽め |
・強風で剥がれることがある ・熟練した業者が少ない |
3,500円/㎡~ | 20年~30年 |
第3位 | 陶器瓦(日本瓦) | ・耐用年数が非常に長い ・再塗装が不要 ・再利用が可能 |
・価格が高め ・重量が大きく、家を選ぶ |
9,000円/㎡~ | 50年以上 |
第4位 | ジンカリウム鋼板 | ・耐用年数が長め ・防音性、断熱性が高い ・再塗装が不要 |
・価格が高め ・石粒が剥がれ落ちてくる |
8,000円/㎡~ | 30年~40年 |
第4位 (同率) |
スレート | ・価格が安い ・色やデザインが豊富 |
・メンテナンスが多め ・やや割れやすい |
4,000円/㎡~ | 25年~30年 |
第6位 | 陶板 | ・陶器よりも軽い ・再塗装が不要 |
・陶器よりも価格が高い | 16,000円/㎡~ | 50年以上 |
第7位 | 銅板 | ・耐用年数が非常に長い ・再塗装が不要 |
・価格が非常に高い | 25,000円/㎡~ | 60年以上 |
第8位 | セメント瓦 | ・陶器瓦よりも安価 | ・現在では選ぶ理由がない | 6,000円/㎡~ | 30年~40年 |
第9位 | 陸屋根(屋上) | ・スペースを活用できる | ・水が溜まりやすい | 3,000円/㎡~ | 12年~20年 |
第10位 | トタン | ・軽量、耐震性が高い | ・現在では選ぶ理由がない | 5,000円/㎡~ | 15年~20年 |
【機能別】屋根材おすすめランキング
「耐用年数の長さ」「価格の安さ」「メンテナンスの手間の少なさ」の3つの評価軸別のランキングと、点数の理由を掲載します。
「耐用年数の長さ」でみる屋根材ランキング
半永久素材で塗装も不要の「銅版」「陶器瓦」「陶板」がトップ3を占めました。
総合力がウリの金属屋根材は、耐用年数部門ではどちらも4位に。
残りのリフォームの選択肢候補の「アスファルトシングル」「スレート」は、どちらも耐用年数は長くありません。
順位 | 屋根材の種類 | 点数 | 耐用年数 | 特記 |
---|---|---|---|---|
第1位 | 銅板 | 10pt | 60年以上 | 破損しないかぎり半永久的に使用可 |
第2位 | 陶器瓦(日本瓦) | 9pt | 50年以上 | 破損しないかぎり半永久的に使用可 |
第3位 | 陶板 | 8pt | 50年以上 | 瓦と同等の性能だが、薄いぶん破損の可能性あり |
第4位 | ガルバリウム鋼板 | 7pt | 30年~40年 | |
第4位 | ジンカリウム鋼板 | 7pt | 30年~40年 | |
第6位 | セメント瓦 | 6pt | 30年~40年 | 4位と同等年数だが、耐水性・水はけに劣るため-1pt |
第7位 | アスファルトシングル | 5pt | 20年~30年 | 点数は同等だが、スレートより防水性が高い |
第7位 | スレート | 5pt | 25年~30年 | |
第9位 | 陸屋根(屋上) | 4pt | 12年~20年 | メンテナンスと張り替えがほぼ同義 |
第10位 | トタン | 4pt | 15年~20年 |
「価格の安さ」でみる屋根材ランキング
前項の「耐用年数」の上位とかいが入れ替わったような傾向がみられます。
1位の「アスファルトシングル」「スレート」は、どちらとも総合ランキングでも上位半分の屋根材なので、工事費用の安さを重視するならこのどちらかがおすすめです。
順位 | 屋根材の種類 | 点数 | 価格 | 特記 |
---|---|---|---|---|
第1位 | アスファルトシングル | 9pt | 3,500円/㎡~ | |
第1位 | スレート | 9pt | 4,000円/㎡~ | 平均価格はアスファルトシングルと同等と判断 |
第3位 | 陸屋根(屋上) | 7pt | 3,000円/㎡~ | 素材価格ではなく、張り替え価格で判断 |
第4位 | トタン | 6pt | 5,000円/㎡~ | |
第5位 | ガルバリウム鋼板 | 5pt | 6,000円/㎡~ | |
第5位 | セメント瓦 | 5pt | 6,000円/㎡~ | |
第7位 | ジンカリウム鋼板 | 4pt | 8,000円/㎡~ | |
第7位 | 陶器瓦(日本瓦) | 4pt | 9,000円/㎡~ | 9位との価格差が大きいため、ジンカリウムと同ptと判断 |
第9位 | 陶板 | 2pt | 16,000円/㎡~ | |
第10位 | 銅板 | 1pt | 25,000円/㎡~ |
「メンテナンスの手間の少なさ」でみる屋根材ランキング
任意タイミングでの点検のみでよい「陶器瓦」「銅板」が首位。
塗装不要だが15年目で棟交換が推奨される「ジンカリウム鋼板」「陶板」が次点。
葺き替え向きの屋根材では「ジンカリウム鋼板」「ガルバリウム鋼板」がおすすめとなる結果に。
順位 | 屋根材の種類 | 点数 | メンテナンス頻度 | 特記 |
---|---|---|---|---|
第1位 | 陶器瓦(日本瓦) | 10pt | 任意点検のみ。塗装不要 | |
第1位 | 銅板 | 10pt | 任意点検のみ。塗装不要 | |
第3位 | ジンカリウム鋼板 | 8pt | 15年毎。塗装不要 | 基本は棟交換のみ |
第3位 | 陶板 | 8pt | 15年毎。塗装不要 | 基本は棟交換のみ |
第5位 | ガルバリウム鋼板 | 6pt | 15年毎 | 基本は棟交換のみ |
第6位 | アスファルトシングル | 4pt | 5年毎 | 念の為剥がれの点検を推奨 |
第6位 | セメント瓦 | 4pt | 5~10年毎 | ズレや退色が多め。手がかかる |
第6位 | 陸屋根(屋上) | 4pt | 10~12年毎 | 間隔は長いが、1回の工事が重め |
第9位 | スレート | 3pt | 5年毎 | 割れ発生が多い。手がかかる |
第9位 | トタン | 3pt | 5年毎 | サビや穴の発生が多い。手がかかる |
次章からは、総合ランキングTOP10の上位順に、屋根材の基本情報やメリット・デメリットを解説します。
第1位:ガルバリウム鋼板

主原料 | アルミニウム、亜鉛、シリコン |
---|---|
材工価格 | 6,000円~12,000円/㎡ |
耐用年数 | 30年~40年 |
メンテナンス目安 |
15年目:棟板金の交換 30~40年目:葺き替え 任意:塗装(美観のため) |
主要メーカー・製品 |
アイジー工業「スーパーガルテクト)」 ニチハ「横暖ルーフS」 日鉄住金鋼板株式会社「SGL(スーパーガルバリウム)」 |
ガルバリウム鋼板とは?
ガルバリウム鋼板は、トタンに次ぐ金属屋根材として登場した素材です。
トタンの弱点であった錆びやすさが大きく解消されており、20年~30年以上の長期にわたって高い防水性を発揮できる優秀な金属屋根材です。
価格・耐用年数・性能などを見ても、現行の屋根材のなかでも総合力の高いことから人気上昇中の素材です。
ガルバリウム鋼板屋根のメリット
- 耐用年数が長め
- 防水性・防火性が高い
- 軽量。耐震性にも優れる
- 緩い勾配でも施工可能
ガルバリウム鋼板は、金属であるため水分に強く、軽くて長持ちなのが特徴です。値段もさほど高くありません。
その軽量さから、屋根のカバー工法(重ね葺き)用の屋根材として多く使われています。
ガルバリウム鋼板屋根のデメリット
- 断熱性が低い。断熱材の使用が前提
- キズやへこみに弱い
- 遮音性が低い。雨音が響きやすい
- 現場加工には職人の熟練を要する
ガルバリウム鋼板は薄い金属板金であるため、遮音性・断熱性が低く、キズやへこみに弱いことがデメリットです。
このうち、遮音性・断熱性については、ガルバリウム鋼板に断熱材を張りつける方法や、建物の屋根・天井に断熱遮音材を使用することで対策されます。
キズやへこみについては、対策をしながら住み続ける必要があるでしょう。
小さな子どものボール遊びや、物を移動させる際の接触には常に注意する必要があります。
また、現場で板金加工しながら柔軟に施工するためには、屋根工事業者の熟練が必要になります。
多くの場合、地域の板金業者が施工することになりでしょう。
▼「ガルバリウム鋼板」について詳しく知りたい方はコチラ
▼「ガルバリウム鋼板の屋根」について詳しく知りたい方はコチラ
第2位:アスファルトシングル屋根

主原料 | アスファルト、ガラス繊維、砂粒、顔料 |
---|---|
材工価格 | 3,500円~12,000円/㎡ |
耐用年数 | 20年~30年 |
メンテナンス目安 |
5年おき:剥がれの点検・補修 10年~15年:棟の交換 30年目:葺き替え 任意:塗装(美観のため) |
主要メーカー・製品 |
オーウェンスコーニング(アメリカ)「オークリッジスーパー」 ニチハ「アルマ」 テゴラ(イタリア)「シングルラインマスター」 |
アスファルトシングルとは?
アスファルトシングルとは、アスファルトでコーティングされたシート状の屋根材です。
アメリカやカナダでは80%以上の普及率があるメジャーな屋根材です。
一方、日本では2007年の建築基準法の改正により、ようやく一般の住宅やマンションで使用されるようになりました。
アスファルトシングル屋根のメリット
- 防水性が非常に高い
- 防音性が高い
- 複雑な形状の屋根にも施工可能
- 重量が軽め
他の屋根材と比べた最大のメリットは、シートを接着剤で貼り付けて使うため継ぎ目や釘穴がなく、防水性が非常に高いことです。
価格も比較的安価です。
また、雨音がほとんどせず遮音性が高いこと、金属屋根に次いで軽量で建物に負担をかけないこともメリットです。
アスファルトシングル屋根のデメリット
- 強風で剥がれることがある
- 濡れると乾きにくい。コケや藻に弱い
- 国内普及率が低い。まだ対応業者が少ない
アスファルトシングルの主なデメリットは、「強風に弱い」「水はけが悪い」ことの2つです。
シート状の素材であるため、台風後には部分的にめくれたり剥がれたりしている場合があり、5年ごとを目安に定期チェックが必要になります。
また、表面がデコボコした砂状であることから水はけが悪く、水分の定着によるコケや藻の発生に悩まされる場合があります。
▼「アスファルトシングル」についてもっと詳しく知りたい方はコチラ
第3位:陶器瓦(日本瓦)
主原料 | 粘土、釉薬 |
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材工価格 | 9,000円~16,000円/㎡ |
耐用年数 | 50年以上 |
メンテナンス目安 |
15年目:棟の取り直し 30~40年目:葺き直し |
主要メーカー・製品 |
近畿セラミックス「スーパーセラブライト」 栄四郎瓦「カパラス」 東洋瓦「Earthシリーズ」 |
陶器瓦とは?
陶器瓦とは、粘土を高温で焼成して作った、日本の伝統的な屋根材です。
「釉薬(ゆうやく)瓦」「日本瓦」と呼ばれることもあります。
陶器瓦屋根のメリット
- 耐用年数が非常に高い
- 再塗装が不要
- 遮音性・断熱性が高い
- 一度取り外しても再利用が可能
陶器瓦の特徴は、なんといっても50年以上と言われる長い耐用年数です。
京都・奈良の古い寺院の屋根瓦がまだ残っていることからも分かる通り、百年以上の寿命を発揮することもあります。
寿命が長いおかげで、陶器瓦はスレートやガルバリウムなどは違い、屋根から取り外しても再利用ができます(破損がある瓦を除く)。
このため、リフォームのたびに屋根材を買い換える必要がありません。
陶器瓦には塗装がいらないこともあって、維持・メンテナンスの手間や費用が少ない、非常に経済的な屋根材なのです。
ほかにも、遮音性、断熱性、透湿性にも優れ、性能面ではこれといった弱点がない屋根材です。
陶器瓦屋根のデメリット
- 価格が高め
- 重量が大きい。建物に強度が求められる
- 葺き替えの選択肢にしづらい
- 施工できる職人が減少中
陶器瓦の最大のデメリットは、高重量なため、重さに耐えられる設計の建物でないと施工ができないことです。
陶器瓦の重さは、スレートの約3倍、ガルバリウム鋼板の約10倍あります。
そのため、新築時点から陶器瓦を想定して設計した家でないと使いづらい屋根材です。
「スレートやガルバリウムから、陶器瓦に変えたい」と思っても、使用できない場合が多く、リフォームの選択肢にはなりにくいでしょう。
また、施工価格が高く、扱える職人も年々減ってきているのもデメリットです。
陶器瓦は、予算に余裕のある人向けの高級素材と言っていいでしょう。
▼「陶器瓦の種類や特徴」について詳しく知りたい方はコチラ
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第4位:ジンカリウム鋼板
主原料 | 天然石粒、アルミニウム、亜鉛、シリコン |
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材工価格 | 8,000円~14,000円/㎡ |
耐用年数 | 30年~40年 |
メンテナンス目安 |
5~10年おき:業者点検 15年目:棟板金の交換 30~40年目:葺き替え |
主要メーカー・製品 |
ディーズルーフィング(アメリカ)「ディプロマット」 LIXIL「Tルーフシリーズ」 メトロタイル(フランス)「メトロスレート」 |
ジンカリウム鋼板とは?
ジンカリウム鋼板は、ガルバリウム鋼板と同じ金属屋根材です。
「石粒付きガルバリウム鋼板」とも呼ばれています。
ガルバリウム鋼板との違いは、表面が砂状の自然石でコーティングされていることです。
このコーティングにより、ガルバリウム鋼板の弱点であった遮音性・断熱性の低さが解消されているのが特徴です。
また外見的にも、ヨーロッパの歴史ある街並みのような屋根デザインになっています。
ジンカリウム鋼板屋根のメリット
- 耐用年数が長め
- 防音性、断熱性が高い
- 耐火性が高い
- 再塗装がいらない
ジンカリウム鋼板材の代表的メーカー・メトロタイル社は、ジンカリウム鋼板屋根について「天然石を使用しているため、紫外線やサビに強くメンテナンスフリー」であると謳っています。
同社のシリーズ製品は、「製品保証30年・美観保証10年」がついており、これほどを保証期間が長い屋根材は、なかなかありません。
材質としての耐久性の高さのあらわれと考えてよいでしょう。
ジンカリウム鋼板のデメリット
- 石粒のないガルバリウム鋼板よりは重い
- 石粒が剥がれ落ちてくる
- 価格が高め
- 施工に慣れた業者が少ない
ジンカリウム鋼板のメリットにある「断熱性の高さ」は、中価格帯(9,000円~)以上の多くのガルバリウム鋼板でもすでに実現されています。
その方法とは、断熱材をガルバリウム鋼板の内側に張り合わせることです。
断熱性の高い金属屋根を使いたい場合、石粒つきのジンカリウム鋼板だけが選択肢ではないことを覚えておいてください。
ほかにも、ガルバリウム鋼板と比較して「価格が高めである」「年月が経つうちに、砂粒が屋根から落ちれくる」「ガルバリウム鋼板の強みである軽さが失われている」といったデメリットがあります。
第4位(同率):スレート屋根

主原料 | セメント、繊維素材 |
---|---|
材工価格 | 4,000円~8,000円/㎡ |
耐用年数 | 25年~30年 |
メンテナンス目安 |
5年おき:点検・ヒビの補修 15年目:棟板金の交換 30~40年目:葺き替え 任意:塗装(美観のため) |
主要メーカー・製品 | ケイミュー「カラーベスト」 大和スレート「ファイバーコルゲート」 |
スレートとは?
スレートとは、セメントを薄い板に加工した屋根材です。
別名「コロニアル」「カラーベスト」と呼ばれることもあります。
1枚あたりタタミ1畳ほどの大きさで、釘や接着剤で固定されて使われます。
スレート屋根は現在の我が国の新築住宅で最も多い屋根材です。
色やデザインが豊富で安価であることに加え、「多くの家がスレートだから」という理由で採用されるケースが多いと思われます。
スレート屋根のメリット
- 価格が安い
- 色やデザインが豊富
- 防火性に優れている
- 対応できる業者が多い
スレート屋根の最大のメリットは、価格が安いことです。
スレート屋根を選ぶことによって、葺き替えリフォームの費用を最大限におさえることができます。
スレート屋根のデメリット
- こまめなメンテナンスが必要
- 気候や人の重さで割れやすい
- 凍害に弱い。寒冷地には不適
- 濡れると乾きにくい。コケや藻が生えやすい
スレート屋根は、薄いセメント板であるため強度が弱く、5~10年もするとクラック(ひび割れ)が生じたり、塗装が退色したりします。
美観を維持するためには、10年~15年程度をめどに再塗装が必要となり、他の屋根材と比べるとお手入れが必要になる屋根材です。
2005年以前に販売されたスレート屋根材には若干のアスベストが混入されているものがあります。一般的には、製造年月日が古いほどアスベストの混合比率が高くなっていると言われており、2004年以前に設置したスレート屋根の葺き替え工事をする場合、注意が必要となります。なお、現在販売されているスレート屋根材にはアスベストは使用されていません。
スレート屋根のより詳しい特徴については以下の記事で解説しています。
第6位:陶板屋根
主原料 | 粘土、釉薬 |
---|---|
材工価格 | 16,000円~/㎡ |
耐用年数 | 50年以上 |
メンテナンス目安 |
15年目:棟の取り直し 30~40年目:葺き直し |
主要メーカー・製品 |
鶴弥「スーパートライ美軽(みがる)」(中空陶板瓦) 三州野安株式会社「セラマウント」(軽量瓦) |
陶板とは?
陶板屋根材とは、陶器瓦の耐久性を保ったまま、軽量化を実現した屋根材です。
耐震・耐荷重の理由で陶器瓦が選べない住宅でも、陶器瓦と同様の性能・見た目を得ることができます。
陶板屋根のメリット
- 陶器瓦に比べて軽い
- 塗装が不要
- 耐用年数が非常に長い
陶器瓦と似たような特徴をもちますが、陶板のほうが重量が軽いことがメリットです。
陶器瓦の重さが1㎡あたり約50kgであるのに比べて、軽量化対策がされた陶坂屋根は約24kg/㎡(鶴弥「スーパートライ美軽」の場合)と、約半分となっています。
メンテナンス面でも、陶器瓦と同様、色落ちせず再塗装が不要なのがメリットです。
陶板屋根のデメリット
- 陶器瓦より価格が高い
- スレートや金属系に比べると重い
陶板屋根のデメリットは、主に価格面です。
陶板屋根の施工価格は、陶器瓦と同じか、それより高くなることがほとんどです。
もともと陶器瓦が選べる建物で、あえて陶板瓦を選ぶ理由は無いでしょう。
「塗装メンテナンス不要の屋根の家に住みたいが、屋根材は少しでも軽いほうがいい」と希望する人向けの製品です。
第7位:銅板屋根
主原料 | 銅 |
---|---|
材工価格 | 25,000円~/㎡ |
耐用年数 | 60年以上 |
メンテナンス目安 | 10年おきの点検・適宜補修 |
主要メーカー・製品 | ― |
銅版とは?
銅版は、古い日本家屋や寺社仏閣などで用いられてきた伝統的な屋根材です。
屋根として葺いたばかりの時は新品の10円玉に近い赤茶色をしていますが、使い込むにつれて緑青(ろくしょう、銅により生成される錆び)が生じ、渋い緑色になります。
銅板屋根のメリット
- 耐用年数が非常に長い
- 塗装が不要
- 錆びても問題なく使い続けられる
- 軽量。耐震性が高い
前項の緑青が生じた銅版屋根は耐久性が増し、そのまま60年以上はもつと言われています。
この非常に長い耐用年数に加えて、経年劣化によるメンテナンスもほとんど必要ないのが魅力です。
金属屋根材に共通の、軽さと耐震性の高さも備えています。
銅板屋根のデメリット
- 価格が非常に高い
- 施工業者が非常に少ない
銅板の最大のデメリットは、価格が非常に高いことです。
現在の施工価格は、陶器瓦(日本瓦)の2~3倍以上(25,000円/㎡以上)が目安となります。
一般住宅の屋根材としては需要がほとんどなくなってから久しく、施工可能な業者も減っています。
そのため、対応可能な業者を探すのにも苦労するでしょう。
予算やスケジュールに大きな余裕があり、日本古来のエッセンスを取り入れた家にどうしても住みたい、という方向けの屋根材と言えます。
第8位:セメント瓦

主原料 | セメント、砂 |
---|---|
材工価格 | 6,000円~8,000円/㎡ |
耐用年数 | 30~40年 |
メンテナンス目安 |
5~10年おき:割れのチェック 15年目:棟の取り直し 30~40年目:葺き替え 任意:塗装(美観のため) |
主要メーカー・製品 |
ケイミュー「ROOGA(ルーガ)」 井桁スレート「アメリカン瓦」 モニエル「センチュリオン」「ホームステッド」「NEWシャブレ」(すべて廃盤) |
セメント瓦とは?
セメント瓦(別称:モニエル瓦、コンクリート瓦、プレスセメント瓦)とは、セメントと砂を原料とした屋根材です。
20年ほど前までは主流な屋根材でしたが、現在では新しく使用されることはほぼありません。
セメント瓦屋根のメリット
- 安価に瓦屋根にできる
- 遮音性・断熱性が高い
かつては、住宅の屋根材が「陶器瓦」「セメント瓦」「トタン」のほぼ3択だった時代、セメント瓦は価格・性能的にもっとも平均的な選択肢でした。
陶器瓦よりも安く、見栄えは同等の重厚さがあり、トタンよりも断熱性・遮音性が高かったからです。
しかし、スレートやガルバリウムなどの優れた屋根材が登場し、新しい屋根材にセメント瓦が選ばれることは少なくなっています。
セメント瓦屋根のデメリット
- 現在ではあえて選ぶ理由がない
- 陶器瓦とは違い、塗装がいる
- スレートよりも重い
- コケ、藻が生えやすい
セメント瓦は陶器瓦とは違い、風雨で侵食が起こりやすいため、ひび割れの点検やメンテナンスが必要です。
経年で色褪せも起こるため、見栄えを維持しようとすると塗装の必要になります。
また、水分を含みやすいため、コケや藻も生えやすい屋根材です。
総合すると、セメント瓦は見た目と重さは粘土瓦に近く、原料や必要なメンテナンスはスレートに近い屋根材と言えます。
価格は、粘土とスレートのちょうど中間あたりです。
セメント瓦とスレートは、どちらもセメントを主原料としていますが、両者の違いは「厚み」です。一般に、1cm以上ならセメント瓦(もしくは厚型スレート)、1cm未満ならスレートと呼ばれて区別されることが多いようです。
第9位:陸屋根

主原料 | ウレタン、FRP、樹脂シートなど |
---|---|
材工価格 | FRP防水:4,000円~7,500円/㎡ |
ウレタン防水:3,000円~7,000円/㎡ | |
シート防水:2,500円~7,500円/㎡ | |
耐用年数 | 12~20年 |
メンテナンス目安 |
10年目:塗り替え(ウレタン防水) 12年目:張り替え(シート防水、FRP防水) |
主要メーカー・製品 | 日本特殊塗料「タフシール」(FRP防水材) |
陸屋根とは?
陸屋根とは、人が立ち入ることのできる、傾斜のない平らな屋根です。
正確には屋根材ではなく、防水工事を施した建物の屋上部分のことです。
防水工事には、「FRP防水」「ウレタン防水」「シート防水」などの種類があり、それぞれ寿命や維持費用、メンテナンス間隔が異なります。
陸屋根のメリット
- スペースを物干し場などに活用できる
- メンテナンスがしやすい、安く済む
- 最上階の部屋が広くなる
陸屋根の特徴は、なんといっても人が立ち入ることが可能なことです。
屋根のスペースを、物干し場や家庭菜園、バーベキューなどに活用することができます。
また、元々人が立ち入れるのでメンテナンス時に足場が要らず、20万円前後の費用を節約できるメリットもあります。
陸屋根のデメリット
- 水が溜まりやすい
- メンテナンス頻度が高い
- リフォームで変えることは難しい
陸屋根は勾配がなく水が流れにくいため、水はけが悪いことがデメリットです。
雨漏りを防ぐためには、床面の防水コーティングのメンテナンスが欠かせないでしょう。
メンテナンスが必要な頻度も、屋根種類のなかでは高めです。
そもそも、陸屋根でない建物を陸屋根の家にするには、大規模な改築が必要になります。
現実的に、リフォームの選択肢とはなりにくいでしょう。
▼「陸屋根防水の種類」についてもっと詳しく知りたい方はコチラ
第10位:トタン屋根

主原料 | 鉄、亜鉛(めっき) |
---|---|
材工価格 | 5,000円~6,000円/㎡ |
耐用年数 | 15~20年 |
メンテナンス目安 |
5年おき:錆び・穴の点検補修 10年目:棟の交換 20年目:葺き替え 任意:塗装(美観のため) |
主要メーカー・製品 | 久宝金属製作所「平板トタン」(DIY用) |
トタンとは?
トタン(板)は、鉄の表面に亜鉛めっきを施した屋根材です。
亜鉛めっきにより、鋼板(鉄)本体が錆びにくく長持ちすると、30年以上前までは大変人気のあった金属屋根材でした。
トタン屋根のメリット
- 軽い
- 価格が安め
- DIYで扱いやすい
トタンは、価格も安く、耐水性があり、素人でも扱えるほど軽く加工もしやすいため、業者による施工ばかりでなく、DIYも盛んでした。
トタン屋根のデメリット
- 現在ではあえて選ぶ理由がない
- 遮熱性・遮音性が低い
- ガルバリウム鋼板に比べて、錆びやすい
トタンは、薄い金属板であるため、屋根裏や屋内の寒暖差が大きく、雨音が響くデメリットがあります。
また、より錆びにくく価格もさほど変わらない「ガルバリウム鋼板」が登場したことにより、現在ではあえて選ぶ必要がない素材となってしまいました。
▼「トタン屋根」についてもっと詳しく知りたい方はコチラ
💬屋根材の正しい選び方がわからない…
屋根材を変える前の注意
勾配によっては選択肢が限られることも
屋根材ごとに、最低限必要な勾配は変わります。
そのため、屋根を新しい屋根材にリフォームする場合、現在の屋根勾配(傾きの度合い)が、新しい屋根材で対応可能かどうかを確認ししてください。
屋根材のうち、最低限必要な勾配がもっとも小さく、平坦に近い屋根でも施工可能なのは金属製の屋根材です。
屋根材 | 最低必要な勾配の目安 |
---|---|
スレート屋根 | 4寸以上 |
アスファルトシングル | 3.5寸以上 |
瓦 | 3寸以上 |
ガルバリウム・ジンカリウム鋼板 | 2寸以上 |
屋根のリフォーム方法と費用
屋根材を変更するリフォーム方法には、「葺き替え」と「カバー工法」の2つがあります。
それぞれの施工内容と費用の違いは、以下のとおりです。
工事方法 | 工事内容 | 工事費用 | 工期 |
---|---|---|---|
葺き替え | 瓦と下地板をすべて交換 | 約140~200万円 | 7~15日 |
カバー工法 | 古い屋根を新しい下地と屋根で覆う | 約80~120万円 | 5~10日 |
>> 「屋根のカバー工法」について詳しく知りたい方はこちら
大手ではなく、地元の業者に依頼する
ハウスメーカーなどの大手リフォーム業者よりも、地域密着型の屋根工事店に依頼をしたほうが費用は安くなります。
工事の質も変わりません。
安くなる理由は、地元業者に直接依頼することで、中間マージンをなくせるからです。

大手業者は、地元の名もない下請け業者に大手を依頼し、大手金額に上乗せした50万円~150万円程度の手数料を工事費用にのせています。
そのため、同じ工事内容でも金額が割高となるのです。
以上、屋根材の性能やコストをもとにした比較ランキングと、屋根材を別のものに変える前の諸注意を解説しました。
本記事がお役に立てば幸いです。
メトロタイル社:メトロタイルの屋根がストロングな3つの理由
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最もくわしい屋根・小部屋の図鑑 株式会社エクスナレッジ
▼専門家(ヒアリング)
株式会社POD 代表 長谷川佳広 氏