家の外壁が傷んでいたり年数が経ってきた場合、メンテナンスの方法は「張り替え」でよいのでしょうか?
本記事では、初めて外壁工事をお考えの方に向けて、
- 外壁張り替えにかかる費用の相場
- おしゃれな張り替えの施工事例
- 外壁張り替えの工事メリット・デメリット
- 外壁張り替えをすべき時期や症状
について解説します。
とくに張り替えは外壁工事のなか最も高額な工事なので、慎重に張り替え工事を行うべきか検討することが重要です。
- 外壁全体の張り替え費用は180万円~280万円が相場
- 外壁張り替えのメリットは劣化症状の根本解決になること、デメリットは費用が高いこと
- 外壁が下地まで傷んでいる場合には、張り替えが必要
記事内容は動画でもまとめています。ぜひご覧ください!
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監修者:外装劣化診断士 小林 成光
600件以上の現地調査を実施する過程で得た専門性を生かし、日本発のネット見積もりシステムでビジネスモデル特許を取得。ヌリカエにて、外装工事の専門家として、顧客・加盟企業のサポート・コラムの監修に従事。
▼略歴・プロフィール |
外壁張り替えの費用
費用相場 | 工期 |
---|---|
180万円~280万円 | 約30日 |
一般的な30坪の住宅を工事した場合、外壁の張り替えにかかる費用は180~280万円が相場です。外壁の張り替えは、既存の外壁の撤去作業があるため、作業日数が長く、費用も高額になります。
費用に開きがある理由は、新しく張り替える外壁材の単価が、外壁材の種類によって異なるからです。例えば窯業系サイディングと呼ばれる外壁材の単価は3,500円/㎡~5,000円/㎡と安価ですが、金属サイディングの単価は6,000/㎡~9,000円/㎡と費用がやや高くなります。
費用の中身や内訳については、次章でより詳しく紹介します。
外壁張り替え工事の見積もり項目と単価相場
ここからはよくある外壁張り替えの見積もり項目と単価相場を紹介します。
費目 | 施工単価 | 金額 |
---|---|---|
足場代 | 700~1,000円/㎡ | 17~26万円 |
飛散防止ネット | 150~250円/㎡ | 8~12万円 |
既存外壁の解体 | 1,100~1,740円/㎡ | 14~22万円 |
土台:透湿防水シート | 280~440円/㎡ | 4~6万円 |
土台:胴縁 | 1,200~1,800円/m | 15~23万円 |
土台:水切り板金 | 1,330~2,000円/㎡ | 4~7万円 |
外壁材:金属系サイディング | 4,000~6,000円/㎡ | 75~113万円 |
シーリング | 500~1,000円/m | 20~31万円 |
運搬費・諸経費 | 工事費の5~10% | 8~24万円 |
消費税 | 工事費の10% | 16~26万円 |
総額 | 180~280万円 |
一般的な大きさの住宅のうち、外壁面積125㎡、足場架設面積253㎡とした場合
費用の内訳は、足場代・飛散防止ネットの費用が「25万円~38万円」、古い外壁の解体費用が「14万円~22万円」、新しい土台の費用が「23万円~36万円」、新しい外壁材の費用が「75万円~113万円」、シーリングが「20万円~31万円」、運搬費・諸経費が「8万円~24万円」となっています。
金額については外壁の面積や劣化状況によって異なり、上記の見積もりは、あくまで一般的な大きさの住宅をもとに算出した見積もり事例です。
自宅の外壁面積がすでにわかっている方は、上記で紹介した施工単価に外壁面積をかけ合わせると、自宅を工事する場合のおおまかな費用を調べることができますので、ご活用をしてみてください。
外壁張り替えのビフォーアフター施工事例
外壁の張り替え工事は、外観や住宅のイメージを大胆に変更できるメリットがあります。
ここからは、工事前後のビフォーアフター形式で、住宅スタイルごとに、おしゃれな外壁張り替えの事例を11コ紹介します。
クールスタイルの張り替え事例
画像出典:ケイミュー
黒の金属系サイディングで張り替えた事例です。 金属特有のメタルな質感と黒の組み合わせによってクールな外観に仕上がりました。 現代的でクールなデザインをお好みの方は、黒や深い青色の金属サイディングを使った張り替え工事がぴったりです。 ▼「クール・スタイリッシュ」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。 画像出典:旭トステム
マットな質感のあるホワイトの外壁材で張り替えをした事例です。 黒の屋根と緑のガーデニング、そしてホワイトの外壁がうまく調和し、シンプルで落ち着いた雰囲気に仕上がっています。 シンプルなスタイルをお好みの方は、ツヤや光沢感がなく、素材感が生かされた外壁材の使用を検討するとよいでしょう。 画像出典:ケイミュー
平家の昔ながらの住宅に、石積み柄のサイディングで張り替えをした事例です。 和風な瓦屋根の住宅と石積み柄の外壁材がマッチし、洗練された仕上がりとなりました。 昔ながらの和風な住宅にお住いの方は、和のデザインを生かした張り替え工事を検討してみてください。 ▼「和風スタイル」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。 画像出典:ケイミュー
レンガ調の外壁材で張り替えをし、北欧スタイルに仕上げた事例です。 北欧スタイルは、三角屋根に、レンガ調の外壁材、周囲の景観に溶け込むぬくもりある配色が特徴です。 屋根や軒など家の形状まで工事することは難しいですが、本事例のようにヨーロピアンなレンガ調の外壁材を使えば、北欧スタイルに近づけることができます。 画像出典:ロビンスジャパン
ヨーロピアンの中でも南欧系のスタイルに仕上げた事例です。 南欧スタイルは、フラットな軒に、明るめの指し色・ホワイトの外壁材で外観が統一されます。 南欧スタイルといえば漆喰仕上げが定番ですが、漆喰風の真っ白な外壁材で張り替えをすれば、本事例のような南欧スタイルに近づけることができます。 ▼「ヨーロピアンスタイル」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。 画像出典:旭トステム
こちらは北欧・南欧とはまた違った、アメリカンスタイルの張り替え事例です。 アメリカンスタイルのポイントは、ラップサイディングと呼ばれる外壁材や横張りデザインの外壁材を使用することです。 ごくごく一般的な住宅が、アメリカンスタイルな住宅へ生まれ変わりました。 画像出典:旭トステム
こちらはレンガ調の外壁材で張り替えをした事例です。 ブリックスタイルは、レンガ調の外壁材を使用することがポイントです。深い色を使用すれば、どっしりと落ち着いた印象を表現できます。 個性にやや欠ける住宅が、重厚感ある雰囲気に大胆に変わりました。 ▼「ブリック(レンガ調)」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。 画像出典:旭トステム
こちらは、木目調の外壁材で張り替えをした事例です。 本物の木材は、腐食や変色を起こしやすいためメンテナンスが大変ですが、木目調の外壁材を使えば、面倒な維持管理の手間を省くことが可能です。 本事例のように明度の高い色で張り替えをすると、明るさ・軽さのある、おしゃれなウッドスタイルを作ることができます。 ▼「ウッド(木目調)」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。 画像出典:旭トステム
こちらは二階部分をブラック、一階部分をホワイトのツートンスタイルで張り替え事例です。 本事例のように、異なる色を組み合わせて外壁を張り替えすることも実はできます。 暖色一片倒しの住宅が、モノトーンでまとまったおしゃれな外観に生まれ変わりました。 ▼「ツートン」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。 画像出典:アイジー工業
こちらは個性あふれるユニークスタイルの張り替え事例です。 周囲の色と調和しやすかったり、清潔感もあることから、ベージュ、ホワイト、グレー、などの色が外壁ではよく使用されます。本事例のように、はっきり目立つブルーで張り替えをすれば、印象に残りやすいユニークな印象を与えることができます。 やや飾り気に欠ける住宅が、さわやか×ユニークが両立する住宅に生まれ変わりました。 ▼「外壁の色」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。 画像出典:旭トステム
薄いピンクベージュと、オレンジのレンガ調の外壁材を使って張り替えをした事例です。 奇抜さをなくすため、明度・清潔感のバランスを調整することがキュートスタイルのポイントです。 さりげない可愛らしさが漂うピンクベージュ外壁と、玄関口のはっきりした明るいオレンジがマッチし、絶妙にキュートな住宅に生まれ変わりました。 外壁張り替えにはどのようなメリット・デメリットがあるのかご説明します。 外壁張り替えのメリットは大きく分けて3つあります。 張り替えでは、年月が経って傷んだ外壁材はすべて剥がすので外壁材の劣化は持ち越されません。 そのため、見えない部分にトラブルを抱えている可能性が高い、築年数の古い家や、雨漏りを起こしたことのある家ほど張り替えがおすすめです。 外壁材は技術の進歩が著しい分野です。 もうひとつの手段である外壁の重ね張り(カバー工法)では、どうしても新しい下地や外壁材のぶん(3~5cm以上)外壁の厚みが増します。 厚みが増えるとどうなる?
外壁の厚みが増すと、窓サッシなどの開口部が工事前より埋まったり、家の存在感・圧迫感が増すことがあります。 外壁張り替えのデメリットも大きく分けて3つです。 外壁張り替えは、他の工法にはない「解体」や「廃材処分」の手間があり、そのぶん費用も増します。 解体の工程があるため、工事日数が2~4日ほど長くなります。 外壁材に規制物質のアスベスト(石綿)が使われていた場合、張り替え工事に特殊な撤去工程が加わります。
2004年11月以降に建築確認・着工された家であれば、アスベスト含有の心配はありません。 ▼「アスベスト入り建材の判別」「アスベスト入り外壁の解体」についてもっと詳しく知りたい方におすすめ メリット・デメリットの両面から考えると、以下に当てはまる場合は外壁張り替えがおすすめです。 そもそも、あなたの家の外壁は修理やリフォームをするべきタイミングなのでしょうか? 工事をすべき時期の判断は「築年数」か「症状」のどちらかで行います。 住宅に使われている主要な外壁材の寿命は、早いもので約20年、遅いもので40年が目安です。 外壁材の種類と、耐用年数(寿命)の一覧は以下のとおりです。 ※立地条件や製品のグレードによっては、耐用年数が上記の目安から変わる場合があります。
張り替え時期を過ぎた外壁をそのままにしておくと、家の躯体(骨組み)の劣化や腐食がはじまり、張り替えよりも高額な工事が必要になる場合があります。 築年数に関わらず、外壁に大きなヒビ割れ、剥がれ、反りが起きたら張り替えの時期が来ています。張り替えが必要な劣化症状は下記の通りです。 上記のような劣化症状が発生している場合は、外壁の下地にまで傷みが発生している可能性が高く、張り替え工事が必要です。 ここまでの解説をもとに外壁の張り替えを行うべきタイミングを下記にまとめましたので、参考にしてください。 外壁張り替えのタイミング 一般的な30坪の家の場合、外壁張り替えの費用相場は約180万円~280万円程です。詳しく知りたい方は外壁張り替えの費用をご覧ください。 早くて築20年目、遅くとも築40年目か、外壁のヒビ割れ、剥がれ、反りが認められる場合です。詳しくは外壁張り替えのタイミング・サインをご覧ください。 メリットは、「以上や劣化の根本解決になる」「新商品を試せる」「外壁の厚みが増えない」で、デメリットは「費用が高額」「工事日数が長い」「アスベスト含有の場合は処理費用が発生」です。詳しくは外壁張り替えのメリット・デメリットをご覧下さい。 また、外壁リフォーム全般について全体像を把握されたい方は、下記の記事も併せてご覧ください。 最後までご覧いただきありがとうございました。
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>>和風でおしゃれな外壁にするには?色・素材選びの法則と事例写真を豊富に掲載北欧スタイルの張り替え事例
南欧スタイルの張り替え事例
>>ヨーロピアンな外壁にするには?色・素材選びの法則と事例写真を豊富に掲載アメリカンスタイルの張り替え事例
ブリックスタイルの張り替え事例
>>レンガ調の外壁は結局どれがいい?種類別メリット・デメリット!ウッドスタイルの張り替え事例
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>>外壁塗装の色選びのコツ。失敗しない知識と全10色の塗装事例キュートスタイルの張り替え事例
外壁張り替えのメリット・デメリット
外壁張り替えのメリット
異常や劣化の根本解決になる
また、剥がす際に内部の劣化を発見・補修することもできます。新商品を試せる
10~20年前に比べて、軽量化による耐震性の増加、省エネ性能等のアップ、デザインバリエーションの増加などは目を見張るものがあります。外壁の厚みが増えない
その点、張り替えでは工法の都合で厚みが増すことがありません(分厚い外壁材を選んだ場合は別)。
外壁張り替えのデメリット
費用が高額
同じ全体工事の重ね張り(カバー工法)に比べて、約10~20万円ほど高くなるでしょう。工事日数が長い
アスベスト含有の場合は処理費用が発生
このため費用がさらに20~50万円以上あがる可能性があります。
外壁張り替えはこんな場合におすすめ
外壁張り替えのタイミング・サイン
工事が要らなければお金がかからずに済みますが、異常があるのに放っておくことはできません。築年数からみる張り替え時期
平均的には「築30年目をこえたら張り替え時期が来てもおかしくない」と捉えておきましょう。
外壁材
耐用年数(寿命)
モルタル
約30年
窯業系サイディング
20~40年
金属系サイディング
30~40年
木質系サイディング
20~30年
樹脂系サイディング
20~40年
タイル
40年以上
ALC
40年以上
住宅は、適切な間隔でリフォームやメンテナンスをしながら住み続けるほうが、結局は出費を抑えられるのです。劣化症状からみる張り替え時期
記事のおさらい
外壁の張り替え費用はいくら?
外壁張り替えを行うべきタイミングは?
外壁張り替えのメリットとデメリットは?
あなたにあった外壁リフォーム方法は何?費用、施工事例からメリットまで紹介します。