外壁塗装の耐用年数は30年もつ?塗料別・外壁材別に徹底比較

  • 【更新日】2025-05-27
外壁塗装の耐用年数は30年もつ?塗料別・外壁材別に徹底比較

外壁塗装の耐用年数とは、葺き替えなどの大規模修繕工事が必要になるまでの期間のことです。

昨今では「外壁塗装を行うことで耐用年数は30年もつので、メンテナンスが不要になります」と案内している業者もいます。

しかし、外壁塗装を行っても耐用年数が30年もつことはありません。耐用年数は、使用する塗料や外壁材によって変わってくるためです。

本記事では、外壁塗装の耐用年数について塗料別、外壁材別に比較して解説していきます。

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小林成光(コバヤシマサミツ)さんのプロフィール写真 監修者:外壁劣化診断士 小林 成光

600件以上の現地調査を実施する過程で得た専門性を生かし、日本発のネット見積もりシステムでビジネスモデル特許を取得。ヌリカエにて、外装工事の専門家として、顧客・加盟企業のサポート・コラムの監修に従事。 ▼略歴・プロフィール
「監修者|小林 成光(株式会社Speee)」

耐用年数30年の外壁塗装は存在するのか?

耐用年数30年の外壁塗装は存在するのか?について

結論から言えば、耐用年数が30年もつ外壁塗装は存在しません

一般的に外壁塗装の耐用年数は10~20年とされています。

  • 万が一でも業者から「耐用年数が30年以上あります」と案内された場合は、悪質業者である可能性が高いため注意してください。

国税庁が示す外壁塗装の耐用年数

国税庁では建物構造および用途別に、外壁塗装の法定耐用年数を定めています。

以下の表を参考に耐用年数がどの程度かを確認してみてください。

構造・用途 細目 耐用年数
木造・合成樹脂造のもの 事務所用のもの 24
店舗・住宅用のもの 22
飲食店用のもの 20
旅館・ホテル用・病院用・車庫用のもの 20
工場用・倉庫用のもの(一般用) 15
木骨モルタル造のもの 事務所用のもの 22
店舗・住宅用のもの 20
飲食店用のもの 20
旅館・ホテル用・病院用・車庫用のもの 20
工場用・倉庫用のもの(一般用) 15
鉄骨鉄筋コンクリート造のもの 事務所用のもの 50
店舗用のもの 47
飲食店用のもの 41
旅館・ホテル用のもの 41
店舗・病院用のもの 39
車庫用のもの 38
工場用・倉庫用のもの(一般用) 38
れんが造・石造・ブロック造のもの 事務所用のもの 41
店舗・住宅用・飲食店用のもの 38
旅館・ホテル用・病院用のもの 38
店舗・病院用のもの 36
車庫用のもの 34
工場用・倉庫用のもの(一般用) 34

参考:国税庁|主な減価償却資産の耐用年数表

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外壁塗装の耐用年数は塗料・外壁材・シーリングで比較

外壁塗装の耐用年数は塗料・外壁材・シーリングで比較について

外壁塗装の耐用年数は一般的に10~20年ですが、塗料の種類や外壁材、シーリングによって変わってきます。

それぞれの種類を比較することで、建物耐用年数が見えてきます。なお、シーリングの耐用年数は5~15年程度です。

考え方として、塗料の耐用年数が15年、外壁材の耐用年数が20年、シーリングの耐用年数が8年だった場合、外壁のメンテナンスが必要な時期は”8年”になります。

  • 耐用年数が最も短いものを基準に確認してみてください。

塗料の種類別に耐用年数を比較

外壁塗装の塗料の価格×耐用年数のグラフ

塗料は種類を比較することで、耐用年数を把握できます。

以下の表が塗料の種類ごとの耐用年数になります。

塗料名 耐用年数
アクリル塗料 5年~7年
ウレタン塗料 8年~10年
シリコン塗料 7年~15年
ラジカル塗料 12年~15年
フッ素塗料 15年~20年
無機塗料 20年以上~
  • 塗料名をタップすると、各塗料の解説記事へ飛びますので、建物に利用している塗料の詳細を確認してみてください。

外壁材の種類別に耐用年数を比較

外壁材も種類を比較することで、耐用年数を把握できます。

下記は、外壁材ごとの耐用年数をまとめた表になるため確認してみてください

外壁材 耐用年数
モルタル外壁 30年
窯業系サイディング 40年
金属サイディング 40年
ALCボード 60年
コンクリート 60年~100年
  • なお、日本で利用されている外壁材は窯業系サイディングが約8割とされているため、まずは窯業系サイディングがどうかを確認してみるとよいでしょう。

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塗料の耐用年数に応じた30年間のコストを徹底比較

耐用年数別にコストを比較について

塗料の耐用年数別に、約30年間の長期的なコストを比較していきます。

  • 塗料は種類によって耐用年数が異なるため、長期的に見ると塗り替えの回数も変わり、かかるコストも変わってきます
戸建て30坪で足場代を含む想定で30年間にかかるコストの目安を塗料別にまとめてみましたので、参考にしてみてください。
塗料名 耐用年数 30年間でかかるコスト目安
アクリル塗料 5年~7年 約284万円 ※1回あたりのコスト目安:約71万円/30年間で4回塗り替え想定
ウレタン塗料 8年~10年 約231万円 ※1回あたりのコスト目安:約77万円/30年間で3回塗り替え想定
シリコン塗料 7年~15年 約168万円 ※1回あたりのコスト目安:約84万円/30年間で2回塗り替え想定
ラジカル塗料 12年~15年 約180万円 ※1回あたりのコスト目安:約90万円/30年間で2回塗り替え想定
フッ素塗料 15年~20年 約103万円 ※1回あたりのコスト目安:約103万円/30年間で1回塗り替え想定
無機塗料 20年以上~ 約122万円 ※1回あたりのコスト目安:約122万円/30年間で1回塗り替え想定

「塗り替えの想定」は耐用年数に応じて30年間で発生する「塗り替え回数の目安」で考えています。たとえばアクリル塗料であれば、耐用年数は約7年なので30年間で4回の塗り替えが発生する可能性が高くなるという考え方です。

ウレタン塗料は外壁塗装に最も人気の高い塗料のひとつですが、30年間の長期的なコストで比較すると、ラジカル塗料やフッ素塗料よりも費用は掛かる可能性が高くなります。

もちろんあくまでも目安になるため、塗料の耐用年数よりも早く劣化症状が進行してしまい、さらにコストがかかってしまう可能性もあります。

  • 現在の家に長く住み続ける予定なのであれば、長期的なコストパフォーマンスも視野に入れて塗料を選択するとよいでしょう。

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30年経過しなくてもメンテナンスが必要な劣化症状

30年経過しなくてもメンテナンスが必要な劣化症状について

塗料や外壁材の耐用年数はあくまでも目安になります。

定期的なメンテナンスを行うことはもちろんのこと、以下の表のような劣化症状が見られた場合は、すぐに修繕の対応が必要です。

劣化症状 発生する原因 発生しやすい場所 放置すると起こる劣化症状
コケやカビなどの汚れ
外壁リフォームが必要な劣化症状:藻やカビなどの汚れ
風に飛ばされたコケの胞子が付着し、繁殖しやすい環境のため 日当たりの悪い場所
風通しの悪い場所
コケの繁殖、汚れの広がり
建物への浸水
外壁の色褪せや色落ち
外壁リフォームが必要な劣化症状:外装の色褪せ
紫外線に長時間あたることで、塗膜が劣化するため 直射日光が当たりやすい場所 建物の美観低下
防水性の低下
ひび割れや剝がれ
外壁リフォームが必要な劣化症状:外壁のひび割れ
外壁の経年劣化のため
車や電車などの振動のため
地震のため
どこでも
交通量が多い場所
建物の美観の低下
雨水の侵入
カビやシロアリの発生
壁の反り返り・浮き・ズレ
外壁リフォームが必要な劣化症状:サイディングの反り返り
外壁の防水性が切れたため 雨や日光が当たりやすい場所 建物への浸水
側面や裏側からの吸水
外壁をこすると白い粉が手につく(チョーキング現象)
外壁リフォームが必要な劣化症状:チョーキング
紫外線や雨風による塗膜の劣化 紫外線が当たりやすい場所
日陰ができにくい場所
防水機能の低下
藻・コケ・カビの発生
シーリングのひび割れや変色
外壁リフォームが必要な劣化症状:シーリングのひび割れ
コーキングの経年劣化 窓サッシやドアなど
外壁材のつなぎ目
雨漏り
  • チョーキング現象が発生している場合は、耐用年数を待たずに速やかに外壁塗装を行ってください。

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なぜ耐用年数を長くする必要があるのか

なぜ耐用年数を長くする必要があるのかについて

耐用年数を長くする必要があるのは、補修工事の回数を減らすためです。耐用年数が過ぎるごとに様々なトラブルが起こります。その都度補修工事を専門業者に依頼する必要があるため、出費が増えます。

だからこそ、できるだけ耐用年数を長くする必要があるのです。

この章では、耐用年数が過ぎたら発生するトラブルとトラブルごとに行う工事に関して、詳しく解説していきます。

耐用年数が過ぎたら起きるトラブル

外壁塗装の耐用年数が過ぎたら起きるトラブルは、次の3つです。

  1. 雨漏り
  2. 害虫の侵入
  3. 耐震性の悪化

雨漏りは、外壁塗装・外壁の劣化によるひび割れやシーリングの破損によって発生します。雨漏りが発生した場合は、外壁の塗り直しだけでなく外壁材の修理も行わなければなりません。

また外壁材のひび割れによって、隙間から害虫が家の中に侵入することも考えられます。ひび割れによって虫や水の浸食が行われると、家の建具が劣化しやすくなる恐れがあります。

建具が劣化すると、家の耐震性の悪化に繋がる可能性も考えられます。外壁塗装や外壁材の劣化を放置すると、ひび割れが起こり上記のようなトラブルが発生するので注意が必要です。ひび割れの規模によって、トラブルが発生する可能性は変化します。

ひび割れの幅が1mmの場合は、外壁材や防水シートに不具合が起きている可能性があるため、早めの点検や修理を行いましょう。またのひび割れの幅が3mm以上である場合は、外壁材、防水シートが破れ、水が漏れている可能性があるため、修理業者へ依頼し、早めの修理を行いましょう。

耐用年数が過ぎた際に行う工事

外壁塗装や外壁材の劣化によって、雨漏りや害虫の侵入、耐震性の悪化が起こることがわかりました。これらのトラブルを未然に防ぐためには、下記の3つの工事を行わなわなければなりません。

  1. 外壁塗装の塗り替え
  2. シーリング補修
  3. 外壁材の交換

外壁塗装の塗り替えは、外壁材の劣化に関わらず、塗装の耐用年数が過ぎている場合に行います。

塗り替えの費用相場は、坪数や塗料の種類によって異なるため、一概に言えませんが、大体10坪で約20万円~40万円。10坪増えるごとに、20万円~30万円費用が増えるということができます。

シーリング工事とは、防水性や気密性を目的とした目地や隙間などに充填するシーリング材を補修する工事を指します。ひび割れが1mm程度であれば、ホームセンターでスプレー式のスプレー式の補修材やシーリング材を購入することで、自分で補修することも可能です。

外壁材の交換は、ひび割れの規模が大きく、外壁材の破損が著しい場合に行います。外壁材の張り替えを行う場合は、約200万円~250万円の費用が掛かります。工期は、約3~4週間となっています。

カバー工法と呼ばれる既存の外壁の上に新しい外壁を貼り付ける工事を行う場合は、約160万円~220万円の費用がかかります。工期は、約2~3週間となっています。

どちらの工法で行うかを工期や費用、外壁材の破損の状態を参考に専門業者と相談すると良いでしょう。

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まとめ

外壁塗装耐用年数30年についてのまとめ

ここまで外壁塗装や外壁材の耐用年数のご紹介をさせていただきましたが、いかがでしょうか。

もし耐用年数が30年の塗料があったら、多くの人が魅力を感じることでしょう。しかし本当に大切なことは、他の部位とのバランスです。

建物の築年数や周辺環境、既存の外壁材・屋根材の種類と劣化状況などを総合的に判断して、最適な提案をしてくれる業者が本当に信頼できる業者です。

ただ単に耐用年数だけにとらわれてしまうのは、決して好ましいことではありません。この記事を皆様の塗料選び、外壁材選びの参考にしていただければ幸いです。

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