本記事は、家の外壁を窯業系サイディングで新築・リフォームしようとしている方へ向けて執筆されています。
主に外壁材のデザイン決めに役立つよう、メーカー各社の窯業系サイディングの色・模様のパターンを分類し、実際に戸建住宅に張り付けたときの写真とともに掲載しました。
製品選びにお役立ていただけば幸いです。
「窯業系サイディングの基本」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「窯業系サイディングとは?メリットとデメリット、費用やデザインを比較!」
窯業系サイディングのデザインパターンは5種類
窯業系サイディングは、各社からさまざまなデザイン(模様)のものが販売されていて迷ってしまいます。
ですがパターンはある程度決まっており、大別すると以下の5通りに分けられました。
章の最後には、5種類には当てはまらなかったデザインの種類も数例ご紹介します。
①欧風住宅の雰囲気を安価に実現「タイル・レンガ柄」
欧米の伝統的な住宅といえばレンガをつかったデザイン。
憧れのお屋敷風デザインも、「タイル・レンガ調」の窯業系サイディングを使えば安価に実現できます。
塗装や印刷を使ってはいるものの、レンガ1枚ずつ色合いの差がきちんと表現されていて、本物同様の質感を得られるのが、最近の製品のすごいところです。
「タイル・レンガ柄」の窯業系サイディングの施工例
白いタイルを壁に1枚ずつ手貼りしたかようなデザイン。
木目調のサイディングを組み合わせて使用し、シャープなイメージのなかにも、手作りの温かみがあります。
赤茶色のレンガ組みを再現した窯業系サイディングです。
屋根のブラックと組み合わさって、力強く重厚なイメージとナチュラルな印象が両立した建物になっています。
「タイル・レンガ柄」の窯業系サイディングの製品例
- ニチハ「シェードブリック調 プレミアム」
- 東レ建材「ボーダーレンガSC」
- 神島化学工業「ラドリエラ」
②堅牢な印象を与える「石積柄」
さまざまな形・大きさの石を組み合わせた模様が「石積柄」デザインです。
自然物の温かみと岩石の重厚感、どちらの印象も与えることができる人気のデザインです。
「石積柄」の窯業系サイディングの施工例
彫りの深めな石積柄を採用した窯業系サイディングです。
石の陰影のおかげで、全面張りでも単調に見えないのが長所です。
やや細目の石積柄のサイディング。
通常の石積柄よりもシャープさがあるデザインとなっています。
「石積柄」の窯業系サイディングの製品例
- ケイミュー「トリムロック」
- ニチハ「セルクレール プレミアム」
- 東レ建材「デンバーSC」
③ナチュラルさと高級感のある「木目柄」
木の風合いを感じられる「木目調」の窯業系サイディングです。
濃いめの黒や茶系の色を使えばシックな仕上がりに、黄色に近い薄い色を使えば本物の木を使ったような仕上がりになるでしょう。
「木目柄」の窯業系サイディングの施工例
パイン材をイメージした木目柄のサイディング。
木目が控えめなのでアンティークな風合いもあります。明るい茶色から黒に近いものまで6種類の色がある製品です。
「木目柄」の窯業系サイディングの製品例
- ニチハ「イルミオ」
- 旭トステム「ラスティウッドP」
- 東レ建材「シェーブウッドSC・ウッドタイプSC」
④メタリックな外見になる「ライン柄」
金属系の外壁材を思わせるデザインの窯業系サイディングです。
モノトーンカラーを選べば、モダンでスタイリッシュなイメージの家に仕上がるでしょう。
「ライン柄」の窯業系サイディングの施工例
ブラックの金属系サイディングを見紛う、窯業系サイディングの外壁。
やや深めの凹凸からくる陰影がライン柄を強調し、メタリックな雰囲気をさらに増しています。
「ライン柄」の窯業系サイディングの製品例
- ニチハ「リブ9モノカラー」
- 旭トステム「アーバンストライプ15P」
- 神島化学工業「レアルコード」
⑤素朴でどんな環境にもマッチする「塗り壁調」
左官作業をしたような吹付け・刷毛目仕上げの外観の窯業系サイディングです。
クセがなく場所を選ばない美しい外壁になるでしょう。サイディング材の継ぎ目が目立ちにくいのもメリットです。
「塗り壁調」の窯業系サイディングの施工例
職人がコテ塗りで一面を仕上げたような、優雅さと趣きにあふれたデザインが魅力の製品です。
「塗り壁調」の窯業系サイディングの製品例
その他のデザイン種類
コンクリート柄
窯業系サイディングの表面にコンクリートの質感をリアルに再現したデザイン。
無機質ながらモダンで先進的なイメージを与えます。
無地・フラット柄
シンプルなフラットタイプのデザインです。
窯業系サイディングの組成の種類
窯業系サイディングには、組成によっていくつか種類があります。それぞれ特徴が違うので、違いを理解したうえで選ぶと便利です。
そこで、窯業系サイディングの種類を組成別に紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
1:木繊維補強セメント板系
木繊維補強セメント板系は、組成的にはセメント系の現状に補強材として木繊維・木片などが使用された窯業系サイディングです。
組成的に違いはあっても、耐震性・耐火性・断熱性・施工性に優れている点は他の窯業系サイディングと共通しています。耐火性・断熱性に関しては、全ての窯業系サイディングが防火構造認定を受けた製品となっています。
2:繊維補強セメント板系
繊維補強セメント板系は、組成的にはセメント質に補強材として無機質・有機質繊維が使用された窯業系サイディングです。補強材に使われる原料の具体的な例としては、パルプ・合成繊維などが挙げられます。
パルプや合成繊維などが含まれているため、窯業系サイディング以外の壁材と比較して軽量なので、施工性が高い点が特徴です。他の窯業系サイディングと同様に、断熱性や耐震性なども高くなっています。
3:繊維補強セメント・ケイ酸カルシウム板系
繊維補強セメント・ケイ酸カルシウム板系は、組成的にはセメント・ケイ酸カルシウムなどの無機結合材に補強材として無機質・有機質繊維が使用された窯業系サイディングです。
他の窯業系サイディングと同じく、耐火性や耐熱性・耐震性などがあり、軽量で取り扱いもしやすくなっています。
窯業系以外のサイディング3種
サイディングボードには、窯業系以外の種類もあります。窯業系サイディングは耐震性・耐火性・断熱性・施工性などが高く、住宅外装シェアの約7割を占めています。
その一方で別のサイディングが採用される場合もありますが、窯業系以外のサイディングにはどのような特徴があるのでしょうか。
窯業系以外のサイディングの3つの種類について、特徴を紹介します。どのように違うのか、チェックしてみてください。
1:樹脂系サイディング
樹脂系サイディングとは、ポリ塩化ビニル樹脂で作られたものです。耐久性・耐候性・耐例外性に優れている特徴があるので、気候の変化が大きい地域で多く取り入れられています。撥水性も高いので、雨漏りなどの不安もあまりありません。
原料が樹脂なので軽くて運びやすい点もメリットで、工期も短くて済みます。部分的に張り替えられる点も便利です。ただし、取り扱っている業者や施工可能な業者ははあまり多くありません。
窯業系サイディングとの違い
窯業系サイディングのほうが、樹脂系よりもデザイン性の選択肢が多くあります。また、コスト面でも窯業系サイディングのほうが優れています。2:金属系サイディング
金属系サイディングとは、表面が金属で作られているものです。ステンレス・アルミニウム・ガルバリウムなどの金属が主に使われています。見た目が特徴的な点が人気で、近年採用されるケースが増えています。
寒暖差に強く水分を吸わないので、気候に関わらず利用できます。金属なので劣化しにくいため、メンテナンスの回数が少なくて済む点もメリットです。ただし傷が付いて塗装が剥がれたりすると錆が出るため、注意が必要です。
窯業系サイディングとの違い
窯業系サイディングは、金属系と比べて「デザインの種類の多さ」「価格の安さ」に勝ります。一方、「耐用年数の長さ」「耐凍結性」「耐震性(軽さ)」は金属系サイディングの方が優れています。
「金属系サイディング」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「金属サイディングとは?種類、メリット・デメリットと代表商品を解説」
3:木質系サイディング
木質系サイディングは、天然の木から作られているものです。木製なので耐久性を不安に感じるかもしれませんが、表面を炭化処理する・防腐処理や防水処理をするなどの方法で、耐久性を高める工夫がされています。
年数が経つにつれて色の変化が見られ、味わいが出る点もメリットです。
ただし天然素材なので、他のサイディングと比べて耐火性や耐水性などが劣るのは事実です。たびたびメンテナンスが必要で維持費も高くなりがちです。
窯業系サイディングとの違い
窯業系サイディングが木質系よりも勝るのが「デザインの種類の多さ」「耐久性・耐火性」「価格の安さ」です。反対に、木質系サイディングは「耐震性(軽さ)」「天然素材の風合い」において窯業系よりも勝ります。窯業系サイディングの種類を理解して条件に合うものを選びましょう
窯業系サイディングは、金属ではない原料を窯で高温処理して作るサイディングボードです。窯業系サイディングには原料の違いによって木繊維補強セメント板系などの3つの種類があり、さらに工場で塗装するかどうかによっても特徴が変わります。
デザイン性・耐震性・耐火性・断熱性、施工性などに優れている窯業系サイディングの種類を理解して、条件に合うものを選べるようにしましょう。