水性塗料と油性塗料の違いとメリット・デメリットは?

  • 【更新日】2021-04-23

屋根や外壁の塗り替えに使われるさまざまな塗料。
本記事は、塗料のなかでも「水性塗料」の知識を公開いたします。

・水性塗料のメリット、デメリット
・自宅のリフォームでは、水性塗料と油性塗料どちらを選ぶべきか?

について、初めて塗料について調べる方でも分かるよう解説していきます。

先に結論からお伝えすると、
水性塗料と油性塗料のどちらを使うか迷った場合、ほとんどの場合は水性塗料を選んでおけば問題ありません。

その理由と背景を、詳しく見ていきましょう。

Point

  • 水性塗料の耐久性は油性塗料に追いついている
  • 水性塗料は油性塗料よりも「安全性・低刺激性・扱いやすさ」に優れる。
  • 反対に、「塗装可能な素材の多さ」「速乾性」は油性塗料に分がある
  • 家庭内や隣家へのニオイが気にならないため、今は水性が主流

  • 私の家だといくら?


    水性塗料の特徴、メリット・デメリットは?

    価格

    まずは価格についてです。

    水性塗料は油性塗料に比べて安いものが多くなっています。

    外壁塗装を検討するときに誰しもが気になるこの価格という面で、水性塗料は油性塗料よりも安く、手を出しやすいものになっています。

    性能面で不安があるかもしれませんので、次の項からは性能面について解説していきます。

    耐久性

    次に耐久性についてです。

    以前は、油性塗料に性能面で劣っていると言われていましたが、水性塗料の性能が進化し、耐久性についても油性塗料に劣らないものも登場してきました。

    現在は、油性塗料と比べて、水性塗料の耐久性が低いということはないと言っていいでしょう。

    水性塗料のほうが、油性塗料より臭わない

    塗装を行う際にご近所の方に気を遣うことは多くあるでしょう。

    ご近所回りをして、その時に塗料のにおいがするのでとお知らせする場面も見かけます。

    その点で水性塗料はあまり臭いがしません。

    油性塗料は弱溶剤系でもシンナー臭がするといわれます。

    水性塗料はその臭いがあまりないため、周りに住宅の多い場面で役立つ塗料です。

    水性塗料のほうが、油性塗料より可使時間が長い

    塗料は使用時間に限りがあります。

    ペンキを例にすると、乾いてしまって使えないという経験があるのではないでしょうか。

    水性塗料は蓋をすれば翌日までは使用することができます。

    油性塗料は当日中の数時間内が使用期限となっているものが多く、素早く塗装するときに向いている塗料といえるかもしれません。

    水性塗料のほうが、油性塗料より乾燥がおそい

    水性塗料はその名の通り水性のものです。

    気温5℃以下では乾燥が遅くなるものもあります。

    油性塗料はその点気温・湿度に影響を受けにくい塗料ですので、時間をかけにくい場合には油性塗料が適しているかもしれません。

    水性塗料のほうが、油性塗料より安全性が高い

    水性塗料のVOC(*)量は油性の1/4~1/9以下となっています。

    油性塗料は必ずVOCを含み、それが少ない水性塗料は安全な塗料といえるでしょう。

    環境や人の健康に対して良い水性塗料は現代にあった塗料といえます。


    *VOC:揮発性有機化合物。光化学スモッグやシックハウス症候群の原因物質であり、粘膜を通して生き物にも影響を与える。


    DIY

    最後にDIYについてです。

    水性塗料は素人でも塗装・保管がしやすい塗料となっています。

    それに比べて、油性塗料は取り扱いが難しい塗料です。

    水性塗料は水性ペンキではありませんが、それでも扱いやすい塗料であることには違いありません。

    DIYを検討されている方は以下の記事もご覧ください。


    私の家だといくら?

    そもそも水性塗料って? 「溶媒」で分かれる水性と油性

    水性塗料とは、「溶媒」に水を使用した塗料を指します。

    塗料における「溶媒」とは、顔料(着色)成分や樹脂成分が溶け込んだ液体のことです。
    塗装後、塗料中の溶媒は時間とともに蒸発し、乾いた塗膜には残りません。

    溶媒にシンナーなどの有機溶剤を使用していれば、その塗料は「溶剤系(油性)」
    水を使用していれば「水系(水性)」となります。

    そして水を溶媒に使用しているため、上記の表にも合った通りにおいがきつくなく、扱いやすい塗料です。

    製品次第にはなりますが、耐久力がないということもなく、扱いやすい塗料ということで、広く使用されるようになっています。

    それならなんでも水性塗料でいいのではないかと感じる方もいるでしょう。

    次の章でその疑問にお答えします。

    水性塗料の使い所は? 油性塗料との使い分けはどうすればいい?

    水性塗料が向く 油性塗料が向く
    • 近隣にニオイで迷惑をかけたくない
    • ニオイに敏感な家族、子供、ペットがいる
    • 塗料代を抑えたい
    • DIYで作業する
    • 屋内を塗る
    • 換気の難しい部分(ガレージなど)を塗る
    • 塗膜の耐久性を念入りに高めたい
    • 気温5℃以下の環境で作業したい
    • 光沢の強い仕上がりにしたい

    水性塗料は、どんな場合にも広くオススメ

    前述の通り、水性塗料の耐久性が向上した近年では、臭気の少ない水性塗料が数多く選ばれるようになりました。

    水性塗料のデメリットに、「塗装できる素材の少なさ」がありましたが、
    以前は適さなかった「金属部分」に塗ることができるものも登場しています。

    以下のような場合は、水性塗料のメリットである「低刺激」「低臭気」が活きるので、使用検討を特にオススメします。

    • 家庭に子供やペット、ニオイの苦手な人がいる
    • 目や喉の敏感な人がいる
    • 隣家にシンナー臭が届くのが気になる
    • 万一の引火を避けたい(敷地内に作業機械などがある場合)


    水性塗料を積極的に使用したい場合は、施工店に希望を伝え、外壁・屋根ともに水性塗料を使ってもらうようにしましょう。

    油性塗料は、耐久性に念を入れておきたい箇所に

    耐久性の差は縮まっているものの、構造上は油性塗料のほうが耐久性のある塗膜を作れるのもまた事実です。
    理由は、油性塗料のほうが塗装した下地に強固に付着するためです。

    もし、もともと劣化がとくに目立っていた部分があれば、念のために油性塗料を使用すれば、耐久性に安心感を得られます。

    また、冬場にリフォームを行う場合、寒冷地では水性塗料の乾燥がうまく進まない場合が考えられます。
    その場合も、油性塗料であれば、雨天や夜間でない限り問題なく乾燥するでしょう。

    塗料のニオイこそ発生しますが、「耐久性への期待」「施工時期」によっては、油性塗料を選択するのも手です。

    塗料と絵の具の「水性・油性」は異なる
    絵画に使う「絵の具」も、広い意味では塗料の一部です。しかし、絵の具の「水性」「油性」は、住宅用塗料の「水性」「油性」とは異なります。
    「水性絵の具」の場合、絵の具が乾いたあとでも、水で濡らすと色が溶け出してしまいます。紙に塗った塗料なら、そのほとんどを水で落とすこともできるでしょう。
    しかし、住宅用「水性塗料」は、一旦乾燥すると雨で塗れても塗料が溶け出すことはありません。これは、含まれている樹脂が乾燥後に塗膜を形成し、少々の水や雨程度では影響を受けなくなるためです。

    水性塗料にはどんなものがあるの? オススメの水性塗料は?

    屋根にオススメ

    「水性シリコンベストII」

    名称 水性シリコンベストII
    メーカー 日本ペイント株式会社
    分類 1液水性シリコン樹脂塗料
    適用下地 住宅用化粧スレート屋根
    色・光沢の種類 ツヤ有り24色・ツヤ消し4色
    設計価格 2,620円/㎡~
    耐用年数 8~13年

    スレート屋根向けの水性シリコン樹脂塗料。
    「2大塗料メーカー」に数えられる、日本ペイントが製造販売を行っています。
    シックハウス症候群の原因にもなる「ホルムアルデヒド」をまったく含まないため、安全・低刺激を求める人にオススメです。

    「アクアヤネフッソ」

    名称 アクアヤネフッソ
    メーカー 関西ペイント株式会社
    分類 水性1液型フッ素樹脂塗料
    適用下地 新生(セメント)瓦、セメント製スレート
    色・光沢の種類 ツヤ有り・メーカー標準色に準じる
    設計価格 3,800円/㎡~
    耐用年数 約15年

    もうひとつの「2大塗料メーカー」、関西ペイントが製造する水性フッソ樹脂塗料
    窯業系屋根材(粘土瓦、セメント製スレート)に向いています。
    耐用年数が約15年と、屋根用の塗料としては長めなため優秀です。

    「ガイナ」

    名称 GAINA(ガイナ)
    メーカー 株式会社日進産業
    分類 1液水性シリコン樹脂塗料
    適用下地 屋根・外壁
    色・光沢の種類 ツヤ消し/基本52色
    設計価格 約5,000円/㎡~
    耐用年数 15~20年

    「日進産業」という、本品だけを扱うメーカーが製造販売する水性シリコン塗料
    屋根だけでなく、外壁にも使うことができます。

    長い耐久年数に加えて、「遮熱」「断熱」の効果をもっています。
    同効果により、建材の熱劣化をおさえ、夏冬の空調効率アップ=電気代の節約も期待できます。

    ガイナについて詳しく知りたい人は、下の記事をご覧ください。

    外壁にオススメ

    「プレミアムシリコン」

    名称 プレミアムシリコン
    メーカー エスケー化研
    分類 1液水性シリコン樹脂塗料
    適用下地 サイディング・モルタル・コンクリート・ALC・スレート板など
    光沢の種類 4種
    「ツヤあり」「5分ツヤ」「3分ツヤ」「ツヤ消し」
    設計価格 約2,600円/㎡~
    耐用年数 13~16年

    汎用シリコン塗料と同等価格ながら、上のグレードであるフッ素塗料に近い耐用年数があることで人気の「ラジカル制御型塗料」のひとつです。
    ラジカル塗料のなかでもコストパフォーマンスがよく、オススメの製品です。

    「プレミアムシリコン」について詳しく知りたい人は、下の記事をご覧ください。

    水性セラタイトF

    名称 水性セラタイトF
    メーカー エスケー化研
    分類 2液水性フッ素樹脂塗料
    適用下地 コンクリート、セメントモルタル、スレート板、ALCパネル、各種乾式ボード、各種旧塗膜など
    光沢の種類 3種
    「ツヤあり」「5分ツヤ」「3分ツヤ」
    設計価格 約2,600円/㎡~
    耐用年数 15~20年

    高グレード品であるフッソ塗料としては非常に価格が手頃で、耐用年数も優秀な塗料です。
    汚れが付きにくく、雨でセルフクリーニングされる「超低汚染(性)」という機能があります。

    私の家だといくら?


    まとめ:水性塗料を選んでおけばまず失敗ナシ

    水性塗料の「耐久性」「適用下地の豊富さ」が油性塗料と同等に近づいた結果、シンナー臭がしない水性塗料が多く選ばれるようになりました。

    ヌリカエ編集部としても、ほとんどの場合で水性塗料がオススメできると考えています。

    一方で、塗料の耐久性には、水性・油性の違いだけでなく、樹脂の種類など他の要因も強く影響します。

    樹脂のグレードや、よりコストパフォーマンスの高い塗料についても知ることができると、よりよいリフォームに近づくはずです。

    その際には、本記事内での塗料の紹介のほか、ヌリカエの他の解説コラムもぜひお役立てください。

    最後に、本記事の要点を振り返ってみましょう。

    水性塗料と油性塗料の性能はどう違うの?

    水性塗料は、価格の安さ・扱いやすさ・ニオイの少なさに優れています。油性塗料は、耐久性・乾燥の速さに優れています。詳しく知りたい方は水性塗料の特徴、メリット・デメリットは?をご覧ください。

    水性塗料と油性塗料の成分は何が違うの?

    樹脂や顔料をとかしている「溶媒」に、水を使っていれば水性塗料。溶剤(シンナー等)を使っていれば油性(溶剤系)塗料です。詳しくはそもそも水性塗料って? 「溶媒」で分かれる水性と油性をご覧ください。

    水性塗料はどんな場所の塗装に向いている?

    どんな場所にも幅広くおすすめです。近年は水性塗料の耐久性も油性塗料に追いついてきており、家全体を水性塗料で塗装する例も増えてきました。詳しくは水性塗料は、どんな場合にも広くオススメをご覧下さい。

    油性塗料はどんな場所の塗装に向いている?

    耐久性を念入りに高めておきたい場所におすすめです。また、冬場は水性塗料の乾燥に時間がかかるため、油性塗料が選択される場合もあります。詳しくは油性塗料は、耐久性に念を入れておきたい箇所にをご覧ください。

    最後までお読みいただき、ありがとうございました。

    ▼インターネット
    環境省「すぐにできるVOC対策」

    日本ペイント 水性シリコンベストII
    日進産業 ガイナ

    エスケー化研 プレミアムシリコン

    エスケー化研 水性セラタイトF

    ▼書籍
    小林敏勝『わかる! 使える! 塗料入門』(日刊工業新聞社 2018)
    平野八州夫『住まいのリフォーム 外壁塗り替え塗装入門』(慧文社 2008)

    ▼専門家(ヒアリング)
    株式会社POD 代表 長谷川佳広 氏

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