外壁塗装における養生とは、簡単に言うと塗装しなくてよい部分に塗料が付着しないようにする保護作業のことです。
基本的にはビニールやマスカーと呼ばれる特殊なテープなどを使用し、保護すべき部分をカバーします。
本記事では外壁塗装における「養生」とはどんなものなのか、妥当な費用や養生の際の注意点などを詳しく解説していきます。
監修者:外壁劣化診断士 小林 成光
600件以上の現地調査を実施する過程で得た専門性を生かし、日本発のネット見積もりシステムでビジネスモデル特許を取得。ヌリカエにて、外装工事の専門家として、顧客・加盟企業のサポート・コラムの監修に従事。
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外壁塗装の養生とは
養生とは簡潔にいうと、外壁塗装時における塗料の飛散防止のための保護作業のことです。
塗装リフォーム現場で広く取り入れられている作業工程のひとつで、外壁の塗装工事を行う前に、基礎として塗料が付着してはならない場所をビニールやマスカーと呼ばれる特殊なテープなどを使用して保護する作業のことを言います。
養生という工程の出来はリフォーム全体の完成度を左右すると言っても過言ではありません。
というのも基本的に塗装工事とは外壁だけでなく軒天(のきてん)と呼ばれる天井の部分や屋根なども塗装していくため、上から下に塗料が飛散したり、風が強い日などは塗料が舞ってしまうことがあるためです。
養生は作業終了時には全て撤去するのが原則なので後に残ることはありませんが、塗装工事での養生の良し悪しは塗装の出来映えばかりでなく近隣とのトラブル防止にも大きな影響を与えるため、決して軽視することを覚えておきましょう。
外壁塗装の養生の費用
外壁塗装における養生の費用は大きく分けて以下の2つで構成されています。
・塗装工事用の足場に掛ける飛散防止ネット:1㎡あたり100円~180円
これらから養生費の費用総額を一般的な住宅の面積である30坪(約100㎡)で試算すると、およそ30000円~60000円となります。
養生が必要な面積が多ければ多いほど、費用は高くなる傾向にあることを理解しておきましょう。
また業者によって見積書の表記は異なり、「養生費」という項目があることもあれば「施工費」という項目に含まれている場合も多いため注意が必要です。
外壁塗装の養生における注意点
塗装中は窓枠やサッシなどにも養生をするため、窓やドアを開けることができない場合があります。
住宅の状況によりますが養生は10日前後必要になることも珍しくないため、不便さを感じることがあることを理解しておきましょう。
生活に支障が出るなどでどうしても開閉したい部分がある場合は、前もって業者に相談しておくことが大切です。
ここからは「養生が必要な部分が多くて、予想外に不便だった…」ということが無いように、養生が必要となる場所や期間について解説して行きます。
外壁塗装で養生が必要な場所
養生は基本的に塗料が飛散する可能性のある全ての場所に必要となります。敷地外への影響を防ぐ目的もあるため、ポイントを絞って紹介していきます。
①郵便受け・表札など
図のように郵便受けや表札などにも養生は必要となります。
外壁塗装の範囲によって必要でない場合もありますが、養生が必要な場合は業者に施工中も開閉部分が使えるようにお願いすると良いでしょう。
②玄関回りのドアや窓
前項のドアや窓なども養生の対象に含まれます。
生活に必要不可欠のため基本的にドアの開閉はできるように養生されますが、窓は特に必要が無ければ開閉ができない場合もあります。
冬はさほど問題ではありませんが、夏場は生活するうえで不便を感じることもあるため、繰り返しになりますがどうしても開けたいあれば業者に相談しておきましょう。
③エアコンの室外機など
エアコンの室外機や給湯器などにも養生は必要です。
しかしこちらもドアと同様に生活に必要なため、一般的には問題なく機能が使用できるように養生されます。
期間中エアコンが使えるのか心配な方は、前もって業者に確認してみると良いでしょう。
④車やバイク、自転車
塗装中は車などの乗り物にも養生が必要です。
ただしこれらの養生は一台を丸々養生することができるカバーが利用され、外出の際には簡単に取り外しができるため、ずっと使用できないということはありません。
もしもカバーの取り外しが面倒という場合は、一時的に駐車場を契約して場所を移しておくことがおすすめです。
⑤花壇や植物
移動させることができない花壇などには養生が必要となります。
植物などに塗料が飛散すると枯れる可能性が高いため、細心の注意を払ってもらえるようにお願いしておきましょう。
外壁塗装で養生が必要な期間
外壁塗装において養生は10日前後必要となります。というのも、養生は下地補修から足場の解体までといった外壁塗装の大部分で必要になるためです。
下記の工程表のように外壁塗装は一般的に10~14日ほどかかります。
実際にかかる日数は天候や住宅の状況にもよりますが、養生が必要な目安としては10日ほどかかると覚えておきましょう。
外壁塗装の養生で困らないために知っておきたいこと
外壁塗装の養生で困らないために知っておきたいポイントは、以下の2点です。
・エアコンや乾燥機、給湯器は使用できる
それぞれについて、詳しく解説していきます。
開閉したい窓・ドアは伝えておく
繰り返しになりますが、施工の前に業者に養生されたら困る部分を伝えておきましょう。
- 「部屋が薄暗くなってしまうのがどうしてもいやだ」
- 「キッチン定期的に換気したい」
といった要望にも業者はできる限り対応してくれるため、生活に必要な部分はしっかりと伝えておくことをおすすめします。
エアコンや換気扇、給湯器は使用できる
エアコンの室外機や換気扇も養生はされますが、生活に必要なため使用できるように養生してくれることがほとんどです。
夏場や冬場などの気温が極端な季節はエアコンの使用が必須となりますが、基本的には安心して問題ありません。
もしも不安な方はあらかじめエアコンや換気扇を使用したい旨を伝えて、業者とコミュニケーションを取っておきましょう。
まとめ
外壁塗装における養生は、塗装しない部分へ塗料が飛散することを防ぐための保護作業を指します。
近隣へのトラブルを防ぐためにも大切な工程ですが、養生された窓などをしばらく開閉できない場合があるため注意が必要です。
「予想外に養生される範囲が広くて不便だ…」といった状況にならないように、生活に必要な窓などはあらかじめ業者に配慮してもらえるように伝えておきましょう。
養生が必要な期間は外壁の状況や天候などにもよりますが、おおよそ10日前後となることが一般的です。
外壁塗装の養生における正しい知識を身に着けて、安心して施工期間を過ごしましょう。
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