屋根の張り替え費用は?内訳の単価や屋根材別の費用比較を紹介!

  • 【更新日】2025-06-09
屋根張り替え

屋根の張り替えとは、今の屋根材を撤去して新しい屋根材に張り替えるという工事です。雨漏りなど屋根に起因する様々な問題を解決できる反面、費用がかかる、工期が長いといったデメリットもあります。

そこで本記事では屋根の張り替えの相場や張り替える屋根材ごとの比較、費用内訳とその単価などについて詳しく解説していきます。

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小林成光(コバヤシマサミツ)さんのプロフィール写真 監修者:外装劣化診断士 小林 成光

600件以上の現地調査を実施する過程で得た専門性を生かし、日本発のネット見積もりシステムでビジネスモデル特許を取得。ヌリカエにて、外装工事の専門家として、顧客・加盟企業のサポート・コラムの監修に従事。 ▼略歴・プロフィール
「監修者|小林 成光(株式会社Speee)」

 

【屋根材別】屋根張り替え費用の比較

屋根張り替えの費用相場は、平均的な30坪の自宅の場合で、140万円~200万円となります。費用相場に開きがある理由は、使用する屋根材ごとに単価が異なるからです。一般的な戸建てより屋根面積の小さい家でも100万円以上かかるでしょう。

また、屋根の張り替えは「何の屋根材から何の屋根材に変えるか」で費用が大きく変わります。

下記は、張り替え前後の屋根材の組み合わせとその費用についてまとめた対照表です。

元の屋根材↓ / 新しい屋根材→ スレート ガルバリウム
スレート 100万円~150万円 150万円~200万円
ガルバリウム 100万円~150万円 150万円~200万円
120万円~160万円 150万円~200万円 200万円~250万円

データ出典:「ヌリカエ」が行った2025年5月のデスクリサーチより

なお、スレート・ガルバリウムから瓦への張り替えは推奨されないため、ここではご紹介しません。

スレートとガルバリウムはどちらも軽量な屋根材のため、重量のある瓦に張り替えると屋根に負担がかかり耐震性が弱まる可能性が高いためです。

スレート屋根を張り替えるときの費用

  • スレート→スレート:100万円~150万円
  • スレート→ガルバリウム:150万円~200万円

スレート屋根の張り替え費用は、100万円~200万円が相場です。ガルバリウムの方が屋根材自体の価格がスレートよりも高いため、新しいスレートに変える場合よりも高めになるでしょう。

ただし、スレート屋根にはアスベストが含まれているものもあり、その場合はアスベスト処分費用が別途にかかるため注意してください。

ガルバリウムを張り替えるときの費用

  • ガルバリウム→スレート:100万円~150万円
  • ガルバリウム→ガルバリウム:150万円~200万円

ガルバリウムの張り替え費用は、スレート屋根と同じく100万円~200万円が相場です。

ガルバリウムには各屋根材メーカーが独自で開発しているものがあります。例えばアイジー工業の「スーパーガルテクト」など、耐久性や断熱性能に優れているものに張り替えた場合も費用が高くなりやすいです。

軽量なガルバリウムは、張り替えだけでなくカバー工法でも多く採用される屋根材となります。

瓦屋根を張り替えるときの費用

  • 瓦→スレート:120万円~160万円
  • 瓦→ガルバリウム:150万円~200万円
  • 瓦→瓦:200万円~250万円

瓦屋根の張り替え費用は、120万円~250万円が相場です。瓦から瓦の張り替えでは、ある程度の重量がある瓦を一枚一枚を撤去し葺いていくため、他のケースよりも施工費用が高くなる傾向にあります。

ただし、瓦屋根は瓦自体の耐久性が高いため、他の屋根材ほど頻繁にメンテナンスする必要がありません

次章では、スレート、ガルバリウム、瓦ごとの特徴比較をしていますので、張り替える際の屋根材決めの参考にしていただければと思います。

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張り替えで使う屋根材の特徴比較

本章では、張り替えで採用されることの多い「スレート」「ガルバリウム」「瓦」それぞれの特徴やメリットデメリットなどを比較しています。

スレート ガルバリウム
特徴 国内の戸建て住宅の1/3のシェアを占めている屋根材。各メーカーから様々なデザインが出ている。 近年急速に普及している屋根材。軽量で汚れにくいという特徴をもつ。 国内では古くから使われている屋根材。重量があり耐久性に優れている。
メリット ・施工費用が安め
・耐震性が高い
・ラインナップが豊富
・耐震性が高い
・耐用年数が長い
・汚れがつきにくい
・耐用年数がトップクラスに長い
・独自の雰囲気を出せる
デメリット ・ひび割れのリスクが高い
・汚れがつきやすい
“・スレートよりも施工費用が高くなる
・太陽光の熱を吸収しやすい
・施工費用が高い
・耐震性が弱まる可能性がある
耐用年数 25年~30年 30年~40年 50年以上
軽さ ×
耐風性
遮音性 △~◯
断熱性 △~◯
費用相場 100万円~200万円 100万円~200万円 200万円~250万円

各屋根材について詳しく解説します。

スレートの特徴

スレート屋根のメリット

スレート屋根(コロニアルなど)は、もっとも材工費が安価なことが特徴です。

色やデザインが豊富にあり、黒や、茶などの定番色から、グリーン、レッドまで幅広い色の製品が販売されています。しかし、地震への強さに関わる軽量さでは金属屋根に一歩譲り、耐用年数も10年ほど短くなります

また、スレート屋根は他の屋根材と比較して、ひび割れのリスクが高く、異常がなくても定期的に点検・補修を受ける必要があります。

メリット

スレート屋根は、他の屋根材に比べて施工費用が安めで、コストを抑えたい方に人気があります。

さらに軽量な素材であるため、ガルバリウムはほどではありませんが住宅全体の耐震性を高めやすい点もメリットです。デザインやカラーのバリエーションが豊富で、住宅の外観に合わせた選択肢が多いのも魅力です。

デメリット

スレートは比較的割れやすい素材で、強風や落下物によってひび割れが生じやすい点がデメリットです。

また、表面に凹凸があり汚れやコケが付きやすく、定期的なメンテナンスや洗浄が必要になることもあります。そのため、長期的な耐久性は他の屋根材に劣る傾向があるでしょう。

ガルバリウムの特徴

使用可能な屋根材が限られているについて

ガルバリウムは近年急速に普及してる屋根材です。軽量でありながらメンテナンスがしやすいため、スレートとシェアを二分しています。

金属ならではの独特の質感やデザインに惹かれて採用する方も多いです。しかし、熱を伝えやすいため遮熱塗料や断熱などの使用も検討するとよいでしょう。

メリット

ガルバリウムは軽量で耐震性が高く、金属屋根としては錆びにくい構造が特徴です。

耐用年数も長くメンテナンス頻度を抑えられるため、長期的なコストパフォーマンスが高い屋根材となります。また、表面が滑らかで汚れがつきにくく、美観を保ちやすい点も魅力です。

デメリット

スレートに比べて施工費用はやや高めです。また金属素材であるため、夏場には太陽光を吸収して屋根表面が高温になりやすく、断熱対策が必要になる場合があります。

雨音が響きやすい点も、気になる方にはデメリットとなるでしょう。ただし、通常は室内とガルバリウムとの間に断熱材や下地があるため、そこまで気になるようなケースは少ないといえます。

瓦の特徴

瓦は、古くから国内にで使用されている歴史の長い屋根材です。、耐用年数は50年以上と、屋根材のなかで最も耐久性のあるものの一つとなります。

瓦にはいくつか種類があり、一般的に瓦と言われているのは「陶器瓦」です。近年では、より軽量かつデザイン性の高い瓦が各屋根材メーカーから出ています。

メリット

瓦屋根は重厚感のある美しい外観が魅力で、日本家屋ならではの落ち着いた雰囲気を演出できます。

耐用年数が非常に長く、正しく施工すれば50年以上持つことも。メンテナンス回数が少なく済むため、長期的に見るとコスト面で有利な場合もあります。

デメリット

瓦は重量があるため、新しく瓦に張り替えると建物全体の耐震性が弱まる可能性があるため注意してください。元が瓦屋根ではない場合、新しく瓦に張り替えることはおすすめしません。

また、施工費用が高くなりがちで、他の屋根材と比べて初期費用がかさむ点もデメリットです。

屋根張り替え費用の内訳

屋根の張り替えには、足場代や養生費など様々な内訳があります。

以下に、屋根の張り替えで必要になる費用の内訳をまとめました。

内訳項目 工事内容 費用(単価)相場
足場費用 高所作業用の仮設足場設置 700円~1,000円/㎡
養生費用 飛散防止用の養生シートがけ 200円~300円/㎡
既存屋根の撤去費用 元屋根材の撤去 1,200円~2,000円/㎡
下地(野地板)の補修費用 下地木材の補修 2,000円~3,000円/㎡
防水シートの敷設費用 下地の上に防水シートがけ 600円~1,000円/㎡
新しい屋根材の材工費 防水シートのうえに新しい屋根材を設置 【和瓦】9,000円~1万5,000円/㎡
【スレート】4,500円~6,500円/㎡
【ガルバリウム鋼板】6,000円~9,000円/㎡
棟の設置費 屋根どうしが交差する部分 2,000円~3,000円/m
軒先、ケラバの設置費 屋根の壁からはみでる部分 1,500円~2,000円/m
アスベストの撤去費 既存屋根にアスベスト含まれる場合のみ 10万円~30万円/戸

費用の内訳として大きな割合を占めているのは、足場代です。30坪の戸建てであればが15万円~20万円が相場となります。足場は作業に欠かせないものなので、削ることはできません

また、今ある屋根がアスベストを含んでいる場合は、法令により特別な撤去方法が必要なため、別途10万円~30万円の費用がかかります。この出費を回避するために、アスベストを含む屋根は、張り替えではなくカバー工法が採られることもあります。

続いては、各内訳とその単価などについて詳しく解説していきます。

屋根張り替え費用の内訳と単価

足場費用:700円~1,000円/㎡

まずは高所作業用の足場を設置した後、足場とその周辺に飛散防止用の養生シートをかけます。

足場代は平米単価で700円~800円/㎡、養生代は200円/㎡前後が目安です。

足場代を節約しようとして足場の一部を省略すると、安全性や作業性が低下して良い仕事ができません。
張り替えを、外壁塗装と同時におこなうと、足場代が一度で済むので効率的です。

▼「足場代」について詳しく知りたい方はコチラ
>> 足場料金の単価・費用相場はいくら?見積もりで損しないコツとは?

養生費用:200円~300円/㎡

養生費用は、建物や庭、窓、外壁などを保護するための養生を行う際に必要な費用のことです。

養生費用の相場は200円~300円/㎡と㎡あたりの単価はそこまで高くありません。ただし、家が広い場合や養生箇所が多い場合は5万円などまとまった費用がかかる可能性があります。。

見積書では「諸経費」に含まれていることも多いため、養生と明記されていない場合は業者に内訳を確認すると安心です。

既存屋根の撤去費用: 1,200円~2,000円/㎡

続いて、もとからある屋根材を剥がします。

アスベストが含まれていない場合、作業費は1,200円~2,000円/㎡が目安です。費用には処分費用も含まれています。

アスベストが含まれている場合は、さらに高額になります。㎡あたり3,000円~4,000円/㎡の撤去費用と、別途処分費用として2,000~3,000円/㎡、さらに処分場への運搬費として約30,000円~50,000円がかかります。

下地の補修費用:2,000円~3,000円/㎡

屋根材を撤去した既存の野地板の上に、下地の合板を重ねて貼ります。野地板自体を新設する場合もあります。

費用は材料と施工費を合わせて、2,000円/㎡前後です。

野地板の補強は省略できる場合もありますが、野地板の経年劣化は屋根瓦より早いので、屋根材を新しくする際に同時にリフォームしておいた方が安心でしょう。

防水シートの敷設費用:600円~1,000円/㎡

下地(野地板)の上に防水シート(ルーフィング)を設置します。費用は材料と施工費を合わせて、650円/㎡程度です。

張り替え作業では、下地合板(野地板の補強)を省略する場合でも、防水シートは必ず施工します。

>> 「ルーフィング」について詳しく知りたい方はこちら

新しい屋根材の材工費:4,500円~1万5,000円/㎡

防水シートの上に新しい屋根材を葺きます。
一般的にはスレートで葺き直すか、より軽量でかつ耐久性の高いガルバリウム鋼板で張り替えを行います。

費用は、スレートの場合4,500円~6,000円/㎡、ガルバリウム鋼板の場合約6,000円/㎡です。

張り替えでは、元が瓦屋根であった場合以外、瓦材はほぼ使われません。屋根の重量が7~10倍になるため、住宅が重さに耐えられなくなったり、耐震性が下がってしまうからです。

諸経費:工事費用の10%

諸経費とは、工事の進行に必要な付随的な費用のことです。

具体的には、現場管理費や交通費、事務手数料などが含まれます。諸経費の割合は施工費用の10%程度が目安ですが、工事の規模や立地条件によって変動するため注意してください。

見積書では項目が細かく記載されない場合もあるため、不明点があれば施工業者に確認することが大切です。

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屋根の張り替え費用を抑える5つの方法

屋根の張り替え費用は100万円以上の費用がかかるため、できるだけ安く抑えたいところです。

そこで本章では、張り替え費用を抑える方法を5つご紹介します。

助成金を使う

自治体によっては、屋根のリフォームに対して助成金制度を設けているところがあります。特に、耐震改修や省エネ対策、防災性の向上を目的とした工事は対象になりやすいです。

制度の有無や条件は地域によって異なるため、工事を始める前に市区町村の窓口やホームページで確認しましょう。

火災保険を使う

台風や強風、大雪などの自然災害による屋根の損傷であれば、火災保険の補償対象になる可能性があります。

自己負担を大きく減らせるため、該当する場合は保険会社に連絡し、申請の手続きを進めるとよいでしょう。申請には被害写真や見積書が必要なので、業者に協力してもらうことも大切です。

地元の業者に依頼する

地元密着型のリフォーム業者は、大手に比べて広告費や中間マージンがかからない分、価格が抑えられることがあります。

また、土地の気候や建物の傾向を把握しているため、適切な施工が期待できます。アフターサポートが迅速なのも、近隣業者の強みです。

相見積もりを取る

複数の業者から見積もりを取ることで、費用相場が明確になります。一社だけの見積もりでは高いか安いか判断が難しく、不要な工事項目が含まれている可能性もあります。

3社以上から比較することで、適正価格での施工ができ、納得のいく業者選びにもつながるでしょう。

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屋根の張り替えについてのまとめ

屋根の葺き替えのまとめについて

屋根の張り替えは、今ある屋根をその下地から新しくできる工事です。雨漏りなどあらゆる症状やリスクを解消でき、家自体の耐久性もアップします。

しかし、屋根の修理方法のなかで最も費用がかかることに加え、工期も1か月前後と長いです。また、今の屋根にアスベストが含まれている場合は相場よりも工事費用が高くなります。

ご自宅の屋根の張り替えを検討されている方は、複数の業者を比較検討し、納得のいく状態で工事に踏み切れるようにしましょう。