浴室の手すりは複数の種類があり、製品によって目的や費用も大きく変わります。
取り付ける位置や工事によって必要な費用はそれぞれ異なるのも、工事の特徴です。
この記事では、浴槽に手すりを付ける工事を行うポイントを解説します。
記事を読めば、浴槽手すりの種類や価格、取り付け時の注意ポイントがどこかわかるでしょう。
設置を検討する際には事前知識をおさえれば、工事をスムーズに計画できます。
「浴槽に手すりを付けたいけど、事前知識が得られず計画が立てられない……」
そうお悩みの方は、当記事をぜひご覧ください。
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浴室手すりの種類と一般的な位置
浴室に取り付ける手すりには、さまざまな種類があるとあなたは知っていましたか?
浴室手すりには、大きく分けて以下の3種類があります。
名称と設置に適した高さをまとめたので、参考にしてください。
手すりの種類 | 設置に適した高さ |
---|---|
縦手すり | 800mm~1500mm |
横手すり | 700mm~800mm |
L型手すり | 800mm~1500mm |
それぞれの特徴や設置がおすすめな方の特徴などを、ここでは詳しく解説します。
どの形の手すりにしようか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
縦手すり
「縦手すり」は、使う方の「立ち座りの動作」を主にサポートできるよう作られた製品です。
風呂場だけでなく、立ち座りの姿勢をよく行うトイレにも多く使われます。
お風呂場に縦手すりを設置する場所の候補となるのが、「浴槽の壁側」と「洗い場内のイスの近く」です。
浴槽の壁側に縦手すりがあると、高齢者や足腰に不安のある方でも安心して浴槽内での立ち座りの動作ができます。
ゆったりくつろぐ姿勢を作ったり戻したりするのも役立つでしょう。
洗い場のイスを置く箇所付近に縦手すりを設置しておくと、身体を洗ったあとに立ち上がる際や手元から離れたシャンプー・リンスを使う際の動作をアシストしてくれます。
縦手すりは設置時に横の幅を取らないのが特徴なので、比較的狭い浴室でも設置しやすいのも嬉しいポイントです。
横手すり
横手すりは、使う方の「位置の移動」をサポートしやすい手すりです。
長距離移動を行う必要がある、病院や公共施設などの階段や廊下にも多く設置されます。
横手すりを風呂場に設置する際の候補となる位置は、浴室のドア付近と浴室の隣です。
家の浴槽が横に長い場合は壁際に横手すりを設置すると、中を移動するときや体勢を変えるときに役立ちます。
横手すりを浴室のドア付近に設置しておくと、入浴時の出入りでつまずくリスクを減らす事が可能です。
浴室と脱衣室の間に段差がある場合はさらに重宝されるでしょう。
横手すりは使っていない時に物を立てかけるのにも使えます。
身体を洗うタオルやバスマットを一時的に置いておく、ハンガーとしても重宝するでしょう。
浴室と脱衣室の床質が違ったり、ドアを開閉した際にスペースが狭くなってしまったりする場合には、横手すりを浴室側と脱衣室側両方につける手もあります。
L型手すり
L型手すりは、縦手すりと横手すり両方の役割を1つで果たせる便利な製品です。
設置する候補となる位置は、浴槽と身体を洗うスペースの間や入り口に近いイスの近くです。
L型手すりを浴槽付近に設置すると、浴槽に出入りする際の立ち上がる動作と、浴槽内での移動両方に役立ちます。
入り口の近くに設置できるため、付近に身体を洗うスペースがある場合、入室から椅子に座って立ち上がるまでの動作を1つの手すりで一貫サポート可能です。
L型手すりはほか2つの形に比べて縦と横にスペースを取るのが、L型手すりのデメリットといえます。
しかし、面積の狭いユニットバスでは、1つで何役もこなせる手すりとして重宝できるため設置を検討するのがよいでしょう。
浴室の広さや間取りに応じ、取り入れを行うのがL型手すりの採用検討法としては適しています。
浴室手すり位置の選び方の基準
浴室手すりを設置する位置には、明確な正解はありません。
設置場所を決める際の最大のポイントは「誰のために設置するか」「誰にとって便利な浴室にするためか」です。
また、浴室手すりの位置を考えるときは、浴室の状況を事前に把握するのが必要不可欠といえます。
浴室手すりの位置を決めるうえでのポイントは、大きく分けて以下の3つです。
- 家族の身長
- 浴槽の深さ
- 浴室の素材
それぞれのポイントを解説しますので、ぜひ参考にしましょう。
家族の身長
浴室手すりの位置を決める際に、まず意識しておきたいのが「使う家族の身長」です。
浴室手すり自体の取り付け位置は、床から800mm前後の高さを含む場所が推奨されています。
しかし、使用者の身長によって高さを臨機応変に変える必要があるため注意が必要です。
高身長かつ足腰に不安を抱える高齢者の場合、しゃがむ、座るなどの動作の負担も通常と比べて大きくなるのは避けられません。
浴室手すりの位置を決めるときは、まず使用する家族の身長から最も負担を和らげられる位置を考え、動作をアシストできる位置を探してください。
使用する家族の身長だけでなく、肩幅や腹回りなど体型面も意識して手すりの位置を考えましょう。
体型を考慮し設備を設置すれば、思わぬ事故のリスクや足腰へのダメージを軽減できます。
浴槽の深さ
浴室手すりの位置を決めるときは、あらかじめ「浴槽の深さ」も把握しましょう。
浴槽の深さをあらかじめ把握すると手すりの位置だけでなく、必要に応じた手すりの形を判断する材料になります。
使用者が姿勢を変える動作は問題ないものの、立ち座りなど腰を使う動作に負担を感じる場合、浴槽の近くに設置する候補となるのは縦型の手すりです。
家の浴槽が標準より深い場合、立ち上がる動作や横の移動にも負担が生じるため、L字型の手すりが向いている場合もあります。
横移動を行う必要がある広い浴室の場合や、タオルを浴室内に持ち込む家族がいる場合は、横手すりの導入を検討してください。
浴槽の深さそのものが使用者の入浴における動作の負担になっている場合には、浴槽への出入りに使える踏み台などの道具を使って対処しましょう。
浴室の素材
浴室手すりの位置を決める際に、浴室の素材も確認するのも大切です。
浴室の壁材がタイルやプラスチック板の場合、取り付け可能な手すりがあるかどうか事前にメーカーに問い合わせる必要があります。
浴室の素材によっては滑りやすさの危険を和らげにくい場合や手すりの位置にたどり着くまでに転んでしまうリスクがあります。
浴室・浴槽の素材が滑りやすいものだと、せっかく手すりを使ってもほかの要素により使用する家族が怪我をするリスクは減らせません。
浴室の床が滑りやすい場合には、同時に床面のリフォームを検討しましょう。
予算が足りない場合には、床面に滑り止めマットを敷くなどの対応をしてください。
浴室に取り付ける手すりの位置を決めるときは、まずは浴室自体の環境を整備するのが事故を防ぐポイントです。
どの部分の動作や移動に負担がかかるかを、家族と共に話し合いシュミレーションするのもよいでしょう。
浴室手すりの位置の適切な位置の決まり方
浴室手すりの位置を決めるうえでのポイントは、標準浴槽と深めの浴槽で大きく変わります。
ここでは、標準浴槽・深い浴槽それぞれの手すり設置ポイントを詳しく解説します。
自宅の浴室に手すりを配置したい方は必見です。
標準的な浴槽の場合
標準的な深さ50~55cmの浴槽の場合には、手すりを床から750mm~850mmの位置にするのが理想的です。
浴室に手すりを設置する際は、「立った状態」か「しゃがんだ状態」での動作・移動を便利にするためにも、使用者の身長や足腰の状態への考慮をしましょう。
「立った状態」と「しゃがんだ状態」の立ち座り・横移動における便利な位置は、個々の身長や体型などによって変わります。
そのため、取り付け時には使用者の特徴を把握し、微調整を行ってください。
浴室の出入り口に横手すりを設置するなら、使用者が脱衣から入室までの動作で極力腰を曲げるなどの動作を伴わず、負担の少ない状態を保てるようにするのがポイントです。
浴槽の側や壁際に横手すりを設置する場合には、地面ではなく浴室の底を一番下として設置する位置を決めてください。
深い浴槽の場合
標準より深い60cm程度の浴槽を使用する場には、まず手すりの形状を把握する必要があります。
手すりが横に長く高さがないタイプなら、床から140cmほどの高さに設置をしてください。
縦に長い手すりの場合には、床からの高さに応じ80~140cmの位置に設置をおこないましょう。
高さの調節は実際に立ち座り動作を行いながら、実施するとよいでしょう。
シミュレーションを行う際には、以下のポイントを確認してください。
- 立ち上がり・座り動作に負担がかからないか
- 手すりに体重を預けられる動作ができるかどうか
- 肘などが手すりに当たらないかどうか
- 手を手すりに書けたときに出入りがしやすいか
吸盤で取り付けできる手すりなどを購入すれば、シミュレーションは行いやすくなります。
事故を防ぐためにも、上記4つのポイントを仮設の手すりで確認してはいかがでしょうか。
浴室手すり位置と同様に把握しておきたいポイント
浴室の手すりの設置を検討する際は同時に以下の項目にも目を向けましょう。
ポイントをしっかり把握し手すりを設置すれば、高齢者や小さな子どもにとってより使いやすい浴室を目指せます。
- 浴室の床はどんな素材か
- シャワーの高さはどれくらいか
- 手すりの素材は何か
それぞれの項目について詳しく解説するので、誰にでも使いやすい浴室を目指し手すりを設置したい方は必見です。
浴室の床材
浴室手すりの位置を決めて設置する際に、同時に意識してほしいのが浴室の床素材です。
浴室の床がタイルなどの滑りやすい素材で作られている場合、いくら手すりがあっても転倒のリスクは付きまとうため気をつけてください。
浴室手すりの設置を考える際は、同時に床の滑りやすさや素材もチェックすると、全体的な視点で転倒や怪我の予防策を考えられます。
床が滑る場合には、滑りにくい樹脂素材・FRP素材への床材へのリフォームも検討してください。
リフォームを検討できなかったり段差などがあって危険だったりする場合、スロープ・床シートなどの道具を使って床の安全を確保するのもよいでしょう。
なお、床材の中には滑りにくくても、衛生面でのデメリットを抱えるものもあります。
手入れが大変な素材の場合、水に濡れた状態を放置しておくと段差や溝にカビが発生するため衛生面での注意が必要です。
シャワーの高さ
シャワーの場所や可動域も、浴室手すりの設置時に同時に考えるべきポイントです。
たとえ手すりが使いやすい位置にあったとしても、使う際の移動に手間をかけていては思わぬケガやストレスの原因になりかねません。
シャワーを使って身体を洗う際に使用するスペースに手すりがあると、腕や腰を打ち付けるリスクも上がります。
転倒ではなく打ち身の危険性が増してしまうので、設置場所には注意が必要です。
浴室手すりの位置を考える際は、使う方の特徴だけでなくシャワーやアメニティなどの場所にも気を配ってください。
全体的な流れにおける動作に負担がなく、ケガを防止できる浴室環境が理想です。
シャワーを立てかける場所を増やしたり、ホースやラックの長さを調節したりして可動域を広くするのもよいでしょう。
手すりの素材
浴室手すりの設置を行う際は、位置だけでなく素材にも気を配りましょう。
よく使われる素材は、大きくわけて樹脂製・ステンレス製・プラスチック製・アルミ製の4種です。
水に濡れやすい浴室手すりには、滑りに強い樹脂製が使われやすい傾向にあります。
表面に模様がある滑り防止品や防水加工品もあるので、以下のポイントをおさえ素材を決めましょう。
- シャワーや湯船から近いか
- 水滴が発生しやすい場所かどうか
- 湿気や温度変化により痛みやすい素材を使っていないか
水や滑りに強い手すりを適切な位置に設置したあとも、カビやぬめりによって表面が劣化しないよう注意が必要です。
日常から掃除や手入れを欠かさず行い、快適な入浴環境を目指しましょう。
まとめ:家族に合った手すり位置で快適な入浴をサポート
浴室の手すりの位置は浴槽の高さなどの環境の面、そして高齢の家族や小さな子どもの腰の高さや身体の条件によって変わります。
そのため、手すりの設置には事前リサーチが欠かせません。
浴室手すりの設置は位置決め・施工道具やタイルへの穴あけなど、複雑な作業を多くともなう作業です。
そのため、作業に自信がある方以外はプロに依頼をする方が確実に設置ができるでしょう。
プロの業者に設置を依頼する際には、取り付け位置や使用する家族の現状などの要望を踏まえ、念入りに事前相談をしてください。
足腰の弱い高齢家族や小さい子どもが安心できる入浴環境を整えられるよう、それぞれの特徴や位置をおさえ、業者に希望を上手く伝えましょう。