屋根葺き替え工事とは?費用相場やメリット・デメリット、屋根材の選び方も解説

  • 【更新日】2024-12-06
屋根の葺き替えとは?費用は?

本記事では、傷んだ屋根のメンテナンス方法に悩んでいる方に向けて

  • 屋根葺き替えにかかる費用相場
  • 屋屋葺き替えのメリット・デメリット
  • どんな場合に葺き替えを選ぶべきか?

を解説しています。

先に結論を言ってしまうと、葺き替えは築30年をこえている場合か、雨漏りなどの異常をおこしたことのある屋根の場合に最適と言えます。

そう言える理由や、屋根工事を決定する前に必ず知っておきたい知識についてを解説していきますので、ぜひ最後まで目を通して屋根工事の成功にお役立てください。

屋根葺き替えのポイント
  • 屋根葺き替えの費用は、一般的な住宅で約140万円~200万円
  • 葺き替え工事が最適なのは、屋根全体に傷み・劣化がある場合

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小林成光(コバヤシマサミツ)さんのプロフィール写真 監修者:外装劣化診断士 小林 成光

600件以上の現地調査を実施する過程で得た専門性を生かし、日本発のネット見積もりシステムでビジネスモデル特許を取得。ヌリカエにて、外装工事の専門家として、顧客・加盟企業のサポート・コラムの監修に従事。 ▼略歴・プロフィール
「監修者|小林 成光(株式会社Speee)」

屋根の葺き替えとは?

作業内容 屋根材・防水紙を新しいものに全交換
費用相場 140万円~200万円
工期目安 10~15日間
特徴 もっとも高額・大規模な屋根リフォーム

屋根の「葺き替え」とは、今ある屋根材をすべて撤去して、その上から新しい屋根材を張り直す工事のことです。
また、同時に屋根材の内側の防水紙(ルーフィングシート)も交換するのが一般的です。

屋根材とルーフィングシートをどちらも新しくすることで、屋根の防水性が新築同様まで回復します。
一方で、屋根のメンテナンス工事としてはもっとも大規模なものになるので、かかる時間・費用ともに多くなります

一般的な30坪住宅の場合、屋根の葺き替えの工事費用は140万円~200万円ほど、所要日数(工期)は10日~15日間、もしくはそれ以上が目安です。

「ルーフィングシート」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。

屋根の葺き替えの費用相場は70万円~300万円

屋根の葺き替えの費用相場は、70万円~300万円になります。

一般的な30坪住宅の場合で、10万円~220万円です。

屋根の葺き替えの費用は主に屋根材と家の大きさ、つまり坪数によって変わります。

屋根材別の費用相場

葺き替えでは新しい屋根材に何を用いるかにより、価格差が生まれてきます。以下の表は葺き替え前と葺き替え後の屋根材による、葺き替えの費用相場の一覧表です。

葺き替え前 葺き替え後 費用相場目安
スレート スレート 約150万円
金属屋根(ガルバリウム鋼板) 約160万円
石粒吹きガルバリウム鋼板(ジンカリウム鋼板) 約190万円
金属屋根 金属屋根(ガルバリウム鋼板) 約160万円
スレート 約150万円
石粒吹きガルバリウム鋼板(ジンカリウム鋼板) 約160万円
和瓦 スレート 約180万円
金属屋根(ガルバリウム鋼板) 約185万円
石粒吹きガルバリウム鋼板(ジンカリウム鋼板) 約200万円
和瓦 約220万円
ガルバリウム鋼板 和瓦 ほぼ行われない(強度不足のため)
スレート 和瓦

坪数ごとの費用相場

屋根材に加え、建物の大きさによっても価格差が生まれてきます。以下の表は建物の坪数による、葺き替えの費用相場の一覧表です。

坪数 葺き替え後の屋根材 費用相場目安
20坪 スレート屋根 80〜120万円
瓦屋根 100〜150万円
ガルバリウム鋼板 70〜110万円
30坪 スレート屋根 120〜180万円
瓦屋根 150〜220万円
ガルバリウム鋼板 100〜160万円
40坪 スレート 160〜240万円
金属屋根(ガルバリウム鋼板) 200〜300万円
石粒吹きガルバリウム鋼板(ジンカリウム鋼板) 140〜220万円

屋根の葺き替え費用の内訳

屋根葺き替え工事の費用内訳や単価の相場は、以下の表のようになります。

内訳項目 工事内容 費用(単価)相場
足場費用 高所作業用の仮設足場設置 700円~1,000円/㎡
養生費用 飛散防止用の養生シートがけ 200円~300円/㎡
既存屋根の撤去費用 元屋根材の撤去 1,200円~2,000円/㎡
下地(野地板)の補修費用 下地木材の補修 2,000円~3,000円/㎡
防水シートの敷設費用 下地の上に防水シートがけ 600円~1,000円/㎡
新しい屋根材の材工費 防水シートのうえに新しい屋根材を設置 【和瓦】9,000円~1万5,000円/㎡
【スレート】4,500円~6,500円/㎡
【ガルバリウム鋼板】6,000円~9,000円/㎡
棟の設置費 屋根どうしが交差する部分 2,000円~3,000円/m
軒先、ケラバの設置費 屋根の壁からはみでる部分 1,500円~2,000円/m
アスベストの撤去費 既存屋根にアスベスト含まれる場合のみ 10万円~30万円/戸

費用の内訳は、足場代が15万円~20万円、古い屋根の取り外し・撤去費が12万円~20万円、下地木材の補修費が20万円~30万円、新しい屋根材の材料費と張替え工賃が合わせて45万円~90万円となります。

既存屋根がアスベストを含んでいる場合は、法令により特別な撤去方法が必要なため、別途10万円~30万円の費用がかかります()。
この出費を回避するために、アスベストを含む屋根のメンテナンス工事では、葺き替えではなくカバー工法が採られることも多くあります。

屋根の葺き替えが必要なタイミング

屋根の葺き替えが必要なタイミングとしては、以下の2つが挙げられます。

  • ・年数|築20~30年が経過している場合
  • ・劣化症状|屋根全体のひび割れ・雨漏りなどが起きている場合

それぞれについて、詳しく解説して行きます。

年数|築20~30年が経過している場合

築20~30年が経過している場合、屋根葺き替えが必要なタイミングと言えます。

というのも屋根はセメントや金属などの様々な素材でできていますが、一般的にどの素材においても20~30年が経てば耐久性が低下し、寿命を迎えることになるのです。

一部で粘土瓦などの50年を超えて持続する素材もありますが、屋根材が耐久性を保てていても内部に敷かれた防水シートが20~30年ほどで劣化してしまいます。

したがって築20~30年の年月が過ぎれば、葺き替えまたは葺き直し(防水シートだけを好感し同じ瓦を葺くこと)が必要となるでしょう。

下記の表は屋根材ごとの耐用年数をまとめたものです。ご自宅の屋根材を把握している方はぜひ参考にしてみてください。

屋根材 耐用年数
スレート(コロニアル・カラーベスト) 20~30年
セメント瓦 20~30年
モニエル瓦 20~30年
粘土瓦(和瓦・洋瓦) 60~80年
トタン 10~20年

劣化症状|屋根全体のひび割れ・雨漏りなどが起きている場合

屋根葺き替えが必要なタイミングとして2つ目に挙げられるのは、屋根に劣化症状が見られる場合です。

屋根材の状態は建物がある環境にも大きく影響されるため、たとえ20~30年が経っていなくとも以下のような状態が確認できる場合は葺き替えの検討が必要です。

症状 概要
屋根全体のひび割れ

屋根のひび割れ

経年劣化が原因で放置していると雨漏りの原因となるため、葺き替えが必要。
風に飛ばされてきた物の衝突が原因の場合は、該当箇所の交換で対処できる。
コケが繁殖している

屋根に繁殖したコケ

経年劣化により屋根の塗膜の効果がなくなることが原因。
放置していると屋根材がボロボロになるため、葺き替えが必要になる。
屋根が柔らかくなっている

腐食して柔らかくなった屋根

屋根材の内部の野地板まで水が浸透してしまっている恐れがあり、葺き替えが必要。
屋根表面が波打っているなどの場合は注意をしておくべき。
すでに雨漏りがみられる

すでに屋根の機能が破綻しており、早々に葺き替えが必要。
放置していると屋根だけの問題ではなく、建物全体を傷めてしまうことになる。

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屋根の葺き替えのメリット・デメリット

屋根葺き替えのメリット・デメリットの画像

屋根の葺き替えには、重ね葺き(カバー工法)との比較して上記のようなメリット・デメリットがあります。
以下に、それぞれを詳しく解説します。

屋根の葺き替え工事のメリット

屋根の下地木材を直せる

葺き替えでは、表面の瓦や化粧スレートをすべて取り外すため、内部の下地木材を目視・点検・修理できます。
万一、木材の腐食がすすんでいた場合はすぐに貼り直しを行います。

これにより、屋根の防水性が根本的に回復し、家が長持ちします
また、工事後の屋根材も雨や風により強くなり安心です。

  • 一方で、カバー工法では下地木材を目視確認できません。万一異常があってもそのままになります。

建物の耐震性を下げない

葺き替えでは、ガルバリウム鋼板などの軽量な屋根材を選んだ場合、工事前よりも屋根が軽くなることもあります。
屋根の重量が軽いと建物の重心が下がり、地震の揺れに強くなります

  • 一方で、カバー工法は今の屋根に屋根材を重ね張りする工事なので、軽い素材を選んでも施工前より重量が軽くなることはありません。

屋根の葺き替え工事のデメリット

工事費用が高い

葺き替えを選んだ場合、古い屋根材の取り外し人件費や処分費用がかかるため、屋根の条件が同じならば、費用はカバー工法よりも高額になります

アスベスト含有屋根材ではさらに費用増加

既存の屋根材に石綿(アスベスト)が含まれていた場合、飛散防止対策が必要となります。そのため無石綿の屋根の撤去に比べて10万円~30万円程度費用が上乗せとなります。

ホコリ・騒音・振動が多い

古い屋根材の取り外し・撤去工程では、他の作業よりも大きめのほこり・騒音・振動などが出ます。
家族にデリケートな方がいる場合や、幼児やペットがいる家庭ではやや心配かもしれません。

施工中、雨に弱い期間がある

葺き替えの作業中、一時的とは言え屋根の下地木材が露出します。
もしこの間に雨が降った場合、あとあと下地が腐食し雨漏り等のトラブルにつながる可能性がゼロではありません。

通常は雨が降りはじめ次第シート等で覆い作業を中断するため大きな心配はないでしょう。あくまで「可能性」「カバー工法にはないデメリット」として紹介しています。

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カバー工法・塗装との違いは?

葺き替え工事・カバー工法・塗装工事の違いを工事規模・耐久性・コスト・工期ごとに一覧にした表

 

葺き替え工事と他の工事、どちらにしようか迷われている方も多いのではないでしょうか。そんな方のために、カバー工法、塗装工事との違いについて説明します。

カバー工法は、既存の屋根材はそのままに、その上から新しい屋根材を被せる工法です。葺き替え工事と比べて費用を抑えられ、工期も短くなります。ただし、屋根の重量が増加するデメリットがあります。

塗装工事は、屋根材の表面に防汚性・防水性のある塗料を塗る工事です。最も低コストで簡易的な屋根のメンテナンス方法です。ただし、葺き替えと比べて短い周期でのメンテナンスが必要となります。

どの工事方法がいいかは一概には言えませんが、自宅の損傷が激しい場合は葺き替え工事、劣化は見られるが特に生活に支障がない場合はカバー工法色褪せ程度の場合は塗装工事を検討するとよいでしょう。

カバー工法と塗装工事について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

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屋根の葺き替えの事例と費用

セメント瓦から金属屋根への張り替え:149万円

施工前 施工後
before画像

セメント瓦の激しい劣化がみられる

after画像

メンテナンスも考慮し、維持しやすい金属屋根へ

以上の事例は、雨漏りが原因でセメント瓦から金属瓦に葺き替えた事例です。

事例詳細ページ

和瓦の張り替え:363万円

施工前 施工後
before画像

瓦の剥がれや全体の損傷が激しい

after画像

瓦を新調

以上の事例は、屋根全体の損傷が激しく下地からすべて張り替えた事例です。

屋根の状態や建物の大きさによっては、こちらの建物のように相場より高い金額の工事になる場合もあります。

事例詳細ページ

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屋根の葺き替えを安くするには「相見積もり」が有効

「葺き替えの施工判断と費用」について、内訳なども交えてご説明してきました。

葺き替えに限らず、屋根修理の費用は同じ坪数の家でも、屋根の形状や傾斜によって面積が大きく変わるため、家の大きさが工事費用の目安にならず、予想が難しくなっています。

そこで、できるだけ複数の業者から相見積もりを取り、費用や工事内容に一番納得のいく業者を選ぶことで、コスト的にも効果的にも最適な工事を行うことができます。

業者の得意分野によっては、葺き替え以外の工事を提案してくることもあるので、費用や内容に納得のうえで葺き替え工事より安い工事で済むこともあるかもしれません。

本記事が、屋根の葺き替えをご検討中の方々のお役に立てば幸いです。

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