カバー工法とは?メリット・デメリット、費用、日数を解説

  • 【更新日】2022-01-18
カバー工法とは?メリット・デメリット、費用、日数を解説

あなたは今、リフォーム業者から屋根の「カバー工法(重ね葺き)」を勧められていませんか?

本記事では、

  • カバー工法の工事内容、費用相場、工期の目安
  • カバー工法が最適な場合、そうでない場合
  • カバー工法を勧める業者の本音

について、リフォーム未経験者の方向けに解説を行いました。

先に結論から言ってしまうと、カバー工法は工事費用を安く抑えるかわりに、その後のメンテナンス費用が高くなる工事です。

また、せっかく工事をしても屋根の老朽化やキズそのものは直らない工法でもあります。

そのため私たちは、カバー工法はどうしても予算が足りない場合以外には、あまりオススメできない工事だと考えています。

どうしてそのような結論になるのか?
また、カバー工法の他の選択肢にはどのようなものがあるか?
今からご説明していきたいと思います。

「屋根工事の種類」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「屋根工事は8種類!工事内容、費用相場、日数、業者選び…全て解説します」

Point
  • 屋根のカバー工法は、「葺き替え」より安価なかわりにデメリットが生まれる工事
  • カバー工法は、予算が厳しい人のため「代替手段」と捉えるべき
  • 他の手段を説明せず、カバー工法だけを積極的に勧めてくる業者には注意

カバー工法、私の家だといくら?

カバー工法とは?

「カバー工法」とは、家の屋根や外壁に対して施工される、リフォーム工事の一種です。
屋根カバー工法の工事内容は、既存の屋根の上に、新しい屋根材を張る作業となります。

別名を「重ね葺き」といい、こちらの呼称を用いる業者もいます。

カバー工法の基本情報
項目 詳細
工事内容 今の屋根の上から、新しい建材を張りつける
費用相場 80~140万円
工期 約5日間
工程
  1. 足場組み立て、周囲養生
  2. 防水シート張り付け
  3. 新しい屋根材の張り付け
  4. すき間のコーキング(穴埋め)
  5. 付帯工事(軒先など)

カバー工法の工事内容

カバー工法の工事内容は、既存の屋根の上に、新しい屋根材や外壁材を張る作業となります。
古い部分の上に重ねて新しい部分が作られるため、“カバー工法”という名称が付けられています。

カバー工法の工期と工程

  1. 作業用の仮設足場を組む
  2. 周囲を養生(保護)する
  3. 既存の屋根の上にルーフィング(防水シート)を張る
  4. ルーフィングの上に新しい屋根材を張る
  5. 屋根棟、軒先、雪止めなど付帯部分を施工
  6. 仕上げ後、完了(約5日間)

屋根のカバー工法に必要な日数は、約5日が目安です。
工事中、家に出入りできなくなったり、使用できなくなる部屋が発生することはありません。

カバー工法と他の屋根工事の違い

カバー工法に対して、古い部分を完全に解体・撤去をしてから、新しい部分を作る工事を「葺き替え(ふきかえ)」といいます。

カバー工法と葺き替えの違いは古い屋根の解体・撤去があるかないかことです。
古い屋根を撤去しないカバー工法には「廃材が出ない」「総作業費が安くなる」「工期が短縮できる」というメリットがあります。

反対に、デメリットとしては「古い部分の劣化が直らない」「家が重くなる」などがあります。

結局、カバー工法はどのような位置づけ?

カバー工法は、工事費用を安く済ませる代わりに、屋根下地を直すのをあきらめる工事です。

葺き替えでは、既存の屋根を剥がすので、下地に異常があれば気づいて直すことができます。
しかし、カバー工法では下地を直接見る機会がないため、異常が進行していたとしても発見することができません。

費用や所要日数でメリットを得る代わりに、安心面でリスクを負う工事と言えます。

カバー工法、私の家だといくら?

カバー工法の費用相場は?他の工事よりどのぐらい安い?

カバー工法の特徴は、他の工事にある古い部分の解体・撤去作業が発生しないことでした。
では、その違いによって費用はいくらぐらい安くなるのでしょうか?

葺き替えとの差は「約10万円」

屋根のカバー工法の工事費用は、「120~170万円」です。

一方、屋根の葺き替えは130~180万円ですから、カバー工法のほうが約10万円安くなる計算になります。

カバー工法で安くなる金額は「1,300円×施工面積」

カバー工法で省略できる作業は、「既存の屋根材の撤去」です。
この分の作業費が不要になるぶん、安くなります。

屋根材の撤去費用の相場は、「1㎡あたり1,300円」前後です。
一般的な、30坪・屋根面積80㎡の住宅であれば、葺き替えではなくカバー工法を選ぶことで、10万4,000円リフォーム費用が安くなります

「屋根工事の費用」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「屋根修理の費用相場はいくら?雨漏り、台風、瓦の修繕…部位・トラブル別に全解説」
>>「屋根の葺き替えはどんな工事?工事費用の相場や内訳、補助金制度を解説」

10万円の節約を選ぶか、安心を選ぶか

本章では、カバー工法を選択することで費用面では「約10万円」安くなることがわかりました。
一方でカバー工法には、住宅の下地を直せない・チェックできないというリスクもありました。

カバー工法を選ぶかどうかの分かれ目は、10万円の節約をとるか、建物を根本から修理できる安心をとるかである、と言えそうです。

アスベスト使用の屋根なら節約額はもっと大きくなる

「アスベスト(石綿)」が使われている屋根の場合、通常の撤去費用に加えて特殊作業料(20万円以上)がかかります。しかし、カバー工法を選べば撤去作業なしで屋根リフォームができるので、葺き替えに比べて節約できる額がより大きくなります。「カバー工法のメリット」の章で解説します。

カバー工法、私の家だといくら?

カバー工法のメリット

「カバー工法」と「葺き替え」の違いについて、費用面以外も含めてもっと詳しく見ていきましょう。
まずは「重ね張りする」「解体・撤去作業がない」ことで、カバー工法に生まれるメリットを分析します。

メリット① 工事費用が安い

前述のとおり、工程が少ないことで作業人件費が抑えられ、リフォーム費用の総額も安くなります。 節約できる金額は、平均的な大きさの住宅の場合約10万円です。

メリット② 工期が短い

工程が少ないことで工期も圧縮でき、リフォームが早く終わります。
短縮できる日数は約3日間が目安です。

参考:屋根工事の種類と標準的な施工日数

  • 屋根の葺き替え:6~8日間
  • 屋根のカバー工法:5日間
※建築工事研究会『積算資料ポケット版 リフォーム編2021』一般財団法人経済調査会, 2020 より

メリット③ アスベストの処理費用が不要

現在は禁止されている原料の「アスベスト」を含む屋根を葺き替えでリフォームする場合、アスベストを含まない場合に比べて20~50万円の追加費用がかかります。

追加費用がかかる理由は、撤去作業時にアスベストの粉塵を抑える特殊な対策が必要なためです。
しかしカバー工法を選べば、撤去作業がなくアスベストが飛散するおそれがないため、アスベスト入りの建材でも、追加費用を発生させずにリフォームすることができます。

アスベストが含まれている可能性のある素材は?

  • 【屋根材】スレート(カラーベスト、コロニアル)
  • 【外壁材】石綿含有金属系サイディング、繊維強化セメント板
  • いずれの場合も、2005年「以降」に建てた家であれば問題なし

アスベスト繊維には人体への有害性が指摘されており、2004年に使用や製造が法令で禁止されました。最終的な判断は、ハウスメーカーに問い合わせるか、国交省・経産省が作成した石綿含有建材データベースで確認をおすすめします。

「アスベストのリスクと対処」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「アスベスト含有住宅の見分け方3つを徹底解説!リスクや除去方法まで知っておこう」

メリット④ 家の断熱性・遮音性が上がる

カバー工法をした屋根は、古い部分と新しい部分の二層構造になるため、屋外の「暑さ・寒さ」や「雨音」などが室内に伝わりにくくなる効果が期待できます。
ただし、本格的な断熱工事や遮音工事に比べると、効果はごく少ないでしょう。

カバー工法、私の家だといくら?

カバー工法のデメリット

続いて、「重ね張りする」「解体・撤去作業がない」ことで発生するデメリットを分析します。

デメリット① 下地が直らない、チェックできない

カバー工法は、新しい屋根材をかぶせるだけの工事なので、既存部分のキズや経年劣化が直せるわけではありません。
例えば、もし屋根の下地が腐り始めていた場合、カバー工法完了後も劣化が進行し続けてしまいます。

デメリット② 以後の修理やリフォームが高額になる場合がある

もしもカバー工法後に雨漏りなどが起こって屋根工事が必要になった場合は、修理や再リフォームの金額は通常よりも高くなります。
なぜならば、屋根や通常よりも一層多く重なっているわけですから、修理箇所である下地や躯体までが遠く、剥がす工賃が余計にかかるからです。

デメリット③ 耐震性が下がる

カバー工法後は、新しい屋根材で覆われる分、家の重量が増えます。 そのため、建物にかかる負荷が増し、耐震性も下がります。

デメリット④ 新しい素材が金属系に限られる

前項の「耐震性が下がる」ことの対策として、家の重量増加を耐震面で問題のない範囲に抑えるため、最大限軽量な素材を使用する必要があります。

一般的な素材のなかでは金属系ものが圧倒的に軽いため、カバー工法時につかえる素材も、「ガルバリウム鋼板」や「アルミ」など金属系ほぼ一択になります。

「ガルバリウム鋼板」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「【入門】ガルバリウム鋼板の全知識を公開!特徴・価格・勾配・選び方」

デメリット⑤ 瓦屋根には施工出来ない

既存部分に新しい素材を重ねて張りつけるという特性上、表面が波打っていて、固くて釘が通らない瓦屋根には、原則的にカバー工法が施工できません。

デメリット⑥ 火災保険が下りない

火災保険の保険金は、風災や雪災で受けた損傷を「元の状態へ戻す工事」に対して下りるのが原則です。
そのため、新しい層が増えるカバー工法は、「元に戻す工事」ではないと判断され、保険金はまず下りないでしょう。

「火災保険を使った修理方法」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「火災保険のトラブルで屋根修理に失敗しない方法」


ここまで挙げてきたメリット・デメリットをもとに、「カバー工法」と「葺き替え」を比較すると以下のようになります。

カバー工法と葺き替えのコストや効果の比較
比較項目 カバー工法 葺き替え
施工費用 安い 高い
工期 短い 長い
アスベスト処理費用 かからない かかる
断熱性・遮音性 上がる 影響なし
劣化部分 直せない 直せる
次の工事の費用 高くなる 影響なし
耐震性 下がる 影響なし
新しい素材の選択肢 金属系のみ 自由
瓦屋根への施工 不可能 可能
火災保険 まず下りない 条件次第で下りる

カバー工法、私の家だといくら?

カバー工法がおすすめできる場合、できない場合

メリット・デメリットの両面を検討した結果、屋根のリフォーム方法に「カバー工法を選ぶのが妥当である場合」と、「カバー工法を選ぶことのリスクが大きい場合」は以下のようになりました。

カバー工法がおすすめな場合

以下に当てはまる場合は、カバー工法がもっとも合理的な工事方法になります。

費用の安さを重視する

どうしてもリフォーム工事をする必要があるが、葺き替えができるほど予算がない場合や、工事費用の安さを最重要視する方には、カバー工法が最適です。

アスベストが住宅に含まれている

今の屋根材にアスベストが含まれていて、割り増し撤去費用が支払えない場合も、撤去費用自体がなくせるカバー工法が最適となります。

10~15年以内に、家を転居・解体する予定である

カバー工法には、以後の工事費用の増大のリスクがありますが、10~15年以内に住まなくなる予定の建物であれば、それまでに再度メンテナンスをする可能性は低いでしょう。
住まなくなるまでの残りの期間だけ家がもてばいいのであえれば、カバー工法を選ぶのも合理的です。

カバー工法を選ぶべきでない場合

以下に当てはまる場合は、カバー工法ではリスクが大きいため、葺き替えで屋根リフォームするほうがオススメです。

屋根から雨漏りを起こしたことがある

過去に屋根からの雨漏りを起こしたことのある家は、屋根下地や躯体に傷みが発生していると考えらます。
そのような屋根をカバー工法でリフォームすると、気づかないうちに内部で腐食等が進行するおそれが増すため、おすすめできません。

同じ理由で、雨漏りの修理方法としてもカバー工法は避けるべきです。

将来的に増改築などの工事予定がある

カバー工法後に別の工事をすることになった場合、分厚くなった部分を剥がすのに余計な費用がかかってしまいます。

地震でよく揺れる家である

カバー工法では、多少なりとも家の重量の増加が発生し、耐震性の低下が起こります。
地震のたびによく揺れる、揺れに敏感な家族がいる場合などでは、カバー工法はおすすめできません。

屋根にスレートや瓦を使いたい

カバー工法では、使用できるのが金属系の建材に限られてしまいます。
そのため、希望する屋根材が決まっていて、それが金属系以外のものである方は、カバー工法では希望が叶いづらいため、向いていません。

カバー工法、私の家だといくら?

カバー工法を勧めてくる業者の本音と、その対策

ここまでの解説で、あなたにカバー工法が向いているか、他の工事方法のほうが向いているかが、ご判断いただけたでしょうか?

どちらの場合でも、今接触している業者に決めるのはまだ早すぎるかもしれません。 というのも、カバー工法ばかりをプッシュする業者は、あまり顧客のことを考えていないと考えられるからです。

カバー工法は業者にとって得が多い工事

実はカバー工法は、リフォーム業者、なかでも板金業者にとっては非常に「おいしい」工事なのです。理由は以下のとおりです。

工期が短く、回転率が上げられる

カバー工法のメリットに工事日数の短さを挙げましたが、これは業者にとっても「施工の回転率が良い」という旨味があります。

前述の工事金額を日数で割って1日あたりの売り上げ額を計算すると、屋根のカバー工法は「30~36万円」です。
対して屋根葺き替えの場合は「20~33万円」ですから、業者にとってはカバー工法を勧めるほうが1日あたりの売上た高くて得ということになります。

金属系素材のほうが、利益率が高い

カバー工法で使えるのは金属系の屋根材に限られるとご説明しました。
屋根工事業者のうち「板金業者」にとっては、この金属系の建材が専門で、利益率も高い主力商品なのです。

板金業者にとっては、金属系以外の屋根材も選択肢に入る葺き替えを選ばれると、高利益率商品を売り逃す可能性が生まれます
そのため、カバー工法が一番うれしい工事なのです。

カバー工法を強く勧めるのは「顧客より利益が優先」な疑いあり

このように、カバー工法は業者にとっても都合の良い工事だという本音が分かりました。

もしあなたがやりとりをしている業者が、あなたに、カバー工法のデメリットをほとんど説明しなかったり、葺き替えという選択肢を示さなかった場合、その業者は顧客の利便性よりも自社の都合を優先する要注意業者である可能性があります。

そのような業者が提示する見積もり金額や、工事の品質が信用できるでしょうか?

悪い業者にひっかからないための対策

業者の提示した見積り金額に不安が残る場合は、どうすればよいのでしょうか?

「相見積もり」でセカンドオピニオンをとる

誰でも実践可能な対策として、見積もりを複数の業者からとることがあります。

リフォームは、定価というものが存在しない商品です。
同じ工事でも、家の大きさや使う建材によって費用がバラバラになるため、他人の場合があまりアテに出来ません。

そのため、適正金額をつかむためにも、最低3社からは見積もりを取り、提示金額や接客品質を比べることを強く推奨します。

相手が悪徳業者でなくてもメリットあり

同じリフォーム工事でも業者によって費用がバラバラなのは、悪徳業者が関わっていなくても同じです。
業者によって、得意とする工事や、安く使える建材は、どうしても違うものです。

そのため、見積もりを複数とらずに契約業者を決めてしまうのは、損をする可能性が高いといえます。

「心あたりの業者がそんなにない」場合は…

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以上、本記事の解説があなたの屋根リフォームのお役に立ちましたら幸いです。

「屋根修理の悪徳業者」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「屋根修理で詐欺にあわない!危険な業者を見抜く4つの方法」

▼書籍
建築工事研究会『積算資料ポケット版 リフォーム編 2021年度版』一般社団法人経済調査会 2019 菊池克弘『住宅リフォーム重要事項32選』都市環境建設 2015

▼インターネット
厚生労働省「アスベスト(石綿)に関するQ&A」
株式会社エスポワール「外壁アスベストについて」

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