シーラーとは?役割と代表商品、フィラー・プライマーとの違いを解説

  • 【更新日】2023-05-22
シーラー塗装とは?役割と種類

「塗装の前に塗るシーラーってなに?」

塗装工事について調べていて、このような疑問を持たれた方もおられるのではないでしょうか?

外壁や屋根などの塗装工事において、シーラーは重要な役割を担っています。シーラーを塗装しないと、高い耐久性や美しい仕上がりを実現できません。

そこでこの記事では、シーラーの役割や重要性、代表商品と費用相場、フィラーやプライマーとの違いなどについて解説します。

私の家だといくら?

※1時間以内に74人が ヌリカエで料金診断しました。

シーラーとは

塗料の缶と刷毛

シーラーとは、外壁塗装工事を行う際に、下地処理用に塗られる「下塗り材」の一種です。

下塗り材には、シーラーのほかにもフィラー、プライマーといった種類があります。

外壁や屋根の塗装工事を行う際には、下塗り・中塗り・上塗りの3回に分けて施工するのが基本となっています。

適切な乾燥期間を設けながら3回重ねて塗ることによって、外壁や屋根を紫外線や風雨から保護する丈夫な塗膜を作るのです。

シーラーは、この3回塗りにおける「下塗り」に該当する作業で用いられる塗料です。

参考記事:上塗りとは?外壁塗装に欠かせない上塗りの役割と、他の工程との違いを解説
参考記事:外壁塗装に下塗りは必須!下塗りの重要性・ポイント・手順を解説!

シーラーとフィラー、プライマーの違い

シーラーと似た言葉として、フィラーやプライマーがあります。どれも下塗りに用いられるのですが、どのような違いがあるのでしょうか。

ここでは、それぞれの特徴について簡単に解説しますので、確認しておきましょう。

シーラーは下地を調整する塗料

前の項目で解説したとおり、シーラーは、塗装面の細かいひび割れを補修したり、塗装面が上塗り材を吸い込むことを抑制したりする役割を持ちます。

コンクリート面や石膏ボード面、モルタル面など、さまざまな種類の塗装面に対して施工できます。

シーラーという言葉は、英語の「seal」が語源であり、「塞ぐ・密封する・覆い隠す」といった意味があります。

プライマーは下塗りの総称

プライマーは「最初に使用する塗料」という意味で、下塗り材の総称といえます。

英語の「primary」が語源です。プライマーにも、シーラーと同様、下地のひび割れを補修する、上塗り材の吸い込みを抑制する、といった役割があります。

プライマーとシーラーは機能的にも似た部分が多いため、明確な言葉の使い分けがなされないケースもありますが、大きな違いとしては、プライマーは金属系の下地に対して多く用いられることが挙げられるでしょう。

防錆プライマーなどがよく使われる塗装材で、鉄部の錆を防ぎつつ、上塗り材との密着性を高めてくれます。

フィラーはひび割れを補修する塗料

フィラーとは、主にモルタル壁やコンクリート壁のひび割れを埋めたり、凹凸をなくして平らにしたりする塗料のことです。

フィラーという言葉は、英語の「filler」が語源であり、「充填材・詰め物」といった意味があります。塗装面を補修してその後の塗装作業をスムーズにすることや、耐久性を向上させることがフィラー塗装の大きな役割です。

モルタル壁やコンクリート壁のひび割れを埋める際は、微弾性フィラーが多く用いられます。

微弾性フィラーは弾性が高いため、下地が動いた場合でも塗膜までひび割れることは少ないのです。

フィラーにもさまざまな種類があるため、塗装業者とも相談しながら、塗装面の素材や状態に合わせて最適なものを選ぶことが大切です。

シーラーを塗装しないと塗膜が剥がれやすくなる

工事期間を短縮したい、塗装費用を節約したいからといって、シーラーの工程を省略すると、塗膜がすぐに剥がれてしまったり、色ムラが目立ってしまったりする可能性もあります。

その結果、予定よりも早く塗り直しが必要となり、余計に費用がかかってしまう可能性もあるでしょう。耐久性が高く美しい屋根や外壁を実現するためには、しっかりとシーラーを塗装することが大切です。

私の家だといくら?

※1時間以内に74人が ヌリカエで料金診断しました。

シーラーの役割と必要性

シーラーには以下の4つのような役割があり、シーラーを塗装することは、美しく丈夫な塗膜のためには必要不可欠となっています。

シーラーの役割
  1. 劣化した塗装面を補強する
  2. 塗装面と中塗り材や上塗り材の密着性を高める
  3. 塗装面が中塗り材や上塗り材を吸い込むのを抑制する
  4. 塗装面から発生するヤニやアクを抑制する

以下では、それぞれの役割について詳しく見ていきましょう。

役割1.劣化した塗装面を補強する

シーラーの重要な役割のひとつは、劣化した塗装面を補強することです。

屋根や外壁の表面は、地震や飛散物などの影響を受け、時間が経つほど劣化していき、細かなひび割れや傷も増えていきます。

塗装面の細かなひび割れなどを補修せずに中塗りや上塗りを行うと、耐久性が低下したり、仕上がりが悪くなったりするため、シーラーの塗装によって下地の状態を改善しておくことが重要です。

シーラーは、塗装面やひび割れの中に浸透していき、下地を強化してくれます。

中塗りや上塗りが塗装面を美しく仕上げる工程であるのに対し、下塗りであるシーラーは、塗装面の状態を改善し、その後の中塗りや上塗りを施工しやすくする工程といえるでしょう。

塗装工事というと、どうしても表面的な色や艶、仕上がりなどに注目しがちですが、しっかりと下塗りをしなければ、耐久性や美観を維持することはできません。

役割2.塗装面と中塗り材・上塗り材の密着性を高める

中塗り材や上塗り材と塗装面の密着性を高めることも、シーラーの重要な役割のひとつです。

シーラーの工程を省略して、屋根や外壁などの下地に中塗り材や上塗り材をそのまま塗装すると、接着性が悪くなり、塗膜が剥がれやすくなってしまいます。

塗装してから数年で剥がれてしまう可能性もあるため注意が必要です。

シーラーの塗装を行うことで、塗装面と中塗り材や上塗り材の密着性が高まり、塗膜の剥がれを防止できます。

役割3.塗装面が中塗り材・上塗り材を吸い込むのを抑制する

屋根や外壁といった塗装面が、中塗り材や上塗り材を吸い込んでしまうのを抑制することも、シーラーの役割です。

シーラー塗装を行わず、外壁や屋根などの塗装面に中塗り材や上塗り材を直接塗ると、塗装面がそれらの塗装材を吸い込んでしまいます。

その結果、仕上がりの状態が悪くなったり、色ムラが発生したりする可能性もあるため注意が必要です。

塗装面が塗膜によって保護されない部分が発生し、耐久性が低下する可能性もあります。

シーラーを塗装し、塗装面の上に薄い塗膜を作ることで、中塗り材や上塗り材が吸い込まれることを抑制できます。

耐久性が向上するだけでなく、美しい仕上がりにもつながるため、シーラー塗装はしっかりと行いましょう。

役割4.塗装面から発生するヤニやアクを抑制する

シーラーには、塗装面から発生するヤニやアクを抑制するという役割もあります。

砂壁や木製の壁からヤニやアクが発生したり、コンクリート壁からアルカリが発生したりするケースもあるため、ヤニ止めシーラーやアルカリ止めシーラーを使用することは、美観を保つことや耐久性を向上させることにつながります。

私の家だといくら?

※1時間以内に74人が ヌリカエで料金診断しました。

シーラーの種類と代表商品

屋根塗装の作業風景

シーラーは、大きく水性タイプと油性タイプに分けられます。

以下、それぞれの特徴について解説しますので参考にしてください。

水性シーラーとは

水性シーラーとは、塗料の主成分が水によって構成されているシーラー塗料です。

屋根や外壁などに塗ると、塗料に含まれる水が蒸発して塗膜が形成されます。

取り扱いが簡単であることが大きな特徴で、塗装に使った道具などは水で洗えば問題ないため、DIYにも最適でしょう。

廃棄する際も、ほとんど危険性がありません。塗料に特有のきつい臭いも少ないため、室内の壁や天井の塗装にも向いています。

ただし、油性シーラーよりも耐久性が劣っていることが一般的であるため、風雨の影響を受けやすい場所や、高い耐久性を求める場所にはあまり向いていません。

また、下地に浸透しやすいため、下地の劣化が激しい場合は、シーラーが吸収されすぎてしまい、補強効果が低くなってしまうケースもあります。

塗装面の劣化が進んでいる場合は、油性シーラーを用いるほうがよいでしょう。

水性シーラーを使用する場合は、中塗りや上塗りにも水性の塗料を用いるのが一般的です。

塗料によっては、水性シーラーの上に油性の塗料を重ねることが可能な場合もありますが、間違った施工をすると耐久性が低下したり、塗料が剥がれる原因になったりするため、注意が必要です。

水性シーラーの代表商品としては、以下のようなものが挙げられます。

【水性シーラーの代表商品】

油性シーラーとは

油性シーラーとは、有機溶剤を用いているシーラー塗料のことです。

屋根や外壁などに塗った後、塗料に含まれる溶剤が揮発して塗膜が形成されます。

耐久性や耐候性、防水性などが高いことが大きな特徴で、風雨の影響を受けやすい外壁や屋根の塗装に向いています。

劣化しにくいため、メンテナンス費用が抑えられることも油性シーラーのメリットといえるでしょう。

劣化が激しい下地の塗装にも最適で、密着性も高いため塗装面をしっかりと補強してくれます。すぐに乾燥することも大きな特徴です。

ただし、水性シーラーよりも臭いが強いため、塗装作業中や塗装直後は注意しましょう。

【油性シーラーの代表商品】

シーラーは機能性でも分類できる

シーラーは、水性や油性という分類以外に、機能性によって分けることも可能です。ここでは、代表的な機能を持つシーラーを紹介しておきます。

塗装面からのヤニ発生を抑制する「ヤニ止めシーラー」

ヤニ止めシーラーは、砂壁や木製の壁からヤニが発生するのを防いだり、タバコのヤニやシミを抑制したりする塗料です。

基本的には水性であり、臭いも少ないため、室内の天井や壁を塗り替える際の下塗り材として使用されます。浸透性の高い塗料が多く、さまざまなタイプの下地に塗ることが可能です。

ホワイト、透明など、いくつかの色があるため、塗装面の素材や部屋の雰囲気などに合わせて選択しましょう。

【ヤニ止めシーラーの代表商品】

塗料名 メーカー 販売価格相場
水性ヤニ・アクどめシーラー アサヒペン 4,000~5,000円/2L
SK水性ヤニ止めシーラー エスケー化研 9,000~11,000円/15kg

耐アルカリ性と付着性が高い「カチオンシーラー」

カチオンシーラーは、耐アルカリ性や付着性が高い塗料です。コンクリート壁、モルタル壁、スレート板、PCパネルなどに対して多く用いられます。

防カビ性や防藻性に優れた塗料も多く、内部でも外部でも使用可能です。カチオンシーラーには、ホワイトタイプと透明タイプの2つがあります。

ホワイトタイプには塗装面の目止め効果があり、透明タイプは劣化した部分の下塗りに向いていますので、状況によって使い分けましょう。

【カチオンシーラーの代表商品】

塗料名 メーカー 販売価格相場
水性塗料強浸透性水性シーラー アサヒペン 10,000~13,000円/14L
水性カチオンシーラー 日本ペイント 6,000~9,000円/15kg

塗装面の補修効果に優れている「エポキシシーラー」

エポキシシーラーは、外壁や屋根などの塗装面を補修する効果が高い塗料です。

コンクリート壁、セメント壁、スレート板、けい酸カルシウム板など、さまざまな素材の塗装に用いられます。エポキシシーラーは、弱溶剤型と強溶剤型の2つに分類されます。

弱溶剤型エポキシシーラーの特徴は、粘度の低い樹脂が塗装面の内側へと入り込み、劣化した下地を補強してくれることです。強溶剤型エポキシシーラーの特徴は、旧塗膜との密着性が高いことです。

弾性系の塗料なども含め、多くの塗膜と密着してくれるため、壁の再塗装や改装工事などでよく使用されます。

【エポキシシーラーの代表商品】

塗料名 メーカー 販売価格相場
一液浸透シーラー 日本ペイント 12,000~13,000円/15kg
エポシーラーマルチ ロックペイント 10,000~12,000円/14kg

私の家だといくら?

※1時間以内に74人が ヌリカエで料金診断しました。

シーラーの塗り方

コンクリート塗装

シーラーは、ローラー工法か吹き付け工法によって塗装されるのが一般的です。

ここでは、それぞれの工法の特徴について解説しますので参考にしてください。

繊細な施工ができる「ローラー工法」

ローラー工法は、名前のとおり、ローラーという道具を使って塗装する施工方法です。

この工法のメリットとしては、繊細で高品質な施工ができることや、吹き付け工法よりも塗料が無駄になりにくいことが挙げられます。

ローラー工法では、ローラーを使って手作業で塗装を進めつつ、必要に応じて小さな刷毛などを使うこともあるため、塗料の厚みや凹凸などを細かく調整できます。とくに熟練の職人であれば、繊細な仕上がりを期待できるでしょう。

逆に、ローラー工法のデメリットとして、熟練の職人でなければ美しく仕上げるのが難しいことが挙げられます。

塗装業者に依頼した場合、新人の職人だけで塗装を担当するケースは少ないのですが、不安なときは、担当する職人の熟練度や、管理者や指導者がいるかどうかを確認してみることも大切です。

効率的に塗装できる「吹き付け工法」

吹き付け工法は、スプレーガンという器具を使って塗装する施工方法です。一気に広範囲に塗料を噴射できるため、塗装作業が効率的に進みます。

ローラー工法と比較すると、工事期間が短くなるケースもあるでしょう。

ただし、吹き付け工法には、広範囲に塗料を噴射する分、無駄が発生しやすい、風が強い日には作業が難しい、といったデメリットもあります。

シーラーの塗装の注意点

実際にシーラーの塗装を行うときは、しっかりと乾燥させる、下地に合ったシーラーを選択する、といったポイントに注意しましょう。

以下、それぞれのポイントについて詳しく解説してきます。

注意点1.シーラーの塗装後はしっかりと乾燥させる

シーラーを塗装した後は、しっかりと乾燥させることが大切です。

乾燥が不十分な場合、シーラーの補強効果が発揮されなかったり、中塗り材や上塗り材が剥がれやすくなったりする可能性があります。

適切な乾燥時間は塗料によっても異なるため、仕様書などを確認してみましょう。工期を短縮したいからといって、乾燥時間を省略する業者にも注意が必要です。

注意点2.下地に合ったシーラーを選択する

当然ですが、下地に合ったシーラーを塗装しなければ、十分な効果は発揮されません。

コンクリート壁、土壁、サイディングボードなど、塗装面の素材に適したシーラーを選びましょう。

最適なシーラーを選ぶうえでは、ひび割れなどの劣化状況を事前に塗装業者に確認してもらうことも重要です。

私の家だといくら?

※1時間以内に74人が ヌリカエで料金診断しました。

まとめ

今回は、シーラーの役割や重要性、施工方法などについて解説しました。

シーラーの塗装を行うことで、劣化した塗装面を補強したり、塗装面と上塗り材の密着性を高めたりできます。

費用を節約したいからといってシーラーの工程を省略すると、すぐに塗装が剥がれてしまう可能性もあるため注意が必要です。

しっかりとシーラー塗装を行い、塗装面の耐久性を高めましょう。

私の家だといくら?

※1時間以内に74人が ヌリカエで料金診断しました。
外壁塗装 あなたの地域の相場は?
TOPへカエル