窯業系(ようぎょうけい)サイディングとは、国内の新築住宅で最も多く使われている外壁材です。しかし、「窯業系サイディングを勧められたがメリットが分からない」「他のサイディング材との違いが分からない」といった方も多いのではないでしょうか。
本記事では
・窯業系サイディングのメリット・デメリット
・窯業系サイディングのデザイン・費用相場
・他サイディング材との違い
を中心にご紹介します。
- ・日本の外壁材は約8割が窯業系サイディング
- ・コストパフォーマンスが高く、初期費用が手頃なのが人気の理由!
- ・木目調、レンガ調、タイル柄などデザインが豊富
監修者:外壁劣化診断士 小林 成光
600件以上の現地調査を実施する過程で得た専門性を生かし、日本発のネット見積もりシステムでビジネスモデル特許を取得。ヌリカエにて、外装工事の専門家として、顧客・加盟企業のサポート・コラムの監修に従事。
▼略歴・プロフィール |
窯業系サイディングとは?
窯業(ようぎょう)系サイディングとは、セメントと木材繊維などを薄い板状に加工した外壁材です。サイディングの製造過程で窯の中で高熱処理されるため、「窯業系」と呼ばれています。窯業系サイディングは、安価でデザインが豊富であり、耐震性や耐火性にも優れた機能性を持っています。
窯業系サイディングの施工は、モルタルのように現場でイチから作り上げる素材は違い、工場で一定規格に加工されたボードを現場で組み立てるだけ済みます。
また、窯業系サイディングは「塗装仕上げ」と現場で塗装される「無塗装板」に分けることができます。ただし、ボード自体は工場で生産されているため、品質が安定しており大量生産が可能です。
これにより、「材料費・施工費ともに安い」「色や柄の種類が豊富」という特徴があります。
「外壁のデザイン」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「外壁デザインのおすすめパターンを写真付き解説!色の選び方も詳しく紹介」
窯業系サイディングのメリットは?
その中でも窯業系サイディングは外壁材全体でシェア率78.5%を誇り、非常に多くの方に選ばれています。なぜ窯業系サイディングが最も選ばれているのか、そのメリットをご紹介します。
①初期費用が抑えられる
窯業系サイディングのメリットとして、他のサイディング材と比較すると初期費用が安く抑えられることが挙げられます。
平均的な30坪の住宅の場合、160〜250万円でリフォームが可能です。費用が安いことの理由として、1つ目は、ボード自体は工場で大量生産されていること2つ目は施工が簡単であるため人件費が抑えられるためです。
②耐火性に優れている
窯業系サイディングは、防火外壁材と言われるほど耐火性に優れています。住宅がどの程度火に強いかを示す「耐火等級」で、火災による火熱を遮る時間の長さが45分~60分といった3~4級の窯業系サイディング製品が多く流通しています。
③デザイン・カラーバリエーションが豊富
窯業系サイディングは大変デザインの自由度が高いです。
洋風、和風、モダンなどのテイストはもちろん、上記で紹介した木目調、レンガ調、石柄、タイル柄、ストライプ柄などデザインバリエーションから選べます。
④施工が簡単
メーカーで生産されたサイディングボードという板を外壁の大きさにカットして貼り付けていく施工方法なので、塗り壁と比べてほとんど職人の技術力に頼ることなく施工できます。
窯業系サイディングにリフォームする場合、「張り替え」なら10~18日程度、「カバー工法」なら7日~14日程度で完成します。
張り替えとは、既存の外壁材を撤去してサイディングに張り替える方法で、カバー工法とは、既存の外壁材はそのままに上からサイディングを貼り付けていく方法です。
窯業系サイディングは重量があるため、建物に負担をかけてしまうカバー工法はあまり適していません。もしカバー工法でリフォームをする予定でしたら、サイディングの中でも重量が軽く負担をかけにくい金属系サイディングの方が一般的です。
金属系サイディングやその他のサイディングに関してはこちら↓
窯業系サイディングのデメリットは?
多くのメリットがある窯業系サイディングですが、どんな外壁材にも言えるようにデメリットもあります。以下でご紹介するので、導入前にしっかりチェックしておきましょう。
①メンテナンス頻度が多い
窯業系サイディングは外壁材の中でもこまめにメンテナンスや塗装が必要な外壁材です。 一般的な窯業系サイディングの商品であれば10年に1度は塗装が必要で、1回の塗装工事につき約80万~120万円の費用がかかります。
最近ではメンテナンスの頻度が少なくなるよう高耐久塗料が塗布してある商品や、シーリングがない商品もありますので、メンテナンスが気になる方はそちらを検討してみてもいいでしょう。
窯業系サイディングのメンテナンスに関して詳しく知りたい方はこちら↓
②熱を溜めやすい
窯業系サイディングは蓄熱性があるので、熱を持ちやすい外壁材です。夏場ですと外壁が熱を持ち、室内にまで影響するので室温調整にエアコンを使う頻度が多くなってします。
これを防ぐため、遮熱・断熱効果のある塗料を使用するお宅も最近増えています。
③本物の質感には劣る
窯業系サイディングはさまざまなデザインバリエーションに対応できるものの、素材は本物ではありません。
例えばタイル調やレンガ調といったデザインはありますが、本物のタイル、レンガと比べると質感は負けてしまいます。
また国内でよく使われているからこそ、外壁に完全なオリジナリティを求める方には合わないでしょう。
窯業系サイディングはこんな方にオススメ!
窯業系サイディングは総合力、初期費用の安さ、デザインバリエーションの豊富さを重視したい方にオススメな外壁材です。
「まず窯業系サイディングから検討すれば失敗は少ない」と言われるほどなので、特に強いこだわりがない方にとってもオススメですね。
逆にデザインに対してオリジナリティを求める方や、特化した機能が欲しい方にとっては窯業系サイディングよりご自宅にぴったりな外壁材が他に見つかるでしょう。
>> 外壁塗装の耐用年数って?工事前に必ず知っておきたい塗装の基礎知識!
窯業系サイディングを使うか迷ったら、専門家への無料相談がおすすめ!
ここまで窯業系サイディングの特徴などについて、大まかにお分かりいただけたのではないでしょうか。
しかし、実際に自宅に用いるサイディング材を決めるとなると、自分の判断だけでは不安が残りますよね。
外壁工事は専門性の高い工事なので、専門家の意見を聞いてから最終的な決定をしたいところです。
「でも、専門家を自分で見つけてくるのは面倒くさい……」
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窯業系サイディングの費用相場はいくら?
窯業系サイディングへのリフォームは、工法によって大きく金額が変化するので、まずは工法をおさえましょう!
既存の外壁を窯業系サイディングに変更する場合、張り替えとカバー工法という2種類の方法があります。
窯業系サイディングの張り替え費用の相場
一般的な約30坪住宅の外壁を窯業系サイディングに張り替えた際の費用相場は、180~200万円前後です。
既存の外壁材の撤去をするので、解体撤去費用と廃棄費用がかかります。
内訳 | 費用相場 |
---|---|
サイディングボード材工費 | 60万円 |
既存外壁材の解体処分 | 40万円 |
足場・養生 | 20万円 |
コーキング | 20万円 |
内部補修など | 50万円 |
合計 | 190万円 |
張り替えの費用についてもっとくわしく↓
カバー工法をしたときの費用相場
一般的な30坪程度の外壁を、窯業系サイディングでカバー工法した場合の費用相場は150万円前後です。
撤去費用がかからないぶん、張り替えよりも総額を抑えられます。
一方で、上からサイディングボードを貼り付けるため建物の重量が増加し、耐震性が弱くなってしまいます。
そのため塗装しても良くならないモルタル壁の上に、重量が軽い金属系サイディングを貼るケースが多いようです。
他の外壁材から窯業系サイディングに変更したい場合は、建物への負担を軽減するため張り替えの方がオススメです。
内訳 | 費用相場 |
---|---|
サイディングボード材工費 | 60万円 |
足場・養生 | 20万円 |
コーキング | 20万円 |
内部補修など | 50万円 |
合計 | 150万円 |
カバー工法の費用についてもっとくわしく↓
窯業系サイディングの代表的メーカー
窯業系サイディングの代表的なメーカーはニチハ、ケイミュー、旭トステム外装です。ほとんど国内のシェアはこの3社で占められています。
順位 | メーカー | シェア率 |
---|---|---|
1位 | ニチハ | 50% |
2位 | ケイミュー | 39% |
3位 | 旭トステム外装 | 8% |
それぞれ特徴が違うので、メーカーの機能や、保証などから選んでみるのもいいでしょう。ではシェアが多い順から特徴を見ていきましょう。
ニチハ
雨で外壁の汚れを落とせる「マイクロガード」機能や、塗膜の変色・褪色の30年保証に対応した「プラチナコート30」という塗料が塗布している最高グレードの「プレミアムシリーズ」があります。
徹底的にメンテナンスコストを安くしたいと考えている方は、シーリングの打ち替えもいらないFu-geプレミアムがおすすめです。
以下が主要シリーズの特徴です。
【ニチハのおすすめ商品】
ケイミュー
ケイミューの製品は雨が汚れの下に入り込み、汚れを落ちやすくさせる「親水性」が特に高いことに定評があります。
サイディングの継ぎ目であるシーリングは寿命がだいたい5~10年と言われていますが、ケイミューのシーリング「スーパーKMEWシール」は10年経過してもキレイと言われているほどひび割れに強く、汚れにくい製品です。
以下が主要シリーズの特徴です。
【ケイミューのおすすめ商品】
「ポリッシュストーンⅡ」 | 「ディレクトーン」 |
旭トステム外装
旭トステムは、色あせ・変色に効果がある「セルフッ素コート」というフッ素を使った塗料が特徴です。
サイディング同士の継ぎ目を目立ちにくくするシーリングレス工法もあり、見栄えの上でサイディングを導入しようか悩んでいた方を後押ししてくれるでしょう。
以下が主要シリーズ別の特徴です。
【旭トステムのおすすめ商品】
サイディング材の種類を比較
サイディング材には、窯業系以外にも「金属系サイディング」「樹脂系サイディング」「木質系サイディング」の3種類が存在しています。中でも窯業系サイディングは単価が最も安く、優れた耐火性とデザインの自由度の高さといった特徴が人気の理由です。
【表:窯業系サイディングと他外壁材比較】
外壁材 | 単価(/㎡) | メンテナンス頻度 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|---|
窯業系サイディング | 3,500円~5,000円 | 7年~10年 | 耐火性に優れている、デザインが豊富、初期費用が安い | メンテナンス頻度が高い |
金属系サイディング | 4,000円~6,000円 | 10年~15年 | 断熱性に優れている、軽量 | 温度変化を受けやすい、傷がつきやすい |
樹脂系サイディング | 7,000円~9,000円 | 10年~20年 | 耐久性と耐候性に優れている、軽量 | デザインが少ない、取り扱い業者が少ない |
木質系サイディング | 6,000円~8,000円 | 7年~10年 | 断熱性に優れている、ぬくもりのある質感 | カビが発生しやすい、天然素材のため価格が高め |
金属系サイディング
画像出典:ニチハ金属系サイディングとは、金属板と裏打材によって構成されるサイディングボードのことです。
窯業系サイディングよりも耐久性が高いこと、非常に軽量で耐震性が高いことが特徴です。
また、窯業系サイディングほどではありませんが、レンガ風・左官仕上げ風など、デザインにもバリエーションがあります。
金属サイディングについては、以下の記事で詳しくまとめています。
樹脂系サイディング
樹脂系サイディングは、塩化ビニル樹脂を主原料にするサイディングボードです。
北米では半数近くの家の外壁に使われていますが、日本におけるシェアは戸建て全体の1%にも満たないと言われています。
樹脂系サイディングの最大の特徴は凍害・塩害への強さです。豪雪地帯や沿岸部にお住まいであれば、施工を検討してもよいでしょう。
木質系サイディング
木質系サイディングは、本物の木を外壁に用いれるように加工したサイディングボードです。
本物の木を使うことによる温かみや美しさが魅力ですが、耐火性や防水性の面でほかのサイディングに劣ります。コストパフォーマンスでも他のサイディングのほうが優れているため、木の家に強いこだわりのある方が選ぶべき建材です。
まとめ
最後にもう一度窯業系サイディングの特徴をまとめてみました。
窯業系サイディングとは?
- 初期費用が安い
- デザインバリエーションが多い
- 現在主流なので、施工事例も多く、多くの業者が対応可能
- 定期的な塗装メンテナンスが欠かせない
本記事の要点を振り返ります。
窯業系サイディングのメリットは?
「材料費・施工費ともに安い」「色や柄の種類が豊富」などのメリットがあります。詳しく知りたい方は窯業系サイディングのメリットは?をご覧ください。
窯業系サイディングのデメリットは?
「メンテナンス頻度が多い」「熱をもちやすい」などのデメリットがあります。詳しくは窯業系サイディングのデメリットは?をご覧ください。
窯業系サイディングにかかる費用はいくら?
サイディングの張り替えで「180~200万円」、カバー工法で「150万円前後」が相場です。詳しくは窯業系サイディングの費用相場はいくら?をご覧下さい。
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