雨の日が続いたり、時間はわずかでも強い雨が降るたびに雨漏りする…。
そんな状態が長く続いてはいませんか?
本記事では、住宅における雨漏りの原因や自分でできる応急処置、修理費用などについて詳しく解説します。
原因のあたりをつける際や、業者に依頼するときの参考となれば幸いです。
- 雨漏りの原因は、経年劣化・外的要因・施工不良の3つ
- 雨漏りが原因でないのは漏水・結露・小動物
- 雨漏りの修理費用は、補償を受けられる可能性がある
なぜ雨漏りが発生するのか
雨漏りが発生する原因としては、主に下記の3つがあります。
- 経年劣化
- 外的要因
- 施工不良
各原因ごとに詳しく解説します。
経年劣化
雨漏りの主な原因として最も多いのは経年劣化です。建物の屋根や外壁に使われる建材は、長い期間にわたって紫外線や風ににさらされることで少しずつ劣化していきます。劣化によって建材に傷や隙間ができ、その隙間から雨水が内部に侵入すると雨漏れが発生するのです。
また、雨漏りは壁や屋根にある外側の建材そのものの劣化に加え、防水シートの劣化によって起こります。防水シートは、建物内部に雨水が入らないように壁・屋根と内部構造の間に敷かれているシートです。
外壁に傷や隙間があっても、防水シートがあれば雨漏りすることはありません。しかし、防水シートに腐食や亀裂などがあると、そこから建物の内部に雨水が侵入してきてしまいます。
外壁や屋根以外でも、窓のサッシにあるパッキンの劣化も雨漏りする原因の一つです。
外的要因
雨漏りは、自然災害などの外的要因によっても起こります。例えば、台風による屋根材の剥がれや、飛んできた物による傷が原因の雨漏りも多いです。飛んでくる物によっては、屋根や外壁に大きな傷ができる可能性が高くなります。その結果、建物内部までの隙間ができ、雨水が侵入してきてしまいます。
ただし、屋根材の状態を確認するために屋根にのぼることは大変危険です。目視による確認は、必ず業者に頼むようにしてください。
また、雨漏りの直接的な原因が台風などの自然災害である場合、火災保険での補修が可能です。詳しくは、本記事の雨漏りの修理費用がかからない場合をご覧ください。
施工不良
新築にもかかわらず雨漏りしてくる場合は、施工不良が原因の可能性もあります。防水シートが正しく使用されていない、窓サッシの継ぎ目に隙間があるなど、このような欠陥が原因で雨漏りするケースが多いようです。
築年数の浅い住宅の場合は、外的要因か施工不良のどちらかが原因であることが多くあります。ただし、雨漏りが台風などによるものか、住宅の欠陥によるものかを判断することは難しいです。そのため、雨漏りの原因を特定するためには、信頼できる業者に調査を頼みましょう。
また、築年数が10年未満の住宅で雨漏りする場合は、保証制度があるので費用を負担する必要はありません。詳しくは、本記事の雨漏りの修理費用がかからない場合をご覧ください。
雨漏りが原因ではないケース
雨漏りのように水が滴ってきても、実際は雨漏りが原因ではなかったというケースもあります。
下記の3ケースは、いずれも雨漏りと似た症状が起きます。
- 漏水によるもの
- 結露によるもの
- 小動物によるもの
各ケースごとに詳しく解説します。
漏水によるもの
漏水とは、水道管や排水管の劣化により水が漏れ出している状態です。雨ではないのに水が垂れたり、水を使っていないのに水道メーターが回っていたら漏水の可能性が高いでしょう。
漏水の場合は洗面所や浴室、キッチンなど水道管が通っている場所やエアコンの配管付近が濡れることが多いようです。作業費用は1箇所につき1~5万円程度が相場となります。
結露によるもの
結露とは、外気と室内の温度差で水滴が生じ、壁や床に染みができてしまっている状態です。どこにも欠陥がないにも関わらず濡れている箇所がある、冬になると雨漏りのようになるという場合は結露が原因かもしれません。
結露を防ぐには、定期的な部屋の換気と室温の設定が重要になります。換気扇を使用する、部屋の設定温度は20°前後にするなどして、結露を防ぎましょう。
小動物によるもの
小動物の糞尿が原因で雨漏りのような症状がでるケースもあります。水が滴るケースは少ないですが、雨漏りと同じようなシミができるため勘違いしやすいです。夜や明け方に天井から音がする場合は、小動物が原因である可能性があるでしょう。
天井からの雨漏りが疑われる場合は、屋根裏を調査します。そのため、小動物が原因であるときは調査の際に分かります。
よくある雨漏りの原因箇所
雨漏りは、建材の劣化が原因であることが大半です。ここでは、雨漏りの原因となりやすい7箇所をご紹介します。
屋根
屋根の棟板金や谷板金、破風板といった折り目や端の部分は、15年前後で浮きや釘のゆるみが起こります。この部分は、雨水の侵入口となりやすい部位です。
また、スレートや瓦などの屋根材に破損・脱落・強風による消失があり、露出した屋根下地から天井裏に水が染み込んでしまうパターンもあります。
ただし、このような屋根の建材に疑いがある場合も、自分で屋根に登ってチェックはせず業者を呼ぶようにしてください。
ベランダ
ベランダは屋根や外壁と同じく常に紫外線や風雨にさらされるため、建物のなかでもひび割れなどの劣化が進みやすい箇所です。また、人の出入りが多いと床面の塗膜も剝がれやすくなります。
塗膜の撥水力・防水力が経年劣化で低下すると、ひび割れ部分などから内部に雨水が侵入するようになります。ベランダと外壁との継ぎ目や、立ち上がり部分なども雨水が侵入する箇所の一つです。
外壁とサッシの間
外壁とサッシの間は雨水が留まりやすいため、雨漏りが起こりやすい箇所となります。
通常、サッシと外壁材の境目には、コーキングという充填剤で埋められています。このコーキングは年月が経つにつれ劣化するため、細かなヒビや裂け目が発生し、雨水の侵入口となるのです。
経年劣化が原因による雨漏りが大半ですが、防水シートの位置がずれているといった施工不良が原因のケースもあります。
天窓
天窓がある場合、窓と屋根の隙間を埋めるパッキンの劣化が原因で雨漏りしている可能性があります。雨漏りは、天窓によくあるトラブルの一つです。
また、天窓にたまったゴミを放置していると、雨水が排出されず劣化のスピードを早めてしまいます。そのため、雨水が溜まらないよう窓付近の定期的な掃除が必要です。
ただし、天窓は結露ができやすい箇所でもあります。結露による水を雨漏りと勘違いするケースもあるでしょう。
給排水管
給排水管は外から家の中に管を引き込んでいるため、隙間が発生しやすい場所です。管と建材との間にわずかでも隙間があると、そこから雨水が侵入します。
また、給排水管そのものの劣化によって水が漏れている、漏水の可能性もあります。排水管自体のサビによる腐食や、管の継ぎ目から水が漏れだ出すケースも多いです。
雨漏りが起こったときの応急処置の方法
雨漏りが起こったら、まずは応急処置を忘れずに行いましょう。
雨水で床や壁が濡れたままの状態で放置すると、カビが生えた床板やクロスの取替をしなければならなくなり、費用がかさみます。
また、適切な対処を行えば数万円以内でおさまるような雨漏りでも、放置して家の構造体までダメージがいくと躯体工事などの100万円以上の工事が必要になる可能性があります。
浸水の防止
漏れている雨水を受け止めて、それ以上床等が濡れないようにする作業です。
以下の3つのものを用意して下さい。
- バケツ
- 雑巾
- ブルーシートまたは新聞紙
作業の流れは以下のとおりです。
- 床が濡れている場合は先に拭き取る
- 水滴が落ちる部分にブルーシートまたは新聞紙を敷く
- ブルーシートの上に雑巾を入れたバケツを置く
- バケツに水が溜まってきたらこまめに捨てる
手順3にあるようにバケツの中に雑巾を入れることで、落ちてきた水が飛び散りにくくなり、バケツやシートの外が濡れなくなります。
床の畳やカーペットを上げておく
雨漏りしている箇所の床がカーペットや畳の場合は、バケツを置くだけでなく床から上げておくと汚損が防げます。
バケツに落ちた水は、意外と周囲の広い範囲に跳ねているからです。
畳を床から上げる作業は、マイナスドライバーがあれば可能です。
手順や必要な道具は下記のページが参考になります。
【外部】「畳の外し方とは?具体的手順と必要アイテム、手入れのコツなどについて紹介」
家電や家具を移動させる
雨漏りで濡れる可能性のある範囲に電化製品や収納等がある場合は、故障や腐食を防ぐため退避させておきましょう。
なお、感電や漏電の危険性があるため必ずコンセントも抜いておくようにしてください。
雨漏りの修理費用
雨漏りや漏水の修理費用は、箇所によってその相場が変わります。
雨漏りの原因 | 修理費用 |
---|---|
屋根板金の曲がり、破損 | 15万円~ |
屋根材の割れ、欠け、ズレ | 1.5万円~6万円 |
ベランダ床の防水層の劣化 | 10万円~ |
窓サッシの劣化 | 3万円~ |
外壁材のひび割れ | 5万円~ |
外壁のコーキングの劣化 | 3万円~ |
天窓のガラスパッキンの劣化 | 5万円~ |
漏水 | 1万円~5万円 |
修理費用は、劣化度合いや使う材料によって大きく異なりますので、上記の費用はあくまでも参考としてご覧ください。
詳しい金額や見積もりについては、業者に相談することをおすすめします。
雨漏りの修理費用がかからない場合
下記の場合は、雨漏りの修理費用がかかりません。
- 自然災害が原因の雨漏りの場合
- 築10年未満の住宅である場合
それぞれ詳しく解説します。
自然災害が原因の雨漏りの場合
雨漏りの直接的な原因が、台風や地震、雪などの自然災害によるものである場合は修理費用がかかりません。これら自然災害によって住宅が被害を受けた場合は、火災保険による補償を受けられます。
ただし、保険の適用を受けるには、本当に自然災害が原因で雨漏りしているかの審査が必要です。また、保険の内容によっては補償対象でないケースもあるので注意してください。
申請期限は雨漏りの被害を認めてから3年以内です。
築10年未満の住宅である場合
築10年未満の住宅で雨漏りしている場合、瑕疵担保責任によって施工会社による無償修理を受けられる可能性が高いです。施工会社が倒産した場合でも、無償修理できます。
ただし、瑕疵担保責任による修理は、建物内部への雨漏り限定です。ベランダや庭への雨漏りは対象外となるので注意してください。
申請期限は、雨漏りの被害を認めてから1年以内です。
まとめ
雨漏りは、放置せず早急に対処することが重要です。雨漏りをそのままにしておくと、原因によっては内部構造も大きなダメージを受ける可能性があります。
また、業者に修理を依頼する場合「時間をかけて細かく調査をしてくれるか」、「詳しい見積書を出してくれるか」などを確認しておきましょう。