外壁塗装の耐用年数は?塗料や外壁の耐用年数や塗装サインの劣化症状も解説

  • 【更新日】2023-03-07
外壁塗装の耐用年数は?塗料や外壁の耐用年数や塗装サインの劣化症状も解説

外壁塗装の耐用年数は一般的には10年と言われていますが、使用している塗料などで実際の耐用年数は変わります。
「いつまでに外壁塗装をすべきか」と考えている場合、ご自宅に合った適切なタイミングを知りましょう。
この記事では、耐用年数の観点から以下の点を中心に解説します。

  • 外壁塗装を塗り直すべき劣化症状
  • 塗料の耐用年数
外壁塗装はメンテナンス時期を見誤ると、建物ごと建て直すことが発生するかもしれません。
修繕費用を抑えるためにも、外壁塗料の耐用年数を把握しておきましょう。

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小林成光(コバヤシマサミツ)さんのプロフィール写真 監修者:外壁劣化診断士 小林 成光

600件以上の現地調査を実施する過程で得た専門性を生かし、日本発のネット見積もりシステムでビジネスモデル特許を取得。ヌリカエにて、外装工事の専門家として、顧客・加盟企業のサポート・コラムの監修に従事。 ▼略歴・プロフィール
「監修者|小林 成光(株式会社Speee)」

外壁塗装の耐用年数は10年が一般的

メンテナンスが必要ないという外壁はなく、いつかは必ず外壁塗装が必要になります。

外壁塗装のおおよその耐用年数は10年です。

耐用年数が過ぎた外壁では、外観が損なわれるだけではなく、雨漏りの危険性が非常に高まってしまいます。

雨漏りによって建物内部にまで浸水が及ぶと、外壁材自体にダメージがかかり、高額な修繕費用がかかってしまいます。

このため、耐用年数を迎えたころに外壁をメンテナンスすることが大切なのです。

ここからは、外壁塗装にはなぜ耐用年数があるのか、そもそも耐用年数とはどうやって決められているのか、解説をします。

外壁塗装が劣化する仕組み

外壁塗装に耐用年数があるもっとも大きな理由は、外壁は絶えず屋外の自然環境にさらされており、紫外線や雨風の影響を受けてしまうからです。

長期間太陽光や雨水を受ける塗膜は、劣化が進行するにつれて薄くなり、やがて、外壁を保護する機能を果たすことができなくなります。

外壁をコーティングする塗膜は永久保持することはないため、外壁塗装には耐用年数があるのです。

塗膜の耐用年数が過ぎると、外壁に直接ダメージが届くことになり、劣化症状が生じることになります。

外壁塗装の耐用年数はあくまで目安

外壁が劣化する原因は自然環境による影響が大きく、紫外線が当たりやすい箇所においてはどうしても劣化症状が出現しやすいです。

これら自然環境による影響をどれくらい受けるかによって耐用年数が変動し、さらに立地条件や気候条件は自宅によって様々であるため、精密に耐用年数を測定することは難しいのが実情です。

そうした理由から、塗料メーカーが行う促進対候性試験という実験環境をもとに算出された数値によって耐用年数は算出をされています。

冒頭でお伝えした10年という周期は、促進対候性試験をもとに算出された一般的な塗料の耐用年数です。

  • 外壁塗装の耐用年数、10年という数字はあくまで目安!自宅の周辺環境によって外壁塗装の耐用年数は変動することに注意をしましょう。

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塗料と外壁材の耐用年数

ここからは、塗料の耐用年数を紹介します。

塗料の耐用年数

耐用年数 塗料名
5年~7年 アクリル塗料
8年~10年 ウレタン塗料
7年~15年 シリコン塗料
12年~15年 ラジカル塗料
15年~20年 フッ素塗料
20年以上~ 無機塗料
※塗料名をタップすることで詳細へジャンプできます 塗料ごとに素材や成分の配合量が異なるため、塗料の種類によって耐用年数も異なります。

塗料の種類別に特徴や耐用年数をまとめましたので、ご自宅にどの塗料が使われているか確認しながら耐用年数を参考にしてみましょう。

アクリル塗料

耐用年数 5~7年
単価(1㎡あたり) 1200~1800円/㎡

アクリル塗料は、発色が良く重ね塗りが可能で、低価格であることが魅力になります。
しかし、汚れやすく耐久性に劣り、ひび割れ(クラック)が生じやすいです。
耐用年数が短いため、現在はほとんど使用されていません。

▼「アクリル塗料」について詳しく知りたい方はコチラ
アクリル塗料の特徴とは?他塗料と比較したメリットデメリット

ウレタン塗料

耐用年数 8~10年
単価(1㎡あたり) 1800~2200円/㎡

ウレタン塗料は密着性に優れ、価格・耐久性・施工性などのバランスが良い塗料です。
しかし、防汚性・紫外線への耐性は他の塗料に比べると劣ります。
アクリル塗料より長いものの、耐用年数は他の製品と比較すると短めです。

▼「ウレタン塗料」について詳しく知りたい方はコチラ
ウレタン塗装は何にするもの?塗料の特徴と塗装できるものを詳しく解説

シリコン塗料

耐用年数 7~15年
単価(1㎡あたり) 2500~3200円/㎡

シリコン塗料は艶のある仕上がりが特徴。耐久性とコストバランスを重視したい方向けの塗料です。
ただ、アクリル塗料やウレタン塗料に比べると費用が高いことがデメリットとなります。

ラジカル塗料

耐用年数 12~15年
単価(1㎡あたり) 2500~3000円/㎡

ラジカル塗料(正式名称はラジカル制御型塗料)は、防汚性・防藻性・防カビ性に優れ、耐候性が高い点がメリットです。
ただ、販売している塗料メーカーが限られているので、選べる種類が少なくなります。

▼「ラジカル塗料」について詳しく知りたい方はコチラ
ラジカル塗料ってなにがすごいの?メリット・デメリットを徹底解説!

フッ素塗料

耐用年数 15~20年
単価(1㎡あたり) 3500~4500円/㎡

フッ素塗料は防汚性・防寒性・耐熱性を有している高機能な塗料です。
しかし、塗膜がやや硬いためひび割れが起きやすい建物には向いていない場合があります。
耐用年数は比較的長めです。

無機塗料

耐用年数 20年以上~
単価(1㎡あたり) 4500~5500円/㎡

無機塗料はセラミックやケイ素などの無機物(炭素を含まないもの)を主成分としているため、紫外線や雨風などに晒されても劣化が起こりにくい性質を持ちます。
無機物の配合比率が高ければ耐久性が高くなりますが、柔軟性は有機塗料に比べて劣るためひび割れしやすいです。
耐用年数は、塗料の中でもトップクラスの長さを誇ります。

▼「無機塗料」について詳しく知りたい方はコチラ
無機塗料って?メリット・デメリットと価格、代表的な塗料名を解説!

外壁塗装の耐用年数は外壁材の種類によっても変わる

耐用年数 外壁材名
30年程度 モルタル壁
30年程度 窯業系サイディングボード
40年程度 金属系サイディングボード

外壁塗装の塗り直しを考える際には、塗料の耐用年数と共に外壁材の耐用年数にも注目してみてください。

外壁表面の塗装のメンテナンスをきちんとおこなっていても、外壁内部の基材が傷んだままでは元も子もありません。

外壁材も種類ごとに特徴と耐用年数を紹介しますので、塗装と併あわせて定期的にメンテナンスしましょう。

※外壁材名をタップすることで詳細へジャンプできます

モルタル壁

モルタル壁

メンテナンス周期 8~10年
耐用年数 30年程度

モルタル壁は、セメントと水を練り合わせたものをコテで塗り付けた壁です。
新築住宅の場合でのメンテナンス周期は、5~10年・再塗装した住宅では10~15年を見積もっておきましょう。

▼「モルタル壁」について詳しく知りたい方はコチラ
モルタル壁の基本知識 | 時期・劣化のサイン・補修方法とは?

窯業系サイディングボード

窯業系サイディングの外壁

メンテナンス周期 7~8年
耐用年数 30年程度

窯業系サイディングボードは、主にセメント質と繊維質を原料として板状に形成した外壁材です。
外壁材の中でもこまめにメンテナンスや塗装が必要な外壁材で、一般的な窯業系サイディングの商品であれば10年に一度はメンテナンスが必要です。

▼「窯業系サイディングボード」について詳しく知りたい方はコチラ
窯業系サイディングとは?メリットとデメリット、費用やデザインを比較!

金属系サイディングボード

金属系サイディングの外壁

メンテナンス周期 10~15年
耐用年数 40年程度

金属系サイディングボードは、柄付けされた金属板と断熱効果のある発泡樹脂の裏打ち材によって構成された外壁材です。
外壁材によくあるひび割れや水の染み込みなどの劣化症状の心配がなく、メンテナンス周期は10~15年と比較的長めです。

▼「金属系サイディングボード」について詳しく知りたい方はコチラ
金属サイディングとは?種類、メリット・デメリットと代表商品を解説

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外壁塗装の耐用年数を過ぎたときの劣化症状

では実際に、何を基準に耐用年数が過ぎているかを判断すれば良いのでしょうか。
外装塗装の劣化症状を、重症度が高い順に6つ紹介。もしこの症状が生じていたら、塗料の耐用年数を過ぎている可能性があります。

①ひび割れや剥がれが発生している

構造クラック
外壁にひびが入っていたり、塗膜が剥がれているようなら、塗装が劣化している証拠。
雨漏りや虫の侵入といった点が懸念され、かなり危険な状態となります。
ひび割れや剥がれを見つけたら自力での修復は困難です。塗装の耐用年数は気にせずに早急に業者へ連絡してメンテナンスをしてください。

▼「外壁のひび割れ」について詳しく知りたい方はコチラ
クラックの補修方法は?クラックの幅別に3つの最適解を解説。DIY手順も!
▼「塗装が剥がれ」について詳しく知りたい方はコチラ
塗装が剥がれる原因は?直し方や保証、剥がれにくくする方法について解説

②鉄部にサビが発生している

外壁に使用された鉄部がさびている場合、塗料の雨水を防ぐ効果が失われています。
長期間にわたって錆(サビ)を放置すると、最悪の場合、ご自宅を一から建て直さざるをえない可能性も出てきます。
ひび割れ・剥がれ同様、自力での修復は難しいため業者に連絡しましょう。

③チョーキング現象(白亜化)が発生している

チョーキング現象(白亜化)が発生している
外壁を触って手に白い粉が付いたら、チョーキング現象が起こっています。
チョーキングは外壁の経年劣化や施工不良によって発生します。
塗料の防水機能が損なわれているため、早めに外壁を塗りなおしてください。

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【事例あり】チョーキング現象とは?原因・対策、放置したらどうなるかを詳しく解説

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外壁塗装の効果

外壁塗装には大きく3つの効果があります。

外壁塗装の効果

外壁を保護する塗膜が回復する
色や光沢が復活する
塗膜に様々な機能を付加できる

外壁は劣化症状を補修することのみならず、さまざまな効果をもたらすことができます。

ここからは、外壁塗装を行う効果を3つ紹介します。

外壁を保護する塗膜が回復する

新築の物件には塗膜と呼ばれる塗料の膜がコーティングされています。

この塗膜は、外壁に加わる紫外線や雨水によるダメージから保護する機能を持っています。

この塗膜の力はずっと保持することができず、10~15年程度で劣化してしまいます。

そのため、外壁を長持ちさせるためには10年に一度くらいの頻度でメンテナンスをすることが大切になります。

色や光沢が復活する

もう一つのメリットは、色や光沢が復活することです。

塗料のもつ特性のひとつに、光沢や艶というものがあります。

ただ色を塗り替えるだけではなくて、光沢や艶のある塗料を使用すれば、新築さながらの美観を復活させることができるでしょう。

▼「外壁塗装の事例」についてもっと詳しく知りたい方はコチラ

塗膜に様々な機能を付加できる

最後に紹介する効果は機能付加です。

実は外壁塗装で使用する塗料には様々な機能を付加することができます。

例えば、防カビ性能をもつ塗料で塗装をした外壁には防カビ機能を付加できるといった例があります。

このような付加機能には、以下のような種類があります。

    • 防カビ性
    • 防水性
    • 断熱性
    • 低汚染性
    • 対候性
    • 伸縮性
    • 光触媒技術

▼「外壁塗装の塗料」についてもっと詳しく知りたい方はコチラ

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外壁塗装の耐用年数を長くするポイント

外壁塗装の耐用年数を長くするポイントは次の4点です。

Point
  • コスパの良い塗料を選定する
  • 業者選定を慎重におこなう
せっかく塗られた塗料を長持ちさせるためにも、メンテナンスが終わったときに後悔しないためにも、ぜひ参考にしてください。

コストパフォーマンスの良い塗料を選定する

コストパフォーマンスの良い塗料を選定する
コストパフォーマンスの良い塗料を使用したい場合、耐用年数は最低でも10年以上のものを選択しましょう。 外壁塗装の工事費用のほとんどは、職人の人件費と足場代です。
そのため外壁塗料の単価が多少高くても、塗り替えをする回数を減らして人件費や足場代を削った方が、長期的に考えるとコストダウンになるケースが多いです。

ただし、耐用年数ばかりにこだわり過ぎずに、意匠性・機能・光沢なども加味して総合的に判断することも大切。
ご自身の目的にあった塗料を選ぶことで、住みやすさも考慮できるでしょう。

▼「外壁の塗料」について詳しく知りたい方はコチラ
【外壁塗装】塗料知識を全公開!種類・特徴・価格・耐用年数・選び方

業者選定を慎重におこなう

業者選定を慎重に行う
どんなに性能の良い外壁塗料を使用しても、施工がいい加減だと塗料の性能を充分に発揮することができません。
以下のような手抜き工事が原因で、本来の耐用年数が来る前に塗り替えが必要になることもあります。

  • 脆弱な旧塗膜の上から塗装をおこなう
  • 規定の塗布量を守らずに塗料を薄めて使用
  • 下塗りに手を抜き、中塗り・上塗りとの密着度が低くなる
  • 規定の乾燥時間を守らない
  • 契約した塗料よりも安い塗料で塗装する
塗装工事は他の建築工事と比べて手抜きをしやすいので、塗装業者には常に高いモラルが求められます。
外壁塗装やリフォーム費の安さだけにこだわらず、しっかりとした丁寧な工事をおこなってくれる業者を探すことが重要です。
複数の業者を比較しながら、誠実な提案をしてくれる経験豊富な業者を探しましょう。

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外壁塗装の税務上の法定耐用年数

外壁塗装を税務上の処理として減価償却する際、法定耐用年数は外壁塗装をする建物と同じになります。

以下が国税庁の定めた法定耐用年数です。建物の構造と用途の組み合わせで年数が変動します。

構造 用途 法定耐用年数(年)
木造・合成樹脂造 事務所用 24
店舗用・住宅用 22
工場用・倉庫用 15
木骨モルタル造 事務所用 22
店舗用・住宅用 20
工場用・倉庫用 14
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造 事務所用のもの住宅用 50
店舗用・病院用の 39
工場用・倉庫用 38
れんが造・石造・ブロック造 事務所用 41
店舗用・住宅用・飲食店用 38
工場用・倉庫用 34
金属造 事務所用
 骨格材の肉厚が、(以下同じ。)
  4㎜を超える 38
  3㎜を超え、4㎜以下 30
  3㎜以下 22
店舗用・住宅用のもの
  4㎜を超える 34
  3㎜を超え、4㎜以下 27
  3㎜以下 19
工場用・倉庫用のもの(一般用)
  4㎜を超える 31
  3㎜を超え、4㎜以下 24
  3㎜以下 17

国税庁 – 主な減価償却資産の耐用年数表(PDF)

  • 「資本的支出」の科目で処理できるのは、例えば美観向上のため外壁全体を塗装した場合など、建物の価値を向上させる目的で塗装する場合が該当します。
  • 一部分だけ劣化した箇所を直す場合は減価償却せず、「修繕費」の科目で処理しましょう。

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まとめ

最後に:定期的なメンテナンスで家とお金を守ろう

外壁塗装の耐用年数を左右する大切な要素をまとめると、以下の4点が挙げられます。

Point
  • 外壁塗料と外壁材の耐用年数
  • 外壁塗装の劣化症状の確認
  • 外壁塗装の定期的なメンテナンス
  • 塗装業者の技術レベルとモラル
メンテナンスをする際には外壁塗料の耐用年数ばかりに注目してしまいがちですが、優良業者を探すことが重要なポイントになることを忘れてはいけません。

外壁塗装はメンテナンス時期を見誤ると、建物ごと建て直すことが発生するかもしれません。
修繕費用を抑えるためにも、外壁塗料の耐用年数を把握しておきましょう。

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