- 「チョーキングってなに?」
- 「外壁に出た粉はただの汚れ? それともチョーキング?」
外壁のチョーキング(現象)について、こんな疑問をお持ちではありませんか?
外壁のチョーキングとは、塗装の劣化症状のひとつです。
ただの汚れとの区別がつきづらいので、本当にチョーキングかどうかの判断が難しいのがやっかいです。
本記事は、チョーキングかどうか判別方法から、対策方法・費用などをまるっと解説します。
「外壁の劣化症状の種類」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「外壁の劣化のサインとは?主な劣化症状・補修費用・対応方法を解説」
監修者:外装劣化診断士 小林 成光
600件以上の現地調査を実施する過程で得た専門性を生かし、日本発のネット見積もりシステムでビジネスモデル特許を取得。ヌリカエにて、外装工事の専門家として、顧客・加盟企業のサポート・コラムの監修に従事。
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チョーキングとは?
外壁のチョーキング(Chalking)とは、表面の塗装(塗膜)が劣化してチョークのような粉が表面に浮き出る現象のことです。
「チョーキング現象」「白亜化」と呼ばれることもあります。
チョーキング現象の原因
チョーキングが起こった場合、疑われる原因には「経年劣化」か「施工不良」の2つがあります。
経年劣化によるチョーキングはいずれ起こるもので、完全に防ぐ方法はありません。
家の外壁は、通常の環境下でも平均10年前後でチョーキングがおこり始めます。
問題は、施工不良が原因のチョーキングです。
ごくまれに、塗料の希釈や塗装方法にミスがあったため、標準的な年数よりも早くチョーキングが発生することがあります。
原因が施工不良と断定できた場合は、施工業者による施工保証で塗装をやり直してもらうことができます。
チョーキングかどうかの確認方法
外壁に粉が浮いている場合、砂やチリで汚れているだけなのか、それともチョーキングが起こってしまっているのか、一見区別がつきません。 ただの汚れかチョーキングかの確認方法には3つのステップがあります。
確認手順①素手で外壁に触る
1つ目のチョーキング現象の確認手段は、素手で直接外壁に触ることです。
素手で外壁に触ったとき、手にはっきりと色のついた粉が付けば、チョーキング現象の疑いがありますので、次の手順に進んでください。手につく粉の色は白が多いですが、外壁の色によって変わります。
チョーキングは主に紫外線による劣化で発生するので、日当たりのよい面の外壁で試すのが分かりやすくてよいでしょう。
確認手順②少し離れた場所も触ってみる
手順①で粉がついた場合、同じ外壁の1mほど離れた部分も触ってみましょう。
その箇所でも同じ色が手に粉がつくようなら、チョーキングである可能性は高まります。
なぜ離れた場所でも試すの?
ただの汚れの場合は、外壁のうち粉が浮いている範囲は部分的です。一方、チョーキングは経年劣化で起こるものなので、同じタイミングで塗装した外壁上ではほぼ同時に起こります。
この違いを見極めるため、少し離れた場所を触ってチェックすることをオススメしています。
しかし、壁一面にわたる広い範囲の汚れの可能性もまだ否定できません。 念の為に次のステップも試しましょう。
確認手順③外壁を水に濡らす
最後のチョーキング現象の確認手段は、外壁を水に濡らし、外壁の色の変化を見ることです。
チョーキング現象の起こっている外壁は防水性能が落ちているため、水に濡れると変色します。雨の日と晴れの日で外壁の色がはっきりと異なるようなら、チョーキング現象を起こしている可能性が高いです。
チョーキングが起きたらどうすればいい?
チョーキングは、外壁が劣化しているサインであることはわかりました。
では、チョーキングが起こったらどう対処よいのでしょうか?
防水性回復のため「外壁塗装」を
チョーキングが起きたということは、外壁の防水性が著しく低下していることが考えられます。
そのため、はやめに外壁塗装(塗り替え)をする必要があります。
つまり、『チョーキング現象は外壁塗装をする時期のサイン』と考えてもよいでしょう。
「塗装」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「塗装ってどんな意味があるの?外壁の修繕を検討している方へ」
チョーキングを放っておくとどうなる?
チョーキングが起きた外壁をそのままにしておくと、さらに劣化や腐食が進み、直すために外壁塗装よりも高いお金がかかるようになるでしょう。
チョーキングを通り越して塗膜が剥がれだすと、外壁材の芯や、家の躯体がそのうち雨にさらされるようになります。
そうすると、建物のより奥の部分に腐食が進んでしまうのです。
また、粉が浮いた外壁面の見た目が悪くなるというデメリットもあります。
すぐに対処できない場合は…
なお、どうしてもすぐに対応できない場合には、「幅が0.3mm以上のクラック(ひび割れ)があるかどうか」を取り急ぎ確認してください。
(※クラックの例)
外壁にクラックがない場合、あるいはクラックがあっても幅が0.3mm以下の場合は、1~2年ほどはメンテナンスを先延ばしできる可能性があります。
反対に、幅が0.3mm以上のクラックがあると、そこから雨水が侵入して雨漏りや家屋内部の傷みがはじまるので、早急に補修が必要です。
屋根にもチョーキングはおこる
なお、チョーキング現象は、外壁だけでなく屋根にも起こります。 屋根は普段近くで見ることがないので異変に気づきにくいですが、外壁にチョーキングが起こっている場合には、年月的に屋根にも発生していると思ってよいでしょう。「屋根の塗り替え」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「屋根塗装の費用相場はいくら?自宅の屋根塗装の費用を知るための知識を解説」
チョーキングの補修方法と費用
チョーキング現象の概要と確認方法が分かったところで、次は実際にどのように対処したらよいのかを確認していきましょう。
チョーキングの補修方法は?
チョーキング現象の補修方法は、基本的には塗装しかありません。塗装面を塗り替えることで塗膜の防水性を復活させれば、粉吹きは起こらなくなります。
チョーキングの補修にかかる費用
チョーキングの補修のために外壁塗装を行うと、平均的な30坪住宅の場合で70~90万円の費用がかかります。
外壁塗装にかかる費用は、家の大きさによっておよそ以下のように異なります。
延べ坪数 | 外壁塗装相場 |
---|---|
10坪 | 25万~30万円 |
20坪 | 50万~60万円 |
30坪 | 70万~90万円 |
40坪 | 90万~120万円 |
50坪 | 120万~150万円 |
※シリコン塗料で塗装を行った場合
参考記事:外壁塗装の費用相場はいくら?坪数ごとの工事価格を3000人に調査!
「チョーキングの対策にこんなにかかるの?」と驚かれる方もおられるかと思います。
しかし、チョーキング現象とは外壁の劣化のうち目に見える一部に過ぎず、チョーキング現象が起こっているということは、見えない部分で問題が起こりつつあることを示しています。
家全体に被害が広がる前に、はやめに塗り替えを行うのは非常に重要です。外壁塗装にかかる費用を安くしたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
チョーキング現象の対策としてやってはいけないこと
なお、「なんとかお金をかけずにチョーキング現象を解決したい!」と思われる方も実は多いかと思います。
外壁塗装は大きなお金のかかる工事なので、すぐに動き出すのはなかなか難しい場合もありますよね。
しかし以下のような行為はチョーキング現象の対策としては不適切なので、行わないように注意しましょう。
- DIYによる塗り替え
- 水とブラシでの洗浄
「DIYによる塗り替え」では、プロの塗装会社による塗り替えと違って下地処理を徹底できないので、短期間で再びチョーキング現象が起こる可能性が非常に高いです。
また、外壁の塗り替えは高所作業になるため、足場などがない状態で行うと非常に危険でもあります。
「水とブラシによる洗浄」は、一時的には手に粉がつきにくくなり、解決したかのようにみえますが、実際にはさらに塗膜の劣化をはやめ、建物の傷みをはやくします。
このように、チョーキング現象を根本的に解決する方法は、実は外壁塗装以外にはありません。
そのため、チョーキング現象をなるべくお金をかけずに解決したい方は、外壁塗装工事の費用を安くする方法を考えるべきです。
外壁塗装をできるだけ安くしたい方は、以下の記事が参考になります。
参考記事:【2021年版】外壁塗装で補助金・助成金を受け取るには?条件・地域・申請方法
チョーキングを予防する方法はある?
塗膜のチョーキングを完全に防ぐ方法はありません。外壁は紫外線による劣化から逃れられないからです。
しかし、耐用年数が長い塗料で塗装をしたり、早めの周期で塗り替えを行うことによって、チョーキング現象の発生を遅らせることはできます。
「ラジカル制御型塗料」を使う
チョーキングの直接の原因は、紫外線や水分・酸素によって発生した「ラジカル」という因子です。
ラジカルが発生すると塗膜内の樹脂が分解され、樹脂に包まれていた顔料(着色成分)が露出することで発生し、チョーキングが起こります。
ちなみにこのメカニズムに注目し開発されたのが、原因物質の“ラジカル”を抑制するはたらきをもつ「ラジカル制御型塗料」です。
ラジカル制御型塗料で外壁塗装することにより、チョーキングの発生を通常よりも遅らせ、塗膜を長持ちさせる効果が期待できます。
「ラジカル制御型塗料」について知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「ラジカル塗料ってなにがすごいの?メリット・デメリットを徹底解説!」
フッ素樹脂塗料を使う
外壁や屋根に用いる塗料は種類によって耐用年数が異なるので、チョーキング現象の発生を防ぎたい方は、やや高価ですがとにかく耐用年数の長い「フッ素塗料」での塗装がおすすめです。
また、前項で紹介した「ラジカル制御型塗料」も、一般的なシリコン塗料より長耐久の塗料です。
「塗料の種類や製品」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「【初心者向け】外壁塗装の塗料10種類の特徴・価格は?おすすめ塗料と選び方も紹介」
外壁材をレンガやタイルにする
外壁材をレンガやタイルなどの素材に変えることも、ひとつの方法です。
これらの外壁材は塗料を使っていないため、そもそもチョーキングを起こしません。
ただし、外壁の素材を別のものにする工事は、外壁塗装の倍以上の費用が必要です。
「外壁の張替え工事や費用」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「外壁張り替えの基礎知識。工事時期・費用・他工事との違い」
あなたのお家
外壁塗装するといくら?
まとめ
チョーキング現象は、経年劣化や施工不良によって塗装が劣化することで発生します。チョーキング現象起こっているということは、外壁の劣化が進行しているということなので、はやめに外壁の塗り替えを検討しましょう。
チョーキング現象を放置すると、建物全体の寿命を縮める原因となります。
外壁のチョーキング現象に気づいたら、すぐに対処して、安心できる家を目指しましょう。
最後に、本記事の要点を振り返ってみましょう。
チョーキングとは何?
塗料の顔料が、チョークのような粉になって表面に浮き出る現象のことです。原因は、紫外線などによる塗膜の劣化です。詳しく知りたい方はチョーキングとは?をご覧ください。
外壁にチョーキングが起こったら、どうすればいいの?
早めに外壁塗装を行うことです。外壁の塗膜の耐久性を復活させれば、チョーキングは起こらなくなります。詳しくはチョーキングの補修方法と費用をご覧ください。
チョーキングが起こらないように予防するには?
早めの周期で外壁を塗り替えること、耐用年数の長い塗料を使って塗装することです。しかし、完全に防ぐ方法は存在しません。詳しくはチョーキング現象を予防する方法はある?をご覧下さい。
チョーキングが起こった外壁をDIYで塗っても大丈夫?
基本的にはオススメできません。プロの塗装業者でないと、塗装面の下地処理や適切な塗膜の厚みを徹底できないからです。詳しくはチョーキング現象の対策としてやってはいけないことをご覧ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。