窯業系サイディングとは?ガルバリウムとの比較や後悔事例を紹介!

  • 【更新日】2025-06-19
窯業系サイディング

窯業系(ようぎょうけい)サイディングは、国内で約8割のシェアがある外壁材です。そのため、新築やリフォームにおける外壁材として検討されている方も多いのではないでしょうか。

しかし、「家の外壁として窯業系サイディングがベスト?」「窯業系サイディングの他にガルバリウムも人気らしいけど、どっちがいいの?」とお悩みの方も多いかと思います。

そこで本記事では、窯業系サイディングの特徴についてはもちろん、よく一緒に検討されるガルバリウムとのメリット・デメリットや費用比較や、後悔事例などについて詳しく解説しています。

ご自宅の外壁材をどれにしようか考える際の参考となれば幸いです。

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小林成光(コバヤシマサミツ)さんのプロフィール写真 監修者:外壁劣化診断士 小林 成光

600件以上の現地調査を実施する過程で得た専門性を生かし、日本発のネット見積もりシステムでビジネスモデル特許を取得。ヌリカエにて、外装工事の専門家として、顧客・加盟企業のサポート・コラムの監修に従事。 ▼略歴・プロフィール
「監修者|小林 成光(株式会社Speee)」

窯業系サイディングとは

窯業系サイディング

窯業系サイディングとは、セメントと繊維質を混ぜて板状に成形し、窯で焼いて作る外壁材のことです。

◆窯業系サイディングの特徴◆ 厚さ:14mm~26mmまで
長さ:3,030mm、1,820mmが主流
幅:450mm、910mm、1,000mmが主流
表面塗装:アクリル系、シリコン系、フッ素系、無機系など工場塗装したものから、現場で塗装するために無塗装のものまで
コスト:比較的安価
デザイン:さまざまな色柄やパターンがあり豊富
耐火性:「防火外壁材」と呼ばれるほど優れている
耐久性:適切なメンテナンスによって長く利用ができる
メンテナンス:耐用年数に応じて塗り替え張り替え重ね張りなどが必要
  • 安価かつデザインが豊富なことや、業者にとっても施工が容易であることこから、日本の住宅外壁材として最も多く採用されています。

日本窯業外装材協会が発表している統計データによれば、「戸建住宅市場における外壁材素材別シェア」窯業系サイディングが80.2%と圧倒的です。

外壁材 シェア
窯業系サイディング 80.2%
モルタル 6.8%
スチールサイディング 5.1%
アルミサイディング 4.7%
木質 0.8%
ALC 0.6%
その他 1.8%

参考:一般社団法人日本窯業外装材協会「統計データ」

窯業系サイディングのシェアが高い理由はコストパフォーマンスの高さにあります。

素材はセメントと繊維質を主成分とし、耐火性やデザインの自由度が高く、それでいてほかの外壁材と比較して施工費用を安価に抑えることも可能な点から高いシェアをほこっています。

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窯業系サイディングのメリット

窯業系サイディングのメリットについて

窯業系サイディングのメリットとしては、以下の4点が挙げられます。

窯業系サイディングのメリット

  1. デザイン性の豊富さ
  2. 耐火性の高さ
  3. 初期コストを抑えられる
  4. 施工期間が短い

デザイン性の豊富さ

窯業系サイディングは、レンガ調や石目調、木目調など多彩なデザインが揃っているのが特徴です。

豊富なデザインが用意されているため、外壁の自由度はほかの外壁材を圧倒しています。

さらに塗装や加工技術が発展し、リアルな質感を再現できるため、外観にこだわりたい方に適しています。

耐火性の高さ

窯業系サイディングは不燃材料として認定されており、別名「防火外壁材」とも呼ばれています。

火に対する耐久性を示す「耐火等級」では、3~4級の窯業系サイディングがほとんどです。3級は約45分火熱を遮ることができ、4級は60分以上の火熱を遮ることを基準としています。

  • つまり万が一の火災が発生した際、すぐに延焼することなく避難する時間を確保できることになります。

初期コストを抑えられる

窯業系サイディングはほかの外壁材と比較すると大量に生産できる外壁材になります。市場で広く流通しているため、材料費は必然的に抑えられます。

さらに施工方法がシンプルなため、職人技のような高い技術は求められないものになります。つまり経験が浅い職人でも容易に設置ができ、さらに施工期間も短いことから人件費を抑えることも可能です。

  • 材料費、人件費の両面を安く抑えられることから、初期コストを抑えて施工が行えます。

施工期間が短い

窯業系サイディングでリフォームする場合の施工期間は、約1か月程度です。

ほかのサイディング材と比較しても施工工程が単純で、工場で生産されたサイディングボードをそのまま利用するため工期は短くなります

工期を短くして早く外壁を整えたい場合などはおすすめです。

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窯業系サイディングのデメリット

窯業系サイディングのデメリットについて

窯業系サイディングのデメリットとしては、以下の3点が挙げられます。

窯業系サイディングのデメリット

  1. メンテナンスコスト頻度が多い
  2. 素材自体に防水性がない
  3. 蓄熱性がある
  4. サイディングが重く耐震性に影響する

それぞれ詳しく解説します。

メンテナンス頻度が多い

窯業系サイディングの主成分であるセメントは、水分を吸収しやすいという特徴があります。

そのため、窯業系サイディングは10年ごとに塗装なコーキング補修などのメンテナンスを行う必要があるでしょう。金属サイディングのメンテナンス頻度は、一般に15年前後のスパンです。

メンテンナスを行わないと劣化症状が進行し、耐用年数よりも早く大規模な張り替え工事などが必要になってしまいます。

素材自体に防水性がない

窯業系サイディングは、素材自体に防水性がありません。そのため、防水性能は塗装によって得ることになります。

ただし、塗装も劣化するため定期的に塗り直す必要があることに注意が必要です。塗装が劣化にしているにも関わらず放置しておくと、雨水や外壁に染み込み雨漏りなどの原因になる可能性があります。

蓄熱性がある

蓄熱性とは文字通り、熱を蓄えてしまう性質のことです。窯業系サイディングはこの蓄熱性によって外壁にあたった直射日光の熱が、そのまま室内へ伝わりやすい素材になっています。

夏場などは熱を逃がすことができず、室内が高温になってしまう恐れがあります。
  • 蓄熱性に対しては、「通気金具留め工法」「遮熱効果のある塗料の使用」「下地とサイディングの間に断熱性を設置」など、いくつかの手法で解決が可能です。

サイディングが重く耐震性に影響する

セメントが主成分の窯業系サイディングは、他のサイディング材と比較すると重量がある外壁材です。そのため、建物の耐震性に影響する可能性があります。

一般的に、建物は軽い方が耐震性が高くなるため、窯業系サイディングを張ると地震による損害リスクが高くなってしまうでしょう。耐震性の点では、軽量な金属サイディングか樹脂サイディングが優れています。

もちろん、窯業系サイディングでも2025年6月現在の耐震基準は満たしていますが、他の外壁材と比べると耐震性が弱まる可能性があるという点を把握しておく必要があるでしょう。

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窯業系サイディングとガルバリウムの比較

窯業系サイディングは戸建てをはじめ国内シェアが高い外壁材ですが、同様に人気な外壁材にガルバリウムがあります。ガルバリウムは金属サイディングの一つで、金属特有の質感やデザインから近年特に注目されている外壁材です。

そこで、どの外壁材にしようかと考えている方のなかには「窯業系サイディングとガルバリウムどちらも人気があるみたいだけど、どっちがいいんだろう?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

どちらの外壁材が最適かは、ご自宅の状況や希望する外観イメージなどによって変わります。そのため、両者の特徴を細かく確認した上で判断すると失敗がないでしょう。

そこで本章では、窯業系サイディングとガルバリウムについて、メリット・デメリットと費用、デザイン性について詳しくご紹介します。

窯業系サイディング ガルバリウム鋼板
概要 戸建てにおける主流の外壁で、
様々なデザインがある
窯業系サイディングと人気を2分する外壁材で、メンテナンスコストが安め
メリット ・耐用年数が長い
・耐火性が高い
・デザインが豊富
・錆びに強い
・金属素材としては安価
・シャープな質感でデザイン性が高い
デメリット ・メンテナンスコストがかかる
・蓄熱性がある
・素材そのものが重い
・夏場に屋内が暑くなる
・雨音が大きい
・欠点を補うと価格が高くなる
費用 3,000円~8,000円/㎡ 5,000円~10,000円/㎡
デザイン性 ◎(種類が豊富)  ○(シンプルなデザインが多い)

データ出典:「ヌリカエ」が行った2025年5月のデスクリサーチより

ここからは、それぞれの外壁材の違いについて比較する形で、各項目について解説していきます。

ガルバリウムについて詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

窯業系サイディング

改めて、窯業系サイディングのメリットからデザイン性まで、以下の表で確認してみましょう。

窯業系サイディング
概要 戸建てにおける主流の外壁で、
様々なデザインがある
メリット ・耐用年数が長い
・耐火性が高い
・デザインが豊富
デメリット ・メンテナンスコストがかかる
・蓄熱性がある
・素材そのものが重い
費用 3,000円~8,000円/㎡
デザイン性 ◎(種類が豊富)

データ出典:「ヌリカエ」が行った2025年5月のデスクリサーチより

窯業系サイディングは、新築からリフォームまで広く使われている外壁材です。そのため、各メーカーから様々なデザインがでています。

耐用年数も長く、適切なメンテナンスをすれば最大で30年以上もつこともある丈夫な外壁材です。高熱処理によって製造されることから耐火性も高く、外壁材としても安心安全な素材となります。

ただし、素材自体が重いため耐震性の観点ではガルバリウムの方が適しているでしょう。特に既存外壁の上に新しい外壁材を重ねるカバー工法では、耐震性の点から窯業系サイディングでの施工はおすすめされません。

費用は3,000円~8,000円/㎡が相場です。費用相場はガルバリウムと大きくは変わりません。窯業系サイディングとガルバリウムでどちらがより高いか、というよりも「どの商品を選ぶか」によって費用が大きく変わります。ただし、商品の種類が豊富な窯業系サイディングの方が費用がピンキリである傾向にあるため、「少しでも費用を抑えたい」という方は、窯業系サイディングから検討してみるとよいでしょう。

また「外壁のデザインにこだわりたい」という方や「コストパフォーマンスを重視したい」という方は窯業系サイディングの方が適しているかもしれません。

ガルバリウム

続いて、ガルバリウムのメリットからデザイン性まで詳しくご紹介します。

ガルバリウム鋼板
概要 窯業系サイディングと人気を2分する外壁材で、メンテナンスコストが安め
メリット ・錆びに強い
・金属素材としては安価
・シャープな質感でデザイン性が高い
デメリット ・夏場に屋内が暑くなる
・雨音が大きい
・欠点を補うと価格が高くなる
費用 5,000円~10,000円/㎡
デザイン性  ○(シンプルなデザインが多い)

データ出典:「ヌリカエ」が行った2025年5月のデスクリサーチより

ガルバリウムは、窯業系サイディングにはない金属特有の光沢やモダンさ、メンテナンスの楽さから人気が高まっている外壁材です。

光沢のある表面は汚れが付きにくいため、窯業系サイディングよりもメンテナンスが楽というメリットがあります。日常的なお手入れであれば、気になる部分を水で流す程度でも十分であるケースが多いです。窯業系サイディングにはないシャープな質感が出せる点も、ガルバリウムならではの魅力となります。

素材自体が軽いため耐震性への影響も抑えられるため、カバー工法でよく使われる外壁材でもあります。

軽量で薄いガルバリウムには、外気が伝わりやすい、外の音が聞こえやすい、といった懸念もあるでしょう。外壁や屋根材に使われるガルバリウムは、ほとんどの場合で断熱材と一緒に施工されるため温度や音について過剰に心配する必要はありません。しかし、窯業系サイディングよりはこれらの問題が起こりやすい建材であるということは確かです。

費用は5,000円~10,000円/㎡と、商品によって大きく変わります。窯業系サイディングにてご紹介した通り、費用は「どの商品を選ぶか」によって変わる部分が大きいため、単純にどちらの外壁材がより高いか、安いかと比較することはできません。

「金属ならではのシャープでモダンなデザインがいい」という方や「カバー工法を検討している」という方はガルバリウムがおすすめとなります。

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窯業系サイディングの後悔事例

国内の外壁シェアNo.1の窯業系サイディングですが、後悔した事例もいくつかあります。いくら人気な窯業系サイディングといっても「本当に選んでも大丈夫なの?」と心配な方も多いのではないでしょうか。

そこで本章では、窯業系サイディングにおける後悔事例を4つご紹介します。

窯業系サイディングの後悔事例

  • 伸縮によって目地から水が入ってしまう
  • 衝撃や揺れによって割れてしまった
  • 蓄熱性があり夜も暑苦しい
  • 地震によって外壁が脱落してしまった

共通しているのは、窯業系サイディングはメンテナンス頻度が多く、その費用も高額になりやすいということです。

それぞれの後悔事例ごとに詳しくご紹介しますので、窯業系サイディングにするか迷われている方はぜひ参考にしてみてください。

伸縮によって目地から水が入ってしまう

窯業系サイディングはセメント質でできているため、温度変化や湿度の変化によってわずかな伸縮を繰り返します。コーキングもサイディングにあわせて伸縮するため、徐々に劣化してしまうことに注意してください。

伸縮によってコーキングが劣化すると、サイディングサイディングの間の目地(継ぎ目)に隙間ができて雨水が浸入してしまいます、その結果、壁の内部にある防水シートや構造体を傷め、最終的に雨漏りや建物の腐食に繋がる可能性が高いです。

外壁の中に水分量が多いと、冬場の凍結・膨張によって割れをさらに広げる「凍害」を引き起こすリスクもあります。

外壁材のなかでも窯業系サイディングは伸び縮みしやすいことから、目地に関しては特にメンテナンス頻度が多くなる箇所です。

衝撃や揺れによって割れてしまった

窯業系サイディングは、伸縮しやすいだけでなく「割れやすい」というデメリットがあります。主成分のセメントは伸縮はするものの、素材自体に高い柔軟性はありません

そのため、想定外の強い衝撃や揺れに耐えきれずひび割れ(クラック)や欠けが生じることがあります。壁面の釘打ちや、地震によって一部または広範囲で割れてしまうケースが多いです。

前触れもなくいきなり割れるようなことはほとんどありませんが、衝撃や地震がおこったときにダメージが出やすいことは認識いただいた方がよいでしょう。

蓄熱性があり夜も暑苦しい

窯業系サイディングは、蓄熱性が高く熱を冷ましにくいことも特徴です。そのため、夏場は外壁全体が長時間にわたり熱をもった状態なります。

その結果、外気温が下がっても外壁の温度はなかなか下がらず、夜も蒸し暑さが続く原因となる可能性が高いです。直射日光が1日中照り付ける場合は、冷房効率の低下にも繋がることも考えられます。

遮熱・断熱効果のある塗料でメンテナンス塗装を行う、あるいは高性能な断熱材を導入するといった工夫をすると、蓄熱性の高さによる問題を抑えることができるでしょう。

遮熱塗料について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「遮熱塗料は効果なし?メリット・デメリットから断熱塗料との比較までを解説」

地震によって外壁が脱落してしまった

地震の大きな揺れによって、窯業系サイディングが脱落したり剥がれ落ちてしまうという事例も報告されています。

近年はサイディングを金具に引っ掛けて固定する「金具工法」が主流となっています。しかし、地震による揺れにより金具から外れて下に落ちてしまうケースも多いです。

また、一昔前のサイディングボードを釘で直接下地に打ち付ける「釘打ち工法」は、強い揺れによる釘の緩みや抜けによって外壁が脱落するリスクが高くなります。

外壁を窯業系サイディングにする場合は、万が一のことも考え耐震性やその施工方法についても聞いておくと良いでしょう。

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外壁を窯業系サイディングにした事例

2色塗り分け工法で施工されたサイディング外壁

ここでは、ヌリカエを利用して実際に外壁を窯業系サイディングに張り替えた方の事例をご紹介します。

施工写真とともに、費用と工期なども併せてご紹介していますので、窯業系サイディングでの外壁リフォームを検討している方の参考になりましたら幸いです。

窯業系サイディングで同系色に貼り替えた事例

施工費用 149万円
延床面積 99.17㎡
工期 21日

KINDLY株式会社の事例

築年数20年の2階建ての戸建てにて、外壁の貼り替えした事例です。

外壁を一新しているため、150万円近い費用がかかっています。

窯業系サイディングでモダンでシックな印象の外壁に貼り替えた事例

施工費用 249万円
延床面積 132.23㎡
工期 39日

創心ホームの事例

築年数12年の3階建ての戸建てにて、外壁を窯業系サイディングに貼り替えした事例です。

3階建てであることから、貼り替え費用も相場より高めになっています。

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窯業系サイディングについてのまとめ

窯業系サイディングは、国内で圧倒的なシェアを誇る外壁材です。

コストパフォーマンスが高くデザインも豊富なことから、窯業系サイディングでリフォームを考える方は多くいます
  • まずは紹介した代表的なメーカーの商品を確認し、業者とどんなデザインが良いかを相談してみてください

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