高額になりがちな外壁塗装。
一般的な戸建ての費用相場は80万円~140万円となっており、決して安くはありません。
「外壁塗装をしたいけどお金がない…」と諦めている方も多いのではないでしょうか?
結論、まとまった予算がなくても外壁塗装ができる可能性があります!
外壁塗装のお金がない場合、ローンを活用する、市区町村の助成金をもらう、ハウスメーカーではなく地元業者に依頼する、相見積もりを取る、火災保険を利用するの5つの方法がおすすめです。
そこで本記事では、外壁塗装のお金がないときに使える方法と絶対にNGな対処法を解説いたします。
監修者:外装劣化診断士 小林 成光
600件以上の現地調査を実施する過程で得た専門性を生かし、日本発のネット見積もりシステムでビジネスモデル特許を取得。ヌリカエにて、外装工事の専門家として、顧客・加盟企業のサポート・コラムの監修に従事。
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お金がなくても外壁塗装する方法
外壁塗装をしたくてもお金が足りない場合、とれる手段は大きく分けて5つあります。
上記のうち、お金そのものが足りない場合に有効なのが「ローン」と「地元業者に依頼する」、「相見積もり」の3つ、最終的な出費を減らしたい場合に有効なのが「市町村の助成金」「相見積もり」「火災保険」の3つです。
それぞれの利用方法や受け取れる金額、注意点などを解説していきます。
方法① ローンで費用を用意する
貯金が少ないため外壁塗装の支払いができそうにない場合は、ローンを受けて費用を用意する方法があります。
借入金である以上は金利がかかってくるので、総額の支払い額は一括で支払いした場合よりも高くなるものの、先延ばしにせずにローンですぐに修繕をすることができます。
その結果、劣化がそれ以上広がらないうちに直すことができるのでトータルで見ると安く済む場合も多いです。
- 受け取れる金額は数十~数百万円以上の場合も
- ローンを希望する金額と本人の返済能力によって貸付額が決まる。
メリット
- 手元にお金がなくても工事を実施できる
- 月々の支払い金額が支払い金額が決まっているので管理しやすい
- なかには無担保で利用できるローンも
注意点
- 金利の分だけ支払い総額は高くなる
- 住宅ローンと比べると返済期間が短く、利用限度額が低い
ローンの利用がおすすめな人
- 手元にまとまったお金がほとんど無い人
「外壁塗装とローン」について返済シミュレーションなど詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
方法② 市町村の助成金で補助を受ける
市区町村によっては、住民が持ち家の外壁塗装などを行う場合に、費用の一部を補助・助成する制度を設けているところがあります。
編集部の調査によると、リフォーム助成金制度を設けているところは全国の市区町村のちょうど3割ほどです。
あなたのお住まいでも対象になる制度がある可能性は十分あるでしょう。
- 支給額は10~20万円の自治体が多い
- 移住や多世代同居が重なる場合は30~50万円以上もらえることも
一般的なリフォームを対象とした制度では、支給金額は施工費用の5~20%程度で、10~20万円程度の上限額が設定されている制度がほとんどです。
外壁塗装の相場の70~90万円では、ほとんどのこの上限額まで届くと思いますので、実質的にはこの10~20万円が支給額と考えて良いでしょう。
また、市町村外からの移住転入や、親子孫の3世代以上の同居を開始するためのリフォームを対象にした制度では、一般的な制度よりも手厚い30~50万円以上が支給されることもあります。
以下に東京都内で支給される助成金の例をご紹介します。
※詳細は各自治体の公式ホームページを参照ください。
- 対象工事:屋根、外壁の塗装、屋根の葺き替え ほか
- 助成金額:費用の20%(上限5万円)
- 参考:八王子市公式ホームページ
- 対象工事:高日射反射率塗装(屋根・外壁)、窓の断熱改修 ほか
- 助成金額:塗装面積(㎡)×1,000円(上限15万円)
- 参考:杉並区公式ホームページ
助成金の利用がおすすめな人
- 助成金が支給される自治体に住んでいる人
外壁塗装に助成金を出している市区町村のリストや、申請の条件・流れ・コツなどについては、以下の記事で解説しています。
方法③ ハウスメーカーではなく地元業者に依頼する
依頼先を新築時のハウスメーカーにしている場合は、地元の業者に依頼先を切り替えることによって費用を削減することが可能です。
- 削減できる金額は数万~30万円以上の可能性も。
- 施工内容・品質は同じなのにも関わらず、費用を抑えることができる。
というのもハウスメーカーなどの会社に依頼しても、結局実際に施工に入るのは下請け・孫請けの業者です。
下請け・孫請けを扱うためにハウスメーカーは取り分である中間マージンを費用に乗せて請求しています。
したがって、ハウスメーカーに依頼するよりも最初から施工に関わる地元の業者に直接依頼する方が費用は安いのです。
例えばハウスメーカーに依頼すると130万円~140万円の塗装工事が、地元業者に依頼すると100万円ほどになったという例もあります。
地元業者に依頼することがおすすめな人
- 外壁塗装を考えている人全員!
方法④ 相見積もりをとって金額を下げる
費用が足りている場合でもそうでない場合も共通して有効なのが、複数の業者から相見積もりを取得することです。
複数の業者の提示金額やプラン・担当者の人柄を比べることで、適切な工事を適正価格で提案してくれる業者に出会える確率が高まります。
- 下がる金額は数万~数十万円以上の可能性も。
- 他社の見積もりを提示して交渉することによって、金額は格段に下がりやすくなる。
相見積もりがおすすめな人
- 外壁塗装を考えている人全員!
外壁塗装は決まった定価のない工事ですから、1社だけからの見積もりしか見ずに契約を決めてしまうのはややリスキーと言えるでしょう。
「近隣に気軽に相談できる業者がいない…」
「いい塗装業者の調べ方が分からない…」
そんな疑問をお持ちの方のために、全国の優良業者にくわしい無料相談窓口 をご用意しています。
地域や建物の情報などの簡単な入力だけで工事の適正価格や対応できる業者を判定し、情報を受け取ることができる仕組みです。
診断をしても料金は一切かかりませんので、気軽に利用してみてください。
方法⑤ 火災保険を使う
風災(台風)・雪害(豪雪)・豪雨などの自然災害で住宅を破損した場合は、火災保険を使うことができます。
- 免責金額は20万円ほどで設定されているケースが一般的。
- 外壁塗装はほとんどの場合で20万円を超えるので、問題なく適用できると言えます。
免責金額を含む火災保険を適用するための条件としては、以下のようなものが挙げられます。
- 外壁・屋根の破損が災害によるものであること
- 被災から3年以内に申請を行うこと
- 損害の補修にかかる費用が火災保険の免責金額を超えること
詳細な条件や申請の流れ、注意点はこちらの記事で解説しています。
火災保険の利用がおすすめな人
- 災害が原因で外壁塗装が必要になった人
お金がなくても外壁塗装を行うその他の方法
お金がないときでもなるべく費用を安くして外壁塗装を行う方法は他にもあります。
前章で紹介した5つほどメジャーではないものの、比較的取り組みやすい方法は以下の3つです。
- ①夏・冬に依頼する
- ②値引き交渉をする
- ③日常的に清掃を行う
夏・冬に依頼する
夏・冬に依頼することによって、施工の費用を5万円ほど下げられる可能性があります。
夏や冬は梅雨の雨や寒さの結露などにより塗料が塗れず、工期が伸びやすいという理由でシーズンとしては不人気です。
しかし裏を返せば業者としても仕事が入りづらいため、多少安くしてでも依頼を得たいという心理があります。
したがって比較的時間のある方は、夏や冬を指定する代わりに業者に価格交渉に応じてもらえる可能性があるのです。
値引き交渉をする
外壁塗装においては、値引き交渉に対応してもらえることが多々あります。
工事総額にもよりますが、全体の5~10%に欠けるぐらい、金額にして3~5万円の値引きなら対応してくれることも多いようです。外壁塗装は相見積もりが当たり前の世界のため、「あと3万円安くしてくれたらこの場で御社に決める」などの交渉には応じてくれる可能性があります。
しかし数回にわたって交渉するなど、あまりに強引な値引きは業者の心象を悪くするため気を付けましょう。
日常的に清掃を行う
こまめに清掃を行うことは、外壁塗装を行う場合に費用を安くできる可能性があります。
というのも外壁に清掃が行き届いていれば、本来必要だったコケや藻を落とす高圧洗浄などが不要になることがあるのです。
したがって不要となった工程の費用は浮かせることができ、場合によっては数万円ほどの節約につながります。
ただし屋根などの高所の清掃は危険を伴うため、安全の範囲で行うことをおすすめします。
実際に金額を安くできた事例
火災保険を使用した事例
屋根、外壁の劣化のため、塗装依頼をした。特に屋根は台風被害があり、火災保険を請求した。
・・・
火災保険請求手続きをして頂いた事もあり、こちらの希望に添って進めてもらった。
火災保険や地震保険の利用を提案してくれて、価格を押さえることができた。
台風等の災害による劣化の場合は火災保険を請求できるケースがほとんどのようです。また、火災保険を利用する旨を業者に事前に伝えておくことでスムーズにやり取りをできたり、相談に乗ってもらえることもあります。
火災保険の利用を検討している場合は業者に相談してみるようにしましょう。
ローンを使用した事例
ローンの手続きもスムーズに行ってくれた
・・・
対応者がとても対応が親切、丁寧、説明も分かりやすかった
提携ローンが低利で利用できた
ローンについても、業者側に検討している旨を伝えておくことで相談に乗ってもらえるケースが多いようです。
また、場合によっては提携しているローンを紹介してもらえる場合もあります。
助成金を使用した事例
市内で助成金を申請して受領されればMAX200千円補助して貰えると丁寧に説明してくれました
助成金を受ける為の塗料の内容や工事内容や修繕箇所など詳しく教えて下さいました
助成金の申請基準は地域によって異なるため、業者に相談することで詳しく教えてもらうこともできるようです。
相見積もりをした事例
飛び込みで別の業者が塗装の劣化を指摘、塗り替えを進めてきたが適正価格を知るため相見積もりを取った。
飛び込み業者の見積もりは180万で、いますぐ契約すれば30万値引きするというものでした。
・・・
相見積もりした5社の中で最も廉価であった。飛び込み業者の提示価格の半値。
飛び込みの訪問販売をきっかけに外壁塗装を検討し、相見積もりを実施したことで飛び込み業者が提示した金額の半分で施工を行った事例になります。
この事例からも、相見積もりをせずに施工を進めてしまうと損をしてしまう可能性があることがわかります。
【絶対にNG!】外壁塗装のお金がない時にやってはいけないこと
外壁塗装でお金がないときでも、以下のNG対処法は返って大きな損害につながるためおすすめしません。
- そのまま放置する
- DIYで外壁塗装をする
- 低グレードの安い塗料を使う
- 相場より格安な業者に依頼する
そのまま放置する
外壁塗装をせずに放置すると、ヒビ割れや剥がれなどの劣化が進みます。劣化箇所から外壁内部に雨が入り込んで雨漏りやカビ発生の原因になります。
最悪の場合、家の構造体が腐敗して大規模修繕が必要になるでしょう。外壁塗装なら数十万円で済んでも、家の構造体も含めた大規模修繕では数百万円かかる場合もあります。
また雨漏りで家の構造体が腐敗すると、湿った木材を好むシロアリの発生原因にもなります。
シロアリの駆除費用は約10万はかかるうえに、食害で柱が傷むと建物が空洞化が進み、地震のときに倒壊リスクも高まります。
外壁塗装は必要なタイミングで先延ばしは避けるようにしてください。
DIYで外壁塗装をする
業者に依頼して外壁塗装をすると数十万円かかるので、お金がないときにDIYで塗装したい気持ちもわかります。
しかし誤った方法で塗装すると、自分で塗装した労力や費用が無駄になったり、結局業者にやり直してもらうことで費用がかさんでしまいます。
また、作業時の危険性の問題もあります。特に2階や3階など高所部分の塗装です。経験豊富な塗装業者であっても安全性をしっかり確保するため、「足場」といって作業するための足掛かりを作って作業します。
DIYで使うハシゴや脚立では一般的に2階まで届かないので、無理に高い部分を塗装しようとして落下すると非常に危険です。
低グレードの安い塗料を使う
低グレードの安い塗料は避け、できればシリコン塗料以上、予算が厳しくてもウレタン塗料を使いましょう。
グレード | 塗料の種類 | 耐用年数 | 外壁塗装相場(*) |
---|---|---|---|
低 | アクリル | 5~7年 | 50~70万 |
↓ | ウレタン | 7~10年 | 60~80万 |
↓ | シリコン | 10~15年 | 75~100万 |
↓ | フッ素 | 15年~20年 | 90~110万 |
高 | 無機 | 25年~30年 | 100~120万 |
*一般的な30坪住宅の場合。塗料代を含めた総費用で記載。
外壁塗装費用は抑えられますが、塗り直し頻度が高くなって長期的に見た際に総コストが膨らみます。
例えば15年のスパンで考えると、シリコン塗料なら塗装は1回で済んで75~100万ですが、アクリル塗料なら2回必要で100~140万かかります。
トータルで数十万円余分にかかりますので、特にアクリル塗料は避けましょう。
相場より格安な業者に依頼する
相場より数十万円安い業者では依頼しないようにしましょう。格安にできる理由は、悪徳業者によるぼったくり・必要な工程カットの可能性が高いです。適切な塗装をしてもらえる可能性は低く、近いうちに塗装のやり直しで費用がかさみます。
まともな業者であれば見積もり時点で適正価格になっているので、理由なく数十万円も安い場合は裏の事情があります。ちなみに値引きを提案されたとしても、総費用の10%が限度になります。
費用相場よりも明らかに安価な場合、別業者での塗装を検討しましょう。
困ったら業者に相談しよう
外壁塗装のお金を工面する方法をご紹介しましたが、結局どうしたらいいかわからないという人もいるのではないでしょうか?
そんなときは、自分ひとりで考えすぎずに専門業者に相談してみましょう!
塗装専門業者なら、予算に応じたプランや無理のない支払い方法も相談に乗ってくれます。
業者に相談するときのポイントを以下におまとめしましたので、ぜひ参考にしてみてください。
費用が無い旨を事前に伝えておく
外壁塗装の見積もりを頼むときは、最初にお金が無い旨を伝えておくといいでしょう。そうすることで、予算の状況を把握したうえで、お客様に合ったプランを提案してもらえます。業者によっては、ローンの相談や分割払いのように、無理なく払える方法を教えてくれることもあります。
希望の予算・条件を伝える
業者はまず点検や実測をして必要な工事を提案してくれますが、「最低でも〇〇円以内で工事してほしい」「予算内で長持ちする塗料を使ってほしい」「遮熱効果がある塗料で塗りたい」といった、自分の希望を伝えることも大切です。自分の悩みや希望を話すことで、業者としっかり話せますし、業者の対応や信頼できるかどうかも分かりやすくなります。
信頼できる業者の選び方は以下の記事でも解説していますので参考にしてください。
記事のおさらい
外壁塗装のお金がない場合はどうしたらいい?
ローンを活用する、市区町村の助成金をもらう、ハウスメーカーではなく地元業者に依頼する、相見積もりで安い業者を探す、火災保険を利用する、の5つの方法により、数万円~数十万円程度の金額を節約できる可能性があります。詳しくはお金がなくても外壁塗装する方法をご覧ください。
お金がないときでもNGの対処法は?
「そのまま放置する」「DIYで外壁塗装をする」「低グレードの安い塗料を使う」「相場より格安な業者に依頼する」の4つあります。
詳しくはお金がないときでもNGの対処法をご覧下さい。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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