こちらの記事では、外壁塗装を考え出したはいいけれど、まず何からすればいいか迷っている方に向けて、
・外壁塗装の費用相場や内訳
・外壁塗装の見積もり書の例
・安く外壁塗装をするためのポイント
をご紹介します。
また要注意の悪徳業者の手口や、信頼できる業者の選び方についてもご説明しています。
監修者:外装劣化診断士 小林 成光
600件以上の現地調査を実施する過程で得た専門性を生かし、日本発のネット見積もりシステムでビジネスモデル特許を取得。ヌリカエにて、外装工事の専門家として、顧客・加盟企業のサポート・コラムの監修に従事。
▼略歴・プロフィール |
外壁塗装の費用相場
外壁塗装の費用相場は、ご自宅の大きさによって異なっています。延べ坪・延べ床面積別の外壁塗装の相場は、以下の表のとおりです。
延べ坪数 | 延べ床面積 | 費用相場 |
---|---|---|
20坪 | 66(㎡) | 80万円~100万円 |
30坪 | 99(㎡) | 90万円~110万円 |
40坪 | 132(㎡) | 100万円~120万円 |
50坪 | 165(㎡) | 110万円~130万円 |
60坪 | 198(㎡) | 120万円~140万円 |
外壁のみ実施した場合で、足場代や高圧洗浄代、雨樋やバルコニーといった付帯部塗装まで含んだ総額の費用となります。
塗料を塗る外壁の面積が大きくなるほど、費用は高くなる傾向があるため、延べ坪数別の費用を参照ください。
また、費用に開きがあるのは、選んだ塗料の性能によって価格に違いがあるためです。
外壁塗装の費用例
一般的な大きさである、延べ30坪・40坪の住宅で外壁塗装をした際の費用例は以下の表のとおりです。
金額 | 築年数 | 延べ坪 | 延べ床面積 | 階建 | 外壁材 |
---|---|---|---|---|---|
104万円 | 築10年 | 30坪 | 99(㎡) | 2階建て | サイディング |
110万円 | 築26年 | 30坪 | 99(㎡) | 2階建て | モルタル |
115万円 | 築25年 | 40坪 | 132(㎡) | 2階建て | サイディング |
120万円 | 築30年 | 40坪 | 132(㎡) | 2階建て | モルタル |
特別に高級な塗料を用いなければ、こちらで紹介した費用相場に収まるケースが多いです。
また、外壁材は築10年~20年の住宅は「サイディング」という継ぎ目のある外壁が多いですが、築30年~40年は「モルタル」という白い漆喰のような外壁が多くなっています。
外壁材によって必要な工事や、向いている塗料が変わることがありますので、ご自宅の外壁に近い例を参考にしてください。
モルタル | サイディング |
---|---|
外壁塗装の費用の内訳
外壁塗装する際の費用内容や割合、また内訳の具体的な単価相場について紹介します。
費用の構成内容や割合
費用の内訳の目安は、塗装代が40%、足場代が20%、塗装以外の作業代が25%、諸経費・消費税が15%となっています。
塗装代は外壁に用いる塗料の費用、足場代は高所作業の足掛かり設置費用を表します。塗装以外の作業は養生や洗浄の作業費用を指し、運搬費や交通費は、諸経費に入ります。塗料代の単価相場
外壁塗装に用いる塗料代の単価相場は、以下の表のとおりです。
耐久性の高い塗料ほど、高価になる傾向があります。
【外壁塗装に用いる塗料の単価相場】
塗料の種類 | 耐用年数 | 単価相場 | 30坪の場合の費用目安 |
---|---|---|---|
アクリル塗料 | 5年~7年 | 1,200円/㎡~1,800円/㎡ | 14万円~21万円 |
ウレタン塗料 | 8年~10年 | 1,500円/㎡~2,500円/㎡ | 18万円~30万円 |
シリコン塗料 | 10年~15年 | 2,000円/㎡~3,500円/㎡ | 24万円~42万円 |
ラジカル塗料 | 12年~16年 | 2,500円/㎡~4,000円/㎡ | 30万円~48万円 |
フッ素塗料 | 15年~20年 | 3,000円/㎡~5,000円/㎡ | 36万円~59万円 |
無機塗料 | 25年~30年 | 5,000円/㎡~5,500円/㎡ | 59万円~65万円 |
新築の建売住宅の多くはサイディングという外壁材が用いられており、既にアクリル塗料で塗装されていることが多いです。
そのため、築10年~築15年で外壁塗装が必要になります。
価格帯が真ん中のラジカル塗料やシリコン塗料が、コストパフォーマンスに優れるため人気の塗料となっています。
最も安価なアクリル塗料は屋外の耐久性に不安があり、使われることが少ないです。
また、次点で安価なウレタン塗料は、安価なのは魅力ですが、通常は外壁よりも付帯部(雨樋・雨戸など外壁以外の部分)への塗装に用いるケースが多いです。
最も高価な無機塗料は耐用年数の長さが魅力ですが、費用がかさむのでご予算と相談ください。
外壁塗装の塗料について、もっと知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
>>>【2023年】外壁塗装の塗料12種類の特徴・価格は?選び方も紹介
工事工程の単価相場
足場設置や養生などの工事工程の単価相場は、以下の表のとおりです。
【外壁塗装の工事工程の単価相場】
塗料の種類 | 単価相場 | 30坪の場合の費用目安 |
---|---|---|
足場代 | 700円/㎡~1,000円/㎡ | 8万円~12万円 |
高圧洗浄 | 700円/㎡~1,000円/㎡ | 8万円~12万円 |
シーリング補修 ※サイディング外壁の場合のみ |
500円/㎡~1,200円/m | 6万円~14万円 |
養生 | 100円/㎡~180円/㎡ | 1万円~2万円 |
付帯部塗装 | 500円/㎡~1,500円/㎡ | 6万円~18万円 |
諸経費 | 費用の10%~15% | 10万円~20万円 |
また「シーリング補修」は、以下のように塗装する前に外壁の継ぎ目を埋めて補修する工程になります。
「養生」は塗料が周囲に飛散しないようにビニールで覆う作業になります。「付帯部」は雨樋や雨戸など、外壁や屋根以外の部分の塗装です。足場代は2024年からの足場法改正により、より安全で現状な足場が必要になるため、費用が値上がりする可能性があります。
もし塗装をお考えの方は、費用が値上がりする前に見積もりを取得することをおすすめします。
外壁塗装の工程について、もっと知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
>>>外壁塗装の全工程を解説!くわしい写真とスケジュールも公開
外壁塗装の見積もり書の例
外壁塗装の見積もり書の例として、一般的な戸建ての30坪住宅での例をご紹介します。
主流の外壁材である「サイディング」の場合に、最も一般的な「シリコン塗料」を用いた例です。
サイディング外壁×30坪×シリコン塗料の見積もり書の例
費目 | 単価 | 数量 | 金額 | 備考 |
---|---|---|---|---|
足場代 | 700 | 214(㎡) | 149,800 | |
シート養生 | 200 | 214(㎡) | 42,800 | |
高圧洗浄 | 200 | 132(㎡) | 26,400 | |
下地調整 | 300 | 132(㎡) | 39,600 | |
外壁塗装(下塗り) | 600 | 132(㎡) | 79,200 | プレミアムフィラー |
外壁塗装(中塗り・上塗り) | 2,500 | 132(㎡) | 330,000 | プレミアムシリコン |
破風板・鼻隠し | 860 | 44.5(m) | 38,270 | |
軒天塗装 | 1,750 | 23.3(㎡) | 40,775 | |
雨戸塗装 | 8,000 | 9ヶ所 | 72,000 | |
雨樋 | 600 | 50.7(m) | 30,420 | |
コーキング打ち替え | 730 | 33(m) | 24,090 | |
諸経費 | 5% | – | 43,668 | |
消費税 | – | 10% | 91,702 | |
税込合計 | – | – | 1,008,725円 |
データ:書籍『積算資料ポケット版 リフォーム編2024』と塗料メーカー価格参考に、ヌリカエ編集部で作成
外壁塗装の見積もり書のチェックポイント
外壁塗装の見積もり書をもらった後は、合計金額以外にどこを見たらよいのかわからないですよね。
以下は特に重要なポイントになるので、確認してみてください。
①具体的な塗料製品名が書かれているか
②「一式」の表記が多用されていないか
重要度 ★★☆
③塗装面積がかさ増しされていないか
④工程が省略されていないか
重要度 ★☆☆
⑤合計費用が適正価格からかけはなれていないか
特に確認してもらいたいポイントは「一式」という表記されていないかです。
まともな業者ならご自宅の外壁を調査して、本章の例でご紹介したような項目を詳細に見積もり書を作成します。
内訳が細かい見積もり書ではなく、「一式」という大まかな表記は、通常数えられない部位に用いる表記です。
もし多用されている場合は、悪徳業者か技術力に不安のある業者の可能性が高くなります。
外壁塗装の見積もり書のチェックポイントを、もっと詳細に確認したい方はこちらの記事もご覧ください。
外壁塗装の費用が相場より高くなるケース
「外壁塗装の費用相場」でご紹介した費用よりも、高くなるケースは、主に2つあります。
主に2つあり、ハウスメーカーに依頼した場合と悪徳業者が費用を上乗せしている場合です。
ハウスメーカーに依頼している
ハウスメーカーに外壁塗装を依頼すると、費用が地元の塗装店に比べて高くなることが一般的です。
- 大手ならではの広告宣伝費
- 一次請け、二次請け、と中間業者が多いことでのマージン料
- メーカー独自の建材や塗料
以上の理由により、ハウスメーカーに依頼した場合の外壁塗装は費用が高くなりがちですが、施工品質や仕上がりには問題ないことが一般的です。
大手メーカーならではの信頼性や品質保証は、追加費用に見合う価値があるため、予算に応じてハウスメーカーに依頼する選択肢もあります。
悪徳業者が費用を上乗せしている
悪徳業者の場合、あえて費用を上乗せして提示し、大幅に値引きをして契約を迫ることがあります。
また、訪問販売でオリジナル塗料を勧められて、費用が相場より高い場合は注意してください。
オリジナル塗料は一般的な塗料メーカー製品ではなく、しばしば塗装業者が外部のメーカーに製造を委託したものです。最悪の場合、既存の塗料に単に新しいラベルを貼り替えた製品である可能性もあります。
これらのオリジナル塗料は、従来の製品より性能が優れているとされることがありますが、実際はそのようなケースは少ないです。
「国民生活センター」という消費者問題の専門機関には、訪問販売のオリジナル塗料に関する紛争の報告があります。事例では、施工後の品質問題や保証の不備などが指摘されています。
参考: 国民生活センターADRの実施状況と結果概要について(平成 29 年度第 3 回)
外壁塗装の費用を安く抑える方法
「外壁塗装の費用相場」でご紹介したような一般的な相場金額よりも、外壁塗装の費用を抑えるには以下の方法があります。
- ハウスメーカーではなく地元業者に依頼する
- 市町村のリフォーム助成金を申請する
- 塗料のグレードを下げる
いちばん簡単に大きく金額を抑える方法としては、ハウスメーカーではなく地元業者に依頼するすることです。
他の安くする方法としては、外壁塗装に使う塗料のグレードを落として安価な塗料に変更する方法や、お住まいの地域に出ているリフォーム関連の助成金・補助金を使う方法もあります。
「火災保険」は経年劣化では支払い対象外
火災保険は住宅購入した方であれば、ほとんどの方が加入している保険ですが、自然災害が要因の場合に適用される保険です。火災保険は広告やウェブサイト、また悪徳業者から安くする手段として謳うケースがありますが、外壁塗装を安くする方法としては一般的ではありませんのでご注意ください。
外壁塗装を安くする方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
>>>外壁塗装の費用を安くする方法11選を解説!
外壁塗装費用の支払いの方法
外壁塗装はまとまった金額を捻出するので、支払いのタイミングが気になりますよね。一般的には「施工前後で半分ずつ」「施工後に一括」の場合が多いです。
「施工前に一括」の場合、業者に持ち逃げされてしまうリスクがあるので要注意です。
また支払い手段で確実なのは現金ですが、クレジットカード・リフォームローンも使える場合があります。しかし業者側に手数料がかかる関係で、クレジットカード・リフォームローンに対応しているかは業者により異なりますので、事前に業者の公式サイトで確認しておくと安心です。
外壁塗装の支払い方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
>>>外壁塗装費用の支払いタイミング・支払い方法とは?必ず知っておきたい注意点を解説
外壁塗装の完了までの流れ・スケジュール
外壁塗装の完了までの流れ・スケジュールは、以下の表のとおりです。
外壁塗装を考え出してから工事完了までには、目安として3ヶ月~6か月がかかります。
STEP | 所要期間(目安) | 誰が | 対応事項 |
---|---|---|---|
1 | 1ヶ月~2ヶ月 | 施主(工事発注者) | 情報収集、予算決め |
2 | 1ヶ月~2ヶ月 | 施主(工事発注者) | 塗装業者選び、業者に見積もり依頼 |
3 | 1日(数時間) | 塗装業者 | 見積もり作成のため、現地調査 |
4 | 1週間 | 塗装業者 | 見積もり書の作成 |
5 | 1日 | 施主(工事発注者) | 工事契約 |
6 | 2週間 | 塗装業者 | 工事着工~工事完了 |
施工時期の希望がある場合は、6か月以上前から準備を進めておくと、希望の時期に施工できる可能性が高くなります。
外壁塗装の具体的な工事工程について知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
>>>外壁塗装の全工程を解説!くわしい写真とスケジュールも公開
訪問販売の悪徳業者に注意
外壁塗装を含む、住宅リフォームは、訪問販売の悪質業者の被害が年々増えています。
「国民生活センター」という消費者問題の専門機関にも、年間 約1万件の相談が寄せられています。
【訪問販売によるリフォーム工事での相談件数】
年度 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 |
---|---|---|---|---|
相談件数 | 8,786 | 9,753 | 10,076 | 1,238(前年同期 991) |
※相談件数は2023年5月31日現在
※データ引用:訪問販売によるリフォーム工事・点検商法(国民生活センター)
悪徳業者は以下のような手口をとってくるのでご注意してください。
- アポなしに突然訪問してくる
- 即日の契約を迫ってくる
- 大幅値引きでお得感を煽ってくる
- 費用の前払いを提案してくる
- オリジナル塗料を進めてくる
もし既に悪徳業者と接触して不安な方は、消費者ホットラインや国民生活センターなど専門機関への早めにご相談ください。
機関名 | 電話番号 | 備考 |
---|---|---|
消費者ホットライン | 188(いやや!) | お住まい地域のクーリングオフ相談窓口を紹介 |
国民生活センター | 03-3446-1623(タップで電話がかかります) | 消費者ホットラインが繋がらない際の相談先(平日バックアップ相談、平日の10時~12時/13時~16時) |
訪問販売の悪徳業者の手口を詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
>>>悪徳業者の手口10選!外壁塗装で後悔しないために対処法も紹介
信頼できる業者の選び方
外壁塗装をしっかりと仕上げてくれるような、信頼できる業者は以下の特徴があります。全部当てはまっているか確認してみてください。
- 現状の診断結果を写真で説明してくれる
- 工事内容を明確に提案してくれる
- 見積もりが「一式」になっていない
- 施工後の保証がある
- 定期無料点検やメンテナンスをしてくれる
出典:『外壁アドバイザー検定試験テキストブック』 巻末 外壁Q&A 「5 一般消費者が保守や補修をするときに気をつけるポイント。悪質業者にだまされない方法」(一般社団法人 全国住宅外壁診断士協会)
信頼できる業者の選び方について、もっと知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
まとめ:外壁塗装なら相見積もりが必須
外壁塗装の費用相場は、坪数によって異なります。20坪の場合は「80万円~100万円」、30坪の場合は「90万円~110万円」、40坪の場合は「100万円~120万円」、50坪の場合は「110万円~130万円」、60坪の場合は「120万円~140万円」が目安です。
外壁塗装をおトクにするのであれば、相見積もりが必須になります。
見積もりは多すぎて業者を最後に選ぶのが大変になるので、3~4社ほどの比較検討がおススメです。
まずご自宅の相場感を知りたい方は、以下の「私の家はいくら?」というボタンを押し、アンケートにご回答ください。その後、お電話にてご連絡させていただきます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。