浴室床暖房の設置を検討をされている方には、このような疑問をお持ちの方も多いでしょう。
本記事では、浴室に床暖房を設置するメリット、リフォーム費用や維持費、注意点などを解説します。
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浴室床暖房の必要性・メリット
「気温の下がる冬はお風呂に入り温まりたい」と思っていても、脱衣所や浴室が寒いため憂鬱になるときもあるでしょう。
浴室に床暖房を設置すれば冬場の入浴タイムも快適に過ごせるほか、気温差によるヒートショックのリスク軽減やカビが発生しにくく掃除が楽になるメリットもあります。
浴室床暖房設置のメリット
- 足元を温め体温が下がるのを防止できる
- ヒートショック対策になる
- カビが発生しにくく掃除が楽になる
足元が暖かくなる
1つ目は「足元からの温もり」です。浴室床暖房を導入する1番のメリットでしょう。
床の冷たさは材質によって違います。また、同居人がいる場合は入る順番にも左右されますよね。
特に、浴室の床がタイルや石材の場合はより冷たくなってしまいます。せっかく浴槽で温まっても、床の冷たさによって体温が下がってしまいます。
浴室床暖房を設置すれば材質や入る順番に左右されることなく、常に暖かさを保ってくれます。
ヒートショック対策になる
浴室床暖房の設置によって浴室とほかの部屋の気温差が小さくなります。その効果で「ヒートショック」を引き起こすリスクを軽減できるのです。
そもそもヒートショックとは、急激な温度差が原因となって引き起こされるもので「脳卒中」や「心筋梗塞」のリスクを伴います。
ヒートショックはどの年代にも注意が必要ですが、高齢者になるほど発生のリスクは高まります。
そのほかにも以下に当てはまる方は特に注意しましょう。
- 65歳以上の方
- 糖尿病や高血圧の方
- お風呂に入る前に飲酒する方
カビが生えにくく掃除が楽になる
カビが発生する要因の一つは「湿気」と言われています。湿気の多い浴室はカビが繁殖しやすい環境です。
浴室床暖房を使用すると床の水分が早く乾き、その結果カビが生えにくく繁殖しづらい状況になるのです。
特に冬は、夏場と違い水分が蒸発しづらく水分が残ってしまいがちですが、浴室床暖房を使用すれば床が乾いてカビの発生を防止でき、掃除の手間が減ります。
浴室床暖房の種類【電気式・温水式】
浴室床暖房は大きく分けると以下の2種類に分けられます。
- 電気式床暖房
- 温水式床暖房
それぞれの特徴を1つずつ詳しく解説します。
電気式床暖房
メリット
- 初期費用が安い
- メンテナンスが必要ない
- 狭い面積の設置に適している
デメリット
- ランニングコストが高い
- 温まるのに時間がかかる
- 温度にムラがある
電気式は電熱線を床下に敷いて、電力を元に床を温めます。
熱源が不要なため容易に導入でき、初期費用が安いのが特徴です。一方で、使用にともなうランニングコストが高い点や、全体が温まるまでに時間がかかってしまう点、場所によって温度にムラができてしまうといったデメリットもあります。
ランニングコストを抑えるには、こまめに使用するなど節約する意識が重要となるでしょう。
また、電気式はメンテナンスの必要がありません。万が一、電熱線が断線してしまった場合は高額な修繕費がかかってしまいます。
温水式床暖房
メリット
- ランニングコストが安い
- 温まるのがはやい
- 均一に温まる
デメリット
- 初期費用が高い
- メンテナンスが必要
温水式は温水が通るパイプを床下に敷き、そこへ給湯器などで温めた温水を流すことで床を温めます。
ランニングコストが安いので光熱費の負担が軽いのが特徴です。寒い時期のみの使用にはなると思いますが、利用するにあたってランニングコストが安いのは大きいメリットですよね。
また、温まるまでの時間もはやく、場所によって温度のムラがなく均一に温まります。
一方で、場合によっては熱源を設置する必要があるなど初期費用が高い傾向にあります。配管内を凍らせないように、不凍液の交換(メンテナンス)が約10年ごとに必要です。
交換費用は30,000円〜50,000円ほど必要となるので、そのあたりも考慮しておきましょう。浴室床暖房の導入費用と維持費
浴室床暖房の導入費用は、浴室のタイプによって決まります。実際にどのようなタイプがあるかというと、下記の2パターンです。
- 壁や床、浴槽がセットになっている「ユニットバス」
- 床や壁などそれぞれ別のパーツを組み合わせて作る「在来工法」
ユニットバスは保温効果も高く取り付けも容易なため、現代では主流です。在来工法はそれぞれのパーツを選べるため、自由度が高いといえます。
ユニットバスの場合
壁や床、浴槽などのパーツがすべてセットになっているユニットバスでは、浴室床暖房を後付けで設置することはできません。そのため、ユニットバスそのものを床暖房付きのものに変更する必要があり、高額な費用がかかってしまいます。
具体的な費用は、ユニットバス代に床暖房のオプション付けて、工事も合わせると600,000円〜とかなり高額です。
- 工事費200,000円〜
- ユニットバス400,000円〜
工事日数は2日〜3日近くを要します。
在来工法の場合
在来工法の浴室に床暖房を設置する場合は、床を解体し床暖房設備を設置します。そのためユニットバスと比べて費用が抑えられます。
さらに、現在使用中の熱源を浴室床暖房にも利用すればさらに費用を抑えることが可能です。
具体的な費用は150,000円〜250,000円ほどです。
- 暖房設備費90,000円〜150,000円
- 工事費60,000円〜80,000円
工事日数は基本的に2日〜3日で完了しますが、解体工事に時間を要する場合もありますので長いと1週間ほどかかる場合もあります。
浴室床暖房を取り扱う代表的なメーカー・製品
浴室床暖房機能を選ぶことができる大手メーカーは、パナソニックとタカラスタンダードの2社です。
対応製品は、以下の通りです。
>>パナソニックのユニットバス/お風呂の特徴・製品
>>パナソニック「Lクラス」の特徴・機能
>>パナソニック「ビバス」の特徴・機能
>>パナソニック「オフローラ」の特徴・機能
>>タカラスタンダードのユニットバス/お風呂の特徴・製品
>>タカラスタンダード「プレデンシア」の特徴・機能
>>タカラスタンダード「グランスパ」の特徴・機能
浴室床暖房を設置する際の注意点
ヒートショックのリスク軽減やカビ・寒さ対策以外にもメリットのある浴室床暖房。
ですが、浴室床暖房の設置は工事や多額の費用を要します。設置にともなう注意点やデメリットをしっかり認識しておくのが重要です。
- 光熱費の負担が大きくなる
- メンテナンス費用
- 工事期間はお風呂が使用できない
これら3点を順番に解説していきます。
光熱費の負担が大きくなる
当然、浴室床暖房を使用するには光熱費がかかります。
電気やガス、または灯油など、どの熱源を使用しているかによりますが、浴室床暖房の使用には必ず発生するものです。
熱を発生させるため「思ったよりも光熱費が高い!」という事態にもなりかねません。
とはいえ、使用するのは冬場がメインでしょうから「家族がいる場合は連続して入る」「使用後はすぐ切る」などちょっとした意識で節約が可能でしょう。
場合によってはメンテナンス費がかかる
電気式・温水式それぞれによい面と悪い面がありますが「温水式」にはメンテナンス費用が発生します。
温水式の床暖房は、熱源で温めたお湯をパイプで床下に通すことで床を暖めています。
そのため、熱源である給湯器が壊れてしまう場合や一部の寒い地域では「不凍液」が使用されており、不凍液は10年を目安に交換が必要です。
初期費用やランニングコストのほかにメンテナンス費が必要な点も考慮しておきましょう。
工事中はお風呂が使えない
浴室床暖房を設置する工事は基本的には2日〜3日で完了しますが、「在来工法」で浴室の解体に時間がかかってしまうと1週間ほどかかる場合もあります。
当然、その間はお風呂は使えません。
2、3日ならまだしも、1週間お風呂に入れないのは辛いですよね……
そのような事態にならないよう、工事期間中のお風呂事情についてどのようにするか決めておきましょう。
浴室床暖房と浴室暖房(浴室暖房乾燥機)の違い
お風呂場の寒さ対策として浴室床暖房のほかに浴室暖房(浴室暖房乾燥機)が挙げられます。
結論からいうと、得られる効果にはあまり差はありません。
冷たい冬場の浴室を快適に過ごせるのはもちろん、ヒートショックの抑止、カビ対策など同じような効果を得られます。
寒さ対策のみの使用なら「浴室床暖房」、洗濯物を乾かしたいなら「浴室暖房(浴室暖房乾燥機)」が適しています。浴室床暖房と浴室暖房の初期費用・ランニングコストを比較すると下記の表になります。
浴室床暖房 | 浴室暖房 | |
---|---|---|
設置費用 | 約100,000円〜200,000円 | 約350,000円〜400,000円 |
電気代 | 約2,000円〜4,000円 | 約3000円〜4000円 |
初期費用・ランニングコストともに、浴室全体を温められる「浴室暖房」の方が費用がかかることがわかりますね。
しかし、浴室暖房は洗濯物を乾かす「浴室乾燥」も使用できるものがほとんどなため、寒さ対策以外の用途もあります。
浴室床暖房の効果をさらにあげるリフォーム
浴室床暖房を設置する際に、一緒にするととより効果的なリフォーム・対策をご紹介します。
- 壁や天井への断熱材
- 窓に内窓をつける
- ユニットバスのリフォーム
上記3点を実施すると効率よく浴室の温度を保てるようになり、浴室床暖房の効果もより感じられ結果として節電にもつながるでしょう。
壁や天井に断熱材を入れる
1つ目の対策として、壁や天井へ断熱材を入れましょう。
冬は室内の温度が保たれ、夏は外からの熱気を遮断できます。
- 天井1平方メートル:約4,000円〜
- 壁1平方メートル:約5,000円〜
- 床1平方メートル:約7,000円〜
窓に内窓を設置
2つ目は、内窓を設置しましょう。
外の冷気は窓を通じて浴室内に入ってきます。内窓を設置すれば、温まった室温を逃さない効果が期待できます。
- 内窓の設置:約30,000円〜
ユニットバスのリフォーム
3つ目は、ユニットバスそのものをリフォームすることです。
ユニットバスに比べると在来工法は保温効果は低め。現在のユニットバスが古い場合も新しくすると保温効果が上がります。
- 在来工法からユニットバス:約600,000円〜1,200,000円
- ユニットバスからユニットバス:約500,000円〜1,000,000円
まとめ
浴室床暖房の設置で冬のお風呂が快適になるのは間違いありません。ですが、設置には工事とコストの負担があります。
浴室床暖房にもさまざまなタイプがありますので、電気代などランニングコストを考慮して選択しましょう。
まずは、リフォーム業者に相談や見積もりをすることでリフォームで失敗する確率を減らすことができます。
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