高齢者もあなたも使いやすいキッチンへ!60代からのシニア向けキッチンの条件

  • 【更新日】2023-12-28
高齢者もあなたも使いやすいキッチンへ!60代からのシニア向けキッチンの条件

いつまでも若いと思っていた両親が、白髪が増えるのを見ると年を取ったと感じます。

年齢を重ねた先に将来の介護の必要性や、独り暮らしになるようなことが想定されます。

そのため両親のセカンドライフをより良いものにするために、実家のリフォームを思いつく方もいるでしょう。

特にキッチンは高さや広さ、使い勝手が今と昔で大きく違います。

そこでこの記事では両親のためにキッチンリフォームを検討する方へポイントやアドバイスをお伝えしていきます。

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実は多い高齢者のキッチンでの事故やケガ

運動能力が低下するシニア世代が家の中で転倒した経験を持つ人は、内閣府の「平成27年版高齢社会白書」によると、男性で6.8%女性で11.8%となっています。その内、17%はキッチンエリア内での転倒事故です。

事故の多そうな階段での事故は18.7%なので、実は大差がありません。

転倒の原因として、キッチンマットがめくれてしまって躓いたり高いところに収納した物を取ろうとして踏み台から足を滑らせたりなどです。今まで出来ていたからという油断が事故を招きます。

そのため、65歳を過ぎたら自分の体力を過信せず、誰かに頼る必要があります。

独り暮らしや夫婦共に高齢の場合は、踏み台を必要としない生活に切り替えることが大切です。

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高齢者が使いやすいキッチンの必須条件6つ

高齢者が使うことを意識したキッチンは、使いやすさを優先して考えます。そのために検討すべき条件は好みとは関係ありません。

「今はこうしている」ではなく、先の未来を見据えて「こうしておくと何年経っても使いやすいだろうな」と感じる仕様を選びましょう。

いつまでも快適にキッチンが使えるように、以下の6項目は念頭に置いておきましょう。

  1. 作業台は座って作業できる高さにする
  2. 軽い力で操作できる水栓を選ぶ
  3. 手が届きにくい部分が無くなるような工夫をする
  4. 照明の明るさは少し明るめにする
  5. 床材の工夫と床暖房で足元を温かく滑りにくくする

 

条件その1:作業台は座って作業できる高さにする

長時間立ったまま作業をすると、足腰に負担がかかってしまいます。皮を剥くような作業は座ってすると非常に楽になります。

そのためキッチンカウンターも座って作業できる高さを検討しましょう。

通常、キッチンの高さは「身長÷2+5㎝」を目安としています。ショールームでも85㎝をベースに5㎝単位で低くしたり高くしたりできます。

しかしこの計算方法はあくまで立った状態で料理をする想定です。

ユニバーサルキッチンと呼ばれるキッチンは座って作業を想定して75~85㎝と低めにされています。

作業するスペースの下にある収納が奥まっているため、カウンター下に足が入り座っていても膝が当たりません。もちろん、車イスでも利用できます。

条件その2:軽い力で操作できる水栓を選ぶ

筋力は足腰だけでなく、握力も衰えていきます。昔の蛇口水栓は握って回すタイプが主流で、握力が必要になるため高齢者には扱いづらいものでした。

しかし現在はほとんどがレバーハンドルになっており、握らずに軽い力で操作ができ、楽に使えるようになりました。

レバーハンドルは使い方がシンプルで、左右にレバーを動かすだけでお湯と水を切り替えられます。

蛇口のヘッドがシャワーヘッドとして伸び縮みするタイプなら、座った姿勢でも手元に水を出せます。

そういった細かな使い勝手は種類も豊富なので、ショールームでいろいろ使ってみるのがいいでしょう。

またセンサーに手をかざして操作するタッチレス水栓もあります。電源式なので、停電時以外はずっと使えて節水にもなります。停電時もレバーハンドルでの操作なので力は全く要りません。

条件その3:手が届きにくい部分が無くなるような工夫をする

事故の原因として踏み台からの転倒がありました。

そもそも高齢になると関節の可動域が狭くなるため、真っ直ぐ腕を伸ばせません。

その状態で高いところに手を伸ばすのであれば、踏み台が必須となってしまいます。

そこで老後は、腕が届く範囲に物を収納したり使えるようにしたりすることが望ましいです。

  • 吊り戸棚を昇降式にする
  • 換気扇をリモコン操作にする
  • 床に近い位置の収納を減らす

特に吊り戸棚はボタンを押すと下がってくる自動昇降式がおすすめです。

目線の高さまで棚が下がってくるので、奥の方まで手が届くようになります。

ボタンの位置も目線の高さよりやや上くらいになるので、腕を伸ばす必要がありません。

換気扇のリモコンはマグネットが付いている物もあるので、冷蔵庫などに貼っておくと使いやすいです。

条件その4:照明の明るさは少し明るめにする

高齢になると視力が弱くなります。老眼もありますが、薄暗いと文字に対して焦点を当てられず、レシピや食品表示が見にくくなってしまいます。

若い世代の2~3倍の明るさが必要といわれているので、照明を追加しましょう。

しかし視力が弱る一方で、眩しさは感じやすくなります。

そのため、ただ追加するのではなく間接照明にしたり、電球をカバーしたペンダントライトを付けたりするなど、複数の照明を使い自分で必要な明るさに調節できるようにしましょう

ペンダントライトは目線の近くまで下ろせるので、万が一電球が切れたときの交換も容易です。

その他にできる工夫として、照明の色を温白色にしたり、壁紙を白系に張り替えたりなどもあります。床の色も明るめにすることで、空間自体を明るくしましょう。

条件その5:床材の工夫と床暖房で足元を温かく滑りにくくする

キッチンで作業する時間は、準備から片付けまで考えると1時間以上はかかります。

その間フローリングに立ちっぱなしだと足が冷えますし、水を溢してしまったら滑って転ぶ危険性があります。

冷え防止にスリッパを履く家庭もあるでしょうが、スリッパは膝が曲がりにくくなった高齢者には向きません。

フローリングにスリッパは滑りやすく、こちらも転倒の原因になります。

裸足でいられるように、クッションフロアやタイルカーペットで滑りにくくなるようにしましょう

柔らかい床材は衝撃を吸収してくれるので、足から腰への負担を減らしてくれます。

また裸足は冷えてしまうので、床暖房の採用も検討してみてください。

床暖房は足元から暖気が上がるので、長時間キッチンにいてもつらくなりにくくなります。

条件その6:安全装置の付いたコンロを選ぶ

キッチンに欠かせないコンロですが、火事の危険を考えるとIHが望ましいです。

ガス火が燃え移った際にとっさに消火できるかと考えると、素早い動きが出来なくなる高齢者には無理があります。

IHであれば燃える危険性がなく、火事の危険がありません。

しかし、IHは使用後しばらく熱を持つため火傷のリスクがあります

鍋をどかしたあと誤って手をついて火傷してしまうことがあるのです。また、ボタンの操作に慣れる必要もあります。

コンロがフラットでお手入れしやすいIHを選ぶか、今まで通りの使い勝手のガスコンロを選ぶかは使う本人の好みになるでしょう。

ガスコンロもIHも安全装置機能がついているものを選んでください。消し忘れ防止や調理油過熱防止機能は最新の物を購入するとほとんどついています。

IHであれば電源自動オフの機能もあるのでより安心です。

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高齢者が使いやすいキッチンへの変更にかかる費用は?

高齢者に向けたキッチンの改善やリフォームをおすすめしましたが、実際にいくらかかる工事なのか紹介します。

リフォームの内容 価格相場
システムキッチンへ変更 40万円~90万円
昇降式収納への変更 8万円~20万円
床暖房設置(5帖程度) 25万円~55万円
床材の変更 7万円~10万円
照明の変更 3万円~10万円
コンロの取り換え 8万円~30万円

現在使用しているキッチンと取り換える場合は、元のキッチンの処分費用がかかります。昇降式収納は既存の吊り戸棚に取り付けができなければ棚を新設する必要があります。

また、電気配線の工事が必要なのできちんと見積りを確認しましょう。

床暖房はキッチンの部分だけなら2帖程度で足りるため、部屋の広さと予算を比べてください。

床材も変更する場合、床暖房に対応した床材を選択してください。業者と相談し床材を何にするかで費用が変わります。

照明を増設する場合は近くに配線があれば安くすみます。間接照明は大工工事が別途かかる可能性があるので気を付けてください。

コンロをガスからIHにする場合は高額になります。優先すべきことを明確にして、コンロを選択してください。

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高齢者が安心して使えるキッチンのポイント

せっかくリフォームするので、後悔のない工事内容にしたいはずです。

おさえておきたいポイントを3つ紹介します。

  • 窓の位置や設計からの防犯対策
  • キッチンのレイアウトと動線があっている
  • 掃除がしやすく楽ができるかどうか

キッチンの仕様だけでなく、周辺環境にも目を向けます。今まで気にしていなかったようなことでも、第三者から見ると改善点が見つかるはずです。

業者と相談してアドバイスをもらいましょう。

ポイントその1:窓の位置や設計からの防犯対策

キッチンの窓の役割は空気の入れ替えや日中の明かり取りです。

そのため大きい窓は必要ないのですが、既に窓がある場合は気を付けたいことがあります。

窓が大きく外からも中からも見通せてしまうようであれば、ガラスを防犯ガラスやペアの磨りガラスにすると安心でしょう。

使い勝手はそのままで防犯性能が上がります。さらにブラインドを付けると夜も姿が透けません。

コンロの配置にブラインドの紐が干渉しないように設置してください。

可能であれば容易に見えにくい位置に窓の配置を換えて、サイズも小さくするとさらに防犯性が上がります。

明かりや換気に問題がなければ、窓を壁にすると気密を高くできます。

大工工事と外壁工事が必要になるので、予算内でできることを選択しましょう。

ポイントその2:キッチンのレイアウトと動線があっている

キッチンの動線が悪いとあちこち動き回ることになります。動く度に椅子に座ったり立ったりすると疲れてしまうでしょう。

ほとんどの作業を座ったまま行うためにリフォームでキッチン動線を整えることが大事です。

大事なのはよく使う食器や調理器具は手の届く範囲に置いておくことです。これだけでも動作が少なくなります。

また食料品がすぐ取れるように、冷蔵庫も近くにあるとより便利です。

そうすることで「食料品を仕分け」することと「調理」が座ったまま完結できます。

キッチンを対面キッチンにすると、できた料理を向かい側のダイニングに手渡すだけなので「配膳」も座ったままでできるようになります。

対面キッチンはダイニングからシンクに直接お皿を運べるので、「片付け」も楽です。

ポイントその3:掃除がしやすく楽ができるかどうか

キッチンを快適に使うためにも、掃除がしやすいかどうかも大切です。

キッチンカウンターはステンレスが安価で手に入りやすい素材ですが、エンボス加工してあるものにするとお手入れがしやすく、汚れも拭き取りやすくなります。

コンロをIHにすると凹凸がないので、五徳のような部材も少なく清潔な状態を保ちやすくなるでしょう。

また、キッチンフードもお手入れのしやすい製品が出ています。フィルターの取り換えが不要になり、食器用洗剤で簡単に油汚れを落とせるようになりました。日頃のお手入れは拭き上げのみで、月に一度天板を外してフィルターを洗います。

さらに一日の食器をまとめ洗いできる食洗機を導入してみましょう。冬の水洗いで手があかぎれすることもなくなります。

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お得に高齢者向けのキッチンリフォームをするコツ

限られた予算内でキッチンリフォームをするには以下の2つのコツを押さえておきましょう。

  • ・相見積りをする
  • ・助成制度が使えるか調べる

リフォームにかかる工事費用を安く抑えて、経済的な負担を軽減しましょう。

コツその1:相見積りをする

やりたいリフォームをリストアップできたら、リフォーム業者に見積りをしてもらいます。

現地調査をして工事内容を確認してからの見積りになります。

その際は必ず複数の業者から見積りしてもらうようにしましょう。

業者によってできることできないことがあり、悪質なリフォーム業者に捕まることも少なくなります。

見積りには工事内容の内訳が記載されているので、複数見比べてみて工事内容に疑問があれば質問してみましょう。

工事内容を一式でまとめているケースもあるので、内訳までしてもらうと安心です。

コツその2:助成制度が使えるか調べる

家族の介護が必要になってリフォームする場合は、助成金が使えることがあります。

リフォーム費用負担の軽減には介護保険の補助制度である「高齢者住宅改修費用助成制度」が使えます。

この制度は対象者が要介護認定もしくは要支援の介護認定を受けていることが条件です。

対象となる工事は転倒防止を目的とした床材の変更や手すりの取り付けなどです。リフォーム内容の工事全てが対象とならないので注意してください。

また、生涯で受けられる上限金額も設定されています。この助成金を受給するにはケアマネージャー同席で業者と打合せする必要があるので、協力してもらいましょう。

ほかにも各地方自治体で独自の助成制度を行っている場合があります。市町村のホームページで確認してみましょう。

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まとめ:高齢者の使うキッチンはけがの防止や使いやすさを見据えてリフォームを

両親のために実家のリフォームを検討するのはとても良いことです。特にキッチン周りは怪我に繋がることが多く、年齢が上がるにつれて心配なことが増えてくると思います。

両親には安全に生活してほしいですし、設備を整えることで安心できます。安いリフォームではないうえに、実際に工事に入って家の不具合や欠陥が見つかることもあります。そのためキッチンのリフォーム工事は、家の安全点検も兼ねると考えてください。

リフォーム工事で使える助成金やローンもあるので、まずはお気軽に相見積りをしてみましょう。両親には新しく使いやすくなったキッチンで、これからも長く元気に過ごしてもらってください。

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