外壁塗装の耐用年数は一般的には10年と言われていますが、使用している塗料などで実際の耐用年数は変わります。
「いつまでに外壁塗装をすべきか」と考えている場合、ご自宅に合った適切なタイミングを知りましょう。
この記事では、耐用年数の観点から以下の点を中心に解説します。
- 外壁塗装を塗り直すべき劣化症状
- 塗料の耐用年数
修繕費用を抑えるためにも、外壁塗料の耐用年数を把握しておきましょう。
私の家だといくら?
監修者:外装劣化診断士 小林 成光
600件以上の現地調査を実施する過程で得た専門性を生かし、日本発のネット見積もりシステムでビジネスモデル特許を取得。ヌリカエにて、外装工事の専門家として、顧客・加盟企業のサポート・コラムの監修に従事。
▼略歴・プロフィール |
外壁塗装の耐用年数は10年が一般的
メンテナンスが必要ないという外壁はなく、いつかは必ず外壁塗装が必要になります。
外壁塗装のおおよその耐用年数は10年です。耐用年数が過ぎた外壁では、外観が損なわれるだけではなく、雨漏りの危険性が非常に高まってしまいます。
雨漏りによって建物内部にまで浸水が及ぶと、外壁材自体にダメージがかかり、高額な修繕費用がかかってしまいます。
このため、耐用年数を迎えたころに外壁をメンテナンスすることが大切なのです。
-
外壁塗装の耐用年数、10年という数字はあくまで目安!自宅の周辺環境によって外壁塗装の耐用年数は変動することに注意をしましょう。
私の家だといくら?
外壁塗装の塗料の耐用年数
ここからは、塗料の耐用年数を紹介します。
※塗料名をタップすることで詳細へジャンプできます 塗料ごとに素材や成分の配合量が異なるため、塗料の種類によって耐用年数も異なります。塗料の種類別に特徴や耐用年数をまとめましたので、ご自宅にどの塗料が使われているか確認しながら耐用年数を参考にしてみましょう。
アクリル塗料|5年~7年
耐用年数 | 5~7年 |
---|---|
単価(1㎡あたり) | 1200~1800円/㎡ |
アクリル塗料は、発色が良く重ね塗りが可能で、低価格であることが魅力になります。
しかし、汚れやすく耐久性に劣り、ひび割れ(クラック)が生じやすいです。
耐用年数が短いため、現在はほとんど使用されていません。
アクリル塗料の特徴とは?他塗料と比較したメリットデメリット
ウレタン塗料|8年~10年
耐用年数 | 8~10年 |
---|---|
単価(1㎡あたり) | 1800~2200円/㎡ |
ウレタン塗料は密着性に優れ、価格・耐久性・施工性などのバランスが良い塗料です。
しかし、防汚性・紫外線への耐性は他の塗料に比べると劣ります。
アクリル塗料より長いものの、耐用年数は他の製品と比較すると短めです。
ウレタン塗装は何にするもの?塗料の特徴と塗装できるものを詳しく解説
シリコン塗料|7年~15年
耐用年数 | 7~15年 |
---|---|
単価(1㎡あたり) | 2500~3200円/㎡ |
シリコン塗料は艶のある仕上がりが特徴。耐久性とコストバランスを重視したい方向けの塗料です。
ただ、アクリル塗料やウレタン塗料に比べると費用が高いことがデメリットとなります。
シリコン塗料って本当にいいの?おすすめ製品やメリット・デメリット、注意点を解説
ラジカル塗料|12年~15年
耐用年数 | 12~15年 |
---|---|
単価(1㎡あたり) | 2500~3000円/㎡ |
ラジカル塗料(正式名称はラジカル制御型塗料)は、防汚性・防藻性・防カビ性に優れ、耐候性が高い点がメリットです。
ただ、販売している塗料メーカーが限られているので、選べる種類が少なくなります。
ラジカル塗料ってなにがすごいの?メリット・デメリットを徹底解説!
フッ素塗料|15年~20年
耐用年数 | 15~20年 |
---|---|
単価(1㎡あたり) | 3500~4500円/㎡ |
フッ素塗料は防汚性・防寒性・耐熱性を有している高機能な塗料です。
しかし、塗膜がやや硬いためひび割れが起きやすい建物には向いていない場合があります。
耐用年数は比較的長めです。
フッ素塗料の特徴、費用対効果は? 高価でも「屋根」と「雨どい」にはフッ素が効く!
無機塗料|20年以上~
耐用年数 | 20年以上~ |
---|---|
単価(1㎡あたり) | 4500~5500円/㎡ |
無機塗料はセラミックやケイ素などの無機物(炭素を含まないもの)を主成分としているため、紫外線や雨風などに晒されても劣化が起こりにくい性質を持ちます。
無機物の配合比率が高ければ耐久性が高くなりますが、柔軟性は有機塗料に比べて劣るためひび割れしやすいです。
耐用年数は、塗料の中でもトップクラスの長さを誇ります。
無機塗料って?メリット・デメリットと価格、代表的な塗料名を解説!
私の家だといくら?
外壁材ごとの耐用年数
ここからは、外壁材ごとの耐用年数を紹介します。
外壁材ごとに素材が異なることから、耐用年数にも大きな差が出てきます。ご自宅の外壁材が何か見極めるために活用ください。
モルタル外壁│30年
耐用年数 | 約30年 |
---|---|
単価(1㎡あたり) | 1,500〜4,000円/㎡ |
モルタル外壁は比較的安価で施工しやすいため、多くの住宅で使用されています。耐用年数は約30年程度ですが、適切なメンテナンスを行うことで寿命を延ばすことができます。ただし、ひび割れや剥離には注意が必要です。
窯業系サイディング│40年
耐用年数 | 約40年 |
---|---|
単価(1㎡あたり) | 3,500〜5,000円/㎡ |
窯業系サイディングは、セメントと繊維を混ぜて作られた外壁材です。耐火性や耐久性に優れており、約40年の耐用年数があります。メンテナンスが比較的容易で、定期的な塗り替えにより美観を保つことができます。
金属サイディング│40年
耐用年数 | 約40年 |
---|---|
単価(1㎡あたり) | 4,000〜6,000円/㎡ |
金属サイディングは、主にアルミニウムや鉄などの金属を使用しています。耐久性が高く、約40年の耐用年数があります。錆びに強い特性がありますが、経年劣化による色あせには注意が必要です。
ALCボード│60年
耐用年数 | 約60年 |
---|---|
単価(1㎡あたり) | 7,000〜15,000円/㎡ |
ALCボード(軽量気泡コンクリート)は、軽量で断熱性に優れた外壁材です。耐火性も高く、約60年という長い耐用年数を誇ります。ただし、水分を吸収しやすい特性があるため、適切な防水処理が重要です。
コンクリート│60~100年
耐用年数 | 約60~100年 |
---|---|
単価(1㎡あたり) | 9,000円〜12,000円/㎡ |
コンクリート外壁は、最も耐久性の高い外壁材の一つです。適切に施工され、メンテナンスが行われれば、60年から100年という非常に長い耐用年数を期待できます。ただし、ひび割れや中性化には注意が必要で、定期的な点検と補修が欠かせません。
外壁塗装の耐用年数が変わる要因
塗料ごと、外壁材ごとに目安となる耐用年数はありますが、実際の耐用年数は様々な要因で変化していきます。
ここでは、外壁塗装の耐用年数が変わる要因として代表的なものを3つ紹介します。
①環境要因
住宅の周りの環境次第で、耐用年数は変わります。
例えば以下のような過酷な環境下では、耐用年数が短くなる可能性があります。
紫外線の強さ
風雨の影響
気温の変化
大気汚染
潮風
例えば紫外線がよく当たる西側のみ劣化が早くなる、沿岸部の地域では劣化が早くなるなど、同じ施工内容でも耐用年数が5年以上変わることもあります。
そのため、定期的に点検をし、自宅がどれくらい長持ちするのかを確認することをお勧めします。
②施工品質
同じ外壁材・同じ塗料でも、施工の方法や職人の技術によって耐用年数は変わります。
例えば下地処理が不十分である、前回塗装の塗料との相性が悪いことを見抜けなかったなど、職人の質によって耐用年数が短くなることもあります。
反対に、しっかりと実績・評判のある業者を選ぶことができれば、耐用年数は長くなっていきます。
業者を選ぶ際に1社だけで即決してしまうと、その業者が信頼できるかどうかを判断しづらくなります。
できるだけ複数社比較して、優れた業者を選ぶようにしましょう。
③メンテナンスの頻度
メンテナンスを適切な頻度で行うことで、耐用年数を伸ばすことができます。
ご自宅でできるメンテナンスには、定期的な点検と清掃と部分補修の2つがあります。
定期的な点検と清掃は、カビやコケを防ぐために行います。年に1〜2回程度、外壁の状態を目視で確認し、柔らかいブラシや中性洗剤を使って優しく洗います。
ただし高圧洗浄機の使用は塗膜を傷める可能性があるため、専門家に相談することをおすすめします。
部分補修では、チョーキングの剥がれやコーキングのひび割れを修繕します。小さな損傷に早めに対処することで、大規模な塗装工事を先伸ばしにできることが多いです。
まとめ
外壁塗装の耐用年数は、一般的におよそ10年になります。耐用年数は使用した塗料によって異なり、代表的な塗料では、ウレタン塗料は8~10年、シリコン塗料は7~15年、ラジカル塗料は12~15年、フッ素塗料は15~20年です。
メンテナンスをする際には外壁塗料の耐用年数ばかりに注目してしまいがちですが、優良業者を探すことが重要なポイントになることを忘れてはいけません。
外壁塗装はメンテナンス時期を見誤ると、建物ごと建て直すことが発生するかもしれません。
修繕費用を抑えるためにも、外壁塗料の耐用年数を把握しておきましょう。
私の家だといくら?