持ち家をリフォームした場合、翌年に確定申告をすることで税控除を受けられる可能性があります。
本記事では「リフォームで税還付が受けられるかも」という話を聞いたことがある方を対象に、
- リフォーム減税制度の種類と条件・減税額
- 確定申告の方法やタイミング
などを、ファイナンシャル・プランニング技能士の資格をもつ執筆者が解説します。
最後までお読みいただくことで、税金に詳しくない方でも自分が減税措置を受けることができるのか、受けられる場合は何をすればいくら返ってくるのかが分かるようになります。
ぜひお役立てください。
- リフォーム後に確定申告をすることで所得税・固定資産税・贈与税の控除を受けられる可能性がある
- 確定申告の時期はリフォームが完了をした翌年の2月16日から3月15日まで
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監修者:FP技能士 サワサキ カツヒコ
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士試験 合格(ともに令和4年度)。
▼略歴・プロフィール |
リフォーム後に確定申告することで使える減税制度
フォーム時に使える所得税の減税は以下の4つがあり、それぞれ条件や減税額が以下のように異なります。
▼リフォーム時に使える減税制度と減税額
以下ではそれぞれの制度の要件を含め簡単に解説していきます。
制度① 住宅ローン減税
住宅ローン減税は、一般的には住宅購入をする際に利用される制度ですが、規模の大きいリフォームでも利用できます。
年末時点の住宅ローン残高(上限2,000万円)の0.7%が翌年の所得税から控除されますので1年間の最大控除額は14万円。よって、10年間の最大控除額は140万円です。制度② ローン型減税
ローン型減税はローンの返済期間が5年以上で小・中規模のリフォームに向いています。
ローン型減税の内容は、下の(1)(2)の合計額または「控除限度額」のいずれか少ない額が、改修後その家に入居した年から5年間、所得税から控除されます。
- (1)借り入れたローンのうち、対象リフォームの工事費用(限度額250万円/補助金を除く)分の2%
- (2)借り入れたローンのうち、対象リフォーム以外の工事費用相当分(限度額は(1)と合わせて1000万円)の年末ローン残高の1%
ただし、各年の所得税額より控除額が多い場合は、所得税額が上限となります。
年間控除額の上限は12万5,000円(消費税10%の場合。5年間で最高62万5,000円)です。
制度③ 固定資産税の減額
特定のリフォーム工事完了後3か月以内にお住いの市区町村に申告することで、1年分の固定資産税が減額されます。
対象となるリフォーム工事内容と減税額は以下の表のとおりです。
リフォーム内容 | 減税額 |
---|---|
耐震リフォーム | 翌年の固定資産税の1/2 |
バリアフリーリフォーム | 翌年の固定資産税の1/3 |
省エネリフォーム | 翌年の固定資産税の1/3 |
長期優良住宅化リフォーム | 翌年の固定資産税の2/3 |
また、固定資産税の減税措置は、ここまでご紹介した「住宅ローン減税」「ローン型減税」とも併用が可能です。
制度④ 贈与税の非課税措置
リフォーム資金を親などから援助してもらう場合、通常は贈与税の納付が必要です。
ただしリフォーム工事が以下の条件を満たす場合、援助金額が500万~1,000万円までであれば贈与税が非課税となります。
- 自ら所有し居住する住宅であること
- リフォーム後の床面積が50㎡~240㎡
- 工事費用が100万円を超える
- 贈与を受ける人の所得が2,000万円以下
非課税限度額の決まり方
- 住宅の耐熱性能等級が4以上もしくは一時エネルギー消費量等級が4以上である
- 耐震等級が2以上もしくは免震建築物である
- 高齢者等配慮対策等級が3以上である
贈与をうけても贈与税がかからない金額には、住宅の性能によって「500万円」か「1,000万円」の2通りの限度額があります。
リフォームをする住宅が「耐熱性能等級4以上」「一時エネルギ消費量等級4以上」「耐震等級2以上」「免震建築物」「高齢者等配慮対策等級3以上」のいずれかに当てはまる場合は限度額は1,000万円、ひとつも当てはまらない場合は限度額500万円となります。
詳細な要件や必要書類はこちらを参考にしてください。>>住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置|国土交通省
確定申告で減税が受けられるリフォーム工事は?
以下の5つの内いずれかのリフォームを行った際に所得税の減税措置を受けることができます。
- 耐震リフォーム
- バリアフリーリフォーム
- 省エネリフォーム
- 同居対応リフォーム
- 長期優良住宅化リフォーム
それぞれのリフォームにはどのような工事が当てはまるか、条件を解説していきます。
耐震リフォーム
耐震リフォームとは、地震に耐えられる住宅となるよう、補強を行うリフォーム工事を指します。住宅ローン減税・投資型減税では減税対象ですが、ローン型減税では減税対象とならないため注意が必要です。
具体的には以下のような工事が耐震リフォームに当てはまります。
- 柱の間に筋交いを追加
- 壁への耐震改修パネル増設
- 軽量化をともなう屋根葺き替え
- 土台や柱の補強
- 外壁や土台のひび割れ補修 等
耐震リフォームについて、詳しくはこちらを参考にしてください。
>>耐震改修に関する特例措置|国土交通省
バリアフリー化リフォーム
介護が必要な方が暮らしやすくなるような住宅リフォームも減税の対象になります。
要支援・要介護の認定を受けている人が居住していることが要件です。具体的には以下のような工事がバリアフリーリフォームに当てはまります。
- 手すりの取り付け
- 段差の解消
- 床または通路面の材料の変更
- 引き戸などへの扉の取り替え
- 洋式便器への取り替え 等
バリアフリーリフォームについて、詳しくはこちらを参考にしてください。
>>バリアフリー改修に関する特例措置||国土交通省
また、税金控除の他にも介護保険による補助金を利用できる場合もあります。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
>>介護保険の補助金制度が使えるリフォーム工事内容と必要な申請を解説
省エネリフォーム
住宅の性能を向上させたり、設備の導入によって省エネ化ができるようなリフォームも減税の対象です。
具体的には以下のような工事が省エネリフォームに当てはまります。
- 壁・床・天井・窓の断熱リフォーム
- 太陽光発電システム導入
- 太陽熱利用システムの導入
- 高効率エアコンの設置 等
省エネリフォームについて、詳しくはこちらを参考にしてください。
>>省エネ住宅を学ぼう|環境省
同居対応リフォーム
同居対応リフォームとは、親・子・孫の3世代が同じ家で暮らしやすくなるようなリフォーム工事のことを指します。そのため、リフォーム対象は自分の居住用の家であることが要件です。
具体的には以下のような工事が同居対応リフォームに当てはまります。
- キッチンの増設
- 浴室の増設
- トイレの増設
- 玄関の増設 等
キッチン・浴室・トイレ・玄関のうち2か所以上が複数個になることが、減税を受ける条件です。
リフォームについて、詳しくはこちらを参考にしてください。
>>同居対応リフォームに関する特例措置|国土交通省
長期優良住宅化リフォーム
長期優良住宅化リフォームとは、構造や設備、環境面など様々な観点で将来にわたって長く住み続けられるような住宅にするためのリフォームのことを指します。
具体的には以下のような工事が長期優良住宅化リフォームに当てはまります。
- 壁・床・天井・窓の断熱化リフォーム
- 土台の防腐処理
- 床下をコンクリートで覆う工事
長期優良住宅化リフォームについて、詳しくはこちらを参考にしてください。
>>長期優良住宅化リフォーム推進事業|国土交通省
リフォーム確定申告の手順と必要書類
その年の所得金額を元に納税額を計算して、納税するまでの一連の手続きのことを言います。
ここで言う所得には「給与所得」も含まれるため、会社に勤めている人も確定申告の対象ですが、ほとんどの場合は会社が年末調整という形で手続きをしているため、多くの人にとって確定申告はなじみの薄いものなのではないでしょうか。
以下ではリフォーム後に減税制度を利用するための確定申告は、具体的にいつ、どこで、何をすればいいのかについて簡単にご紹介します。
リフォーム後の確定申告のやり方
リフォーム後の確定申告はいつ行う?
1月1日~12月31日分の間に行ったリフォームについて、翌年の2月16日~3月15日に申告します。年をまたいだリフォームを行った場合は、工事契約書に記載されている日付が基準となります。
万が一リフォーム翌年に確定申告を忘れてしまった場合でも、5年以内であればさかのぼっての申請が可能です。
リフォーム後の確定申告はどこで行う?
必要書類をそろえて税務署にて提出します。確定申告書の作成までは自宅で行うことが可能です。
納税は普段と変わらず税務署や金融機関をはじめ、ATMやネットからの振り込みなどの方法があります。
リフォーム後の確定申告では何をする?
確定申告とは、具体的には以下のようなことを行います。
- 必要書類を用意する
- 確定申告書を作成する
- 税務署に確定申告書を提出する
- 税金を納付する。もしくは還付を受ける
リフォーム後の確定申告に必要な書類
リフォーム後に所得税の減税制度を利用するために、必要な書類は以下の通りです。
控除額の計算明細書
自宅の住居割合や居住開始日、住宅ローン残高などを記入する書類です。税務署もしくは国税庁のホームページから取得することができます。書類作成にあたっては確定申告書等作成コーナーの利用が便利です。
借入金の年末残高等証明書
所得税の減税額は年末時点でのローン残高をもとに計算されます。そのため、必要になるのが「借入金の年末残高等証明書」です。
借入金の年末残高等証明書は ローンを借り入れ中の金融機関から年に1回送付されてきますので、基本的には取得申請などは必要ありません。なお、フラット35を利用する方は住宅金融支援機構から送付されます。
登記簿
リフォームで使える減税制度には床面積の要件がありますので、証明するために登記簿が必要となります。
登記簿は法務局の窓口、またはオンラインにて申請が可能です。
増改築等工事証明書
減税制度の要件を満たすリフォーム工事を行ったことを証明する書類です。工事を請け負ったリフォーム会社に発行してもらいます。
源泉徴収票
所得を計算するために源泉徴収票も必要です。会社員の場合は担当部署から配布されますので申請等は必要ありません。
その他
上記以外にマイナンバーカード(通知カード)、運転免許証やパスポートなどの身分証明書、印鑑が必要となります。
リフォームの確定申告や減税に関するQ&A
リフォーム控除について理解を深めるために、よくある疑問とその回答を知っておきましょう。
- 1.戸建ての名義人とリフォームローンの名義人が違っても控除は受けられる?
- 2.200万円の200万円の200万円のリフォーム費用なら現金支払いと住宅ローン控除受けるのはどちらが得?
- 3.戸建ての名義人とリフォームローンの名義人が違っても控除は受けられる?200万円の6年前にリフォームをしたが控除はさかのぼって受けられる?
疑問は些細なことでも解消しておくことが大切であり、細部まで理解を深めることで、よりスムーズに控除が利用しやすくなります。
戸建ての名義人とリフォームローンの名義人が違っても控除は受けられる?
住宅ローンの控除を受けるには、戸建ての名義人と住宅ローンの名義人は同じでなければなりません。ローン控除が適用されるのは、自分名義の建物に限定されるため、この点には注意しましょう。
また、名義が違っていると控除が受けられないだけではなく、贈与とみなされ場合によっては贈与税の課税対象になる可能性もあります。
200万円のリフォーム費用なら現金支払いと住宅ローン控除受けるのはどちらが得?
リフォームにかかる費用が200万円の場合は、住宅ローンを利用するよりも現金で支払ってしまったほうがお得です。控除を使うことで所得税の減税はできますが、ローンを借りると金利分の支払いが増えます。
また、借り入れ額が少ないと控除額も小さくなるため、少額のリフォームなら現金払いのほうがよいでしょう。特にローンの申請には時間と手間がかかり、申請書類の作成にも費用がかかるため、これらを考慮すると現金払いがお得です。
6年前にリフォームをしたが控除はさかのぼって受けられる?
ローン控除の適用が可能なのは、確定申告の義務がない人で、申告できる自由が発生した翌年の始めから5年間です。つまり、ローン控除の請求ができる状態になった翌年から5年間のため、6年前のリフォームならぎりぎり還付請求できる場合があります。
ただし、確定申告の義務がある人については、1年以内の還付となるため、6年前のリフォームの控除をさかのぼって受けることはできません。また、サラリーマンでも年収1,000万円以上など、個人での確定申告が必要な人も数年前にさかのぼっては受けられないため注意しましょう。
リフォーム後は確定申告をして減税制度を活用しよう
上記のように税金の控除や減免制度は選択制で、申請期限もあるので、早めに自分で国税庁や国土交通省のHPを確認することが大切です。
同時にパートナーとなるリフォーム会社と相談をしながら手続きをすすめることも大切です。税金の手続きには「増改築等工事証明書」の発行が必要になり、これは、建築士が在籍しているリフォーム会社しか対応できないので、建築士が在籍のところか必ず確認しましょう。建築士がいない会社に依頼をすると、別途建築士事務所や指定の検査機関に証明書発行依頼をする必要があります。
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