頭上高くにシャワーヘッドが固定され、大きなシャワーヘッドから降り注ぐ温水を全身で浴びられるオーバーヘッドシャワー。
海外ドラマや海外のホテルで目にする機会の多いオーバーヘッドシャワーは、リラックス効果や保温効果が高く、浴室をスタイリッシュに見せることができます。
最近では、日本国内でも導入を検討する方が増えている注目のアイテムです。
本記事では、オーバーヘッドシャワーのメリット・デメリットを紹介すると共に、オーバーヘッドシャワーを後付け設置する方法などを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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オーバーヘッドシャワーとレインシャワーの違い
オーバーヘッドシャワーは、大きなシャワーヘッドが特徴的な、高い位置に固定されたシャワー水栓です。しっかりとした水圧のシャワーを全身で浴びることができ、入浴と同じような保温効果が得られます。
また、一般的なハンドシャワーよりも空気を多く含んでいるため、心地良い刺激の柔らかいシャワーが楽しめます。
オーバーヘッドシャワーと「よく同じと間違われる」のがレインシャワーです。
レインシャワーも天井付近にシャワーヘッドが固定されていますが、シャワーから降り注ぐ水圧に大きな違いがあります。
ストレス解消効果やリラックス効果を主な目的とするレインシャワーは、シャワーからの水圧が抑えられた設計になっています。
メーカーによっては、オーバーヘッドシャワーとレインシャワーを明確に区別していない場合があります。
オーバーヘッドシャワーの導入を検討する場合は、湯量や水圧を確認し、使用目的にあったシャワーを選びましょう。
オーバーヘッドシャワーは後付けできる
オーバーヘッドシャワーは、後付け設置が可能です。後付け設置を検討する際は、以下の設置条件を事前に確認しておきましょう。
- 給水圧の確認
- 凍結の可能性の有無
- 設置を邪魔する備品の有無
- 取付位置の壁の強度が足りているかどうか
- オーバーヘッドシャワーに適した給湯設備であるかどうか
給水圧が弱い場合、オーバーヘッドシャワーの性能を十分に引き出せません。
オーバーヘッドシャワーは、一般的なハンドシャワーよりもホース部分が長いため、寒冷地で使用するとホースに残った水が凍結する可能性があります。
これら以外にも、既存の水洗金具にオーバーヘッドシャワーを後付け設置するアタッチメントが必要かどうかなど、専門性の高い確認事項があります。
オーバーヘッドシャワーの後付け工事を依頼する際は、事前に現地調査を依頼するとよいでしょう。
オーバーヘッドシャワーはDIYでも後付けできる?
DIYリフォームとして、オーバーヘッドシャワーの後付け工事を行うことは可能です。オーバーヘッドシャワーの後付け工事は、既存のシャワー水洗金具からシャワーホースを取り外し、その部分にオーバーヘッドシャワー用のホースを接続します。
その後、オーバーヘッドシャワーを壁面などに固定し、付属の切り替えハンドルにもともとのシャワーホースを接続して完成します。
このため、基本的には給水管や給湯管をいじることはありません。
DIYに慣れている方であれば、問題なく工事を行えるでしょう。しかし、前述の通り、オーバーヘッドシャワーの後付け工事には様々な設置条件があり、水廻りの工事には漏水のリスクもあります。
そのため基本的には専門業者に依頼することをおすすめします。
オーバーヘッドシャワーのメリット
オーバーヘッドシャワーには、以下の3つのメリットがあります。
- 湯量が多く保温効果が有る
- 節水効果が期待できる
- 両手が使える
それでは、それぞれの項目について詳しく解説します。
メリットその1:湯量が多く保温効果がある
オーバーヘッドシャワーは、一般的なハンドシャワーに比べてシャワーヘッドが大きく、広範囲にシャワーが降り注ぎます。
一般的なハンドシャワーの場合、背中でシャワーを浴びるとおなか側にはシャワーが当たりづらいものですが、オーバーヘッドシャワーは全身にまんべんなく浴びられます。
また、オーバーヘッドシャワーは湯量が多く、高い保温効果が期待できるのも魅力です。
入浴と同程度の保温効果が得られるので、冬場でもシャワーだけでしっかりと体を温められます。
体を温めることでリラックス効果も期待できます。
シャワー入浴がメインな方に特におすすめです。
メリットその2:節水効果が期待できる
オーバーヘッドシャワーは、節水効果が期待できる経済的なアイテムです。
メリットその1で、湯量が多い点を紹介しましたが、オーバーヘッドシャワーは、一般的なハンドシャワーよりも多くの空気を含んだお湯を放出するという特徴があります。
そのため、豊富な湯量を楽しめる一方で、節水対策も行えます。
節水効果については、使用するオーバーヘッドシャワーによって異なるので、オーバーヘッドシャワーの後付け工事を行う際は、節水効果の高いものを選ぶと良いでしょう。
湯船にお湯をはった入浴よりもはるかに少ない湯量で、同程度の保温効果が得られるので、実はお財布にやさしいシャワーですよ。
メリットその3:両手が使える
オーバーヘッドシャワーは、常に両手が使える点も魅力です。
一般的なハンドシャワーも固定すれば両手を使えますが、壁や天井などの高い位置で完全に固定されているオーバーヘッドシャワーは常に両手が自由な状態を保てます。
そのため、頭を洗う際などに便利なこと以外にも転倒リスクを軽減する効果が期待できます。
ちなみに、オーバーヘッドシャワーは、切り替えレバーを操作することでハンドシャワーも使えるので、局所的なシャワーが必要な場面にも対応が可能です。
オーバーヘッドシャワーのデメリット
オーバーヘッドシャワーには、以下の3つのデメリットがあります。
- 本体価格が高い
- 後付けを対応しているリフォーム会社が少ない
- メンテナンスが大変
それでは、それぞれの項目について詳しく解説します。
デメリットその1:本体価格が高い
オーバーヘッドシャワーは、一般的なハンドシャワーよりも本体価格が高い傾向にあります。
日本国内では、ハンドシャワーの利用率が非常に高く、オーバーヘッドシャワーはまだまだ一般的なシャワーとは言えません。
そのため、後付け用のオーバーヘッドシャワーは、安いものでも本体価格が5万円を超え、高機能なものになると30万円を超えるものもあります。
本体価格以外に工事費用もかかりますので、選ぶ商品によっては高額なリフォームになる場合があります。
また、オーバーヘッドシャワーを固定する壁面にはある程度の強度が求められますが、強度の高い壁面を採用したユニットバスの多くはハイグレードなものです。
このため、浴室全体のリフォームに合わせてオーバーヘッドシャワーを導入する場合も、高額なリフォームになることが多いです。
オーバーヘッドシャワーは、様々な機能があり優れた商品ですが、導入を考える際はコストとメリットをしっかりと検討しましょう。
デメリットその2:後付けを対応しているリフォーム会社が少ない
オーバーヘッドシャワーは、日本国内では一般的なものではありません。
そのため、施工事例がまだまだ少なく、全てのリフォーム会社が施工できるわけではありません。
ノウハウの無いリフォーム会社に依頼してしまうと様々な「失敗」を引き起こしてしまいます。
この失敗については具体例と共に後ほど紹介しますが、導入を検討する際は、ご自身でもある程度の知識を持っておいた方が良いでしょう。
また、リフォーム業者を選ぶ際は、「オーバーヘッドシャワーの取り付け工事を行ったことがあるか」について確認することをおすすめします。
デメリットその3:メンテナンスが大変
オーバーヘッドシャワーは高い場所に設置されているため、日常的にメンテナンスをすることができません。
また、しっかりと掃除をしようとする場合、浴室に脚立や台を用意し、その上で作業しなければなりません。
浴室は滑りやすく危険なので、タオルやマットを敷くなど安全面の配慮を怠らずに慎重に作業しましょう。
オーバーヘッドシャワーのメンテナンスを頻繁に行えない場合は、ステンレス製の商品を検討することをおすすめします。
オーバーヘッドシャワーには、サビや汚れに強いステンレス製の商品があります。
ステンレス製は、本体価格が高めに設定されていますが、耐久性にも優れていますのでおすすめです。
後付けできるオーバーヘッドシャワーのおすすめ商品5選
後付けできるオーバーヘッドシャワーのおすすめ商品を5つご紹介します。
- TOTO(トートー)
- KVK(ケーブイケー)
- Hansgrohe(ハンスグローエ)
- GROHE(グローエ)
- CERA TRADING(セラトレーディング)
それでは、それぞれの項目について詳しく解説します。
その1:TOTO(トートー)
TOTOは、日本を代表する住宅設備機器メーカーの1つです。
安価なものから高機能・ハイグレードなものまで、各種の後付け用オーバーヘッドシャワーを提供しています。
日本のメーカーなので、メンテナンスサポートをしっかり受けられ安心です。
デザインについても、海外製のオーバーヘッドシャワーに負けない先進性があり、日本の浴室事情に精通するメーカーだからこその機能性も魅力です。
スタンダードなオーバーヘッドシャワーとしておすすめなのが「TBW04004J1」です。
直径22cmの丸型シャワーヘッドが採用されており、本体価格は125,400円となっています。
ハイグレードなオーバーヘッドシャワーとしておすすめなのが「TBW07406J」です。
直径30cmの丸型シャワーヘッドが採用されており、本体価格は243,100円となっています。
3種類のシャワーモードを手元で切り替えられ、節水性の高いコンフォートウェーブや、心地良い刺激のアクティブウェーブ、リラックス効果の高いウォームピラーが楽しめます。
その2:KVK(ケーブイケー)
KVKは、岐阜県に本社を構える水栓メーカーです。
ホームセンターなどでも水栓金具を販売しているので、目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
KVKのオーバーヘッドシャワーでおすすめなのが「ZS3080」です。
他社製品の水栓金具にも取り付けられるように様々なアタッチメントが用意されており、オーバーヘッドシャワーを後付けするのに適した商品です。
本体価格は、117,040円です。
その3:Hansgrohe(ハンスグローエ)
Hansgrohe(ハンスグローエ)は、ドイツで1901年に創業した歴史のある水栓メーカーです。
海外メーカーではありますが、2年間のメーカー保証が付いているので安心です。
また、独自の「クイッククリーン」というテクノロジーを開発しており、シャワーヘッドに溜まりやすいカルキをひとふきで簡単に落とせます。
Hansgrohe(ハンスグローエ)のオーバーヘッドシャワーでおすすめなのが「レインダンスS オーバーヘッドシャワー壁付け式300 1ジェットエア」です。
本体価格は、205,260円と高価ですが、クイッククリーン機能も採用されており、空気を多く含んだ非常に節水性の高いオーバーヘッドシャワーです。
その4:GROHE(グローエ)
GROHE(グローエ)は、1936年にドイツで創業した老舗の水栓メーカーです。
2014年に、日本を代表する住宅設備メーカーLIXILの子会社になっているので、メーカー保証やアフターサポートも充実しています。
GROHE(グローエ)のオーバーヘッドシャワーでおすすめなのが「シャワーシステム JP288303」です。
スッキリとしたシンプルなデザインと、レインシャワーと呼ばれる低刺激のシャワーを広範囲に浴びられるのが魅力です。
また、スピードクリーンという機構が備わっているので、手入れが簡単にできます。
本体価格は212,300円です。
その5:CERA TRADING(セラトレーディング)
CERA TRADING(セラトレーディング)は、世界中の水栓を輸入販売している企業です。
大手海外メーカー以外にも様々なメーカーと取引があるため、多種多様なオーバーヘッドシャワーから好みに合ったものを選べます。
自社オリジナルのオーバーヘッドシャワーも扱っているので、アフターサポートの心配がないのも魅力です。
CERA TRADING(セラトレーディング)のオーバーヘッドシャワーでおすすめなのが「VL050S オーバーヘッドシャワー」です。
デンマークを代表するデザイナー、アルネ・ヤコブセンがデザインしており、豊富なカラーバリエーションが用意されています。
本体価格は、299,200円〜447,700円(色によって価格が変わります)と高価な商品ですが、浴室をスタイリッシュな空間に演出することができるのでおすすめです。
ただし、後付け専用のオーバーヘッドシャワーではないため、後付けとして導入する場合は大がかりなリフォーム工事が必要です。
オーバーヘッドシャワーを後付けする注意点
オーバーヘッドシャワーを後付けする際の注意点を具体例と共に3点ご紹介します。
- 適切な場所に設置する
- 設置条件を事前に確認する
- 賃貸マンションでは専門業者に工事を依頼する
それでは、それぞれの項目について詳しく解説します。
注意点その1:適切な場所に設置する
オーバーヘッドシャワーを後付けする場合は、適切な設置位置を検討しましょう。
高い位置に固定するオーバーヘッドシャワーですが、取り付けには複数個所の固定具が必要になります。
そのため、設置スペースに鏡や収納スペースが無いかを確認する必要があります。
また、シャワーヘッドを固定する位置にも注意が必要です。
オーバーヘッドシャワーは頭上からシャワーが降り注ぐため、壁に近い位置にシャワーヘッドを固定してしまうと、十分にシャワーを浴びることができません。
後付け工事に不慣れなリフォーム会社に依頼すると、使いづらい位置に取り付けてしまう可能性があるので注意が必要です。
オーバーヘッドシャワーを後付けする際は、リフォーム会社に事前調査を依頼し、最適な取付位置を検討するとよいでしょう。
注意点その2:設置条件を事前に確認する
オーバーヘッドシャワーの導入を検討する場合は、事前に設置条件を確認しましょう。
すでに本記事でも触れていますが、オーバーヘッドシャワーには様々な設置条件があります。
水圧や給湯設備の容量が不十分な場合、オーバーヘッドシャワーの機能を十分に活かせないだけでなく、故障の原因にもなりますので特に事前の確認が必要です。
後付け工事に不慣れなリフォーム会社の場合、細かな設置条件を把握していない場合があるので、見積書に書かれた型式名を自身でも調べることをおすすめします。
もし、記載されている商品が設置条件を満たしていない場合は、再見積もりを依頼するとよいでしょう。
注意点その3:賃貸マンションでは専門業者に工事を依頼する
賃貸マンションに住んでいる場合は、必ず専門業者に依頼しましょう。
賃貸物件の場合、借りている人に原状回復の責任があるため、オーバーヘッドシャワーの後付け工事など、リフォームを行う場合は事前に管理会社へ相談することをおすすめします。
また、オーバーヘッドシャワーの後付け工事は、水廻りのリフォームになるので漏水のリスクがあります。
賃貸マンションに限らず、集合住宅に住んでいる場合は、専門業者に依頼するとよいでしょう。
オーバーヘッドシャワーを後付けして快適なお風呂生活を【まとめ】
オーバーヘッドシャワーは、高い保温効果とリラックス効果のある優れた商品です。
節水性の高いものや様々なシャワーバリエーションを持つものもあるので、ライフスタイルに合ったオーバーヘッドシャワーを選ぶとよいでしょう。
まだまだ日本国内では導入の少ないオーバーヘッドシャワーですが、浴室のリフォームを検討する際は、導入を検討してみてはいかがでしょうか。