毎日使用するキッチンは汚れが目立ちやすいため、リフォームしたいと考えている人も多いのではないでしょうか。例えば、ガスコンロからIHコンロに切り替えたり、汚れがつきにくいシンクに交換したりするなど、一部分を改修することで使いやすくなります。
リフォームでは、大幅な作り変えが必要なリノベーションに比べると、費用は抑えられます。ただし、期待していたものと仕上がりが異なったり、想像以上に費用がかかったりなど、失敗や後悔するケースもあるため、知識を身につけておくことは重要です。
この記事では、キッチンのリフォームにかかる費用の相場や、費用を抑えるポイントなどを解説しているため、リフォームを検討する際の参考にしてください。
POINT
- キッチンリフォームの費用相場は約90万~160万円かかる
- 補助金制度やリフォーム減税を利用すれば費用は抑えられる
- キッチンリフォームにかかる工事日数は最長で約1週間
キッチンリフォームで後悔しないための基本
キッチンリフォームで後悔しないためにも、リフォーム時に考慮したい基本のポイントを把握しておきましょう。キッチンの種類ごとのメリットやデメリット、使いやすいキッチンにするにはどのような点を考えるべきかを知っておくことがおすすめです。また、リフォーム完了までの流れも把握しておくと、より後悔なくリフォームを進めやすいでしょう。
キッチン本体の種類とメリットデメリット
キッチンリフォームをする際には、どの種類を導入するのかを選びましょう。キッチンの種類は大きく4つあり、それぞれでメリットとデメリットが異なります。
キッチンの種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
I型 | ・一般的なレイアウトで使い慣れている方が多い ・コンパクトな造りのため、狭いスペースでも設置可能 ・ほかのシステムキッチンに比べ、手ごろな価格のものがそろっている ・壁付が多く、油はね・においの心配が少なく掃除がしやすい ・壁に向かうので調理に集中できる |
・幅が広すぎると作業効率が悪くなる ・調理スペースが狭くなりがち ・目の前が壁で圧迫感がある ・家族の様子を見ながらの調理ができない |
L型 | ・調理スペースが広い ・三角の動線で移動が少なく効率的に調理できる ・数人で調理を楽しめる ・壁付が多く、油はね・においの心配が少なく掃除がしやすい ・壁に向かうので調理に集中できる |
・設置に広いスペースが必要 ・コーナー部分の奥行きが深く、デッドスペースになりがち ・目の前が壁で圧迫感がある ・家族の様子を見ながらの調理ができない |
ペニシュラン型 | ・リビング、ダイニング側とのコミュニケーションが取れる ・加熱調理機器前に仕切りを置くことで、煙・においの飛散防止ができる ・アイランドキッチンより間取りの制約が少なく、導入しやすい ・カウンターを付けるなどのアレンジができる ・限られたスペースで開放感のあるキッチンを実現できる |
・アイランドキッチンに比べて、機動性・開放感が劣る ・手元やキッチン周りが目につきやすく、きれいに保つ必要がある ・リビングとの距離が近い場合は、調理音がテレビの音などを邪魔する可能性がある |
アイランド型 | ・島のように独立した開放性の高いキッチン ・視線を遮るものが少なく、見通しがよい ・デザイン性の高いキッチンがそろっている ・多人数で調理ができる ・通路に囲まれていて機動性が高い |
・ほかのタイプのキッチンに比べて高価格 ・工事などのコストも高め ・かなり広いスペースが必要 ・換気扇がキッチンの中央にあり、においが拡散しやすい ・油、水がダイニング側にはねやすい ・ダイニング側から丸見えになるため常に整理整頓が必要 ・ダクトの移動や配管工事などマンションによってはできない場合も |
キッチン本体のレイアウト種類のイメージ
I型キッチン | L型キッチン |
---|---|
![]() |
![]() |
カウンターの形状がまっすぐ | カウンターの形状が90度折れている |
ペニンシュラ型キッチン | アイランド型キッチン |
![]() |
![]() |
対面式キッチンで、カウンターの左右どちらかが壁に付いている | 対面式キッチンで、カウンターの左右どちらかも壁に付いていない |
キッチンの種類ごとの違いを知り、自宅にはどの形状が適しているのかを把握しておきましょう。
使いやすいキッチンにリフォームするポイント
キッチンを使いやすくするには、次のポイントを踏まえてリフォームするとよいでしょう。
キッチン設備 | ポイント |
---|---|
ワークトップ | 身長÷2+ 5cmの高さ |
ウォールキャビネット | 床から145cm程度の高さ |
調理スペース | 60~90cm程度の広さ |
間口の広さ | 作業効率を考えて狭すぎず広すぎない |
細かい設備の高さや広さによって、キッチンでの作業効率は変わってきます。ワークトップやウォールキャビネットは、高すぎる、あるいは低すぎると使いづらいでしょう。
また、調理スペースはある程度確保したほうがよいですが、これも広すぎると持て余してしまい、キッチン内での移動距離が伸びてしまいます。間口の広さは設置する調理器具や何人で作業をするのかなどを考慮して、適切なサイズ感で選びましょう。
キッチンリフォームが完了するまでの流れ
キッチンのリフォーム開始から完了までの大まかな流れは次の通りです。
- 1. リフォームプランを考えるための情報収集
- 2. リフォーム会社に査定をもらう
- 3. 条件に納得できたなら契約
- 4. 工事完了後に使い方の説明を受ける
まずはどのようなキッチンにしたいのかを明確にするためにも、リフォームプランについての情報収集を行いましょう。理想とするキッチンを定めておくことで、リフォーム会社に相談する際にもスムーズです。
リフォーム前には工事内容や査定による金額の説明を受け、納得できた場合に契約します。その後リフォームが完了するまで待ち、終わった後は設備の使い方についての詳細な説明を受けましょう。
キッチンのリフォームの内訳と費用相場
リフォームは、リノベーションに比べて費用は抑えられるものの、ある程度の費用がかかることを想定しておく必要があります。ここでは、キッチンのリフォームの内訳と費用の相場について、順に解説していきます。
キッチンリフォームは総額で約90万~160万円かかる
キッチンのリフォームにかかる費用は、総額で90万~160万円程度が相場だといわれています。相場を知って、想像以上に高額だと感じる人も多いです。
キッチンのリフォームに、これだけの費用がかかる理由は、キッチンの本体価格だけでなく工事費用も含まれているためです。加えて食器洗浄機や浄水器といったオプションを付ける場合は、さらに費用が高くなります。
自身の希望を全て含めた場合は、リフォーム費用が高額になることが多いです。そのため、まずはどのようなキッチンにリフォームしたいのかを明確化し、予算内で何を希望するのか整理しておきましょう。
キッチン本体の価格
キッチンの本体価格の相場は、種類やグレードによって異なります。従来はI型キッチンが主流だったものの、時代の流れとともにL型やペニンシュラ型が多く取り入れられています。
流行りの種類や高いグレードを選ぶと、価格は高額になりがちです。次の表は、キッチンの種類とグレード別による価格の相場を示しています。種類やグレードでどの程度価格が異なるのか、まずは表を見て確認してみましょう。
キッチンの種類 | シンプル | スタンダード | ハイグレード |
---|---|---|---|
I型 | 50万~80万円 | 60万~90万円 | 70万~120万円 |
L型 | 65万~90万円 | 75万~120万円 | 85万~130万円 |
ペニンシュラ型 | 70万~100万円 | 80万~130万円 | 90万~160万円 |
アイランド型 | 50万~100万円 | 105万~130万円 | 175万~200万円 |
以上のようにI型、L型、ペニンシュラ型、アイランド型の順に価格が高くなることがわかります。一般的なグレードであるスタンダードで比較した場合、I型とアイランド型では45万~60万円の差があることがわかります。
この他にも給排水管の延長工事が必要な場合など、リフォーム内容によっては費用に差が生じるため、リフォーム業者から提示された見積もりは、きちんと確認しておくことがおすすめです。
オプション機能
キッチンのリフォームで大部分を占めるのは、キッチン本体の価格です。本体価格を抑えても、オプション機能を付けると価格は高額になりやすいです。
下記の表では、オプション内容と相場価格を紹介しているので、検討している人は参考にしてください。
オプション内容 | 相場価格 |
---|---|
ビルトイン食器洗浄機 | 15万~20万円 |
ダウンウォール | 5万~20万円 |
浄水器 | 15,000~10万円 |
レンジフード | 4万~8万円 |
上記のように、オプション内容によって価格は異なり、人気の高い食器洗浄機は割高であることがわかります。浄水器の場合、蛇口に取り付けられるタイプは比較的低価格で販売されています。
設置するための工事費
キッチンをリフォームする場合、新たなキッチンの取り付けだけでなく既存のキッチンの取り外しも必要で、場合によっては、換気ダクトの接続工事なども追加で必要になります。次の表で、それぞれの工事費を確認しておきましょう。
内容 | 費用相場 |
---|---|
キッチンの組み立てと取り付け工事 | 約10万円 |
キッチンの解体処分費用 |
解体費用:約2万円~ 処分費用:約2万円~ |
電気・ガス・給排水管・換気ダクトの接続工事 | 約16,000円~ |
キッチン周りの壁や床の補修工事 |
壁クロスの張り替え:約800円/m² 床フローリングの張り替え:約1,000円/m² 床下地補修:約3,000円/m² 間仕切り壁の撤去や追加:約50,000円/m² |
既存キッチンの解体処分費用
既存のキッチンの解体工事には約30,000円、撤去や処分には約70,000円の費用がかかります。約10万円かかる新たなキッチンの組み立てと取り付け工事の費用を合わせると、キッチンを入れ替えるだけで約20万円かかります。
電気・ガス・給排水管・換気ダクトの工事費用
キッチンをリフォームすると、電気やガスといったインフラの接続工事が必要です。電気配線工事やガスの配管工事には約5,000円、給排水管工事には約3,000円、換気ダクトの接続工事には約3,000円の費用がかかります。
キッチンの移動にかかる費用
既存のキッチンと新たなキッチンの位置が大きく変わると、電気やガスといったインフラの延長工事が必要になるケースがあります。このような場合、電気配線の延長工事に約10,000円、ガス元栓の移動工事に約20,000円、給排水管の延長工事に約30,000円、換気ダクトの延長工事に約80,000円が追加でかかります。
キッチンのリフォーム費用を抑える4つの方法
キッチンといった部分的な設備のリフォームでも、本体だけで50万~200万円と高額な費用がかかります。キッチンのリフォーム費用を抑える方法を4つ紹介は次の通りです。
- 1.同じタイプのキッチンに変更する
- 2.新品の最新キッチン本体にこだわらない
- 3.リフォームの見積もりを複数の業者で比較
- 4.部分的なリフォームを依頼する
- 5.補助金制度やリフォーム減税を利用する
リフォームする際には、優先順位を考えながら取り入れてみてください。
同じタイプのキッチンに変更する
既存のキッチンと同じタイプでリフォームする場合、リフォーム費用を抑えられます。既存と同じタイプなら、水道やガスといった配管の場所が変わらないため、余計な費用が発生しないからです。
例えば、I型からL型にリフォームする場合は、配管の場所が変更になるため、費用がかさみやすいです。一方で、I型からアイランド型にリフォームする場合は、配管の場所が大幅に変わるため、費用が高額になります。
このように、配管の変更工事が必要になると費用が高くなります。キッチンのリフォーム費用を抑えたい場合は、既存と同じタイプへのリフォームがおすすめです。
新品の最新キッチン本体にこだわらない
キッチンは新品にこだわらなければ、安価で導入することも可能です。中古品やノーブランドの量産品、アウトレット品などを使用することで、本体代金は安くできるでしょう。
また、リフォーム会社に相談して、在庫を多く抱えているキッチンがないかも聞いておくことがおすすめです。リフォーム会社が処分に困っているキッチンを引き受けることで、通常よりも安価で本体を譲ってもらえることも少なくありません。
リフォームの見積もりを複数の業者で比較
リフォームにかかる費用は、業者によって異なります。リフォーム業者は、大手から町の工務店まで幅広くあり、工事にかかる費用は業者ごとに設定しているためです。
そのため、リフォームを依頼する際には複数の業者に見積もりを依頼して、提示された見積もり額を比較検討することが大切です。ただし、他業者よりも見積額が安い場合は、悪徳業者の可能性も否定できないため、工事内容の違いや、他業者よりも安くしている理由を聞いておきましょう。
複数の業者にリフォーム費用の見積もりを依頼する場合は、リフォームの一括見積ができる「ヌリカエ」がおすすめです。
部分的なリフォームを依頼する
キッチンをリフォームする場合には、キッチンを丸ごとリフォームするケースがほとんどです。しかし、全ての作業を業者に依頼してしまうと、どうしても費用が高額になりがちです。
例えば、ガスコンロからIHコンロに切り替えるなど、部分的なリフォームも行えます。そのためキッチンを丸ごとではなく、必要な部分だけを業者に依頼するとリフォーム全体の費用が抑えられます。
補助金制度やリフォーム減税を利用する
国は消費者が支払う費用の負担を軽減するために、各種補助金制度や減税制度を設けています。そして、リフォームにも補助金制度や減税制度を設けており、これらの精度をうまく利用すればリフォーム費用が抑えられます。
例えば、親や祖父母からリフォーム資金の贈与を受けると、所得税や固定資産税、贈与税などの税金が軽減されます。ただし、これらの制度を利用するためには一定の要件を満たす必要があるため、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。
【コラム】 次世代住宅ポイント制度について
すでに紹介したように、リフォームには補助金制度や減税制度が設けられています。また、この他にも、さまざまな商品と交換できる「次世代住宅ポイント制度」が設けられています。
次世代住宅ポイント制度とは、省エネ性や耐震性などといった一定の優れた基準を満たす住宅を新築したり、リフォームしたりした人を対象にしたポイント制度です。この制度は2019年6月3日からスタートしており、対象のリフォーム工事は次の通りです。
- 開口部の断熱改修
- 外壁、屋根、天井または床の断熱改修
- エコ住宅設備の設置
- バリアフリー改修
- 耐震改修
- 家事負担軽減に資する設備の設置
- リフォーム瑕疵(かし)保険への加入
- インスペクションの実施
- 若者世帯や子育て世帯が既存住宅を購入して行う一定規模以上の改修
これらの9つの項目のうち、いずれかに該当していれば、次世代住宅ポイント制度が利用できます。ただし、この制度を利用するためにはポイント発行申請を行い、ポイントを発行してもらう必要があります。
また、2020年4月現在では、新型コロナウイルスの影響により、ポイントの発行申請期限が2020年6月1日から8月31日に、ポイントの交換申し込み期限が2020年11月30日にまで延長されている点には注意しましょう。
次世代住宅ポイント制度について詳しく知りたい人は、下記サイトを参考にしてください。
詳しい説明は次のリンクへ リフォームポイント制度
キッチンのリフォーム費用が高くなる理由
キッチンには、汚れがつきにくい人工大理石や熱に強いセラミックなどがありますが、素材にこだわると費用が高くなります。予算内で理想のキッチンに近づけるためには、次でご紹介する内容のバランスを考慮しましょう。
キッチンのグレードや種類の違いによるもの
キッチンにはさまざまな種類やグレードがあるため、どれを選ぶかで費用に差が生じます。種類はI型、L型、ペニンシュラ型、アイランド型の順に、グレードはシンプル、スタンダード、ハイグレードの順に費用が高くなります。
例えば、アイランド型でハイグレードタイプを選べば費用は高額になりますが、I型でシンプルタイプを選べば費用は抑えられます。種類やグレードはそれぞれ特徴が異なるため、素材を気にしないようであれば、シンプルタイプでも十分です。
天板の材質の違いによるもの
キッチンの天板にはさまざまな材質が使用されており、どれを選ぶかで費用に差が生じます。従来は、キッチンの天板として使用されていた材質は、ステンレスが一般的でしたが、時代とともに他の材質が使用されるようになりました。
ステンレスは手入れがしやすいものの、経年劣化しやすいことがデメリットの一つです。他にも、次のような材質が使用されており、それぞれ特徴が異なります。
メラミン:メラミン加工の天板は、水に強い一方で熱に弱いといった特徴があります
天然石:ハイグレードタイプで多く使用されており、高級感がある一方で費用が高額になります
人工大理石:手入れがしやすく傷がつきにくい一方で、熱によって変色しやすいです
費用はステンレス・メラミン・天然石・人工大理石の順に高くなり、それぞれ特徴が異なるため、目的に合った材質を選ぶとよいでしょう。
キッチンの場所移動によるもの
既存のキッチンがある場所から大きく移動が必要な場合は、給排水の配管やダクトを設置するための工事や、撤去後の床や壁の補修も必要です。そのため、キッチンの場所を移動する場合は、大幅に費用がアップする可能性が考えられます。
食器洗い乾燥機やコンロなどのリフォーム・新設によるもの
便利な食洗器や乾燥機、コンロなどをリフォームしたり新たに新設したりする場合、別途費用がかかるので注意が必要です。次の表では、工事内容と費用相場をそれぞれ紹介しています。
工事内容 | 費用相場 |
---|---|
ガスコンロをIHコンロに交換 | 取付工事費用込みで、15万~30万円程度 |
レンジフードの交換 | 4万~10万円程度 |
食器洗い乾燥機を新設 | 15万~20万円程度 |
このように、工事内容によっては10万~30万円程度の費用が別途かかります。なお、レンジフードは10年程度が寿命といわれているため、その都度4~10万円程度の費用がかかると考えておきましょう。
キッチンのリフォームにかかる期間
キッチンは毎日使用する場所であるため、リフォームに何週間もかかるのではないかと、不安に感じている人もいると思います。ここでは、キッチンのリフォームにかかる期間を、工事内容別に紹介していきます。
レイアウト変更なしでキッチンを交換する場合
キッチンの場所を大きく変えるといったレイアウトを変更する必要がない場合、キッチン本体を交換するだけなので、1~2日程度でリフォームは完了します。部分的なリフォームなら、もっと早くリフォームが完了します。
例えば、ガスコンロからIHコンロに切り替える場合は、1~2時間程度が目安です。ただし、ビルトインガスコンロからの切り替えの場合は、専用回線の引き込みなどの工事が必要なため、5~6時間が目安になります。
キッチンの位置を変更する場合
レイアウトの変更がない場合は、数日程度でリフォームは完了しますが、キッチンの位置を変更するといったレイアウトの変更がある場合には、リフォーム期間が長くなります。
キッチンの位置を変更すると床や壁の補修も必要になるため、リフォームに1週間程度かかる可能性があります。リフォーム期間はキッチンが使用できないため、食事の際は洗浄の必要がない紙皿などを準備しておくとよいです。
キッチンの壁や床の張り替えを行う場合
キッチンは使用すればするほど、本体だけでなく、キッチン周りの壁や床も劣化していきます。キッチンの交換と同時に壁や床の貼り替えを行う場合、リフォームに平均で1週間程度かかります。
ちなみに、リフォームの順序は先に壁や床の貼り替えを行ったあとで、キッチン本体を搬入することが一般的です。
キッチンをリフォームする際の4つの注意点
キッチンをリフォームする場合には、リフォームにかかる費用だけでなく、次に挙げる4つの点に注意が必要です。これらの注意点を押さえて、無駄のないリフォームを実現しましょう。
- 別途修理の必要性はないかを確認する
- 利用しないものは取り付けない
- キッチンルームに収まるキッチンのサイズを選ぶ
- マンションは小型のIHしか設置できない
- マンションの配管位置でキッチンの移動制限
- もしもに備えリフォーム瑕疵保険に加入
別途修理の必要性はないかを確認する
キッチンをリフォームする場合、他に修理が必要な箇所がないか確認しておくことが大切です。古いキッチンを取り替える場合は、経年劣化によって床板が傷んでいる可能性が高く、修理が必要なケースが多いためです。
ただし、目に見える箇所は確認できても、既存のキッチンを取り外してみなければ見えない箇所もあります。そのため、別途修理の必要性があるかどうかを、あらかじめ業者に確認しておくようにしましょう。
利用しないものは取り付けない
キッチンをリフォームする場合は、食器洗浄機や乾燥機、収納棚といったさまざまなオプションが存在します。キッチンをリフォームした人を対象に、「付けてよかったオプション」と「付けなければ良かったオプション」をそれぞれ聞いた結果、どちらも食器洗浄機が1位になっています。
このように、あると便利だと考えがちなオプションでも、実際にはあっても使用しないケースもあるため、利用する予定がないオプションは無理に付けないようにしましょう。特に、食器洗浄機は35万~45万円程度かかるため、事前に家族と相談するなどして、必要かどうかを話し合っておくことをおすすめします。
キッチンルームに収まるキッチンのサイズを選ぶ
キッチン本体のサイズは複数ありますが、気に入ったキッチンが、自宅の間口と同じサイズだとは限りません。また、キッチンのサイズだけでなく、建物の入り口やエレベーターといった搬入経路が、きちんと確保できるかを考慮する必要があります。
例えば、築年数が古いマンションの場合は入り口やエレベーターが狭く、十分な搬入経路が確保できない可能性があります。気に入ったキッチンが見つかった場合、キッチンのサイズとともに、搬入経路を十分に確保できることを確認しておきましょう。
マンションは小型のIHしか設置できない
近年はオール電化住宅が普及しており、IHコンロが備えられた住宅やマンションも増えています。キッチンのリフォームで、ガスコンロからIHコンロへの切り替えを検討している場合、電圧を確認しておく必要があります。
IHコンロのヒーターは200Vの電圧が必要ですが、マンションによっては規定で100Vまでしか設定していないケースもあります。このような場合、IHコンロへの切り替えはできるものの、小型タイプしか対応していないので注意が必要です。
マンションの配管位置でキッチンの移動制限
マンションでキッチンリフォームをする場合は、配管の位置によっては工事が難航することがあります。配管の傾斜の角度や位置によっては、キッチンを移動できない場合があります。
特に配管が床下に通っていると、移動が難しくなりやすいです。そのため、マンションでキッチンの移動を考えている場合は、リフォーム前に配管の位置を確認してから、プランを考えることがおすすめです。
もしもに備えリフォーム瑕疵保険に加入
より安心してリフォームを行いたいなら、瑕疵保険に加入することがおすすめです。瑕疵保険に加入しておくと、第三者による調査が受けられ、より信頼度の高い工事が期待できます。
また、万が一不具合があった際に補修費用が負担してもらえたい、仮住まいが必要になった場合の転居費用などを負担してもらえます。瑕疵保険に加入しておくことで、補償を受けられるため、業者に確認しておくとよいでしょう。
キッチンリフォームの4つの施工事例
キッチンのリフォームにかかる費用相場や注意点を確認できたところで、施行事例を紹介します。ここでは、キッチンのタイプを変更する場合や、移動が必要な場合などを事例として取り上げています。
施工例 | 工事費用 | 全体工期 |
---|---|---|
独立型キッチンから対面式に変更 | 150万円 | 70日間 |
I型システムキッチンに交換 | 90万円 | 2日間 |
キッチンを移動してアイランド型に変更 | 300万円 | 60日間 |
ガスコンロからIHコンロにしてオール電化に変更 | 226万円 | 7日間 |
【事例1】独立型キッチンから対面式に変更
区切られていたキッチンとリビングをつなげて、壁に面していたキッチンを、対面式のペニンシュラ型に変更した場合にかかった費用と期間は次の通りです。
- リフォーム費用:150万円
- リフォーム期間:70日
- 物件種別:マンション
この事例では、梁部分にキッチンと同じシリーズの面材で特注製作された、カップボードを設置しています。
参考:Panasonic
【事例2】従来型キッチンをI型システムキッチンに交換

従来タイプのキッチンをI型システムキッチンに交換した場合、必要な費用や期間は次の通りです。
- リフォーム費用:約90万円
- リフォーム期間:2日
- 物件種別:戸建て
この事例では、壁面をキッチンパネルに変更し、食器洗浄機や乾燥機をオプションで設置しています。
参考:ニッカホーム
【事例3】キッチンを移動してアイランド型に変更した場合
古い家屋の和室をLDKに改修後、アイランド型キッチンを設置した場合にかかった費用と期間は次の通りです。
- リフォーム費用:300万円
- リフォーム期間:60日
- 物件種別:戸建て
この事例では、壁面いっぱいに大容量サイズのカップボードを設置しています。
参考:Panasonic
【事例4】ガスコンロからIHコンロにしてオール電化に変更する場合
ガスコンロからIHコンロに切り替えた場合に必要な費用や期間は、次の通りです。
- リフォーム費用:226万円
- リフォーム期間:7日
- 物件種別:戸建て
この事例では、キッチンのリフォームと同時にエコキュートを設置し、オール電化にリフォームされています。
参考:Panasonic
キッチンおすすめメーカー3選
キッチンの本体は、タカラスタンダードやLIXILといったさまざまなメーカーで販売されています。メーカーによって特徴が異なるため、ここではおすすめのキッチンメーカー3選としてご紹介していきます。
ニトリ:価格を重視する人向け

ホームセンターのニトリでは、ベッドやソファといった家具だけでなくキッチンの本体も販売しています。ニトリは家具やインテリアが低価格であることが魅力ですが、価格重視で選ぶならニトリがおすすめです。
多くのキッチンメーカーと異なり、ニトリではキッチン本体を店舗で直売しています。そのため現物を確認できりメリットがあるだけでなく、流通コストがかからないのでお得です。
人気商品
ニトリのキッチンは、「シンプル」「セレクト」の2つのグレードと、「BSライト」「BS2」「M2」「SHライト」の4つのシリーズを展開しており、それぞれワークトップの素材やキャビネット開閉方式に違いがあります。もっとも高額な「SHライト」のワークトップには、高純度天然水晶が採用されています。
価格帯は15万4,000~50万5,000円と幅広く、セレクトシリーズのSHライトはペニンシュラ型が選べますが、他のシリーズは壁付けのI型のみです。
グレード | シンプル | スタンダード | ハイグレード | |
---|---|---|---|---|
シリーズ | BSライトプラン | BS2プラン | M2プラン | SHプラン |
デザイン | デザインはこちら | デザインはこちら | デザインはこちら | デザインはこちら |
間口 |
・210cm ・256cm |
・211cm ・241cm ・256cm ・271cm |
・181cm ・196cm ・211cm ・226cm ・241cm ・256cm ・271cm |
・213cm ・243cm ・258cm ・273cm |
ワークトップ高さ |
・80cm ・85cm ・90cm |
85cm | – | 85cm |
ワークトップ素材 | アクリル系人工大理石 | アクリル系人工大理石 | ポリエステル系人工大理石 | 高純度天然水晶 |
キャビネット |
・引き出し ・開き戸 |
・引き出し ・開き戸 |
・引き出し ・開き戸 |
・引き出し ・開き戸 ・スライド式 |
価格 | 15万4,000~15万9,000円 | 18万9,000~20万9,000円 | 23万8,920円~31万5,700円 | 39万3,000円~50万5,000円 |
形状の種類 | I型 | I型 |
・I型 ・ペニンシュラ型 |
・I型 ・ペニンシュラ型 |
クリナップ:機能性重視する人向け

システムキッチン専門メーカーのクリナップでは、ステンレス素材を活かしたさまざまなキッチンを取り扱っています。傷や錆が付きやすいステンレス素材にもかかわらず、防カビや防臭、水汚れに強いといった機能性に優れています、
また、シンクに水を流すだけでゴミを排水溝に集めてくれる独自の機能もあるため、機能性を重視して選ぶならクリナップがおすすめです。
人気商品
クリナップのキッチンは、「シンプル」「スタンダード」「ハイグレード」3つのグレードと、「コルティ」「ラクエラ」「ステディア」「セントロ」の4つのシリーズを展開しています。それぞれワークトップの素材の違いや、キャビネットが開き扉かスライド式かなどの違いがあり、対応している形状も異なります。
価格帯は19万3,800~119万8,000円以上で、デザイン性や収納力に優れた「セントロシリーズ」が最も高額です。
グレード | シンプル | スタンダード | ハイグレード | |
---|---|---|---|---|
シリーズ | コルティ | ラクエラ | ステディア | セントロ |
デザイン | デザインはこちら | デザインはこちら | デザインはこちら | デザインはこちら |
間口 |
・120cm ・150cm ・165cm ・180cm ・195cm |
・165cm ・180cm ・195cm ・210cm ・225cm ・240cm ・255cm ・270cm ・285cm ・300cm |
・180cm ・195cm ・210cm ・225cm ・240cm ・255cm ・270cm ・285cm ・300cm |
・225cm ・240cm ・255cm ・270cm ・285cm ・300cm |
ワークトップ高さ | 85cm |
・80cm ・85cm ・90cm |
・80cm ・85cm ・90cm |
・80cm ・85cm ・90cm |
ワークトップ素材 | ステンレス ※追加料金で人工大理石に変更可 |
ステンレス ※追加料金で人工大理石に変更可 |
・人工大理石 ・コーリアン ・ステンレス |
・人工大理石 ・セラミック ・ステンレス |
キャビネット | 開き扉 | スライド式 | スライド式 | スライド式 |
価格 | 43万円~ | 47万円~ | 70万円~ | 97万円~ |
形状の種類 | ー |
・L型 ・ペニンシュラ型 |
・L型 ・ペニンシュラ型 ・アイランド型 |
・L型 ・ペニンシュラ型 ・アイランド型 |
トーヨーキッチンスタイル:デザイン重視の人向け

トーヨーキッチンは洗練されたシステムキッチンを提供し、ショールームに行けば住宅全体のインテリアをトータルコーディネートしてくれます。職人が仕上げたステンレスを活かしたモダンなデザインが特徴で、3Dや4Dのシンクで無駄のない調理が実現できます。
デザイン性を重視で選ぶなら、トーヨーキッチンがおすすめです。
人気商品
トーヨーキッチンのシステムキッチンは、「スタンダード」「ハイグレード」「最上級」の3つのグレードと、「BAY」「CORE」「iNO」の3つのシリーズを展開しています。キャビネットの開閉は全てスライド式ですが、独自にステンレス加工されたワークトップの素材は、最上級の「iNO」は5種類から、他の2つは2種類から選択できます。
この他にも、平均的な間取りで豊かに暮らすために、キッチンをスマート化した「i kitchen CUBE」というシリーズも展開しています。トーヨーキッチンの価格帯は、37万5,000~275万3,000円と高額です。
グレード | シンプル | スタンダード | ハイグレード |
---|---|---|---|
シリーズ | BAY | CORE | iNO |
デザイン | デザインはこちら | デザインはこちら | デザインはこちら |
間口 | 244~304cm | 244~304cm | 169~649cm |
ワークトップ高さ |
・85cm ・90cm |
・85cm ・90cm |
・85cm ・90cm ・95cm |
ワークトップ素材 |
・エンブレムトップ アイス ・チタン研磨 |
・エンブレムトップ アイス ・チタン研磨 |
・エンブレムトップ アイス ・エンブレムトップ キルト ・エンブレムトップ ステップストーン ・エンブレムトップ レリーフ ・チタン研磨 |
キャビネット | 引き出し |
・プッシュオン ・スライド式 |
スライド式 |
価格 | 37~77万円 | 67~86万円 | 73~257万円 |
形状の種類 |
・I型 ・ペニンシュラ型 ・アイランド型 |
・I型 ・ペニンシュラ型 ・アイランド型 |
・I型 ・ペニンシュラ型 ・アイランド型 |
キッチンをDIYでリフォームする4つの方法
キッチンのリフォームを全て業者に依頼すると、費用は高額になりがちです。しかし、部分的な劣化を修繕する場合は、市販のテープなどを使用すれば簡単にDIYできます。ここではDIYの4つの方法を、順に紹介していきます。
- マスキングテープと両面テープで壁紙を貼る
- カラーボックスでキッチンカウンターを作る
- キッチン扉の取り付け
- 流し台の水栓を交換する
マスキングテープと両面テープで壁紙を貼る
養生目的のマスキングテープは、近年ではさまざまな商品が発売され、文房具に貼り付けるといった幅広い方法で使用されています。キッチンの壁紙を剥がす場合にも、マスキングテープがあると便利です。
まずは壁にマスキングテープを貼り、その上から両面テープを貼ることで、簡単に剥がせる壁紙が作れます。簡単に剥がせる壁紙を作る方法を詳しく知りたい場合は、以下のサイトを参考にしてください。
参照サイト:キッチンリフォーム、DIYできる所とできない所
カラーボックスでキッチンカウンターを作る
ホームセンターなどで手軽に購入できるカラーボックスで、キッチンカウンターが作れます。複数のカラーボックスを積み上げ、天板を固定するだけです。
キッチンカウンターとして使用できるだけでなく、収納できる箇所も増えて便利です。カラーボックスでキッチンカウンターを作る方法を詳しく知りたい場合は、以下のサイトを参考にしてください。
参照サイト:キッチンリフォーム、DIYできる所とできない所
キッチン扉の取り付け
木製のキッチン扉が劣化した場合、ホームセンターなどで購入できる取っ手とベニヤ板を準備するだけで、キッチン扉が取り付けられます。取っ手やベニヤ板はさまざまな種類があるため、既存の扉に合ったものを選びましょう。
デザイン性に優れた扉に付け替えれば、おしゃれな見た目にアレンジできます。キッチン扉を付け替える方法を詳しく知りたい場合は、以下のサイトを参考にしてください。
参照サイト:【簡単DIY!】キッチン扉を劇的おしゃれにする、格安リメイク方法!
流し台の水栓を交換する
近年は流し台の水栓も、デザイン性に優れたものが数多く登場しています。流し台の水栓を交換する場合は、見える部分だけの交換では済まないので注意が必要です。
まずは既存の水栓を撤去し、台座とワンレバー水栓を固定します。その後、給水管の接続を行えば、水栓交換は完了します。流し台の水栓を交換する方法を詳しく知りたい場合は、以下のサイトを参考にしてください。
参照サイト:台所のワンレバー水栓をDIYで交換する方法
キッチンリフォームして理想的な生活を手に入れよう!
キッチンのリフォームには、想像以上に高額な費用がかかる可能性があります。メーカーによっては、キッチンの本体自体が高額なケースもあるため、費用を抑えたい場合はスタンダードグレードに交換することをおすすめします。自身の希望と予算を考慮して納得のいくリフォームを行い、快適なキッチン空間を実現しましょう。