ウレタン塗装はどんな場合に使うべき?性能・価格・コスパを徹底比較

  • 【更新日】2023-04-28
ウレタン塗装はどんな場合に使うべき?性能・価格・コスパを徹底比較

本記事は、主に住宅の外壁や屋根等の塗装をお考えの方に向けて、

  • ウレタン塗装の耐久性やコスパ
  • ウレタン塗装と他の塗装方法の比較
  • ウレタン塗装はどんな場合に向いているか

 

を解説しています。

はじめに結論を申し上げると、建物のウレタン塗装は「初期費用を抑えたい場合」か「10年以内に退去や解体が決まっている場合」に適しています。

また、塗装箇所としては家の雨どいや破風、水切りなどの塩ビ・木材・鉄製の箇所にウレタン塗装がよく施されます。
反対に、外壁や屋根用としてはやや耐久性が足りない塗装方法です。

今から、理由とともに分かりやすく解説していきます!

Point
  • 耐久性を重視する場合は、ウレタン塗装よりもシリコン等がオススメ
  • 屋根や外壁よりも、雨樋などの付帯部分に多く使われる

なお、はじめての外壁塗装を検討されている方は、こちらの記事がおすすめです。

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小林成光(コバヤシマサミツ)さんのプロフィール写真 監修者:外壁劣化診断士 小林 成光

600件以上の現地調査を実施する過程で得た専門性を生かし、日本発のネット見積もりシステムでビジネスモデル特許を取得。ヌリカエにて、外装工事の専門家として、顧客・加盟企業のサポート・コラムの監修に従事。 ▼略歴・プロフィール
「監修者|小林 成光(株式会社Speee)」

ウレタン塗装の基礎知識

ウレタン塗装とは?

ウレタン塗装とは、名前の通りウレタン塗料を使って塗装を施すことです。
ウレタン塗料とは、塗料の成分のひとつである樹脂の主原料がウレタンである塗料をいいます。

ウレタン塗装の用途は?

ウレタン塗装の主要な用途は、車や住宅の塗装です。

家のイラスト 車のイラスト

住宅では雨どい等の付帯部や木部・鉄部の塗装などによく使われています。
理由は、ウレタン塗料が木材・塩ビ素材・鉄など幅広い下地に塗装可能なためです。

車や住宅以外では、ギター・バイク・食器・家具などにもウレタン塗装がよく用いられます。
ウレタン塗装は、オイル塗装やラッカー塗装に比べて汚れや水分に強い塗膜が形成されるため、とくに家具などに人気です。

ダイニングテーブルのイラスト 食器のイラスト 楽器のイラスト

ウレタン塗料以外の種類は?

住宅塗装用の塗料には、他に「アクリル塗料」「シリコン塗料」「フッ素塗料」「無機塗料」等があります。

これらの違いは主に“耐用年数”と“価格”です。
ウレタン塗料は、価格・耐用年数ともに5種類中下から2番目です。

塗料5種類と耐用年数・価格の分布グラフ

ウレタン塗装の特徴は?

ウレタン樹脂を用いた塗料は、柔軟性があり、塗装した素材との密着度が高いのが特徴です。
また、光沢がほかの塗料よりも強く、塗装面は艶のある仕上がりになります。

ウレタン塗装は、DIYよりも業者に頼んだ方がオトクかも

「できるだけ修理費用を安くしたいから、DIYで修理したい!」
このように考える方も多いかもしれません。

しかし実際には、DIYよりも業者に依頼するほうがお得なケースがほとんどです。
ウレタン塗装をDIYで行うとなると専門の道具を揃える費用がかかりますし、時間と手間もかかります。

その上、業者に依頼した場合よりも持ちが悪く、短期間に何度もDIYが必要になる可能性も。
それなら、はじめから専門業者に依頼したほうが、時間もお金もオトクですよね。

一括見積もりサービスのヌリカエなら、全国2500社以上の加盟店の中から、リーズナブルな優良業者に絞ってご紹介することができます。
ご利用は完全無料なので、DIYで塗装をする前にまずは業者の見積もりを見てみませんか?

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ウレタン塗装のメリット・デメリット

ここからは、ウレタン塗装のメリットとデメリットを、他の塗料の機能や価格とも比較しながら解説します。

ウレタン塗装のメリット

メリット①塗料の価格が安い

ウレタン塗料の塗装費用は1,700~2,200円/㎡目安です。
これはひとつ上のグレードのシリコン塗料よりも1~2割ほど安い価格となっています。

塗膜の耐久性が10年前後でいいならば、外壁はウレタン塗装を施すのが最適です。

メリット②塗膜に光沢・高級感がある

ウレタン塗装した外壁には美しいツヤが生まれ、高級感のある仕上がりになります。
光沢のある仕上がりが好きではない場合は、つや消し剤を混合してマットな仕上げにすることも可能です。

ひと口memo

ウレタン塗装の光沢があって高級感がある仕上がりは、家具やフローリングの仕上げとしても好まれるので、高級家具やフローリングなどにも数多く使用されています。

メリット③ひび割れしにくい

ウレタン塗装の塗膜は柔らかくて弾性があるので、乾燥後もひび割れしにくい塗膜になります。

一方、シリコンやフッ素だと耐久性は高いものの塗膜は固くい仕上がりのため、さほどひび割れに強くありません。

メリット④DIYでも扱いやすい

ウレタン塗料は柔らかく伸びが良いので、素人でも扱いやすいのもメリットです。
DIYで塗装を行う場合は、ウレタン塗装を候補に検討しましょう。

反対に、業者がよく用いるシリコン塗料は扱いが難しいため、DIYにはあまりおすすめできません。

メリット⑤塗装可能な素材が多い

ウレタン塗料は下地との密着性が高いため、比較的幅広い素材に塗装可能です。
とくに、鉄部・木部・塩ビ部などの塗装にはウレタン塗料がよく用いられます。

メリット⑤塗料の種類が豊富

ウレタン塗装は一昔前までは主流だった工法なので、実績が多く優秀な塗料が各メーカーから発売されています。

国内の塗料メーカーには、「日本ペイント」「エスケー化研」「関西ペイント」などの大手塗料のほか、「ロックペイント」「菊水化学工業」などの中小優良メーカーがあります。

ウレタン塗装のデメリット

今度は、ウレタン塗装のデメリットを見ていきましょう。

デメリット①コストパフォーマンスで劣る

外壁をウレタン塗装した場合の耐用年数8~12年で、現在主流であるシリコン塗装の耐用年数10~15年や、フッ素塗料の15~20年と比較すると見劣りしてしまいます。

デメリット②変色に弱い

ウレタン塗装した面は、シリコン、フッ素などに比べて紫外線の影響による変退色がやや起こりやすいのがデメリットです。
また、ウレタン塗料は黄色く変色しやすいともいわれています。

デメリット③防汚性で劣る

ウレタン塗料の塗膜は、シリコン塗料に比べて汚れがつきやすいという欠点があります。
特にツヤ消しタイプは汚れが目立ちやすいので注意が必要です。

近年では「低汚染性」という機能のついたウレタン塗料があるので、ウレタン塗装をする場合にはこちらを選ぶとよいでしょう。

デメリット④塗装作業中の水気に弱い

ウレタン塗装で使用される硬化剤は水と反応しやすいため、雨上がりや湿度が高い時期に塗装すると、性能が落ちやすい塗膜になってしまうおそれがあります。

メリット・デメリットふまえたうえで、他の外壁塗装の塗料について知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「【2022年最新】外壁塗装の塗料6種類の特徴・価格は?選び方と人気塗料ランキングも紹介」

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ウレタン塗装の費用とコストパフォーマンス

塗料がお得かそうでないかは、価格だけでなく耐久性も加味して判断するべきです。
そこで本章では、費用と耐用年数をもとにコストパフォーマンスを試算し、ウレタン塗料とそれ以外の塗料で比べてみたいと思います。

塗料の価格と耐用年数を比較

まずは、各グレードの塗料の価格と耐用年数を確認しましょう。
数値は以下のとおりです。

住宅用塗料のグレード5種類と価格・耐用年数の一覧
塗料の種類 耐用年数(外壁) 価格
アクリル塗料 6~8年 1,400円~1,600円/㎡
ウレタン塗料 8~10年 1,700円~2,200円/㎡
シリコン塗料 10~15年 2,200円~3,000円/㎡
フッ素塗料 15~20年 3,800円~4,800円/㎡
無機塗料 20~30年 5,000円~6,000円/㎡

データ(一部)出典:建築工事研究会『積算資料ポケット版 リフォーム編2021』経済調査会発行 2020年

ウレタン塗料は、全5段階中で第4位に位置しています。

塗料のコストパフォーマンスを比較

コストパフォーマンスは、各塗料の耐用1年あたりの価格で比べることができます。
5種類ぶんの「価格÷耐用年数」の計算結果は以下のとおりです。

塗料ごとのコストパフォーマンスの比較
塗料の種類 価格÷耐用年数 順位
アクリル塗料 約214円/㎡ 2位
ウレタン塗料 約216円/㎡ 3位
シリコン塗料 約208円/㎡ 1位
フッ素塗料 約245円/㎡ 5位
無機塗料 約220円/㎡ 4位

計算の結果、最もコストパフォーマンスの良かった塗料はシリコン塗料でした!

ウレタン塗料のコストパフォーマンスは5種類中で第3位と、良くも悪くもない結果となりました。

塗料のコストパフォーマンスを判断する時の注意

試算の結果、コストパフォーマンスが悪く見えるフッ素塗料や無機塗料も、すべての場合で損になるわけではありません

実は、塗装工事の総工費のうち塗料代が占めるのは約1/3~1/4程度です。
工事には塗料代以外にも、足場代・下地処理代・運搬費など、選んだ塗料に関わらず一定の額がかかる工程があります。

例えば、30年もたせるつもりの外壁を、コストパフォーマンスが良いからといってシリコン塗料を2~3回塗装をするよりも、フッ素塗料や無機塗料で工事を1~2回に抑えたほうが、足場代(1回15~20万円)などの発生回数が少ないぶん、実際にはグッと安く済みます。

塗料のコストパフォーマンスだけでなく、耐用年数をもとに住む予定の期間の塗り替えが何回で済むかを考えることも重要です。

ウレタン塗装を選ぶべき場合・そうでない場合

ウレタン塗料の性能やメリット・デメリットを考慮して、ウレタンが向いている場合とそうでない場合を導き出しました。

ウレタン塗装が最適なケース

塗装費の節約 退去等の予定 雨樋等の塗装

ウレタン塗装は、現在主流の塗装方法に比べて費用が安いかわりに、耐用年数も少し短いのが特徴でした。

そのことから導くと、

  • 塗装費用をとにかく安くおさえたい場合
  • 10年前後で住まなくなる建物の塗装の場合

といった、費用の安さが優先の場合や、耐用年数と重視しない場合はウレタン塗装を選ぶのがもっとも合理的です。

また、現在主流のシリコン塗料を屋根の付帯部分に使うのはややオーバースペックなので、

  • 雨樋や水切り板金などの塗装に使う場合

も、ウレタン塗装が最適と言えます。

こんな場合にはウレタン以外で塗装しよう

反対に、以下のような場合はなるべくウレタン塗装以外を用いるほうが長い目でみて得になります。

  • これからも長く住む家の塗装の場合
  • その他、とくに塗料のこだわりがない場合

「デメリット」の項で、ウレタン塗装はコストパフォーマンスでは他の塗装方法に劣るとご説明しました。

現在もっともコストパフォーマンスに優れるのは、シリコン塗装もしくはラジカル(制御形)塗装です。
エスケー「プレミアムシリコン」
シリコン塗料で塗装した外壁は単価2,300円/㎡で12~15年、ラジカル塗料では単価2,400円/㎡で14~16年の耐用年数が、それぞれ期待できます。
どちらも、工事費用はウレタン塗装より1割強高くなりますが、次に塗装するまでの間隔が空くため結局はお得になるのです。

ウレタン塗装に強いこだわりがない場合は、この2種類の塗料のどちらかを用いるのがオススメです。

「シリコン塗料」「ラジカル塗料」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「シリコン塗料って本当にいいの?おすすめ製品やメリット・デメリット、注意点を解説」
>>「ラジカル塗料ってなにがすごいの?メリット・デメリットを徹底解説!」

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ウレタン塗料の製品と種類

代表的なウレタン塗料の製品の製品

ウレタン塗料というのはあくまで商品の種類のことを指すので、実際には使用用途ごとに異なった商品名のウレタン塗料があります。

よくウレタン塗装が施される車・住宅の外装・ギター・バイク・家具の5つにおいて、代表的な塗料を確認してみましょう。

用途別の代表的なウレタン塗料の製品
用途 メーカー・製品名
外壁塗装 ・エスケー化研:クリーンマイルドウレタン
・日本ペイント:ファインウレタンU100
・関西ペイント:セラMレタン
屋根塗装 ・エスケー化研:ヤネフレッシュU
・日本ペイント:ファインUVベスト
・関西ペイント:スーパーウレタンルーフペイント
車のボディ塗装 ・イサムエアゾール:エアウレタン
・関西ペイント:レタンPG80
・サンデーペイント:2液ウレタンスプレー
ギターの塗装 ・サンデーペイント:2液ウレタンスプレー
バイクのボディ塗装 ・サンデーペイント:2液ウレタンスプレー
・イサムエアゾール:エアウレタン
家具の塗装 ・ユニオンペイント:EGジャストワン
・和信化学工業:エコフィーバーラック

ウレタン塗料の種類には「油性(溶剤系)と水性」があり、さらに「1液型と2液型」に分かれます。

「ファインウレタンU100」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「ファインウレタンU100とはどんな塗料?特徴・色・使用シーン・価格の4つを解説」

「2液型ウレタン塗料」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「2液ウレタンのメリット・デメリットは?1液型と結局どちらがいい?」

油性ウレタン塗料と水性ウレタン塗料の違い

塗料の種類 溶媒 メリット
油性塗料 有機溶剤(シンナー等)
  • 耐久性に勝る
  • 塗装可能な素材が多い
水性塗料
  • 塗料のニオイが少ない
  • 価格が安い

油性ウレタン塗料と水性ウレタン塗料は、塗料を希釈する溶媒が異なります。
水性ウレタン塗料は水で、油性塗料はシンナーなどの有機溶剤が溶媒です。

一般に、水性塗料は有機溶剤を使用していないため臭気が少なく、環境や人体への影響が少ないという利点があります。
ただし、水性塗料は油性塗料よりも耐久性や光沢のもちの部分が劣るので注意が必要です。

1液型塗料と2液型の違い

塗料の種類 塗装できる素材 メリット
1液型塗料 コンクリート/サイディングボード/モルタル 等
  • 溶媒と混ぜるだけで使用できる
  • 可使時間が長い
  • 価格が少し安い
2液型塗料 コンクリート/サイディングボード/モルタル/金属部/塩ビ樹脂 等
  • 塗装可能な素材が多い
  • 塗膜の耐久性が高い

1液型塗料と2液型塗料は、使用前に硬化剤と混ぜる必要があるかどうかで分かれます。

1液型は硬化剤が不要なため、塗料缶は一つですみ、翌日にも同じ缶から塗装が可能です。

一方、2液型は硬化剤と主剤を適切な量で混ぜ合わせて使用するので、塗装缶が複数出ます。
また、混合後は数時間で固まってしまうため、作った塗料を翌日に持ち越せません。

2液型は混ぜ合わせる工程を挟むので、知識と経験をもった塗装職人でないと扱いを誤る可能性があります。ただ、手間がかかる分、1液型よりも耐久性に優れるという大きな長所をもっています。

この塗料、私の家で使うといくら?

※1時間以内に74人が ヌリカエで料金診断しました。

まとめ

今回はウレタン塗装についてご説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。

ウレタン塗装はシリコン塗装に対して耐久性で劣るため、現在では外壁塗装にはあまり用いられていません。

しかし、車や家具、食器などの塗装においてはまだまだ現役と言えるでしょう。

価格は他の塗料と比較すると安い傾向にあるため、耐久性を重視しないのであれば、利用する価値はあります。

「ウレタン塗料は良くない」といった先入観は捨てて、目的や用途に応じた塗料選びをするのが大切です。

最後に、記事の内容を振り返ってみましょう。

ウレタン塗装のメリットは?

ウレタン塗装には「光沢が強く高級感がある」「ひび割れしにくい」「塗膜が柔らかい」などのメリットがあります。詳しく知りたい方はウレタン塗装のメリットをご覧ください。

ウレタン塗装のデメリットは?

ウレタン塗装には「シリコン・フッ素塗装より耐久性が劣る」「変色しやすい」「汚れがつきやすい」などのデメリットがあります。詳しくはウレタン塗装のデメリットをご覧ください。

ウレタン塗装用の塗料の価格はいくら?

塗装面積1㎡あたり「1,700円~2,200円」が相場です。ウレタン塗装は、住宅用塗料のなかでは4種類中下から2番目のグレードに位置しています。詳しくはウレタン塗装の費用とコストパフォーマンスをご覧下さい。

ウレタン塗装用の塗料は何がおすすめ?

エスケー化研「クリーンマイルドウレタン」、日本ペイント「ファインウレタンU100」などが定番です。詳しくは代表的なウレタン塗料の製品をご覧ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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