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ファインウレタンU100は、日本ペイント株式会社が販売している「ターペン可溶2液形ポリウレタン樹脂塗料」です。
硬化剤を混ぜて使う2液型の油性塗料で、防カビ・防藻などの特長があります。また、使用する硬化剤や添加剤によって、防錆やひび割れ防止などの性能を付与できる点も魅力のひとつです。
主な用途は付帯部への塗布です。シリコンやフッ素など、グレードの高い外壁塗料に比べて耐久性が低く、外壁全体や屋根材への使用には向いていません。
今回は、外壁用塗料ファインウレタンU100ついて、その特徴や使用シーン、使い方などを詳しくご紹介いたします。
▼「ウレタン系塗料」についてもっと詳しく知りたい方はコチラ
尚、こちらの記事での価格・耐用年数は執筆時点の情報をもとに紹介しています。
ファインウレタンU100とは
ファインウレタンU100とは、日本ペイント株式会社から販売されている「ターペン可溶2液形ポリウレタン樹脂塗料」です。
刺激臭の少ない油性塗料で、硬化剤を混ぜて使用する2液型です。
ファインウレタンU100のグレード
塗料グレードは「ウレタン系塗料」で、外壁よりも木部、鉄部などの付帯部に使用されることが多い塗料です。近年、アクリル系塗料はリフォームにはほとんど使用されなくなったため、ウレタン系塗料は外壁リフォーム用の塗料として事実上一番低いグレードに該当します。
グレード | 耐用年数 | 単価(1㎡あたり) |
---|---|---|
アクリル | 5〜6年程度 | 1,200〜1,500円程度 |
ウレタン | 7〜10年程度 | 1,800〜2,200円程度 |
シリコン | 10〜15年程度 | 2,500〜3,000円程度 |
ラジカル | 14〜16年程度 | 2,500~4,000円程度 |
フッ素 | 15〜20年程度 | 3,500~4,800円程度 |
無機 | 20〜25年程度 | 4,500~5,500円程度 |
ファインウレタンU100の主な性能は、防カビ・防藻効果です。
このほか、専用の硬化剤や添加剤を混ぜることで、防錆やクラック(ひび割れ)に強くなるといった性能を付与することができます。
使い勝手のよい万能型ポリウレタン樹脂塗料として、さまざまな現場で使用頻度の高い塗料です。ファインウレタンU100の色見本
ファインウレタンU100には、全部で48色が用意されています。
また、ファインウレタンU100は調色に対応しているため、混ぜ合わせてお好みの色を作ることも可能です。
【ファインウレタンU100の色見本】
ファインウレタンU100の価格
ファインウレタンU100で塗装をする場合、工事費用の平米単価はおおよそ1,700円~2,200円ほどです。
また、ファインウレタンU100を缶で購入する場合は、15kg缶が13,000円~15,000円ほどで購入できます。
ファインウレタンU100のメリット・デメリット
ファインウレタンU100の塗料グレートや、メリット・デメリットは次のとおりです。
ファインウレタンU100のメリット
ファインウレタンU100は、使いやすさを重視した油性塗料です。
ファインウレタンU100を使用することで、次のようなメリットを得られます。
1. 防藻や防カビ効果で建物の美観を維持し劣化を防ぐ
ファインウレタンU100には優れた 防藻・防カビ効果があります。塗装面にコケやカビが発生するのを抑えるため、建物の美観を維持できます。また、防カビ効果はその家に住んでいる人の健康や、建物の劣化(腐食など)の防止にもつながります。
2. 専用の硬化剤・添加剤でさまざまな性能を付与できる
ファインウレタンU100は、そのまま使用する場合でも以下の効果があります。
- 防藻
- 防カビ
- 高耐候性
さらに専用の硬化剤や添加剤を混ぜることで、以下のような効果も得られます。
- 低汚染性
- 防錆性
- クラックの発生を抑える
以上のように、環境・状況よって硬化剤・添加剤を使い分けられるため、幅広い部材・部位に使用できる万能塗料です。また、混ぜる硬化剤によって耐用年数にも差が出てきます。
ファインウレタンU100のデメリット
ファインウレタンU100は幅広い用途に使いやすい塗料である一方、次のようなデメリットもあります。
1. シリコンやフッ素などに比べて耐久性が低い
ファインウレタンU100はウレタン系塗料のため、グレードの高いシリコンやラジカル、フッ素系塗料よりも耐久性が低いというデメリットがあります。
そのため、外壁や屋根材を保護するための塗料としては、シリコン以上のグレードの塗料を使用するのが一般的です。
2. 紫外線に弱い
ウレタン樹脂が主成分であるファインウレタンU100は、紫外線に弱いという特徴があります。紫外線を浴びることで塗料の劣化スピードが上がり、変色してしまうことがあります。直射日光に当たり続ける屋根材や、日差しを浴びやすい部位への使用には不向きです。
しかしながらウレタン自体が紫外線に弱いので、この製品に限らずウレタン自体のデメリットになります。
ファインウレタンU100の種類4種
ファインウレタンU100には、耐久性に優れたスタンダードな2液型のほか、1液型、水性、木部用クリア塗料など、さまざまな種類のものがあります。
また、専用の硬化剤や添加剤を混ぜることで、性能の幅がさらに拡がるため、用途によって細かく使い分けることができます。
- ファインウレタンU100
- 1液ファインウレタンU100
- 水性ファインウレタンU100
- ファインウレタンU100 木部用クリヤー
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
1.ファインウレタンU100
使い勝手のよい弱酸性系塗料で、硬化剤を混ぜて使用する2液型です。
耐久性に優れ、防藻・防カビ効果、結露防止といった機能を持つ万能型。使いやすく、幅広い素材に塗装可能なため、新築建設時の塗り替えなど、幅広い用途に使用できます。
使用する硬化剤を替えることで、防錆性・低汚染性・クラック予防といった性能に特化した塗料になります。
適用下地 | 現場打ちコンクリート面、セメント建材系、モルタル仕上げ、ALCパネル、鉄部、カラー鋼板、アクリルリシン・吹付けタイル・その他旧塗膜の塗り替え改修 |
---|---|
つや | つや有り・3分・5分・7分 |
施工方法 | 吹付け、ハケ、ローラーに適応 |
使用量 | 0.12〜0.17(kg/m²/回) |
低汚染形ファインウレタンU100
表面についた水が薄く、膜のように広がる「親水性」によって、塗料に付着した汚れが雨水と一緒に流れ落ちやすくなります。
防錆形ファインウレタンU100
高い防錆性・耐候性で、特に鉄部の塗料として重宝します。ファインウレタンU100の性能そのままに、錆のある表面でも綺麗に塗布できます。
弾性ファインウレタンU100
気温差や地震、湿気などで膨張・収縮を繰り返す外壁などの建材に対し、その動きに対して柔軟に追従できる「弾性」を持った塗料です。クラック(ひび割れ)が発生しやすいモルタルや、コンクリート外壁などに対して使用します。
2. 1液ファインウレタンU100
硬化剤を使わずに使用できる、1液型のファインウレタンU100です。使いやすさがアップしただけでなく、専用添加剤を混ぜることで、次のような性能を持った塗料になります。
適用下地 | 現場打ちコンクリート面、モルタル仕上げ、ALCパネル、鉄部、FRB、硬質塩ビ、アクリルリシン・吹付けタイル・その他旧塗膜の塗り替え改修 |
---|---|
つや | つや有り・3分・5分・7分 |
施工方法 | ハケ、ローラーに適応 吹付け可 |
使用量 | 0.14(kg/m²/回) |
1液ファインウレタンU100 フラットベース
つや消し剤です。現場で1液ファインウレタンU100のつやを調整する際に使用します。
1液ファインウレタンU100 弾性添加剤
1液ファインウレタンU100に混ぜることで、弾性を持たせる添加剤です。クラックに強くなります。
3. 水性ファインウレタンU100
人体や環境に優しい水性のファインウレタンU100です。
ファインウレタンU100などの油性塗料は、化学物質が含まれた液体を混ぜて使用します。一方、水性塗料は水で薄めて使うため、塗料独特のシンナー臭が弱いのが特徴です。
適用下地 | コンクリート、モルタル、ボード類、鉄部、木部 |
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色相 | 淡彩~濃彩色(つや消しは淡彩色のみ) |
つや | つや有り、7分つや有り、5分つや有り、3分つや有り、つや消し |
施工方法 | ハケ、ウールローラー:希釈率0〜10% エアレススプレー:5~10% |
使用量 | 0.13〜0.16(kg/m²/回) |
4. ファインウレタンU100 木部用クリヤー
ファインウレタンU100を木部用のクリア塗料にしたものです。透明なので、木目の自然な風合いをそのままに建材を保護します。
弾力性に優れており、柔らかい塗膜が気温差や湿度差による収縮・膨張が激しい木製外壁にも柔軟に追従します。着色した木材の上からでも塗布が可能です。
適用下地 | 檜、杉、ラワン、米松などの木部 |
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つや | つや有り・5分つや有り・全つや消し |
施工方法 | ハケ、ローラーに適応 吹付け不適 |
使用量 | 0.11(kg/m²/回) |
ファインウレタンU100で塗装できるもの
ファインウレタンU100は、下塗りから上塗り、幅広い素材に使用できる塗料です。
比較的リーズナブルな価格で使いやすく、とくに建物の軒天・雨戸・雨樋・幕板・戸袋・水切り・笠木といった、付帯部の塗装に最適です。
一方で、ファインウレタンU100は、外壁塗料として使用されることが多いシリコン塗料、フッ素塗料、無機塗料といったグレードの高い塗料と比較して、耐用年数が短めです。
そのため、紫外線や雨風に晒され続ける外壁への塗装に使用するには、耐久性の面で不安が残ります。
外壁にはある程度高い耐久性を求めたいという場合は、シリコン塗料以上のグレードの塗料を使用した方がよいでしょう。
塗料はグレードが高いほど耐久性が上がり、それに比例して費用も高くなります。
外壁に耐久性の高い塗料を塗装しながら、できるだけコストを削減したい場合は、外壁の広い面と、建物の付帯部の塗料を使い分ける方法がおすすめです。
建物の付帯部は、塗装で保護するというより、使用されている素材そのものの強度が重要です。そのため、外壁のようにグレードの高い塗料を使用しなくても、建物自体の耐久性に大きな影響を与えません。
外壁にはグレードの高い塗料、付帯部にはグレードを落としたファインウレタンU100やそのシリーズを塗装すれば、その分の塗装工事費用を抑えられます。
ファインウレタンU100の施工方法
ファインウレタンU100を使う際は、ほかの外壁塗料同様、下塗り・中塗り・上塗りの3回にわけて塗装します。
ファインウレタンU100の塗装方法は次のとおりです。
1. 下塗り(下塗り用塗料の塗布)
下塗りは、高圧洗浄やケレン作業などの下処理を終えた下地に、下塗り材を塗布する作業です。
塗膜の耐久性を左右する大切な作業のため、丁寧な仕事が求められます。乾燥時間は使用する下塗り用塗料によって異なりますが、大体4〜6時間程度です。
2. 下塗り(1回目のファインウレタンU100塗布)
中塗りは、完全に乾燥した下塗りの上に1回目のファインウレタンU100を塗る作業です。
中塗りと上塗りは同じ上塗り用塗料を使用します。塗装をムラなく均一に仕上げるために重要な作業なので、中塗り作業を省く業者は信用できません。ファインウレタンU100を使用した場合の中塗りの乾燥時間は2時間程度です。
3. 上塗り(2回目のファインウレタンU100塗布)
中塗りが乾燥したら、最後に2回目のファインウレタンU100を塗布します。完全に乾燥したら、塗装の完了です。
ファインウレタンU100に使える下塗り用塗料
ファインウレタンU100で塗装する際に使用する下塗り材には、次のような種類があります。
塗装部位や環境によって、上手に使い分けることがポイントです。
1. ニッペパーフェクトフィラー
水で薄めて使用する水性の下塗り用塗料です。クラックに強いため、モルタル面やコンクリートなど、ひび割れやすい外壁の下塗りに適しています。
塗装面の密着性を高めるシーラーと、下地のデコボコや段差を平らに均すフィラー、両方の役割を担えるため、汎用性の高い下塗り用塗料として一般的に広く使用されています。
2. ニッペパーフェクトプライマー
高い防錆性から、金属系サイディングを塗装する際によく使用されている下塗り用塗料です。耐屈曲性・密着性に優れているため、柔軟性のあるFRP、硬質塩化ビニル、木材といった素材にも適しています。
ホワイトとダークグレーの2色で、軒天や雨樋といった付帯部に適したカラー展開です。
3. ニッペパーフェクトサーフ
窯業系サイディングへの塗装に使用されることが多い下塗り用塗料です。カバー力が高く、防カビ・防藻、クラック予防にもなるため、モルタルやコンクリート外壁の塗り替えにもよく使われています。
傷んだ塗装面や、塗料を吸い込みやすい外壁材に塗布することで、上塗り用塗料の吸い込みを抑え、表面にしっかり塗膜を作ることができます。
4. ニッペアンダーフィラー弾性エクセル
シーラーとフィラー、2つの機能を併せ持った下塗り用塗料です。弾性のため、外壁材や下地の膨張・収縮に強く、クラックを防ぐ効果があります。きめ細やかで光沢のある仕上がりが特徴です。
水で薄めるだけで使用できる1液型で、速乾性に優れているため、小さい面積を塗り直す際に使いやすいというメリットがあります。
5. ハイポンファインプライマーⅡ
錆止め用の下塗り塗料です。鉄部に使用するのが一般的ですが、塗装面のカバー力に優れ、乾きも早いため、既存の外壁を塗り替える際にも利用されています。
6. ニッペ1液ファインウレタンU100木部用下塗
木部の塗装に適した下塗り用塗料です。速乾性で、塗料を吸い込みやすい木材の表面をしっかりカバーします。上塗り塗料が吸い込まれることなくぴったりと密着し、木部の表面を保護することができます。
7. ニッペDANフィラーエポ
弾性ファインウレタンU100に適用可能な下塗り用塗料です。弾性のため、コンクリートやモルタルといったひび割れしやすい外壁に適しています。
まとめ
外壁用塗料ファインウレタンU100は、その使いやすさやリーズナブルな価格帯、性能面で、幅広い用途に使用できる万能塗料です。
防錆・防藻・防カビ性に優れており、鉄部や木部なと、建物の付帯部の塗装に最適です。
一方で、ファインウレタンU100は塗装グレードの低いウレタン樹脂塗料のため、シリコンやフッ素などグレードの高い塗料に比べ、耐久性が低いというデメリットがあります。外壁や屋根材への塗装にはあまり向いていません。
外壁にはシリコン、付帯部にはファインウレタンU100といったように、部位によって塗料を使い分けることで、塗装工費費用を削減できます。
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