サイディング塗装が必要な理由。塗り替え時期の判断方法・費用

  • 【更新日】2023-04-06
サイディング塗装が必要な理由。塗り替え時期の判断方法・費用

サイディング塗装は、家を長持ちさせるために必要です。
外壁の劣化を放置しておくと建物の防水性が失われ、外壁内部の腐食などより高額な工事が必要な状態まで悪化する可能性があります。

一方で、塗膜の寿命が残っているのに塗装するのも経済的ではありません。
そのため、塗装時期の見極めとサイディングに向いた塗料選びが重要になります。

この記事ではサイディング塗装を考えている人に向けて、

  • サイディングに塗装が必要なサイン
  • サイディングの塗装作業の費用・流れ
  • サイディング塗装業者の選び方

 

などを解説していきます。

Point
  • 塗装が必要なサインはチョーキング現象が代表的
  • サイディング塗装の費用は75~105万円、期間は8~10日間が多い
  • 良い業者を見つけるためには3~4社以上からの相見積もりが重要

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小林成光(コバヤシマサミツ)さんのプロフィール写真 監修者:外壁劣化診断士 小林 成光

600件以上の現地調査を実施する過程で得た専門性を生かし、日本発のネット見積もりシステムでビジネスモデル特許を取得。ヌリカエにて、外装工事の専門家として、顧客・加盟企業のサポート・コラムの監修に従事。 ▼略歴・プロフィール
「監修者|小林 成光(株式会社Speee)」

サイディング塗装が必要な理由

経年劣化は避けられない

外壁材は常に紫外線や雨風にさらされてるため、劣化を免れることはできません。ガラスのような無機物とは異なり、外壁は歳月が経つごとに経年劣化を起こします。

新築時に「サイディングに塗装は不要」と説明を受けた方がいらっしゃるかもしれません。しかしながら、経年劣化で落ちた防水性を回復させるためにサイディングに塗装は不可欠となります。

定期的にサイディングに塗装を施すことで、サイディング材や建物の構造体を水分から守り、より家の内部腐食などのより深刻な劣化を防ぐことができるのです。

劣化サインでみる塗装タイミング

塗装が必要な時期を知るには、劣化症状のサインを見逃さないことが重要です。
「こんな症状が出たら塗装が必要だ」といった劣化のサインをご紹介します。

ご自宅のサイディングをチェックし、1つでも該当するものがあればリフォーム業者や塗装業者への点検を検討しましょう。

①チョーキング現象

サイディングの表面を指で触ると、古くなった塗膜がチョークの粉のように付くことがあります。
これは「チョーキング」という現象で、塗膜が防水性を失ってきておりサイディングに塗装の時期がきているサインとして最も代表的なものです。

②塗膜の剥がれ

塗膜がむけて、素材の表面が露出している状態です。
露出した部分から浸水・腐食がすすむおそれがあるため、早めのサイディング塗装が必要です。

③外壁の変色・退色

外壁の変色・退色は、色味が薄くなったり色が白くぼやけて見える現象です。
放置しておくと、塗膜の防水効果切れ、サイディングの腐食のおそれがあります。

④コーキングのひび割れ

コーキングのひび割れは、経年劣化や施工不良によって起こり、「切れ」「破断」とも言われています。
放置しておくと雨水が入り、雨漏りやサイディング内部の浸水・腐食に繋がる可能性があります。

⑤塗膜の膨れ

塗膜の膨れは、内側に閉じ込められていた水分が熱で気化することが原因で発生します。
じきに塗膜に破れが生じて雨水が入り、雨漏りやサイディング内部の腐食に繋がる可能性があるため、早急に再塗装が必要な劣化と言えます。

⑥カビ・コケ

軽いコケは自分で落とせますが、厚いコケは塗膜を突き破って根を張っている可能性があります。
きちんと除去しない限り再発・増殖することが多く、サイディングの反りなどの原因となります。

湿気が多い面や日光が当たりにくい方角のサイディングを、普段からよくチェックしましょう。

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年数でみる塗装タイミング

サイディング塗装が必要になる時期は10~12年おきです。

ただしこれは平均的な目安であり、実際は新築時に使用した外壁材や、直近の塗り替えに使った塗料によって、次の塗装タイミングが変わります。

外壁材の種類と塗装タイミング

サイディングのメンテナンス周期や素材の寿命の目安は以下のとおりです。

サイディングの種類 メンテナンス周期 素材の寿命
窯業系サイディング 10~12年 20~30年
金属系サイディング 15~20年 30~40年
木質系サイディング 4~10年 10~30年
樹脂系サイディング 15~20年 25~50年

塗料の種類と塗装タイミング

住宅に使われる塗料の種類と、対応する塗り替えの周期は以下のとおりです。

※塗料の種類を押下すると、対応する解説記事にジャンプします。
塗料の種類 耐用年数 特徴
アクリル塗料 6~8年
  • 価格が最も安い
  • メンテナンス間隔が最も短い
ウレタン塗料 8~10年
  • 艶のある仕上がり
  • 変色に弱い、防汚性が劣る
シリコン塗料 10~15年
  • 価格と耐用年数のバランスが良い
  • ひび割れにやや弱い
フッ素塗料 15~20年
  • 高耐久
  • 費用が高い

新築後に一度でも塗り替えをした家なら、直近に使った塗料を確認し、上表の「耐用年数」と同程度の年数が経っていたら、塗装が必要な時期が来ていると考えましょう。

上記より耐用年数が早まる要因
  • 河川が近く湿度が高い
  • 南側にあり、日差しが強い
  • 大きな道路沿いにあり、ホコリや排ガスが多い 等

サイディング塗装工事にかかる費用相場

サイディング塗装にかかる費用は、一般的な30坪の戸建住宅の場合で75~105万円前後が相場です。

費用の内訳は、足場代、塗装代、コーキング代、諸経費などで構成されています。

塗装費用の内訳と単価

外壁塗装の見積もりの単価相場
内訳(品名) 相場価格
仮設足場 700円~900円/㎡
高圧洗浄 200円~250円/㎡
コーキング 500円~1000円/㎡
サイディング塗装(下塗り) 600円~1000円/㎡
サイディング塗装(上塗り・中塗り) 800円~4000円/㎡
諸経費 施工費用の10%前後

各工事費用は家の大きさや外壁の面積、使用する材料の価格によって変動します。

内訳のうち「塗装」の項目は、使用する塗料によってさらに費用に差が生まれます。

塗料の種類と塗装代の変化

「塗料の種類」と「施工費用の相場」、「その塗料を選んだ場合の総工費の目安」は以下になります。

※塗料の種類をクリックすると、対応する解説記事にジャンプします。
塗料の種類 単価相場 総工費の目安
アクリル塗料 1,400~1,600円/㎡ 64万円~
ウレタン塗料 1,700~2,200円/㎡ 71万円~
シリコン塗料 2,300~3,000円/㎡ 75万円~
ラジカル塗料 2,400~3,400円/㎡ 78万円~
フッ素塗料 3,800~4,800円/㎡ 103万円~
光触媒塗料 3,500円~5,500円/㎡ 129万円~

上記の塗料の種類のうち、コストパフォーマンスが高く人気なのは「シリコン塗料」か「ラジカル塗料」です。

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サイディング塗装にかかる日数と工程

所要日数 8日~10日以上
工程
  • 足場架設
  • 高圧洗浄
  • コーキング打ち替え
  • 周囲養生
  • 下地調整
  • 下塗り
  • 塗装(中塗り)
  • 塗装(上塗り

サイディング塗装の工事にかかる期間は8~10日間が目安です。
家の大きさや人員によっては2~3週間程度の日数がかかることもあります。

標準的な作業工程と、スケジュールは以下のとおりです。

工程の中でも、しっかり下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りを行っているかどうかは、手抜き工事ではないかを見抜くポイントですので、工程表や実作業の様子をよくご確認ください。

①足場架設

塗装作業の前に、高所作業用の足場を組み立てます(1~2日間)。

②高圧洗浄

次に、高圧洗浄機で塗装前の外壁を洗浄します。
汚れが残っていると塗った塗料の耐久が悪くなるため、洗い残しがないように注意します(約1日間)。

③コーキングの打ち替え

サイディングパネルの継ぎ目には防水のためコーキングという充填剤が打ち込まれています。
コーキングも経年で防水性を失うため、塗装作業時に剥がして新しいものに打ち替える作業を行います(約1~2日間)。

カッターナイフやニッパを使い、古いコーキングをきれいに剥がします。
カッターを使う際は、刃を深く入れすぎると奥の防水紙を傷つけるため注意します。

コーキング注入前に、目地の溝の両側をマスキングテープで覆います。

コーキングガンにコーキング材をセットし、途中で止めず一気に充填します。

途中で止めてしまうと、乾燥後にそこに空気が入り、防水性が落ちる可能性があります。

ヘラでコーキングを平らにならすと同時に、溝の奥まで押し込みます。
最後に、コーキングが乾かないうちにマスキングテープを剥がすとキレイに仕上がります。

④周囲養生

塗料が窓ガラスやサッシ等に飛ばないように、あらかじめ汚してはいけない部分をシートで覆います(約1日間)。

テープのある位置が塗装される部分とされない部分の境界になります。
塗装の境界がまっすぐ仕上がりように、注意してテープを貼ります。

⑤下地調整

サイディング表面のヒビ割れやキズを埋める工程です(約1~2日間)。

例えば、水平方向の目地に隙間が空いてしまっている場合は、コーキング材で埋め、刷毛で押し込みながら平らにします

⑥下塗り

ようやくローラーを使った作業です。
下地調整がおわったサイディングに、まずは下塗り材を塗ります(1~2日間)。

ローラーを上下方向・左右方法に使い分けて、塗り残しやムラがないよう塗っていきます。

下塗り材は、次につかう「塗料」と「サイディング」の密着を高め、丈夫な塗膜に仕上げるために塗るもので、まだ塗り替える色は付いていません。
ただしコーティング効果はあるため、塗っていない部分に比べて少しツヤが出ているのが分かります。

⑦塗装(中塗り)

下塗りの乾燥後、、仕上げの色と同じ塗料()を塗ります(1~2日間)。
塗膜に厚みをもたせて耐久性を上げるため、塗料は「中塗り」と「上塗り」の合計2回塗装します。

下塗りと合わせて合計3回以上塗装することが、丈夫な塗膜に仕上げるためには不可欠です。

※塗り残しを防ぐことを目的に、中塗りと上塗りで微妙に色を変える業者もいます。その場合、仕上げと同じ色は上塗りだけで使われます。

⑧塗装(上塗り)

中塗りの乾燥後、もういちど塗料を重ね塗りします。これを「上塗り」と言います(1~2日間)。

下塗り・中塗り・上塗りのどの工程でも、ローラーが入りづらい細かい部分は刷毛などを使って置くまで塗ることが重要です。

上図の右半分が中塗りまで済ませたサイディングの表面、左半分が上塗りも済ませた表面です。
左側は右側に比べてデコボコが少なく平らで、厚みがでていることがわかります。

この差が、雨風に長く耐えるために重要なのです。


各工程の工事内容や費用、効果などについて詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。

ざっくりいくらかかるの?

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サイディング塗装が上手な業者は?

よい施工業者を見つけるためには「相見積もり」

サイディング塗装の依頼先業者を探す際には、複数の業者から「相見積もり」をとることがオススメです。
3社ほどの業者から相見積もりをとることで、

  • 費用が安い業者に出会いやすい
  • 業者の説明力や人柄が比べられる
  • 感じの悪い業者を避けられる

 

というメリットがあります。

とくに外壁塗装は、業者によって価格や実力がバラバラなので比べたあとに契約することが重要です。

「業者に心当たりがない…」という方は、よろしければこのページの料金計算ツールや診断ボタンから、相見積もりの照会をぜひご利用ください。


最後に、記事の要点を振り返ってみましょう。

サイディングに塗装は必要?

はい、必要です。新築時に「塗装は不要」と説明された方もいるかと思いますが、実際には築10年を目安に塗り替えが必要になります。詳しく知りたい方はサイディング塗装が必要な理由をご覧ください。

サイディング塗装をするべき時期はどうやってわかる?

サイディング塗装の最適な周期は「10~12年おき」が目安です。ただしこの年数は、前回使用した塗料によって変わります。詳しくは年数で見る塗装タイミングをご覧ください。

サイディングが傷んできたかも…塗装は必要?

症状が「変色・退職」「剥がれ」「チョーキング」であれば、対策として塗装が最適です。詳しくは症状で見る塗装タイミングをご覧下さい。

サイディング塗装の工事にはいくらぐらいかかる?

一般的な30坪住宅で「75~105万円」ほどが相場です。費用には、足場代・高圧洗浄代・下地処理代なども含まれます。詳しくはサイディング塗装工事の費用相場をご覧ください。

そもそも「塗装」ってどんな意味なのだろう…こんな疑問を持つ方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。

以上、本記事があなたのご自宅の防水工事の検討に役立てば大変幸いです。

▼書籍
  • 建築工事研究会『積算資料ポケット版 リフォーム編 2022年度版』一般社団法人経済調査会 2021
  • 菊池克弘『住宅リフォーム重要事項32選』都市環境建設 2015

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