「外壁塗装は助成金で安くできる!」といった広告をよく見かけませんか。本当に?いくら安くなるの?と気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
外壁塗装の助成金とはどんな制度なのか、いくらでどんな工事ができるのか、助成金が支給される市区町村はどこか、解説します。
※助成金は多くの場合、先着順になっています。利用可能な助成金をできる限り早く調べて、申請することをおすすめします。
監修者:深川 真樹(ふかがわ まさき)
一般社団法人日本住宅保全協会の理事長。家の価値を守る・高めるための保全活動や、暮らしやすい住まいを維持するためのさまざまな活動に従事。 ▼略歴・プロフィール ▼一般社団法人日本住宅保全協会WEBサイト |
外壁塗装の助成金・補助金とは
外壁塗装の助成金・補助金とは、規定の条件を満たした場合に、お住まいの自治体から支給されるお金のことです。助成額は自治体によりますが、工事費用の10%(上限金額5万円~20万円)が一般的です。
外壁塗装に助成金・補助金はなぜある?
外壁塗装の助成金は、「省エネ効果によるCO2排出量の削減」「既存住宅の利用促進や地域活性化」を目的にしています。
遮熱塗料と呼ばれる塗料には太陽光を反射する機能があり、室内の温度上昇を抑制する効果があります。エアコンの使用量が減少し、間接的にCO2排出量を抑えることができます。
また、外壁塗装には住宅を長持ちさせる効果もあります。日本の住宅政策の中に「持ち家の適切な維持管理を促進する」という方針があるのですが、外壁塗装を含む住宅の維持管理には高額な費用がかかります。このような経済的負担を軽減して住宅のメンテナンスに取り組みやすくなるように、助成金制度を設けているといった背景もあります。
▼参考
国土交通省「住宅ストック維持・向上促進事業」
全国建設労働組合総連合 「リフォーム市場の活性化についての検討」
外壁塗装の助成金・補助金の給付例
助成金はいくらもらえるのか、どんな利用条件があるのか知りたい方に向けて、助成金の代表的な給付例を、ごく簡単に6つ紹介します。
東京都目黒区「住宅リフォーム資金助成」
助成金額:工事費用の10%(上限10万円)
工事条件:区内業者が施工することなど
参考:東京都目黒区「住宅リフォーム資金助成」
神奈川県横須賀市「2世帯住宅リフォーム助成金」
助成金額:工事費用の10%(上限10万円)
工事条件:市外から子世帯の家族が転入し同居を開始することなど
参考:神奈川県横須賀市「2世帯住宅リフォーム助成金」
大阪府大阪市「空家利活用改修助成事業」
助成金額:工事費用の50%(上限75万円)
工事条件:3か月以上空家であることなど
参考:大阪府大阪市「空家利活用改修助成事業」
愛知県犬山市「住宅リフォーム助成金」
助成金額:工事費用の20%(上限10万円~30万円)
工事条件:本人または配偶者が40歳以下であることなど
参考:愛知県犬山市「住宅リフォーム助成金」
北海道旭川市「住宅耐震改修助成制度」
助成金額:工事費用の23%(上限82.2万円)
工事条件:耐震改修工事と同時にリフォームを行うことなど
参考:北海道旭川市「住宅耐震改修助成制度」
福岡県飯塚市「定住促進住宅改修補助金」
助成金額:工事費用の10%(上限8万円)
工事条件:市内業者を利用することなど
参考:福岡県飯塚市「定住促進住宅改修補助金」
このように助成金の支給金額は自治体によって異なりますので、あくまで目安程度にしていただければと思います。
助成金・補助金以外で外壁塗装を安くする方法
- 相見積もりをとる:3~10万円
- 不要な作業を断る:5万円
- 夏や冬に塗装する:5万円
- 値引き交渉する:2~5万円
- 風災が原因の場合、火災保険で直す:認定額次第
これら全ての方法を使えば、外壁塗装の助成金と補助金以外で、最大25万円程度安くすることができます。助成金の支給金額は5万円~20万円程度なので、安くする方法をすべて適用した場合、助成金の支給金額と合わせて約20万円~45万円ほど費用を抑えることが可能です。
火災保険に関しては、全ての住宅で利用できるわけではありませんが、適用できると大幅に費用を抑えることができます。また、これまでは住宅ローン減税も利用することができたのですが、2022年の税制改正により、外壁塗装のみを実施した場合は適用不可となりましたので、ご注意ください。
▼「火災保険」について詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
>>外壁塗装に火災保険を適用するための条件は3つ!申請の流れ・注意点・業者を選ぶポイントまで徹底解説
▼「外壁塗装を安くする方法全般」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧いただければと思います。
>>外壁塗装の費用を安くする方法11選を解説!
助成金を使った外壁塗装の事例・費用相場
外壁塗装の助成金を使ったら「いくらで」「どんな工事ができるのか」気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここからは、外壁塗装の助成金を使った事例と費用相場を2つ紹介します。
ごく一般的な外壁塗装の事例・費用相場
外壁塗装でよく利用される塗料に、シリコン塗料があります。シリコン塗料を使って外壁塗装をする場合の費用相場は、1坪あたり2.5万円~3万円程度です。一般的な大きさの40坪の住宅を工事する場合は、100万円~120万円ほどの費用がかかります。
助成金の支給金額は、施工費用の〇〇%(上限○〇万円)と定義されるていることがほとんどです。たとえば、埼玉県川越市の住宅改修助成金制度では、市内の業者を利用して20万円以上のリフォームをした場合に、工事費用の5%(上限5万円)の助成金が支給されます。
そのため、工事費用100万円の5%(上限5万円)、つまり5万円が助成金の支給金額となります。
加えて、上述した安くする方法をすべて適用することで最大25万円程度安くすることが可能です。40坪の住宅に対してシリコン塗料を使う一般的な外壁塗装は約70万円で行えます。
▼参考
埼玉県川越市「住宅改修助成金制度」
ヌリカエ「外壁塗装の塗料12種類の特徴・価格は?選び方も紹介」
ヌリカエ「【2024年版】外壁塗装の費用相場はいくら?坪別価格や見積もり書の見方も解説」
遮熱塗料を使った外壁塗装の事例・費用相場
次に紹介するのは、太陽光を反射する特殊な機能をもった、遮熱塗料を使って外壁塗装を行う事例です。自治体の中には、省エネ効果のある遮熱性塗料で塗装することを助成金の支給条件とするパターンもよくあります。
たとえば、品川区の住宅改善工事助成事業は、日射反射率(近赤外線領域)が50%以上の遮熱性塗料を使って外壁塗装を行う場合に、費用の10%(上限20万円)を支給しています。
本事例では、工事費用120万円の20%(上限20万円)、つまり20万円が助成金の支給金額となります。安くする方法をすべて適用することで25万円ほど安くすることができるので、遮熱塗料を使った外壁塗装は約75万円で施工可能です。
▼参考
東京都葛飾区「ヒートアイランド対策助成」
ヌリカエ「遮熱塗料とは?メリット・デメリットや代表商品、使用がおすすめのケースを解説」
外壁塗装の助成金・補助金を受け取るためのポイント
外壁塗装の助成金を受け取るためには、いくつか抑えておきたいポイントがあります。
必要な書類を揃える
ほとんどの自治体では外壁塗装の見積もり書が必要になります。よって、外壁塗装の助成金を申請するためには、まず業者とコンタクトを取って見積もりを取らなければなりません。
外壁塗装の見積もり書がないと助成金は申請できないことを抑えておきましょう。
▼「外壁塗装の見積もり」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>外壁塗装の見積もりの注意点は?内訳・単価相場・見積書例を参考に適正価格を知ろう
受付期間内に手順通り申請する
助成金の申請方法は、自治体によって定められていることがほとんどです。自治体が定める手順通りに申請をしましょう。
また、ほとんどの助成金には申請期限があります。多くは「年度はじめの4月~翌年4月」「4月から12月まで」「上半期・下半期に分けて2度期間を設定」のどれかに当てはまります。
助成金には予算がある場合が多く、予算に達した場合は、予定より早く受付終了となり、受付期間内であっても助成金を申請できないケースもあります。
そのため、助成金を利用したい方は、助成金の受付期間を確認しながら、適切なタイミングで業者から見積もりを取得しなければなりません。確実に助成金をもらうのであれば、去年の募集開始月の数ヶ月前から、業者と工事内容を相談しておきましょう。
例えば、昨年4月に助成金の募集を開始する自治体であれば、2~4月の間に塗装業者と話をつけておくとよいです。
▼「外壁塗装の時期」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>外壁塗装にベストな時期はいつ?季節ごとのメリット・デメリット
自治体が指定した業者で工事をする
外壁塗装の助成金の支給条件として、市区町村内の業者に依頼するという条件を設ける自治体が多くあります。
助成金の申請に必要な外壁塗装の見積もり書は、市区町村内の業者から取り寄せるようにしましょう。
▼「外壁塗装の業者」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>外壁塗装業者の選び方とは?訪問販売や悪徳業者の手口、トラブル事例を把握して業者依頼に備えよう
【2024年3月更新】外壁塗装で助成金・補助金を受け取れる全国の市区町村
下記に日本の全47都道府県で、外壁塗装工事に助成金がおりる市区町村をまとめました。
地図内の都道府県名をタップすると、都道府県別の制度一覧ページに移動します。表内の都道府県名や市町村名をクリックすると、制度内容の解説ページに移動し、詳細な支給条件を確認できますので、ご参考にしてください。
お住まいの都道府県ごとのページから、支給額や工事条件をぜひ確認をしてみて下さい。
なお、外壁塗装に助成金を設けている自治体は、一般社団法人住宅リフォーム協議会が取りまとめている、地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト(令和5年度版)使って自分で調べることができます。ただし、一部の自治体の情報は最新でない場合もありますので、ご注意ください。
最新の助成金情報を調べる際にもっとも確実なのは、自治体の担当窓口への問い合わせです。市区町村の公式HPで担当課を確認し、電話やメールで直接問い合わせしましょう。手間になりますが、申請前の事前相談を支給条件としている自治体もあるほか、直接問い合わせることで、制度を利用するためのアドバイスを受けることもできます。
助成金の利用を検討されている方は、まず担当窓口への問い合わせをおすすめします。各自治体の担当窓口も先ほどご紹介した都道府県別の助成金ページで紹介していますので、ご参考にしてください。
まとめ
外壁塗装工事の資金繰りが厳しい方にとって、助成金は費用を抑える方法として有効な手段です。
助成金を利用するためには、受付期間・工事条件など自治体の制度内容を確認することが重要です。制度の内容は自治体ごとに異なりますので、助成金を利用したい方はまずお住いの自治体の制度内容をご確認ください。
「工事する目途は立っていないけど、助成金がもらえるかどうか知りたい」「うちの場合、支給条件を満たせるかどうかわからない」方は、下記のツールで助成金が支給されるかどうかを簡単にお調べすることができますので、こちらもご活用いただければと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。