お家に使う屋根材選びで迷ってはいませんか?
本記事は、代表的な屋根材のメリット・デメリット・価格やメンテナンスの違い、おすすめ製品についてまとめました。
どの屋根材が一番自分の希望に合うのか、調査のためにお役立ていただければ幸いです。
「屋根工事の種類」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「屋根工事は8種類!工事内容、費用相場、日数、業者選び…全て解説します」
屋根材10種類の比較表
住宅に用いる10種類の主要屋根材の「メリット・デメリット」「価格」などを一覧化すると以下のようになります。
屋根材 | 特徴 | 価格 | 耐用年数 | 軽さ | 耐風性 | 遮音性 | 断熱性 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
![]() スレート |
|
4,000円~8,000円/㎡ | 25年~30年 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
![]() ガルバリウム鋼板 |
|
6,000円~12,000円/㎡ | 30年~40年 | ◎ | ◯ | △~◯ | △~◯ |
![]() ジンカリウム鋼板 |
|
8,000円~14,000円/㎡ | 30年~40年 | ◯ | ◯ | ◎ | ◯ |
![]() アスファルトシングル |
|
3,500円~12,000円/㎡ | 20年~30年 | ◯ | △ | ◎ | ◯ |
![]() 陶器瓦 |
|
9,000円~16,000円/㎡ | 50年以上 | × | ◎ | ◎ | ◎ |
![]() 陶板 |
|
16,000円~/㎡ | 50年以上 | △ | ◯ | ◎ | ◎ |
![]() トタン |
|
5,000円~6,000円/㎡ | 10~20年 | ◎ | △ | × | × |
![]() セメント瓦 |
|
6,000円~8,000円/㎡ | 30年 | △ | ◯ | ◯ | ◯ |
![]() 陸屋根 |
|
8,400円~/㎡ | 12~20年以上 | - | ◯ | ◯ | △ |
![]() 銅板 |
|
25,000円~/㎡ | 60年以上 | ◎ | ◯ | △ | △ |
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屋根材ごとの特徴・価格・耐用年数
住宅に用いられる10種類の屋根材について、もう少し詳しく見ていきましょう。
屋根材① スレート
スレートとは、セメントと繊維素材を薄い板に加工した屋根材です。
メーカーや業者によっては「コロニアル」や「カラーベスト」という別名を使うこともあります。
スレートのメリットは、以下の3つです。
- 価格が安い
- 色やデザインが豊富
- 対応できる業者が多い
反対に、デメリットは以下の3つです。
- こまめなメンテナンスが必要
- 気候や人の重さで割れやすい
- 乾きにくくコケや藻が生えやすい
施工費用は、1㎡あたり4,000円~8,000円と、屋根材の中では安価です。
スレート屋根の耐用年数は25~30年、長くても40年弱でしょう。
スレート屋根にカビやコケの発生、退色、割れ、棟の釘の緩みなどが見られたらメンテナンスが必要です。
雨漏りなどの心配なく済み続けるには、5年おきにひびのチェック・補修を行うのが安心です。
「スレート屋根」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「スレート屋根とは? 特徴・修理方法・メンテナンス周期・費用を全解説」
屋根材② ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板とは、表面にアルミニウム・亜鉛・シリコンでメッキを施した薄い鉄板です。
同じ金属系のトタンの弱点だった“錆びやすさ”が大きく解消されており、現在リフォーム工事ではもっとも人気の屋根材です。
ガルバリウム鋼板のメリットは、以下の4つです。
- 耐用年数が長め
- 防水性・防火性が高い
- 軽量で耐震性が高い
- 勾配の少ない屋根にも対応
反対に、デメリットは以下の2つです。
- 断熱性・遮音性が低い
- キズやへこみに弱い
施工費用は、1㎡あたり6,000円~12,000円です。
ガルバリウム鋼板屋根の耐用年数は30~40年です。
ガルバリウム鋼板にサビ、穴あき、棟の釘のゆるみなどが見られたらメンテナンスが必要です。
「ガルバリウム鋼板屋根」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「ガルバリウム屋根のメリット・デメリット。他の屋根材と徹底比較!」
屋根材③ ジンカリウム鋼板
ジンカリウム鋼板は表面を砂粒でコーティングした金属板です。
このコーティングにより、ガルバリウム鋼板の弱点だった遮音性・断熱性の低さが解消されています。
ジンカリウム鋼板のメリットは、以下の3つです。
- 遮音性、断熱性が高い
- 再塗装がいらない
- サビや紫外線に強い
反対に、デメリットは以下の3つです。
- ガルバリウム鋼板よりは重い
- 石粒が剥がれ落ちてくる
- 価格が高め
施工費用は、1㎡あたり8,000円~14,000円です。
ジンカリウム鋼板屋根の耐用年数は30年~40年です。
ジンカリウム鋼板屋根に、石粒の剥げ、浮き、棟の釘のゆるみなどが見られたらメンテナンスが必要です。
屋根材④ アスファルトシングル
アスファルトシングルとは、アスファルトで表面をコーティングされたシート状の屋根材です。
アメリカ等では多く使われていますが、日本ではここ10年間で普及した比較的新しい素材です。
アスファルトシングルのメリットは、以下の3つです。
- 防水性・防音性が高い
- 価格が安め
- 重量が軽め
反対に、デメリットは以下の3つです。
- 強風で剥がれることがある
- 乾きにくくコケや藻が生えやすい
- 施工できる業者がまだ少ない
施工費用は、1㎡あたり3,500円~12,000円です。
アスファルトシングル屋根の耐用年数は20年~30年です。
アスファルトシングルに剥がれ、浮き、藻やコケなどが見られた場合はメンテナンスが必要です。
「アスファルトシングル」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「アスファルトシングルとはどんな屋根?特徴・費用・メンテナンス方法」
屋根材⑤ 陶器瓦
陶器瓦とは、粘土を高温で焼成して作った日本の伝統的屋根材です。
「釉薬(ゆうやく)瓦」「日本瓦」「和瓦」などと呼ばれることもあります。
陶器瓦のメリットは、以下の3つです。
- 耐用年数が非常に高い
- 再塗装が不要
- 再利用が可能
反対に、デメリットは以下の3つです。
- 重い。建物に高い強度が必要
- 他の屋根から変えづらい
- 施工費用が高い
施工費用は、1㎡あたり9,000円~16,000円です。
陶器瓦の耐用年数は50年以上ですが、破損がない限り繰り返し使うことが可能です。
陶器瓦の屋根に瓦のずれ、破損、棟の崩れが見られた場合は、メンテナンスの時期がきています。
「陶器瓦」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「うちの屋根瓦の種類と特徴・外見・価格を徹底比較」
>>「瓦屋根の修理方法は4種類! 工事の選び方、費用、業者の決め方は?」
屋根材⑥ 陶板
屋根材としての陶板とは、陶器瓦(釉薬瓦・陶器瓦)と同様の素材を軽量化した素材です。
建物の耐荷重の理由で重い陶器瓦が選べない場合でも使うことができます。
陶板のメリットは、以下の3つです。
- 陶器瓦より軽い
- 再塗装が不要
- 耐用年数が非常に長い
反対に、デメリットは以下の2つです。
- 陶器瓦より価格が高い
- スレートや金属系に比べると重い
施工費用は、1㎡あたり16,000円~/㎡です。
陶板屋根の耐用年数は50年以上です。
陶板屋根に瓦のずれ、破損、棟の崩れなどが見られた場合は、メンテナンスの時期が来ています。
⑦トタン屋根
トタンとは、表面に亜鉛めっきを施した鉄板です。
以前は主流な屋根材のひとつでしたが、現在はより錆びにくい「ガルバリウム鋼板」が登場したため、あまり出番はないでしょう。
トタンのメリットは、以下の3つです。
- 施工費用が安い
- 軽量で耐震性が高い
- DIYでも扱いやすい
反対に、デメリットは以下の4つです。
- 耐用年数が最短クラス
- サビが発生しやすい
- 断熱性が低い
- 遮音性が低い
施工費用は、1㎡あたり5,000円~6,000円/㎡です。
トタン屋根の耐用年数は10~20年です。
トタン屋根にサビ、穴あき、棟の釘のゆるみなどが見られたらメンテナンスが必要です。
「トタン屋根」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「トタン屋根とは? 古くなったトタン屋根、いつ修理すべき?」
>>「トタン屋根の修理費用まとめ。症状別・工事別の金額をズバリ掲載」
⑧セメント瓦
セメント瓦(別称:モニエル瓦、コンクリート瓦、プレスセメント瓦)とは、セメントと砂を瓦状に固めた屋根材です。
20~30年ほど前までは主流な屋根材でしたが、より軽くて安いスレートが登場したため、今あえて使う必要はないでしょう
セメント瓦のメリットは、以下の3つです。
- 陶器瓦より費用が安い
- 断熱性が低い
- 遮音性が低い
反対に、デメリットは以下の4つです。
- 陶器瓦よりも耐用年数が短い
- ほぼ生産終了
- 経年で塗装が必要
- 高重量なため耐震性が低下
施工費用は、1㎡あたり6,000円~8,000円/㎡です。
セメント瓦の屋根の耐用年数は30年です。
セメント瓦にコケ、退色、塗膜の剥がれ、ズレ・脱落などが見られたらメンテナンスが必要です。
「セメント瓦」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「セメント瓦とは?アスベストを含むって本当?見分け方とメンテナンス方法を解説」
>>「アスベスト入りのセメント瓦はリフォームがおすすめ!3つのリフォーム方法」
⑨陸屋根
陸屋根(りくやね、ろくやね)とは、人が立ち入ることのできる、傾斜のない平らな屋根です。
全面改築する場合をのぞいてもとから陸屋根ではない家を陸屋根にはできないため、選択肢からは外してよいでしょう。
陸屋根のメリットは、以下の3つです。
- 屋根のスペースを活用できる
- 屋根メンテナンスが簡単・安価
- 居室空間が広くなる
反対に、デメリットは以下の3つです。
- 水はけが悪い
- メンテナンス頻度が多い
- 2階が暑くなりやすい
施工費用は「ウレタン」「FRP」「シート」など防水工法によって異なり、1㎡あたり8,400~1万3,000円が目安です。
陸屋根の耐用年数は12~20年です。
陸屋根に床面のコケ、剥がれ・破れ・ふくれなどが見られたらメンテナンスが必要です。
「陸屋根」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「陸屋根とはどんな屋根?メリット・デメリットや工事方法を解説」
>>「陸屋根の防水工事4種を徹底比較! オススメは『塩ビシート防水』」
⑩銅板屋根
銅版は、古い日本家屋や寺社仏閣などで用いられてきた伝統的な屋根材です。
メンテナンスいらずで長耐用なこと、年月を経てで味がでることが魅力ですが、価格が非常に高いこと、対応業者が非常に少ないことから、候補としてあまり現実的ではないでしょう。
銅板のメリットは、以下の5つです。
- 耐用年数が最長クラス
- サビても悪影響がない
- 塗装が不要
- 軽量で耐震性が高い
- 古くなると味が出る
反対に、デメリットは以下の2つです。
- 施工費用が非常に高い
- 対応業者がほぼいない
施工費用は、1㎡あたり25,000円~/㎡です。
銅板屋根の耐用年数は60年以上です。
銅板屋根に穴あき、ズレや浮きなどが見られたらメンテナンスが必要です。
屋根材のおすすめ人気製品23選
ここまでで、ご自宅に使う屋根材の候補は絞れてきましたでしょうか?
本章では屋根材の種類別に定番商品やオススメ製品を紹介します。
製品を決める前に、屋根材のジャンルと特徴を知りたい場合は先に素材の種類と特徴・比較の解説をご覧ください。
本章は気になる屋根材が固まってきたあと、商品を検討する際にお役立てください。
- 表内の各写真や製品名を押すと、メーカーの製品公式ページにジャンプします。
スレート
スレート屋根材は「ケイミュー」製のものが最大のシェアを獲得しており、スレート屋根にしたいと思った場合は、ほぼケイミューの製品から選ぶこととなります。
製品には、デザインがシンプルで価格も安い「コロニアルクアッド」、表面の凹凸と光沢が加わり高級感が増した「コロニアルグラッサ」、個性的な色・デザインをそろえる「グランネクスト」シリーズなどがあります。
スレートのなかで最定番の製品は「コロニアルグラッサ」です。
ガルバリウム鋼板
カバー工法を選択する場合は、屋根材の最有力候補となるガルバリウム鋼板。トップメーカーは「アイジー工業」です。
同社の「スーパーガルテクト」シリーズは、平均少し高価なものの、高い断熱性・豊富な実績・最大25年間の長い保証年数などから人気を得ています。
他には、スーパーガルテクトと同等の保証年数を実現した「横暖ルーフS」(ニチハ)や、サビにつよくリーズナブルな「スマートメタル」(ケイミュー)などが定番です。
ジンカリウム鋼板
ジンカリウム鋼板(石粒付きガルバリウム鋼板)はほぼ海外で製造されており、日本で入手する場合は国内代理店を通した輸入品を使うことになります。
ジンカリウム鋼板屋根を希望した場合、取り扱い業者の多さから、「ディプロマットスター」か「エコグラーニ」のどちらかを使うことになることがほとんどでしょう(ともに米国ディーズルーフィング製)。
製品名 | 価格 | メーカー |
---|---|---|
![]() ディプロマットスター |
9,000円/㎡~ | ディーズルーフィング |
![]() エコグラーニ |
9,000円/㎡~ | ディーズルーフィング |
国内メーカーでは、「レコルーフ(鶴弥・12,500円/㎡~)」という製品もよく使われます。
アスファルトシングル
アスファルトシングルも、日本では欧米からの輸入品が多く使われています。
製品は「オークリッジスーパー」か「リッジウェイ」のどちらかを指定されることが多いでしょう。
他には、国内の大手外装材メーカー、ニチハのアスファルトシングル「アルマ」も流通しています。
製品名 | 価格 | メーカー |
---|---|---|
![]() オークリッジスーパー |
8,000円/㎡~ | オーウェンスコーニング |
![]() リッジウェイ |
5,800円/㎡~ | 旭ファイバーグラス |
![]() アルマ |
3,500円/㎡~ | ニチハ |
陶器瓦
費用が高いことが特徴の陶器瓦ですが、そのなかでも安い価格帯の製品が「スーパーセラブライト」です。
デザインが優れ、価格も比較的手頃な製品としては、いぶし銀の仕上がりが特徴の「カパラス」(栄四郎瓦)や、茶色~チャコールのアースカラーを揃える「S形防災瓦 Earthシリーズ」(東洋瓦)がおすすめです。
前者は伝統的な日本風の家屋、後者はアンティックな雰囲気の住宅によく合うでしょう。
製品名 | 価格 | メーカー |
---|---|---|
![]() カパラス |
8,600~12,300円/㎡ | 栄四郎瓦 |
![]() スーパーセラブライト |
8,000円~ | 近畿セラミックス |
![]() S形防災瓦 Earthシリーズ |
10,000円/㎡~ | 東洋瓦 |
陶板
軽量で災害に強い陶器屋根材を手掛ける株式会社鶴弥の「スーパートライ美軽(みがる)」が、陶板屋根としてはメジャーです。
製品名 | 価格 | メーカー |
---|---|---|
![]() スーパートライ美軽 |
16,000円/㎡~ | 鶴弥 |
トタン
トタン屋根の工事は、原料の亜鉛鉄板やカラー鋼板を、屋根施工業者が現場で加工しながら葺いていくものです。
そのためこれといった定番製品を決めるのは難しいジャンルです。
トタン屋根を希望する場合は、製品を指定するのではなく、色や波のデザインなどを業者と相談しながら工事を進めていきましょう。
製品名 | 価格 | メーカー |
---|---|---|
![]() ミツヤカラー丸波 |
― | 東鋼業 |
![]() カラー亜鉛鉄板(小波) |
― | 大阪鐵板 |
セメント瓦
セメント瓦には現在流通している製品はありません。
既存屋根のリフォーム・メンテナンスの対応がなされています。
陸屋根
陸屋根は、屋根材のジャンルではなく屋根の建築方法の一種です。
そのため、「陸屋根の屋根材」にあたるものはありません。
「陸屋根」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「陸屋根とはどんな屋根?メリット・デメリットや工事方法を解説」
銅板
以下はおもに寺社の屋根用に販売されている製品ですが、価格目安は一般公開されていません。
予算とスケジュール次第では一般住宅に葺いてもらう工事も可能と思われます。
製品名 | 価格 | メーカー |
---|---|---|
![]() 本ハゼ銅一文字 |
― | セキノ興産 |
![]() 本瓦棒元旦’84(銅板) |
― | 元旦ビューティー工業 |
ガルバリウム鋼板の項でも登場した「元旦ビューティー工業」の銅板は、東京・増上寺の大殿の屋根にも使用されているほど厚い信用を得ています。
まとめ:屋根材選びを、無料で専門家に相談する方法
住宅の屋根材といえば「瓦」か「トタン」だった時代と比べて、最近は屋根材の種類が本当に豊富になりました。
数ある素材の価格・寿命・特徴などを比べながら、家の未来のことも考えなければいけない屋根材選び…不安ですよね。
なかなか決められない方、選んだ屋根材にあとで後悔する方と多く接してきました。
そこで私達は、屋根材選びに悩んでいる方向けの無料の相談窓口
をご用意しました。
あなたに最適な屋根材選びのサポートから、工事の適正金額の診断、近隣の優良業者のご紹介までを、データからご回答。
相談にあたって料金は一切無料、工事を必ずしなければならないといった事もありませんので、お気軽にご利用いただければ幸いです。
みんなの建材倶楽部『使える!内外装材[活用]シート』エクスナレッジ 2011
建築知識『最もくわしい屋根・小部屋の図鑑』エクスナレッジ 2017
▼専門家(ヒアリング)
株式会社POD 代表 長谷川佳広 氏