上塗りとは、どんなものか・どんな役割を果たしているかご存じですか?
上塗りは、塗装の仕上げ工程で行われ、大切な役割があります。
上塗りを行わないと、ムラや気泡が目立ってしまったり、ちょっとした雨風で外壁が汚れやすくなってしまいます。
本記事では、上塗りの重要性に加えて、上塗り工程で手抜きをする業者の被害に合わないための知識もあわせて解説いたします。
「外壁塗装の工程と所要期間」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
「外壁塗装にかかる期間はどれくらい?画像付きで工事ステップごとに期間を解説!」
上塗りとは?
上塗りとは塗装の仕上げで行う工程のこと
上塗り(うわぬり)とは、塗装における仕上げ工程で、外壁塗装の最終段階に行う作業を指します。
塗料は、中塗りと同じものを使用することが一般的です。
ムラ・気泡を覆い隠す、雨風や汚れから外壁を守るなどの役割を果たしています。
上塗りの重要性
上塗りの重要性として、次のような点が挙げられます。
- 人目に触れる層なので、外壁の美しさ・仕上がりを決定づける
- 塗料の性能を最大限発揮でき、住宅の寿命を延ばすことが可能
- メンテナンスの手間・コスト削減といった、経済的メリットも期待できる
塗装は3工程にわかれている
外壁塗装は、一般的に「下塗り」「中塗り」「上塗り」の3工程にわかれています。
建物におこなう塗装では、3回塗りは最低限必要な作業です。
外壁用の塗料の多くも、3回塗りをしてはじめて、十分な性能を発揮できると言えるでしょう。
ただしクリア塗装は例外
例外として、サイディングにおこなわれる「クリア塗装」は、2回塗りで施工されることもあります。
クリア塗装の場合、透明な塗料を2回塗で十分なため、通常の塗装の下塗りにあたる工程が不要とされています。
「クリア塗装」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
「クリア塗装を外壁にするメリットとデメリット。本当に効果はある?」
上塗りの役割について
工程 | 主な目的 | 使用する塗料 |
---|---|---|
①下塗り | 外壁と上塗材の密着度を高める | 下塗り材(プライマー、シーラー、フィラー) |
②中塗り | 塗膜の耐久性を高める | 上塗り材 |
③上塗り | 塗膜の仕上がりを美しくする、耐久性をさらに高める |
では上塗りはどのような役割をになっているのでしょうか?
上の表で下塗りと中塗りの役割について簡単に説明したので、こちらを読んだうえで進めていただければと思います。
見た目を美しく仕上げ、耐久性を高める
上塗りの役割は、「見た目を美しく仕上げること」と「耐久性をさらに高めること」です。
通常上塗りは一度のみおこないますが、塗料によっては上塗りが数回必要な場合もあります。
上塗りの適切回数は「標準塗装仕様」で確認
塗料の適切な上塗り回数は、塗料メーカーの公式サイトにあるカタログや仕様にある「標準塗装仕様」という項目で確認できます。
画像は、日本ペイント「パーフェクトトップ」のカタログの抜粋です。
「標準塗装仕様」の項目をみると、下塗り1回、上塗り2回(=中塗りと上塗り)が適正と定められていることが分かります。
上塗りをしないと、塗装の寿命が短くなる
上塗りが正しく施工されなかったり、省略されてしまったりすると、塗料の厚みが不足し、本来期待できる耐用年数よりも早く塗膜が劣化する可能性が高くなります。
その結果、あまり年月の立たないうちから、外壁が傷みだし、家全体の寿命も縮めることになってしまうでしょう。
上塗りは外壁塗装では非常に重要な工程を担っています。
上塗りを適切に行う業者の見分け方
実は、業者がおこなう説明や、提示したスケジュールを確認すれば、上塗りがしっかりされているかを判断することができます。
ここでは、業者からのよくある説明を例に「信頼できるかどうか」見抜くための知識をご紹介しましょう。
「上塗りにかかる時間は1日です」という説明は『信頼できる』
上塗りにかかる時間は、塗装面積、外壁の状態、使用する塗料の種類、天候に左右されます。
よほど大きな家である場合を除き、戸建ての外壁塗装の場合上塗りが1日で完了するケースがほとんどとなります。
重要なのは、次のような説明かスケジュール提示が行われたかどうかです。
「上塗りは、中塗りと同じ日にできます」は『ウソ』
上塗り・中塗り・下塗りと進める際に、各塗料が乾燥していることを確認してからでないと適切に行えていません。
仮に塗料が乾燥していない状態で重ね塗りをしてしまうと、密着性が弱まり本来の耐久性を発揮することができません。
上塗りや下塗り材の乾燥には3~8時間以上必要で、作業時間を考えると次の工程は翌日以降でなくては辻褄があいません。
万一このような説明が業者の口から出た場合は、その業者への発注を取り止め、すぐに別の業者を探すことをオススメします。
「上塗りと中塗りは同じ色でやります」は『直ちに悪い業者とは言えない』
一部では「上塗りと中塗りを同じ色で塗ろうとする業者は悪徳業者」という知識がさかんに言われています。
理由は、「上塗りと中塗りで色を変えると、工程を飛ばすごまかしができなくなる」「優良業者は自ら別の色での塗装を提案する」というものです。
しかし、色を変えること・変えないことのどちらにもメリット・デメリット両面があり、一概に「上塗りと中塗りは色を変えたほうがいい」とは言えません。
むしろ、「塗装にごまかしがなければ、むしろ色は同じほうがよい」というのが当記事の見解です。
詳しくは、本記事の「上塗りと中塗りは色を変えたほうがいい?」で解説します。
「上塗材と下塗り材は違うメーカーでも問題なし」は、『メーカー仕様を確認』
上塗材によっては、下塗り材の指定がない製品もあります。
そのため、業者からこのような説明をされたとしても、それだけで業者の信頼性を疑う必要はありません。
ただし、多くの場合は同メーカーの下塗り材を指定しているのも事実です。
念の為、塗料名で検索してカタログ等を確認するほうがよいでしょう。
記事のおさらい
最後に、本記事の要点を振り返ってみましょう。
外壁塗装の「上塗り」とは?
通常3工程ある塗装作業のうち、最後の1回分の塗装作業のことです。外壁の美観や耐久性を決める重要な工程となります。
詳しく知りたい方は上塗りとは?をご覧ください。
上塗り・中塗り・下塗りの違いは?
施工順に説明します。下塗りで塗料の密着性を高め、中塗りで塗膜の厚みを確保して耐久性を上げ、上塗りで表面の見栄えと防水性を高めます。
詳しくは上塗りの役割ついてをご覧ください。
下塗りから上塗りまで一日で終わる?
作業時間と乾燥時間を考えると、考えにくい状況です。そのような予定の説明があった場合、手抜き工事をされるおそれがあります。
詳しくは「上塗りは、中塗りと同じ日にできます」は『ウソ』をご覧下さい。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。