リフォームをするのであれば、まずはキッチンから、と考える方も多いのではないでしょうか。しかし熟慮せずにリフォームをしてしまい、完成後に後悔する方も少なくありません。
本記事では、キッチンリフォームの失敗例とその原因を紹介し、失敗しないための18つのポイントを詳しく解説します。
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- 1 失敗例① 対面キッチンがリビングを圧迫
- 2 失敗例② キッチンの動線が悪い
- 3 失敗例③ 調理スペースが狭い
- 4 失敗例④ リビング・ダイニングに匂いがいきやすい
- 5 失敗例⑤ 来客時にキッチンの手元が丸見え
- 6 失敗例⑥ ゴミ箱を置くスペースがない
- 7 失敗例⑦ 奥行のある収納が使いにくい
- 8 失敗例⑧ キッチンが高すぎる/低すぎる
- 9 失敗例⑨ シンクが狭くて水はねに気をつかう
- 10 失敗例⑩ 食洗機を付けたもののめったに使わない
- 11 失敗例⑪ 日差しが強くて食材が傷みやすい
- 12 失敗例⑫ タイル壁のふき掃除がめんどくさい
- 13 失敗例⑬ コンセントが足りない・届かない
- 14 失敗例⑭ 床材を変えたら滑りやすい
- 15 失敗例⑮ 好きな色にしたら内装と合わない
- 16 失敗例⑯ 吊戸棚を思いの外使わなかった
- 17 失敗例⑰ 無垢材にしたら水ジミが目立つ
- 18 失敗例⑱ 調理の音がリビングまで響く
- 19 まとめ
失敗例① 対面キッチンがリビングを圧迫
スタイリッシュな対面キッチンに憧れて導入した結果、生活空間を狭めてしまうのはキッチンリフォームのよくある失敗例の1つです。
壁付キッチンは通路部分もダイニング空間の一部として活用できる一方、対面キッチンはキッチン専用の通路が必要となります。また、対面キッチンはカウンター部分に加えて、背面のカップボードや収納など広いスペースが必要となります。
対面式キッチンを導入する際には、歩行幅分のゆとりの確認と、隣接する部屋への影響を熟慮しましょう。
失敗例② キッチンの動線が悪い
キッチンをリフォームしたら、作業動線が悪くなってしまったケースもよくある失敗例です。コンロやシンクの位置が変わることで、作業動線に無駄が出てしまうこともあります。
キッチンは動きやすく、使いやすい空間であると調理がはかどります。狭すぎて不便に感じてしまうのはもちろん、広すぎても無駄な動きが増えて動線が悪化するケースもあります。
キッチンの通路幅は少なくとも80㎝以上は必要とされます。複数人で利用する場合は、120cm程度を確保すると良いでしょう。
また、壁面側に冷蔵庫や食器棚を設置する場合は、開閉に必要な幅も考慮しましょう。冷蔵庫の扉を開けにくいなど、使い勝手の良くないキッチンとならないよう、動線確保の観点も必要です。
失敗例③ 調理スペースが狭い
シンクを広くしたり、コンロの数を多くしたために調理スペースが狭くなってしまったという失敗例もあります。
使用頻度が低いにも関わらず3口・4口のコンロを設置してしまうと、調理スペースを圧迫します。コンロの数が増えても、食材やお皿を置いておく仮置きスペースが狭いと調理がしにくくなります。
狭いスペースでの調理は、作業効率が落ちるだけでなくお互いの体がぶつかってしまう、調理器具を落としてしまうといった危険も伴います。
作業がしやすい調理スペースの広さは、一般的に約60cm~90cmが目安とされています。
ただし、一度につくる料理の量や日常的に使用する調理道具によっても必要な広さが変わってきます。まな板を置いたときに、物が置けるゆとりがある状態がベストでしょう。
失敗例④ リビング・ダイニングに匂いがいきやすい
家族や親せきと会話しながら料理ができるようなキッチンにリフォームしたら、リビングやダイニングに匂いがいきやすくなったと語る方もいます。
特にアイランド型やペニンシュラ型のキッチンを設置する場合、換気扇の位置に注意が必要です。
換気扇の位置が悪いと、油や料理のにおい、鍋の湯気などがリビング・ダイニングに充満してしまいます。壁や家具ににおいや汚れがついてしまうなど、内装へのダメージにもつながります。
匂いや煙をすべて防ぐことは難しいですが、十分な排気容量のある換気扇を選ぶことで、家具や内装へのダメージを減らすことは可能です。
失敗例⑤ 来客時にキッチンの手元が丸見え
アイランド型や対面キッチンにリフォームしたことで、シンクや手元が丸見えで気を使わなければならなくなったというケースも多いです。
食べ終わった食器などがリビング・ダイニングから見えてしまうため、早く片づけなければならないというストレスにつながるそうです。
対面キッチンにリフォームする際には、手元を隠すことができるだけでなく油はねや水はねの対策にもなる、腰壁の設置が効果的です。
キッチンからの立ち上がりは15~25㎝がおすすめです。手元を隠しながらも、開放感を出すことができます。
失敗例⑥ ゴミ箱を置くスペースがない
キッチンリフォームの後、ゴミ箱を置くスペースがなかったと後悔するケースもよくある失敗の1つです。
ゴミ箱がない状態で作業動線を考えると、実際にゴミ箱を設置したあとに動線の邪魔をしてしまうこともあります。位置によっては生活感が出てしまい、おしゃれに見えません。
また、ゴミ分別が細かく規定されている地域も多いため、「燃えるゴミ」「プラスチックゴミ」「瓶・缶」の3種類の分別ができるスペースの確保が最低限必要です。
ゴミ箱の配置を考えてリフォームするのはもちろんのこと、シンク下やカップボード下の空きスペースを利用するのも一つの手です。
失敗例⑦ 奥行のある収納が使いにくい
収納に奥行があると、調理器具を沢山収納できるメリットもありますが、奥のものを取りづらい、活用しづらいという思わぬ失敗例もあります。
収納が大きければ、調理器具も多く置けるため料理の幅は広がります。しかし、どこに何を置いたのか分からなくなってしまうこともあるため、料理する人が使いやすい収納にアレンジすることも大切です。
キッチン本体の収納量は、各メーカーによって大きく異なります。自由にアレンジできるタカラスタンダードや、大容量収納が魅力のクリナップなど、強みは様々です。
対面キッチンの場合は壁面を活かせる背面収納、キッチンのスペースを狭くしたくしない場合は床下収納など、状況や目的に応じて収納方法を選択すると失敗が少ないです。
失敗例⑧ キッチンが高すぎる/低すぎる
キッチンの実物を確認せず、パンフレットやカタログのみでリフォームしたばかりに、キッチンの高さが合わなくて使いづらくなったという失敗も多いです。
高さの合わない作業スペースで長い時間料理をすると、腰痛や家事作業の効率が落ちてしまう原因になるため、使用する人に合う高さとなるよう調整しましょう。
最適なキッチンの高さは、「身長÷2+5cm」で算出できます。例えば、身長160㎝の場合は160÷2+5=85となり、最適な高さは85㎝と計算できます。
また、このような事態を防ぐためにも、導入前には実際にショールームなどで現物を体験しておくことをおすすめします。
失敗例⑨ シンクが狭くて水はねに気をつかう
シンクのサイズを小さくしすぎると、水はねが周囲に広がりやすくなり、掃除が大変になることがあります。
シンクが狭いと、大きな鍋やフライパンを洗うのも一苦労で、片付けや料理そのものが憂鬱になってしまうかもしれません。
また、シンクは水を流すだけでなく、洗い物や切った野菜を仮置きするなど思いの外スペースが必要になります。
シンクのサイズは、毎日の洗い物の量や使っている鍋やフライパンの大きさも考えて選ぶようにしましょう。
また、コンパクトなキッチンにする場合には、水はねを防ぐための「立ち上がり」のあるものを選ぶのがおすすめです。
失敗例⑩ 食洗機を付けたもののめったに使わない
食洗機は一見便利そうですが、実際には使用頻度が低い場合もあります。食洗機に対応できない食器もあることや、水道代や清掃の手間がかかることから、最初は使ったけれども徐々に使わなくなった人も多いです。
食洗機の導入を検討する際は、家族構成や料理の量を考慮し、本当に必要かどうか検討しましょう。
また、ひとまず食洗機は導入せず、必要に応じて置き型や後付けタイプの食洗機を購入するのも1つの手です。
失敗例⑪ 日差しが強くて食材が傷みやすい
リフォームでキッチンの窓を大きくしたり、日当たりを良くすることは、明るく開放的な空間を作ります。しかし、日光が強すぎる場合は、食材や調味料の保存に悪影響を及ぼすこともあります。
特に夏場の日差しは強いため、キッチンが暑くて耐えられないだけでなく、食材が腐りやすくなってしまいます。
日当たりの良いキッチンにリフォームする際には、食材や調味料などの収納スペースを日光の当たらない場所に設けるなど、工夫が必要です。
また、カーテンやブラインドを利用して日差しを調節することも効果的です。
失敗例⑫ タイル壁のふき掃除がめんどくさい
リフォームでキッチンの壁をタイルにしたことにより、ふき掃除がめんどくさくなったという失敗例もあります。
タイルを使用したキッチンリフォームは見た目が美しく、高級感がありますが、お手入れが大変です。
壁の汚れを放置すると、水拭きだけでは落ちにくくり、カビが生えてしまう原因にもなります。特に、タイルの目地に汚れがたまりやすく、掃除が手間がかかることがあります。
タイルを選ぶ際は、なるべく平面が多くシンプルなデザインのものを選ぶと掃除の手間が省けます。
反対に目地の細かいモザイクタイルなどは掃除が大変です。タイルにこだわりが無ければ、より清掃性の高いキッチンパネルがおすすめです。
失敗例⑬ コンセントが足りない・届かない
キッチンリフォームを行う際に、コンセントの数や位置が不十分だと、調理器具を使うたびにコンセントを抜き差しする手間が発生します。
コンセントが届かない場所に家電を置くと、延長コードを使わざるを得なくなり、見た目も機能性も損なわれます。調理家電は消費電力も多い上、水を使う場所であるためタコ足配線は避けるべきです。
また、キッチンは動き回る場所でもあるため、足をコードにひっかけてしまう危険性もあります。
ストレスなく調理器具を使うためにも、リフォームの計画段階で、どの家電をどこに置くかを考え、コンセントの数と位置を検討しましょう。
また、将来的に家電が増える可能性を考慮し、コンセントの増設を検討してみるのもおすすめです。
失敗例⑭ 床材を変えたら滑りやすい
キッチンリフォームで床材をタイルに張り替えたことにより、油料理をした時に滑りやすくなったという失敗例があります。
特にオープンキッチンの場合は壁がないため、キッチンに油や汚れが広がりがちです。タイルの床は掃除がしやすいというメリットもありますが、床が滑りやすく思わぬ事故につながる恐れもあります。
安全性を考慮するのであれば、滑りにくいクッション性のある床材から選ぶのが望ましいと言えます。
しかし、キッチンをおしゃれにリフォームしたいのであれば、キッチンマットを敷いて対応しましょう。
失敗例⑮ 好きな色にしたら内装と合わない
キッチンを自分好みの色にリフォームしたら、リビングとの内装が合わずに失敗したという方もおります。
キッチンは毎日使う場所であるため、料理が楽しくなるような空間にすることは大切です。しかし、他の部屋との内装に合っていないと、どこか浮いた雰囲気になってしまいます。
内装に合う色にするためにも、あくまでも自宅に調和するかという観点で検討しましょう。
メーカーによっては「キッチンカラーシミュレーション」を用いて、扉やシンクを組み合わせたトータルコーディネートを把握することもできます。
キッチンにもお気に入りの色を置きたいのであれば、キッチンマットや観葉植物などのインテリアとして取り入れてみることも検討しましょう。
失敗例⑯ 吊戸棚を思いの外使わなかった
吊戸棚の位置が高すぎたことにより、思いの外使わなかったという失敗例もあります。高すぎると棚の奥の方を見るのが難しくなり、結局そこまで有効活用できなかったケースもあります。また男性の場合、吊戸棚の位置が低くて視界を遮ってしまう、何度も扉に頭をぶつけてしまうといった失敗談も多いです。
そのため、吊戸棚を設置する際には、作業時の目線の高さから検討しましょう。
吊戸棚の位置は、首の中心から75㎝以内にあると使いやすいと言われています。高すぎず、低すぎない位置に設置するだけで、使い勝手は格段に上がります。
失敗例⑰ 無垢材にしたら水ジミが目立つ
キッチンの床材やカウンターを無垢材にしたら水ジミや油汚れが目立ってしまったと語る失敗例もあります。
無垢材は水や汚れに弱く、放っておくとシミになる可能性が非常に高いです。水のついたざるや鍋を置いてしまい、折角のカウンターが黒ずんでしまったと語る方も少なくありません。
水に弱い無垢材ですが、汚れをすぐ拭き取ることで綺麗に長持ちすることは可能です。
気になるようであれば、キッチンマットなどを敷くこともおすすめします。
失敗例⑱ 調理の音がリビングまで響く
キッチンリフォームの思わぬ失敗例として、調理音が予想以上に響くようになったケースがあります。
特に対面キッチンやアイランドキッチンなど、リビングとの距離が近くなったことで、シンクに水が当たる音や換気扇の音などが今まで以上に気になってしまうこともあるそうです。
キッチンからの音が気になるようであれば、音がしにくいレンジフードや静音シンクを取り付けましょう。
また、料理の音が聞こえるのは、家族にとって素敵な時間でもあります。家族にとって理想のキッチンはどんなものか、ここで挙げた失敗例をもとに考えてみましょう。
まとめ
本記事では、キッチンリフォームの失敗例と対策を紹介しました。キッチンリフォームで起こりがちな失敗は以下の通りです。
キッチンの動線が悪い
調理スペースが狭い
リビング・ダイニングに匂いがいきやすい
来客時にキッチンの手元が丸見え
ゴミ箱を置くスペースがない
奥行のある収納が使いにくい
キッチンが高すぎる/低すぎる
シンクが狭くて水はねに気をつかう
食洗機を付けたもののめったに使わない
日差しが強くて食材が傷みやすい
タイル壁のふき掃除がめんどくさい
コンセントが足りない・届かない
床材を変えたら滑りやすい
好きな色にしたら内装と合わない
吊戸棚を思いの外使わなかった
無垢材にしたら水ジミが目立つ
調理の音がリビングまで響く
キッチンリフォームは、使用する人のライフスタイルに合わせた設計が最も大切です。
現在だけではなく、5年後10年後のライフスタイルも想像しながら、本当に必要な機能は何か熟慮のうえ、素敵なキッチンリフォームを実現しましょう。