外壁の一部分に劣化が見られる状況で、「補修が必要な状況なの?」「どんな補修をすればいい?」といった疑問・悩みを持っていらっしゃる方もいるのではないでしょうか。
本記事は、外壁のキズや劣化に気づいた方に向けて、
- 外壁のヒビ、剥がれなど症状別の補修方法
- それぞれの方法で必要な費用や道具
- そもそも、補修の必要があるか否かの判断方法
が分かる解説しています。
自分で直せる傷みは早めに補修し、余計な手間は費用の発生をおさえましょう!
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監修者:外壁劣化診断士 小林 成光
600件以上の現地調査を実施する過程で得た専門性を生かし、日本発のネット見積もりシステムでビジネスモデル特許を取得。ヌリカエにて、外装工事の専門家として、顧客・加盟企業のサポート・コラムの監修に従事。
▼略歴・プロフィール |
外壁補修が必要な劣化症状一覧
外壁補修が必要な劣化症状をまとめました。該当する劣化症状をタップまたはクリックすると、劣化症状に対応する費用の解説先にジャンプします。
外壁補修が必要な劣化症状 | |
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外壁のひび割れ![]() |
コーキングのひび割れ![]() |
塗装の剥がれ![]() |
外壁ひび割れの補修費用
外壁ひび割れの補修費用は、ひびの幅と深さにより異なります。
幅0.3mm以下のひび
0.3mm以下のひびが入っている場合は、ヘアークラックの可能性が高いです。
ヘアークラックの補修費用は、シール工法を行った場合で、1万円~5万円程度が目安です。1,000円/m~2,000円/mの補修費用に加えて、出張費や経費が発生します。
ヘアークラックは、外壁の表面、塗膜のみにひびが入っている状態になります。ヘアークラックに対しては、メンテナンスの緊急性は高くありません。
悪化をしないうちに補修することが望ましい劣化症状となります。
幅0.3mm~1.0mm深さ5mm以上のひび
ひびの幅が0.3mm~1mm程度深さ5mm以上あるひびは、構造クラックが発生している可能性が高いです。
構造クラックの補修費用は、樹脂注入工法を行った場合で、4万円~8万円前後が目安です。3,000円/m~5,000円/mの補修費用に加えて、出張費や経費が発生します。
構造クラックが発生している場合は、早めのメンテナンスが必要です。
構造クラックを放置していると、雨水の侵入によう雨漏り、家の構造部分の腐食、またシロアリの侵入の原因となります。
幅1.0mm以上のひび
幅1.0mm以上のひびの補修費用は、カットシーリング充填工法を行った場合で8万円~15万円前後が目安となります。6,000円/m~12,000円/mの補修費用に加えて、出張費や経費が発生します。
ひびの幅が1mm以上あるひびは、今すぐひびへの補修が必要です。
家内部の構造に深刻なダメージが広がっている可能性があり、工事の緊急性がとても高い状態です。
外壁コーキングのひび割れの補修費用
コーキングとは外壁の繋ぎ目などにできる隙間を埋める充填材のことです。
放置をしていると、ひびが入っている部分から浸水し、家の内部の腐食が進みます。コーキングの寿命は、5年~10年が目安です。
補修費用は、補修方法やひびが入っている範囲により異なります。
打ち換え補修を行った場合
打ち換え補修を行った場合の費用相場は35万円~45万円が目安です。700円/m~1,000円/mの補修単価に加えて、足場の設置費用などが発生します。
打ち換え補修は、古いコーキングを撤去し、新しいコーキング材を充填する補修方法になります。
コーキングにひびが入っている場合は、打ち換え補修を行うことが一般的です。
増し打ち補修を行った場合
増し打ち補修を行った場合の費用相場は25万円~35万円が目安です。500円/m~800円/mの補修単価に加えて、打ち換え補修と同様に足場の設置費用などの工事費用が発生します。
増し打ち補修は、古いコーキングの上から、新しいコーキング材を補填する工事方法です。
打ち換え補修と比べて費用を安く抑えられますが、コーキングにひび割れに対しては推奨されない補修方法になります。
紹介したコーキングの補修費用は、家全体のコーキングを補修する場合の費用相場です。
補修費用は、ひびが入っている範囲によっても変動します。
ひびの入っている範囲がごく一部の場合は、ご紹介した費用よりさらに安く補修することが可能です。
▼「コーキングの費用相場」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>外壁コーキングは必要?費用はいくら?工事で注意したいポイントを解説!
外壁の反り・浮きの補修費用
外壁の反り・浮きの補修費用は、外壁の一部張替え工事を行った場合で5万円~6万円が目安です。5,000円/㎡~9,000円/㎡の補修費用に加えて、古い外壁材の撤去費用などの工事費用が発生します。
二階部分の補修が必要な場合は、高所作業が必要となるため、足場代分の15万円~20万円ほど工事費用が増額します。
外壁に反り・浮きが生じている場合は早めの補修が必要です。放置していると、雨水が建物内部に侵入してしまい、家の内部の腐食が進行してしまいます。また、反りや浮きが広範囲にみられる場合は、全体張り替えが必要となり、さらに工事費用は高くなります。
塗装の剥がれの補修費用
塗装の剥がれの補修費用は、剥がれが生じている範囲や劣化症状によって大きく異なります。
一部のタッチアップ程度の補修で済む場合の費用相場は2万円~3万円が目安です。2,000円/㎡~3,000円/㎡の補修単価に加えて、出張費や経費が発生します。
一方で、剥がれが広範囲に広がっている場合など、ひどい状態であれば補修費用が50万円を超えてしまう可能性もあります。
塗装の剥がれも外壁補修が必要な劣化症状です。放置していると、剥がれの範囲がどんどん広がってしまいます。塗装の大きな役割である防水効果が保たれていない状態なので、外壁材自体の劣化が進行する原因にもなります。ここまで劣化症状に対する補修費用を解説しましたが、補修費用は個々人の自宅の劣化状況によって大きく異なります。具体的な補修金額を把握したい方は、業者から劣化状況の診断を受けることをおすすめします。
また、下記の料金計算ツールからも外壁補修の費用をお調べすることができますので、ぜひご活用ください。
外壁補修の作業手順と用具
外壁の二大劣化症状「ひび割れ」と「目地の痩せ・剥がれ」の補修手順と道具を写真付きで解説します。
外壁のひび割れの補修手順
モルタル外壁でよく発生するひび割れは、コーキングでひびを埋めて補修するのが一般的です。
①ひび割れとその周囲の清掃
ひび割れを中心に、外壁を幅5cm程度をワイヤーブラシ等で磨き、埃や汚れを取り除きます。
②コーキング材を注入
コーキングガンに装填したコーキング材を、ひび割れ部に沿って注入します。
③コーキング材の押し込み
コーキング材がよりひび割れの内部まで届くよう、ヘラやウエス(雑巾)を使って塗った跡をなぞり、コーキング材を押し込みます。
コーキングが乾燥した後の壁面を平滑にする効果もあります。
コーキング材を押し込んだあとの外壁面は、このような状態です。
④外壁表面の塗装
補修部分が白く目立つのが気になる場合、外壁と同じ色で塗装しましょう。
ただし、既存の外壁とまったく同じ色にするのは困難ですので、ある程度近づけば良しとしましょう。
ひび割れの補修に必要な道具
手順の図解で登場する道具は「コーキング材」「コーキングガン」「ワイヤーブラシ」「ヘラ」の4つです。
すべて買い揃えた場合は約2,000~4,300円ほどの費用がかかります。
※道具名をクリックすると、安価なおすすめ品のAmazonの購入ページにジャンプします。
道具 | 価格 | 用途 |
---|---|---|
コーキング材 | 660~1,200円 | びひ割れに充填する液剤です |
コーキングガン | 600~1,200円 | コーキング材を容器から押し出すために必要です。「可とう性エポキシ樹脂」または「カチオン系ポリマーセメントフィラー」を選びましょう |
>ワイヤーブラシ | 500~1,000円 | ひび割れ周辺の汚れを落とし、コーキングの接着をよくくします |
>ヘラ | 200~900円 | コーキングをひび割れの奥まで届かせるため、表面をならすのに使います |
外壁の目地の補修手順
続いて、窯業系サイディングの外壁でよく発生する目地の痩せや剥がれの補修方法を解説します。
前項と同様にコーキング材を使います。
①外壁コーキング材を目地から剥がす
カッターで、目地にある古いコーキングに切り込みを入れて剥がします。
外壁にこびりついているコーキングは、ワイヤーブラシを使い残らず取り除きましょう。
②目地の周囲にマスキングテープを貼る
続いて、目地の周囲のコーキング材が付着しないよう、先にマスキングをします。
③目地の溝にプライマーを塗る
コーキングの密着性を高めるために、プライマー(下塗り材)を塗ります。
プライマーは使用するコーキング材に合った専用のものを使いましょう。
④コーキングを充填する
プライマーが乾いたら、コーキングガンを使って目地にコーキング材を充填します。
⑤ヘラで表面をならす
コーキング材の上からヘラでなぞって、表面を均等にします。
盛り上がってしまったところは平行になるようにしましょう。
⑥完全に乾く前にマスキングテープを剥がす
コーキング材が固まってしまう前に、すぐにマスキングテープを取りましょう。
その後、商品に記載してある乾燥時間を確認し、放置します。
目地の補修に必要な道具
手順に登場する道具と価格は以下の6つです。
すべて買い揃えた場合は約3,100~5,400円ほどの費用がかかります。
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道具 | 価格 | 用途 |
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コーキング材 | 660~1,200円 | びひ割れに充填する液剤。「変成シリコーン用」と書かれたものがオススメです |
プライマー | 1,050円~ | 「変成シリコーン」に対応したものを選びましょう |
マスキングテープ | 110円~ | 部分補修用なら、100円均一のテープで量も充分です |
コーキングガン | 600~1,200円 | コーキング材を容器から押し出すために必要です。 |
>ワイヤーブラシ | 500~1,000円 | ひび割れ周辺の汚れを落とし、コーキングの接着をよくくします |
>ヘラ | 200~900円 | コーキングをひび割れの奥まで届かせるため、表面をならすのに使います |
まとめ:外壁は10年周期で補修しよう
外壁材や塗料の種類に関係なく、外壁のメンテナンス周期は10年とされています。
外壁は常に紫外線・雨・風、立地条件によっては潮風や雪などにさらされているので、経年劣化は免れません。
そのため、傷んでいるように見えなくても、定期的に補修をする必要があります。
「見た目に変化がないから大丈夫だろう」と軽視してメンテナンスを怠ると、外壁材や塗料の耐用年数が短くなり、最悪の場合には住宅が丸ごと倒壊する恐れがあります。
今のご自宅に少しでも長く住めるよう、10年に一度は業者に依頼して点検してもらいましょう。
修理業者に心当たりがない場合は…
もし見積もりの依頼先に心当たりがない場合は、当社ヌリカエの無料相談を活用いただければ幸いです。
あなたの場合の適正金額を診断したうえで、地域の優良業者をご紹介できます。
以上、本記事を最後までお読みいただきありがとうございました。