- 断熱リフォームは天井断熱、屋根の断熱、壁断熱、床断熱、窓のリフォームの5種類
- 室温が外気に影響を受けにくくなる、冷暖房が効きやすくなるなどのメリットがある
- 費用を少しでも抑えるためには、補助金・減税制度を活用しよう
【関連記事】
>>リフォームの費用相場
あなたのお家
リフォームするといくら?
断熱リフォームの総額の目安
続いては、一戸建て住宅/マンション全体のリフォームを行った場合の、目安費用について解説します。
一戸建て住宅|350万円~550万円
戸建て住宅の場合はマンションと違い制約がないので、屋根や天井といった多くの箇所の工事をすることができます。一般的な広さの一戸建て住宅で全ての箇所の断熱リフォームを行った場合は、350万円~500万円で工事をされる方が多いです。
また、断熱リフォームと同時に内装や外装の解体工事も同時に行えます。大規模なリフォームを考えている方は、並行して検討してみるのも良いでしょう。
▼内装・外壁についてはこちらで詳しく解説しています。
>>内装リフォーム前に知ってほしい費用相場と5つのポイント│ヌリカエ
マンション|120万円~500万円
マンションは、コンクリートで作られた壁や天井といった共用部分は個人でのリフォームはできません。玄関の内側からサッシの内側までの専有部分に限定されます。具体的には、床断熱、室内壁の断熱、天井断熱、内窓の取り付けです。4つすべて行った場合は、120万円~500万円とかなり開きがあります。
また、解体した内装材を新しく交換する場合には、別途100万円近く費用が発生するので注意してください。
▼断熱目的に限らず、マンション全体のリフォームを考えている方は、こちらの記事も参考になりますよ
>>マンションのリフォームにかかる費用を築年数別に紹介|事例や流れも│ヌリカエ
仮住まいが必要になる場合も
断熱リフォームは、壁を壊す、床や天井の張替えなど大掛かりなものがほとんどです。工事期間は1ヶ月ほどかかるため、その間は仮住まいが必要になります。1ヶ月でおよそ80万円ほど必要です。
敷金・礼金
仲介手数料
引っ越し代
ハウスクリーニング代
その一方で、住みながらできる断熱リフォームもあります。部屋の内側や床下から断熱材を施工する方法です。一般的な断熱リフォームと異なり室内側から工事を行うため、床や壁を剝がさずに済みます。そのため、解体に伴う廃材もなく、2~3日で工事が完了するので仮住まいをする必要がありません。
断熱リフォームの種類と費用
断熱リフォームの費用相場は、次の通りです。
断熱リフォームの種類 | 費用相場 | 工期の目安 |
---|---|---|
天井断熱施工 | 15万〜90万円 | 2~4日 |
屋根の断熱 | 40万〜250万円 | 8~30日 |
壁断熱施工 | 180万~300万円 | 2週間~1カ月 |
床断熱施工 | 20万〜100万円 | 1~6日 |
窓のリフォーム | 5万〜60万円(1箇所) | 1~2日 |
それぞれのリフォームの特徴と費用について詳しく見ていきましょう。
天井断熱施工:15万〜90万円
天井の断熱リフォームは、「敷込み工法」と「吹込み工法」の2種類あり、それぞれ特徴があります。「敷込み工法」は天井裏に断熱材を敷設するタイプで、「吹込み工法」は天井裏に綿状の断熱材を吹き込むタイプです。
そんな天井の断熱リフォームにかかる費用は、天井を剥がす場合と剥がさない場合や施工方法、断熱材の種類によって異なります。天井を剥がしての施工は約40~90万円かかりますが、剥がさずに施工する場合、約15~50万円と比較的安めです。
施工にかかる費用は、敷込み工法よりも、吹込み工法の方が高いです。断熱材は繊維系と発泡プラスチック系といった種類があり、繊維系は価格が安いため、リフォームを低コストに抑えられます。
屋根の断熱:40万〜250万円
屋根の断熱リフォームは、施工方法で費用に倍以上の差があります。
- 断熱塗料を屋根に塗装:平方メートルあたり約4,000~6,000円
- 断熱性の高い屋根材に葺き替える:約50~250万円
- 屋根のカバー工法による断熱:約80~180万円
- 屋根の裏側に断熱材を充填:約15~50万円
大きく分けて、屋根の外側を断熱補強する方法と屋根の内側から断熱補強する方法があるため、費用面などを考えてどちらかを選択しましょう。
▼屋根リフォーム全般でお悩みの方はこちらの記事も参考になりますよ。
>>屋根リフォームは7種類!リフォーム内容、費用相場、日数、業者選び…全て解説します│ヌリカエ
壁断熱施工:180万~300万円
壁断熱施工は、繊維系と発泡プラスチック系の2種類の断熱材があり、発泡プラスチック系断熱材は、繊維系と比較すると高額です。壁に断熱材を入れる際は、壁の解体や補修、下地貼りなど必要になるため、トータルの費用は1平方メートルあたり7,000円~15,000円程度になります。
室内側に断熱材を充填する方法や外壁すべてを断熱性能を持つ素材に張り替える工法であれば、一戸建ての場合、180万円~300万円程度かかるでしょう。
床断熱施工:20万〜100万円
床断熱施工は、床材を剥がさずに施工されることが多く、その場合にかかる費用は20~30万円程度です。巾木・フローリング・根太の撤去や巾木取り付けなどが行われる床を剥がしてから断熱材と新しい床材を取り付ける方法の場合、70~100万円程度が目安になります。 費用をかけたくない人は、床材を剥がさずに施工するタイプを選び、コストを抑えましょう。
窓のリフォーム:5万〜60万円(1箇所)
窓を断熱化するリフォームには、さまざまな方法があり、それぞれ費用相場が異なります。
- 1.内窓・二重窓の後付け:8~15万円程度
- 2.樹脂サッシへの交換(サッシ枠のみ):5万円程度
- 3.樹脂サッシへの交換(窓周囲の壁も施工):25~60万円程度
- 4.ペアガラスへの交換:5~15万円程度
- 5.窓全体の交換:10~50万円程度
窓の断熱性を確保すれば、快適な室温を保て、冷暖房の使い過ぎを防止し、光熱費削減にも貢献できます。また窓のリフォームの他のリフォームに比べると、全体的に価格は高くありません。
断熱リフォームの効果
断熱リフォームをするにはかなりの費用がかかりますが、一見して効果がみえにくいのは不安なところです。
断熱リフォームをすることで、具体的にどんな効果が期待できるのでしょうか。結論、以下の通りです。
夏の暑さ・冬の寒さが改善する
光熱費が節約できる
健康が維持できる
夏の暑さ・冬の寒さが改善する
断熱リフォームの1つ目の効果は「暑さ・寒さが改善する」です。より正確に言うと、外気温の影響を受けにくくなります。
特に冷え込む冬場の朝などは、「暖房をつけていても効きが悪い」「足元から底冷えする」といった経験がある方も多いのではないでしょうか。
断熱リフォームをすると外から冷たい空気が入ってきにくくなるため、外が寒くても家の中まで冷え込みにくくなるのです。
光熱費が節約できる
「光熱費が節約できる」ことも断熱リフォームにより期待できる効果です。断熱リフォームをすることで外気が入ってきにくくなることをご紹介しましたが、言い換えれば「温めた空気が逃げにくい」ともいえます。冷暖房の効率が上がるため、リフォーム後は光熱費が安くなる場合も。
とりわけ、光熱費の節約効果が得やすいのは「窓の断熱リフォーム」です。環境省の資料によると、家からもっとも熱を逃がしてしまうのは「窓などの開口部から」だということがわかっています。換気よりも割合が大きいのは驚きです。
つまり、家から温かい空気を逃がしたくなければ窓の断熱性を上げるのが手っ取り早いというわけです。
健康が維持できる
断熱リフォームをすることで、場合によっては健康が維持できることもあります。
そもそも断熱性の低い家に住んでいることによる健康リスクは2つあります。
- 部屋間の温度差によるヒートショック
- カビによるアレルギーや病気
ヒートショックとは、ざっくりと言うと「温かい部屋から寒い部屋へ移動したときの温度差によって、体に負担がかかる症状」のことをいいます。断熱性の低い家は暖房を効かせている部屋と、そうでない部屋とで温度差が大きくなるため、ヒートショックによるめまいや立ちくらみのリスクが高くなるのです。
また、断熱性の低い家は「結露がつきやすい」という特徴も。結露をそのままにしているとカビの原因になり、ゆくゆくはアレルギーや病気にもつながります。
断熱リフォームで上記の2点を解消すれば、健康維持にも効果を発揮するでしょう。
断熱リフォームの補助金・減税制度
リフォーム費用を少しでも抑えるために、補助金や減税制度を賢く活用しましょう。
補助金制度|次世代省エネ建材の実証支援事業
2022年8月現在、断熱リフォームを行った場合は、「次世代省エネ建材の実証支援事業」という制度の補助金が申請できます。この事業は、次世代省エネ建材を使ったリフォームを支援する制度です。住宅の省エネリフォームを促進するため、高性能な断熱材や窓を使い、断熱改修を支援する制度です。
補助対象の必須建材は、断熱パネル改修または潜熱蓄熱建材施工のいずれかを、室内側から導入し改修する必要があります。
戸建て住宅一戸あたりの上限 | 200万円 |
---|---|
集合住宅一戸あたりの上限 | 125万円 |
▼断熱リフォームの補助金制度については、こちらの記事で詳しく解説しています。
>>断熱リフォーム補助金を受ける条件とは?申請時の注意点も│ヌリカエ
補助金制度|既存住宅における断熱リフォーム支援事業
「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」は、断熱性の高い建材の使用、かつ一定の省エネ向上が見込めるリフォームに適用されます。2022年6月からは、集合住宅の部分的な断熱リフォームや窓の改修など、補助対象が拡大されました。
戸建て住宅一戸あたりの上限 | 120万円 |
---|---|
集合住宅一戸あたりの上限 | 15万円 |
減税制度|住宅特定改修特別税額控除
省エネ改修工事をして、「住宅特定改修特別税額控除」を受けたい人は、確定申告が必要です。住宅特定改修特別税額控除は、工事の標準的な費用の額10%と定められています。期間や所得などを適用要件にしているため、控除を受けたい人は事前に確認しておきましょう。
▼リフォーム後の確定申告で受けられる減税制度について知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
>>リフォーム後の確定申告で減税される?工事内容や手続き方法を解説!│ヌリカエ
断熱リフォームの費用相場のまとめ
断熱リフォームは、種類によって費用相場が異なります。安ければ数万円程度ですが、高い場合、250万円程度かかるときもあるでしょう。
そんな断熱リフォームは、室温の外気からの影響が小さくなり、冷暖房が効きやすく光熱費の節約につながることです。家族の健康を守れることもポイントです。
断熱リフォームを成功させるコツは、実績のある業者にリフォームを依頼し、別の箇所のリフォームも一緒に行うことです。適用可能であれば、補助金の申請も行いましょう。快適な暮らしのために、断熱リフォームしてみませんか。