浴室の新築・リフォームでは、浴槽の形や素材で悩む方も少なくありません。家族構成や浴室に求める機能によって、ご自身に合う浴槽は変わってきます。
そのため浴槽の種類や、それぞれの特徴、メリット・デメリットを知ることで、理想の浴室の実現につながるでしょう。
本記事では、浴槽の種類と選び方について、7種類の形状・6種類の素材・3種類の設置方法ごとに詳しく解説します。
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浴槽の種類【形状】
浴槽の形状には、一般的な長方形のタイプ以外にもさまざまな種類が存在します。
省スペースでも設置できるコーナー浴槽や、小さなお子さんや高齢の方でも入りやすいアーチ型のほか、ここでは主な7種類をご紹介します。
それぞれの特徴とメリット・デメリットについて解説します。
①ストレート浴槽
]浴槽の形状として最も普及しているのが、ストレート浴槽です。
深さがある長方形の浴槽で、たっぷりのお湯を張ってリラックスしたい方にも向いています。
シャープで直線的な印象から、スタイリッシュな浴室にも適しています。
シンプルで癖のないデザインのため、どのような浴室にも合うので、浴槽の形に特にこだわりのない方にも良いでしょう。
②ワイド浴槽
ワイド浴槽は、広々とした浴槽で、親子で一緒に入っても窮屈さを感じにくいサイズです。
浴槽内に段差を設けているタイプも多いため、見た目よりも容積が小さく節水効果もあります。
家族で一緒に入浴したい方のほか、半身浴にも適しているため美容効果や長湯を楽しみたい方にも向いています。
ただし浴槽のサイズによっては、浴室を圧迫して洗い場が狭くなる可能性もあるため注意が必要です。
③コーナー浴槽
コーナー浴槽は、浴室の角に設置するタイプで扇型をした浴槽です。
省スペースで設置できる点が特徴で、狭い浴室や、洗い場を広く取りたい場合に適しています。浴室を広く見せる効果もあるため窮屈な印象はあまりありませんが、サイズによっては手足を伸ばしてリラックスすることができず、後悔する可能性もあります。
④ななめ浴槽
ななめ浴槽は、細長い三角形のような形状で、ストレート浴槽の片側をななめにカットしたデザインになっています。
手前側と奥側で幅が異なるため、狭い浴室でも洗い場を広く確保できる点が魅力です。
幅が広い方を背中側に入浴すれば、窮屈さも感じにくいでしょう。
シャワーだけで済ませることが多いなど、浴槽よりも洗い場の広さを重視したい方におすすめです。
⑤たまご浴槽
たまご型浴槽は、卵の形のように全体が丸みを帯びたタイプで、角張った部分がなく、真ん中がふくらんだ形状となっているのが特徴です。
浴槽の形状に合わせてお湯に浸かることで、伸び伸びとリラックスしながら入浴することができます。
大手ホテルチェーンのユニットバスでも採用されており、近年人気が高まりつつある形です。
特徴的なデザインのため、おしゃれな浴室を実現したい方にも向いています。
⑥アーチ型浴槽
アーチ型浴槽は、浴槽の縁の部分が薄く設計されており、手で掴みやすくなっているのが特徴です。
小さなお子さんや高齢の方も、浴槽につかまって安心して出入りできます。
緩やかな曲線を描く形状のため、柔らかく温かみのあるデザインでもあります。
将来の家族構成の変化や、さまざまなライフスタイルに対応できる浴槽を採用したい方におすすめです。
⑦エスライン浴槽
Sライン浴槽は、浴槽の内側にS字型の段差を設けた浴槽です。
段差部分をベンチとして使えるため、腰を掛けたり足を乗せたりして、自由な入浴スタイルを実現できます。
半身浴にも適しているので、美容効果やリラックス効果を重視する方にも向いています。段差の部分によって浴槽の容積が小さくなるため、節水効果も得られます。
浴槽の種類【素材】
一般的な浴槽の素材には、安価なFRP素材やステンレス素材が使われています。
ただ、浴槽のグレードによってはホーロー素材や木材などが使われ、機能性やデザイン性を高めた製品も販売されています。
代表的な浴槽の素材については、以下の6種類です。
それぞれ紹介します。
①FRP浴槽
FRP浴槽は、強化繊維プラスチックと呼ばれる素材を使用した、安価で最も普及している浴槽です。
軽量で耐久性に優れているほか、着色が容易なためカラーバリエーションも豊富です。
傷や黒ずみが発生した場合にも、「FRPライニング」と呼ばれる工法で修理することによって、新品と同様の見た目を取り戻すことができます。
そのため浴槽を長く使い続けられるメリットもあります。
ただし、傷や汚れが付きやすく目立ちやすいこと、他の素材に比べると質感が劣ることなどがデメリットです。
なお、FRP浴槽の本体価格は、5万円〜35万円程度となっています。
②ステンレス浴槽
ステンレス浴槽は、タイル張りの在来浴室で普及していた、耐久性や保温性に優れた浴槽です。
根強い人気があり、錆びや傷、汚れに強く、掃除がしやすい点も魅力です。
本体価格が安価な点もメリットですが、シルバーの金属の見た目により、冷たい印象を受ける可能性があります。
メーカーによっては着色を施したカラーステンレス浴槽も販売していますが、カラーステンレスの場合は、塗装が剥がれやすい点もデメリットです。
本体価格は、2万円〜30万円程度が相場となっています。
③人工大理石浴槽
「人大」とも略される素材の浴槽には、人工大理石と人造大理石の2種類があります。
いずれも天然の大理石のような風合いを持つことが特徴です。
ただし人工大理石はポリエステルまたはアクリルなどの樹脂が主原料であり、人造大理石は天然の大理石を粉砕して固めたものを指します。
天然の大理石を含むかどうかが両者の大きな違いとなっています。
人工大理石浴槽は、樹脂素材を使用しているため加工が容易で、安価かつ色やデザインのバリエーションも豊富です。
大理石のような美しさとなめらかさを備え、汚れに強く掃除がしやすいメリットもあります。
ただし経年劣化による変色や黄ばみを起こしやすく、耐用年数を迎えると見た目の美しさが失われる可能性が高くなります。
人工大理石浴槽の本体価格は、ポリエステル製で10万円〜40万円、アクリル製で30万円〜120万円が相場です。
④人造大理石浴槽
天然の大理石をふんだんに含む人造大理石浴槽は、人工大理石浴槽よりも質感に優れており、デザイン性や高級感を求める方に向いています。
メリット・デメリットは人工大理石浴槽と同様ですが、本体価格はやや高額になります。メーカーによって「人大」の浴槽の素材は異なるため、人工大理石と人造大理石のどちらを採用しているのかを確認しておくと良いでしょう。
人造大理石浴槽の本体価格は、80万円程度が相場です。
⑤ホーロー浴槽
ホーローは、鉄の表面をガラス質でコーティングした素材です。
食器や調理器具でも使用されるホーロー素材は、見た目の美しさと高い耐久性・保温性、カビや錆びが発生しにくいメリットがあります。
ただしホーロー浴槽は本体価格が高額なことや、他の素材に比べて非常に重量があるため、戸建ての2階には設置できない場合があることなどがデメリットです。
また、表面のガラス質が破損すると、内部の金属が錆びる可能性もあります。
なお、ホーロー浴槽の本体価格は、20万円〜140万円程度です。
⑥木製浴槽
木製浴槽は、木材の温かみや香りを楽しめる浴槽です。
使用される木材には、檜(ひのき)、槙(まき)、ヒバなどの種類があります。
天然素材を使った木製浴槽は、他の素材にはないデザインとリラックス効果を得られます。一方、こまめな掃除が必要で、使用後は浴槽を乾燥させる必要があるなど、手入れに手間がかかる点がデメリットです。
なお、近年では汚れにくく腐食しにくい加工が施された浴槽も増えているため、デメリットが気にならない製品も選べるようになっています。
木製浴槽の本体価格は、檜風呂で30万円〜120万円程度が相場です。
浴槽の種類【設置方法】
最後に、3種類の浴槽の設置方法について解説します。
設置方法によって浴槽の縁の高さが変わるため、小さなお子さんや高齢の方にとっての入りやすさが異なります。
上記の3種類の設置方法について、それぞれ特徴を詳しく紹介します。
①半埋め込み式
近年の浴室で最も一般的なのが、半埋め込み式です。
浴槽の1/3程度を床に埋め込んで設置するため、据え置き式に比べると浴槽の縁の高さが低く、浴槽に出入りしやすいことが特徴です。
洗い場との段差もあるため、段差のない埋め込み式と違って、洗い場の石けんや泡が浴槽に入りにくいメリットもあります。
②据え置き式
据え置き式は、浴槽を床にそのまま設置する方法です。
個性的な浴室空間を実現しやすく、浴槽の交換が容易な点がメリットです。ただし浴槽の縁が高く、背の低い方や小さな子どもにとっては入浴に負担がかかる可能性があります。
③埋め込み式
埋め込み式は、洗い場とフラットになるように浴槽を床に埋め込む設置方法です。
浴槽全体が床と同じ高さになるため、浴室を広々と感じられるメリットがあります。
ただし洗い場の石けんや泡が浴槽に入りやすくなるほか、小さなお子さんや高齢の方は縁につまづいたり、滑ってケガをしたりしないよう配慮する必要があります。
浴槽の種類のまとめ
浴槽の種類には、7種類の形状と6種類の素材、3種類の設置方法があります。
それぞれの種類によって特徴やメリット・デメリットが異なるため、浴槽に求める条件や機能性によって選ぶことが大切です。
ご自身の住まいにはどの浴槽が適しているのか、迷った場合には、リフォーム会社と相談しながらメーカーや製品を選んでも良いでしょう。
その際には、全国2,000社以上のリフォーム会社と提携する一括見積もりサイト「ヌリカエ 」もご活用ください。相見積もりを取ってリフォーム費用を比較できるほか、評価・レビューを参考にしてリフォーム会社を選ぶこともできるため、ご自身に合ったリフォーム会社やプランを見つけられますよ。