本記事は、リフォーム工事を予定していて、自分は今年(2023年)の減税制度の対象かどうか知りたい方へ向けて
- どんなリフォーム工事が減税制度の対象か?
- 減税額・控除額はいくらぐらいか?
- どんな手続きをすれば減税制度が受けられるか?
などを解説しています。
官公庁のサイトでは分かりづらい減税条件や控除金額などを、建築法令にくわしい著者が読み込み、要点だけを分かりやすい表現に直して解説しています。
自分が受け取れそうなリフォーム減税制度があるかを早く・スッキリ理解したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
- リフォーム減税の対象は「ローンを組んだ場合」「バリアフリーリフォームをした場合」など主に7種類
- 減税される金額は工事内容と施工量(面積・箇所数)などを基準に決まる
- ほとんどの減税制度は2023年12月31日が適用期限
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監修者:FP技能士 サワサキ カツヒコ
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士試験 合格(ともに令和4年度)。
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【2023年】リフォームで使える減税制度の一覧
2023年3月24日現在、リフォームを行った場合に利用できる可能性のある減税制度は、以下の7種類です。
減税制度 | 減税額 | 主な条件 |
---|---|---|
住宅ローン減税 | ローン残高の0.7% (10年間で最大140万円) |
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耐震改修に関する特例措置 | 工事費用の5%~10% (上限1,000万円) |
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省エネ改修に関する特例措置 | 工事費用の5%~10% (上限1,000万円) |
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バリアフリー改修に関する特例措置 | 工事費用の5%~10% (上限1,000万円) |
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同居対応改修に関する特例措置 | 工事費用の5%~10% (上限1,000万円) |
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長期優良住宅化リフォームに関する特例措置 | 工事費用の5%~10% (上限1,000万円) |
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住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置 | 贈与税の全額 (非課税限度額500万円~1,000万円) |
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減税制度① 住宅ローン減税
「住宅ローン減税」とは、10年以上のローンを組んでリフォーム工事をする人を対象にした減税制度です。
減税される金額は年末時点のローン残高の0.7%(上限14万円)が翌年の所得税もしくは住民税から控除されます。
減税を受けられる期間はリフォームの場合最大で10年間です。
1年あたりの上限である14万円が毎年控除された場合、減税額の合計は最大で140万円となります。
住宅ローン減税を受けるには、リフォーム工事の内容や申請者の所得金額、床面積の下限などの条件があります。
制度名 | 住宅ローン減税(国土交通省) |
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減税額 | 年末のローン残高の0.7%(上限14万円) |
条件 |
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対象工事 |
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条件の例外
申請者の所得金額が1,000万円以下だった年の翌年は、床面積の下限が40㎡に緩和されます。
申請方法
住宅リフォーム減税を受けるためには、入居した翌年に確定申告を行う必要があります。
ただし2年目以降は給与所得者の場合年末調整で控除を受けることが可能です。
「住宅ローン減税」については、下記の記事もご覧ください。
減税制度② 耐震改修に関する特例措置
「耐震改修に関する特例措置」とは、現在の耐震基準を満たさない住宅を耐震リフォームした場合に対象になる減税制度です。
減税される金額は標準的な施工費用の5%~10%(上限1,000万円)で、翌年の所得税もしくは固定資産税から控除されます。
適用期限は2023(令和5)年12月31日です。
制度名 | 耐震改修に関する特例措置(国土交通省) |
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減税額 | 工事費用の5%~10%(上限1,000万円) |
条件 |
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対象工事 |
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控除金額の決まり方
耐震改修に関する特例措置の控除額は以下の「1.」「2.」「3.」の合計金額(上限1,000万円)となります。
- 耐震リフォーム費用のうち、250万円以下の金額の10%(上限250万円)
- 耐震リフォーム費用のうち、250万円を超えた金額の5%
- 同時に行った一定の増改築費用の5%(上限250万円)
なお補助金の計算基準は、実際に支払う施工金額ではなく、国交省が定めている工事ごとの1箇所もしくは1㎡あたりの単価が基準となります。
申請方法
耐震改修に関する特例措置を受けるためには、施工の翌年に確定申告を行う必要があります。
確定申告の際は、税務署に提出する必要のある書類は以下の4つです。
- 「確定申告書」
- 「計算明細書」
- 「登記事項証明書」(昭和56年5月31日以前に建築されたものであることを明らかにする書類)
- 「増改築等工事証明書」または「住宅耐震改修証明書」
併用可能な減税制度
他のリフォーム工事が対象の特別控除とは、「長期優良住宅化リフォームに係る所得税額の特別控除」を除き併用可能です
減税制度③ 省エネ改修に関する特例措置
「省エネ改修に関する特例措置」とは、住宅の窓の断熱リフォームや、それと同時に他の省エネ性能向上リフォームを行った場合に対象になる減税制度です。
減税される金額は標準的な施工費用の5%~10%(上限1,000万円)で、翌年の所得税もしくは固定資産税から控除されます。
適用期限は2023(令和5)年12月31日です。
制度名 | 省エネ改修に関する特例措置(国土交通省) |
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減税額 | 工事費用の5%~10%(上限1,000万円) |
条件 |
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対象工事 |
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控除金額の決まり方
省エネ改修に関する特例措置の控除額は以下の「1.」「2.」「3.」の合計金額(上限1,000万円)となります。
- 省エネリフォーム費用のうち、250万円以下の金額の10%(上限250万円)
- 省エネリフォーム費用のうち、250万円を超えた金額の5%
- 同時に行った一定の増改築費用の5%(上限250万円)
補助金の計算基準は、実際にかかった施工費用ではなく、国交省が定めている工事内容や施工量に応じた額となります。
太陽光発電を設置する場合
太陽光発電設備の設置工事を同時に行う場合は、条件「1.」の基準金額が250万円から350万円に変わります。つまり、費用のうち10%減税の対象範囲が大きくなり、得になります。
申請方法
省エネ改修に関する特例措置を受けるためには、施工の翌年に確定申告を行う必要があります。
確定申告の際は、税務署に提出する必要のある書類は以下の4つです。
- 「確定申告書」
- 「計算明細書」
- 「登記事項証明書」(床面積が50㎡以上であることを明らかにする書類)
- 「増改築等工事証明書」等
併用可能な減税制度
省エネ改修に関する特例措置は、「住宅ローン減税」と「長期優良住宅化リフォームに係る所得税額の特別控除」を除いた他の制度と併用可能です。
減税制度④ バリアフリー改修に関する特例措置
「バリアフリー改修に関する特例措置」とは、高齢者や要介護者等が家を使いやすくするためのリフォームを行った場合に対象になる減税制度です。
減税される金額は標準的な施工費用の5%~10%(上限1,000万円)で、翌年の所得税もしくは固定資産税から控除されます。
適用期限は2023(令和5)年12月31日です。
制度名 | バリアフリー改修に関する特例措置(国土交通省) |
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減税額 | 工事費用の5%~10%(上限1,000万円) |
条件 |
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対象工事 |
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控除金額の決まり方
バリアフリー改修に関する特例措置の控除額は以下の「1.」「2.」「3.」の合計金額(上限1,000万円)となります。
- バリアフリーリフォーム費用のうち、200万円以下の金額の10%(上限200万円)
- バリアフリーリフォーム費用のうち、200万円を超えた金額の5%
- 同時に行った一定の増改築費用の5%(上限200万円)
なお補助金の計算基準は、実際にかかった工事金額ではなく、工事内容ごとに国交省が定めていた単価が基準となります。
申請方法
バリアフリー改修に関する特例措置を受けるためには、施工の翌年に確定申告を行う必要があります。
確定申告の際は、税務署に提出する必要のある書類は以下の5つです。
- 「確定申告書」
- 「計算明細書」
- 「登記事項証明書」(床面積が50㎡以上であることを明らかにする書類)
- 「増改築等工事証明書」
- 「介護保険の被保険者証の写し」(要介護者であることの認定用)等
併用可能な減税制度
バリアフリー改修に関する特例措置は、「住宅ローン減税」を除いた他の制度と併用可能です。
減税制度⑤ 同居対応改修に関する特例措置
「同居対応改修に関する特例措置」とは多世帯を開始するための設備増設や、それらと同時の増改築工事を行った場合に対象になる減税制度です。
減税される金額は標準的な工事費用の5%~10%(上限1,000万円)で、翌年の所得税から控除されます
増設する設備はミニキッチンやシャワーのみの浴室でも減税対象ですが、その場合は別にミニキッチンでないキッチンや浴槽のある風呂をリフォーム完了の状態で備えている必要があります。
同居対応改修に関する特例措置の適用期限は2023(令和5)年12月31日です。
制度名 | 同居対応改修に関する特例措置(国土交通省) |
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減税額 | 工事費用の5%~10%(上限1,000万円) |
条件 |
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対象工事 |
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控除金額の決まり方
同居対応改修に関する特例措置の控除額は以下の「1.」「2.」「3.」の合計金額(上限1,000万円)となります。
- 同居対応リフォームの費用のうち、250万円以下の金額の10%(上限250万円)
- 同居対応リフォームの費用のうち、250万円を超えた金額の5%
- 同時に行った一定の増改築費用の5%(上限250万円)
なお費用は実際に支払う工事金額ではなく、工事の内容や規模によって国交省が定めている単価が基準となります。
申請方法
同居対応改修に関する特例措置を受けるためには、施工の翌年に確定申告を行う必要があります。
確定申告の際は、税務署に提出する必要のある書類は以下の4つです。
- 「確定申告書」
- 「計算明細書」
- 「登記事項証明書」(床面積が50㎡以上であることを明らかにする書類)
- 「増改築等工事証明書」等
併用可能な減税制度
同居対応改修に関する特例措置は、「住宅ローン減税」を除いた他の制度と併用可能です。
減税制度⑥ 長期優良住宅化リフォームに関する特例措置
「長期優良住宅化リフォームに関する特例措置」とは、耐震改修か省エネ化改修と同時に住宅の土台や屋根裏への湿気・腐食対策などの耐久性向上工事をした場合に対象になる減税制度です。
減税される金額は標準的な工事費用の5%~10%(上限1,000万円)で、翌年の所得税から控除されます。
長期優良住宅化リフォームに関する特例措置の適用期限は2023(令和5)年12月31日です。
制度名 | 長期優良住宅化リフォームに関する特例措置(国土交通省) |
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減税額 | 工事費用の5%~10%(上限1,000万円) |
条件 |
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対象工事 |
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控除金額の決まり方
長期優良住宅化リフォームに関する特例措置の控除額は以下の「1.」「2.」「3.」の合計金額(上限1,000万円)となります。
- 対象のリフォーム費用のうち、250万円以下の金額の10%(上限250万円)
- 対象のリフォーム費用のうち、250万円を超えた金額の5%
- 同時に行った一定の増改築費用の5%(上限250万円)
なおここでいう「リフォーム費用」とは実際に支払う施工金額ではなく、国交省が定めている工事内容や施工料に応じた標準金額が基準となります。
申請方法
長期優良住宅化リフォームに関する特例措置を受けるためには、施工の翌年に確定申告を行う必要があります。
確定申告の際は、税務署に提出する必要のある書類は以下の5つです。
- 「確定申告書」
- 「計算明細書」
- 「登記事項証明書」(床面積が50㎡以上であることを明らかにする書類)
- 「増改築等工事証明書」
- 「長期優良住宅の認定通知書の写し」等
併用可能な減税制度
長期優良住宅化リフォームに関する特例措置は、「バリアフリー改修工事の特別控除」「同居対応改修の特別控除」の2つの制度とは併用可能です。
減税制度⑦ 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置
「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」とは、住宅の増改築や水回りの改修、マンションの専有部分のリフォーム工事をするために、親や祖父母から資金を贈与された人を対象にした減税制度です。
住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置を受けるには、贈与者と受贈者の関係、受贈者の所得、リフォーム工事の内容、施工後の床面積などの条件があります。
条件を満たせば贈与を受けた額のうち500万円~1,000万円まで、本来かかる贈与税が非課税になります。
制度名 | 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置(国土交通省) |
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減税額 | 限度内の贈与税全額 |
条件 |
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対象工事 |
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非課税限度額の決まり方
贈与を受けてリフォームをした後の住宅が「断熱性能等級4以上」「一次エネルギー消費量等級4以上」「耐震等級2以上」「免震建築物」「高齢者等配慮対策等級(専有部分)3以上」のいずれかを基準に適合すれば非課税限度額が1,000万円になり、いずれの基準も満たさない場合は500万円となります。
条件の例外
申請者の所得金額が1,000万円以下の場合、施工後の床面積の下限が40㎡に緩和されます。
申請方法
住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置を受けるためには、贈与を受けた翌年に確定申告を行う必要があります。
確定申告の際は、税務署に提出する必要のある書類は以下9つです。
- 確定申告書
- 計算明細書
- 受贈者の戸籍謄本
- 合計所得金額を明らかにする書類
- 増改築等工事証明書(増改築の場合のみ)
- リフォーム工事瑕疵保険付保険証明書
- リフォーム工事の請負契約書の写し
- 耐震基準適合証明書、建設住宅性能評価書の写し(建築日付が1981年12月31日以前の場合のみ)
- 質の高い住宅の基準に適合することを証する書類(非課税限度額1,000万円で申請する場合のみ)
まとめ:リフォーム減税制度を忘れずに活用しよう
以上、リフォーム工事を対象とした7種類の減税制度や、それぞれの控除額・適用条件などを解説してきました。
とくに、予定しているリフォームが「耐震化」「高断熱化」「エコキュートなどの機器設置」の方は、申請可能な減税制度が多くありますので、忘れずに控除を受けましょう。
リフォームの依頼先業者に心当たりがない方のために無料の業者紹介窓口 もご用意していますので、当記事が役に立ちましたらご利用いただければ幸いです。
最後に、記事の要点を振り返ってみましょう。
リフォームで使える減税制度にはどんなものがある?
ローンを組んでリフォームした場合に使えるの「住宅ローン減税」や、耐震化リフォームをした場合の「耐震改修に関する特例措置」、高断熱化リフォームで適用される「省エネ改修に関する特例措置」など7種類があります。詳しく知りたい方はリフォームで使える減税制度の一覧をご覧ください。
住宅ローン減税とはどんな制度?
10年以上のローンを組んでリフォームや住宅購入をした場合、年末時点のローン残高の0.7%(最大14万円)が所得税から控除される制度です。減税措置は最大10年間受けられます。詳しくは減税制度① 住宅ローン減税をご覧ください。
リフォーム減税はどんな人が受けられる?
耐震性の向上、窓や扉の高断熱性化、創エネ・省エネ機器の導入、多世帯同居化、住宅の長寿命化などのリフォームを行った人が申請できる減税制度があります。詳しくは「リフォームで使える減税制度の一覧」内の表をご覧下さい。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。