サイディングの張り替え事例―費用と見た目の変化は?
一戸建て住宅の外壁を新しいサイディング材への張り替え工事のビフォー・アフターの事例を5つご紹介します。
建物が古い状態から新しくなってどう見た目が変わったかや、どのようなサイディング製品があるかのご参考になれば幸いです。
①板張りの外壁をレンガ調のサイディングに張り替え
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使用商品 | ケイミュー「ナチュラルレンガ」(QFキルン チタン オレンジ) |
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メーカー価格 | 6,424円/㎡ |
サイズ | 455×3030mm・厚さ16mm |
表面の剥がれが進んでいた板張り住宅を、レンガ調の窯業系サイディングで張り替え。
本物のレンガを使い込んだ具合まで再現したデザインを選び、ナチュラルさと温かみの感じられる外観になりました。
②2種類のサイディングでツートンカラーに張り替え
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使用商品 | アイジー工業「NF-テセルブリックⅡ」(Fダークブラウン) 同(Fミルク) |
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メーカー価格 | 6,300円/㎡ |
サイズ | 働き幅385mm・厚さ15mm |
家の外壁とベランダの張り出し部分を、金属系サイディングの色違い製品を使って張り替え。
黄土色ベースだった建物が、白と黒のツートンカラーが印象的な、スタイリッシュな外観の家に生まれ変わりました。
③古いモルタル外壁を窯業系サイディングでリフォーム
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使用商品 | ニチハ「モエンサイディングW14 ハッシュウォール調」(ランドMGブラウンV) |
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メーカー価格 | 2,901円/㎡ |
サイズ | 455×3030mm・厚さ14mm |
色あせや亀裂の目立っていたモルタル外壁を、くしびき柄の温かみのあるの窯業系サイディングで一新。
隣家や駐車場との距離が近くプライバシー確保が気になっていたため、外壁張り替えと同時にバルコニーの配置も変えました。
④3種類の木目柄サイディングをデザインした張り替え例
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使用商品 | 旭トステム「プレシャスウッドⅡSF」(SWプレシャスベージュF+) 同「プレシャスウッドⅡSF」(SWプレシャスミドルブラウンF+) 同「プレシャスウッドRF」(DBミストビターブラウン) |
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メーカー価格 | 7,190円/㎡ |
サイズ | 370×3788mm・厚さ15mm |
色あせていた黄土色の外壁から、木目柄の窯業系サイディングに張り替え。
色の濃さやムラが異なる3種類のサイディング材を張り出し部位ごとに使い分けて、全面ウッド柄ながら単調に見えない仕上がりが見事です。
⑤石柄の外壁と瓦がマッチした和モダンな家に
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使用商品(推定) | ケイミュー「ニュースリムストーンFT」(QFクローズ チタン ブラウン) |
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メーカー価格 | 税抜 7,400円/㎡ |
サイズ | 455×3030mm・厚さ16mm |
ダークグレーのスタイリッシュな石積み柄サイディングと、もともとの瓦屋根を活かした絶妙な取り合わせ。
扉や出入り口の目隠しに明るめの木材を取り入れることで、和モダンなイメージのデザイナーズ住宅のような仕上がりになりました。
「外壁のデザイン」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「外壁デザインのコツを写真付きで解説。おすすめのデザインパターン、色の選び方も紹介」
サイディングの種類ごとの張り替え費用の目安
サイディング材を張り替える際には、さまざまな費用がかかってきます。
重ね張りなら外壁材と工事費、張り替えなら元の外壁の撤去費用も必要になってきます。サイディングの種類や施工する場所などでも工事金額が変わってきますが、費用相場として150~250万円くらいは考えておいた方がいいでしょう。
ここからは種類別にサイディングをした際の金額について紹介していきます。
1:窯業系サイディング
窯業系サイディングへの張り替えをした場合、1平方メートルの単価は約4,000円~6,000円となります。諸経費を含めて30坪の場合、約110万円~160万円の費用がかかるとされています。
窯業系サイディングは、チョーキングという触ると手に白い粉がつく状態になると、補修が必要になってきます。その後の劣化状態により、張り替えなどが必要になるでしょう。
2:金属系サイディング
金属系サイディングは1平方メートルの単価が約5,000円~7,000円と窯業系より少し高めになっています。そのため30坪の建物の事例で考えると、125万円~175万円くらいが相場となってきます。その代わりメンテナンス周期が10年~15年と、期間が長めになっているのがポイントです。
3:金属系サイディング(ガルバリウム鋼板)
ガルバリウム鋼板は重ね張りに適した外壁材になっています。さまざまな色がありデザイン性も高く、錆びにくい特徴がありますが、施工が難しくいため、工事の費用が高くなったり工事不可になる事例があります。
ガルバリウム鋼板にしようとした場合、30坪の建物で重ね張りだと約190万円~255万円、張り替えだと約210万円~270万円と高額になる可能性があります。
しかし、1平方メートル辺りの単価は4,300円~5,300円くらいなので、リフォームの際は業者との話し合いや見積もりが大切になってくるでしょう。
4:金属系サイディング(アルミサイディング)
断熱材を内側に、表面にアルミメッキを施しているアルミサイディングは軽量で錆びにくいなどのメリットがあります。
その分価格も高めになっているため、注意しましょう。アルミサイディングは機能的で軽いものを求めている場合におすすめです。
5:樹脂系サイディング
樹脂系サイディングは国内の取り扱いが少ないため、1平方メートル辺りの単価も約8,000円~10,000円と高めの価格になっています。そのため、30坪の張り替えをした場合は約165万円~約220万円の費用がかかると考えておいた方がいいでしょう。
その代わり、樹脂系サイディングは表面塗装していないため、定期的な再塗装が不要というメリットもあります。
サイディングの施工は「張り替え」か「重ね張り」の2通り
サイディング材は張り替えと重ね張りの2つの方法でリフォームされます。
どちらもメリットとデメリットがあります。内容によっては選択肢が限られてしまったり、どちらかの方法でしかリフォームできない可能性も出てきます。現在の外壁を見てもらい、業者さんと相談しながらリフォームの方法を考えていく必要があるでしょう。
張り替え
サイディング材のリフォーム方法の1つが張り替えです。張り替えは、今までの外壁を解体したり撤去して、新しい外壁を張替える作業のことをいいます。
張り替えではこれまでの外壁を外す形になるため、壁の内側にある下地のメンテナンスが可能になり、さらに軽い外壁材を使用すれば耐震性を上げることも可能になります。
しかし、解体や撤去などの工程があるため、工賃と工期がかかるのがデメリットとしてあります。また、モルタルやコンクリートの外壁などは解体ができないため、構造上張り替えができない事例もあります。
「サイディングの張り替え」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「サイディング張り替えの費用相場と工事をするべき判断基準」
重ね張り
もう1つの方法は、重ね張りです。これは今ある外壁をそのまま残しておき、その上に新しい外壁を張っていく方法です。重ね張りの場合は、解体や撤去が必要ないため廃材がほとんど出ず、工期も短いのが魅力です。また、外壁が厚くなるため断熱性と遮音性が上がります。
デメリットとしては、外壁の重量が増すので耐震性に注意が必要です。重ね張りで重量が増えると、屋根と外壁のバランスが悪くなる可能性があるため、使える外壁材が限られてしまいます。
「サイディングの重ね張り(カバー工法)」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「サイディング外壁のカバー工法とは?メリット・デメリットを解説」
サイディング含めて外壁リフォームについてもっと知りたい方は下記の記事をご覧ください。
サイディング材の種類と特性
サイディング材は大きく4種類に分けられています。雨や風に強かったり、デザイン性があったりとそれぞれの魅力があります。住む環境によって合うサイデイング材が違うため、家の周辺環境を理解した上で、サイディングの張り替え工事を行なうことがおすすめです。
1:窯業系
多くの住宅で使用されているサイディングが窯業系サイディングです。セメント質と繊維質の原料を混ぜ合わせて作られた板で、デザインもレンガ風やタイル調など豊富な種類があります。
また、窯業系サイディングはバランスの取れた外壁材となっています。地震や火にも強い性質を持っており、汚れ対策のためにコーティングをしたものも販売されています。
2:金属系
ガルバリウム・アルミニウム・ステンレスなどの鋼板を使っているサイディングです。金属のためメンテナンスが長期間必要ないのと、耐天候性もあるのがポイントです。
また、ガルバリウム・アルミニウム・ステンレスによってそれぞれの魅力もあり、素材によって錆びにくさや耐久性が変わってきます。ただし金属を使用しているため、価格が高くなってしまう場合があるのがデメリットです。
3:木質系
木を材料としたものを木質系サイディングと言います。木に塗装したものを使用するため、デザイン性があり、耐熱性能も高くなっています。価格は高くなる可能性がありますが、おしゃれを求める人におすすめのサイディングです。
しかし、木を使っているため水に弱く、場合によっては木が腐ってしまうことがあります。木質系サイディングにする場合は、こまめなメンテナンスが必要なことを理解しておきましょう。
4:樹脂系
樹脂系サイディングは北米生まれの外壁材です。樹脂成型のため劣化がしにくく、耐久性、耐塩害性、耐冷害性、耐候性が高いのが魅力です。他にも、シーリング不使用なので目地の補修が必要ありません。
軽量なため、施工もしやすかったりとメリットが多い樹脂系サイディングですが、薄型で軽量に作られているため、遮音性が低めとなっていることがデメリットになります。
「サイディング材の基本」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「サイディングとは?外壁材の特徴と種類別メリットデメリットを解説」
サイディング外壁の耐用年数と管理周期
サイディング外壁の耐用年数は外壁材によっても大きく変わってきます。あくまで目安になりますが、窯業系と金属系では20年~40年、木質系は15~40年、樹脂系は20~50年で張り替えになります。
また、サイディングの塗装工事は10年定期で行なわれることが多いですが、中には早くから目に見える劣化が発生している事例もあります。その場合は早めに専門の業者に見てもらいましょう。
サイディング外壁の張り替えや事例について知ろう
サイディングといっても、材料やデザイン、現在の家の外壁の状況などからどのようにリフォームができるかなど大きく変わってきます。さまざまな張り替えや事例を知り、リフォームする時期やメンテナンスの必要性、サイディング張り替え費用を考えていきましょう。