コストパフォーマンスの優秀なラジカル塗料。
そのなかでも、「パーフェクトトップ」と「プレミアムシリコン」の2つで迷っていませんか?
本記事では、価格・耐久性・仕上がりなどのさまざまな項目で、パーフェクトトップとプレミアムシリコンの実力を比較検証しました。
先に結論から言うと、仕様はわずかに「プレミアムシリコン」のほうが優れていますが、基本的には業者の扱い慣れているほうで施工したほうがよいと判断できました。
そう判断した理由を、比較項目ごとの結果とともに解説していきたいと思います。
「外壁用塗料の基本」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「【2022年最新】外壁塗装の塗料6種類の特徴・価格は?選び方と人気塗料ランキングも紹介」
尚、こちらの記事での価格・耐用年数は執筆時点の情報をもとに紹介しています。
- ・パーフェクトトップとプレミアムシリコンに、耐用年数や価格の差はない
- ・ツヤのある仕上がりが好きなら、プレミアムシリコンがおすすめ
- ・塗装する業者が扱い慣れている塗料を選ぶのが重要
パーフェクトトップとプレミアムシリコンの違いは?
パーフェクトトップとプレミアムシリコンは、どちらも今人気のラジカル塗料に分類される塗料です。
ラジカル塗料とは?
ラジカル塗料とは、正式には「ラジカル制御型塗料」といい、塗膜が劣化する原因物質である「ラジカル」の発生を抑える機能をもつ顔料をつかった塗料のことです。
この効果により、メーカーは塗料の価格を上げずに耐用年数を伸ばすことが可能となりました。
そのためラジカル塗料は、外壁用塗料の定番だったシリコン塗料よりも、価格がさほど変わらないのに耐用年数が1~3年ほど長いため、現在主流になりつつあります。
「ラジカル塗料」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「ラジカル塗料ってなにがすごいの?メリット・デメリットを徹底解説!」
パーフェクトトップとは?
パーフェクトトップとは、塗料メーカー大手の日本ペイントが2012年に開発した、日本初のラジカル塗料です。
販売開始以後、長らく外壁のラジカル塗料の定番商品となっています。
2019年には「リフォーム営業マン・プランナーが選ぶ設備建材2019・塗料部門」が選ぶ、外壁塗料の第1位に選ばれました(リフォーム産業新聞「リフォーム大賞2019」より)。
「パーフェクトトップ」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「パーフェクトトップってどんな塗料?メリット・デメリット、価格、合う外壁をやさしく解説」
>>「パーフェクトトップの耐用年数は長いってホント?他の長耐久塗料とも比較」
「代表的な塗料メーカー」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「日本の代表的な塗料メーカー10社を紹介!特色と代表商品をチェック」
>>「日本ペイントの魅力と屋根塗料全ラインナップをチェック!種類と価格を徹底解説」
プレミアムシリコンとは?
画像出典:楽天市場プレミアムシリコンとは、パーフェクトトップの発売の2年後の2014年に、大手メーカーのエスケー化研から発売されたラジカル塗料です。
後発ながら、パーフェクトトップと人気を二分する塗料となっており、2019年のリフォーム大賞では外壁塗料部門で第3位にランクインしました。
「プレミアムシリコン」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「プレミアムシリコンは本当に良い塗料?評価や性能、デメリットを確認」
パーフェクトトップとプレミアムシリコンの「耐用年数」を比較
パーフェクトトップ | プレミアムシリコン |
---|---|
12.5年~17.5年 | 14年~16年 |
パーフェクトトップとプレミアムシリコンの期待耐用年数は、どちらも平均15年で違いはありません。
パーフェクトトップの耐用年数
パーフェクトトップの期待耐用年数は、12.5年~17.5年でした。
日本ペイントは塗料の公称耐用年数を公開していませんので、この値はカタログの「促進耐候性試験」のグラフより算出しています。
画像出典:日本ペイント公式 – トピック「当社独自の樹脂技術により高耐候性・高作業性を実現 住宅外壁向け上塗り塗料『ニッペ パーフェクトトップ』を新発売」
上の図のピンク色の折れ線がパーフェクトトップの試験結果です。
シリコン樹脂塗料(耐用年数10~15年)と、フッ素樹脂塗料(同15~20年)のちょうど中間であることから導き出しました。
プレミアムシリコンの耐用年数
プレミアムシリコンの耐用年数はメーカーにより公開されており、それによると14~16年でした。
以上から、パーフェクトトップとプレミアムシリコンには期待耐用年数の幅に違いはありましたが、中間値はどちらも15年で、差はありませんでした。
パーフェクトトップとプレミアムシリコンの「価格」を比較
種類 | パーフェクトトップ | プレミアムシリコン |
---|---|---|
設計価格 | 3,360円/㎡~ | 2,220円/㎡(複層塗材の上塗りに用いる場合) |
実勢価格 | 2,400円/㎡~ | 2,400円/㎡~ |
パーフェクトトップとプレミアムシリコンの価格は、どちらも実勢価格が1㎡あたり2,400円~と、違いはありませんでした。
パーフェクトトップの価格
パーフェクトトップの設計価格(メーカー公表価格)は、3,360円/㎡でした。
ですが、塗装業者の出す見積もりでは2,400円/㎡~となっているのが概ね平均で、これを実勢価格としました(※1)。
プレミアムシリコンの価格
プレミアムシリコンの設計価格は「2,220円/㎡」と公表されていますが、これは下塗り材を含まない価格です。
別途かかる下塗り材の材工費を加えると、価格はパーフェクトトップと同様の2,400円/㎡となりました。
以上から、価格においてもパーフェクトトップとプレミアムシリコンに差はありませんでした。
パーフェクトトップとプレミアムシリコンの「色数」を比較
種類 | パーフェクトトップ | プレミアムシリコン |
---|---|---|
色数 | 各色 | 各色 |
光沢 | 5種類(艶あり、7分艶、5分艶、3分艶、艶消し) | 4種類(艶あり、5分艶、3分艶、艶消し) |
使用可能な色数は同じ
パーフェクトトップとプレミアムシリコンは、どちらも希望する色の調合が可能です。
ただし、標準色からかけ離れた色を使う場合は、手間賃が割高になることがあります。
外壁のカラーとしてよく使われる標準色の例は、以下の46色です。
光沢の種類はパーフェクトトップのほうが豊富
仕上がりの光沢の種類は、パーフェクトトップが5種類、プレミアムシリコンが4種類と、パーフェクトトップのほうが多くなっています。
耐用年数を長くするなら「白に近い色」を選ぶこと
ラジカル塗料の性能をじゅうぶんに引き出したいなら「白」か、それに「白に薄い色」を選びましょう。
現行のラジカル塗料がもつ「ラジカル制御機能」は、白い顔料(色のもと)に対して働きます。
そのため、白い顔料の割合が多いカラーほど、塗膜の劣化が抑えられることになるのです。
色以外の顔料が多くなる濃色系のカラーだと、せっかくのラジカル塗料の特徴が活かせず、耐用年数もさほど長くなりません。
パーフェクトトップとプレミアムシリコンの「仕上がり」を比較
パーフェクトトップとプレミアムシリコンでは、プレミアムシリコンのほうが光沢の強い仕上がりになります。
プレミアムシリコンは、強い艶のある仕上がりとウリとしています。
また、パーフェクトトップがアクリル樹脂塗料であるのに対し、プレミアムシリコンはより光沢のあるシリコン樹脂を仕様しているため、光沢に差が出ているのです。
プレミアムシリコンと汎用塗料の光沢の差のイメージは、以下のとおりです。
パーフェクトトップとプレミアムシリコンの「汚れにくさ」を比較
パーフェクトトップとプレミアムシリコンのうち、汚れにくいのはプレミアムシリコンのほうと言えます。
艶があるほうが汚れにくい
塗膜の汚れにくさは、仕上がりの艶の強さと関わりがあります。
艶がはっきりしているということは、それだけ表面がなめらかで凹凸が少ないということです。
外壁の汚れは、塗膜の表面の細かな凹凸に溜まります。
つまり、汚れにくい外壁に仕上げたい場合は、凹凸の少ない=より艶がはっきりした塗料を選べば良いのです。
以上の理由から、艶の強いプレミアムシリコンが、汚れにくさの点でも勝ります。
パーフェクトトップとプレミアムシリコン、結局どちらがいい?
以上、さまざまな観点から、パーフェクトトップとプレミアムシリコンを比較してきました。
結果を表にまとめてみます。
項目 | パーフェクトトップ | プレミアムシリコン |
---|---|---|
耐用年数 | 平均15年 | 平均15年 |
実勢価格 | 2,400円/㎡~ | 2,400円/㎡~ |
色数 | 各色(調色可)、艶5種類 | 各色(調色可)、艶4種類 |
光沢 | - | パーフェクトトップより強い |
汚れにくさ | - | パーフェクトトップより汚れにくい |
「プレミアムシリコン」がわずかに優れる結果に
耐用年数や価格など、コストパフォーマンス面ではパーフェクトトップとプレミアムシリコンどちらを選んでも変わりません。
また、使用可能な色数はどちら同じですが、光沢の選択肢はパーフェクトトップのほうが1種類多く用意されています。
光沢の強い仕上がりを好む場合、より汚れにくい外壁にしたい場合はプレミアムシリコンがおすすめ、という結果になりました。
以上のことから、プレミアムシリコンのほうがわずかに勝っていると判断します。
「塗装を頼む業者が扱い慣れているか」のほうが重要
上記の結果を見ても決まらない場合や、特にこだわりが無い場合は、業者が塗装になれているほうを選ぶことをおすすめします。
塗料は、塗装作業を経てはじめて役に立つものです。
そのため耐用年数は、塗料の成分や機能だけでなく、施工の品質にも大きく左右されます。
ここまでご説明してきたように、パーフェクトトップとプレミアムシリコンの間に、スペック的な違いはさほどありません。
なので、耐久性や品質は作業する業者の熟練度の比重が大きい領域といえるでしょう。
パーフェクトトップとプレミアムシリコンで迷っているという方は、塗装業者の勧めてきたほうを使ったほうが概ねうまくいくでしょう。
以上、パーフェクトトップとプレミアムシリコンの性能比較と、塗料の比べ方・決め方について解説でした。
外壁リフォームや修理・補修をお考えの際は、より安くて高品質な塗装をする業者を納得いくまで探すことが重要です。
当ページからも、あなたの家のリフォーム適正金額や、業者からの相見積りを取り寄せることができますので、この機会にご利用いただければ幸いです。
最後に、記事の要点を振り返ってみましょう。
パーフェクトトップとプレミアムシリコンは、どちらがコスパが良い?
耐用年数、実勢価格ともに違いはありません。業者によって誤差はある場合は考えられます。詳しく知りたい方はパーフェクトトップとプレミアムシリコンの「耐用年数」を比較をご覧ください。
「パーフェクトトップ」のほうが優れている点は?
光沢の選択肢です。パーフェクトトップが5種類あるのに対し、プレミアムシリコンは4種類です。詳しくはパーフェクトトップとプレミアムシリコンの「色数」を比較をご覧ください。
「プレミアムシリコン」のほうが優れている点は?
仕上がりの「光沢の強さ」と、塗膜の滑らかさからくる「汚れにくさ」の2点です。詳しくはパーフェクトトップとプレミアムシリコンの「仕上がり」を比較をご覧下さい。
結局、パーフェクトトップとプレミアムシリコンはどちらがオススメ?
こだわりが無い場合、塗装する業者が扱い慣れているほうを選ぶのがオススメです。詳しくは「塗装を頼む業者が扱い慣れているか」のほうが重要をご覧ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
日本ペイント「パーフェクトトップ」
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