陸屋根(ろくやね)とは、平屋根とも呼ばれている傾斜のない平面上の屋根のことです。
シンプルな形状から近年増加している狭小住宅への活用も増えており、人気を博しています。
本記事では、陸屋根を検討している方へメリット・デメリットから防水工事の必要性までを解説していきます。ぜひ、参考にしてみてください。
陸屋根とは?

陸屋根とはフラットな形状で傾斜のない平面上の屋根のことで、平屋根とも呼ばれています。
近年では陸屋根の需要が増加してきており、一般住宅にはもちろんのこと、屋上施設に設置できることからビルやマンションなどの高層建築物にも多く採用されています。
陸屋根は雨水が溜まりやすいという背景から木造住宅への施工は不向きでした。しかし、防水技術が進歩したことで木造住宅への設置も増え、屋上スペースの有効活用をする例も増えてきています。
陸屋根のメリット
陸屋根には、以下4のメリットが主に挙げられます。
陸屋根のメリット
- 建設コストを抑えられる
- 屋上スペースが活用できる
- シンプルな外観デザインが人気している
- 点検やメンテナンスがしやすい
メリット① 建設コストを抑えられる
陸屋根を設置する際は瓦を葺く必要がありません。そのため建設コストを抑えることにもつながります。さらに陸屋根は傾きがないため、転落する危険性がほとんどありません。
従来の点検に必要だった足場の設置が不要になるなど、メンテナンスコストを抑えることも可能です。
メリット② 屋上スペースが活用できる
フラットな形状の陸屋根を採用することで、屋上にスペースが生まれます。
勾配がないため屋上庭園を設けてガーデニングを楽しんだり、洗濯物を干すスペースとして有効活用が可能です。
さらに太陽光発電を設置するなど。利用方法は多種多様になっています。
メリット③ シンプルな外観デザインが人気している
陸屋根は建物がスタイリッシュな見た目になるため、デザインの観点からも採用例が増えています。
モダンな印象を与え、現代の建築デザインに多いシンプルさも相まって、人気を博しています。
戸建て住宅では屋上施設や屋上緑化としての利用も多くあるため、検討する際は参考にしてみてください。![]() |
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陸屋根を採用した一般住宅の例 |
メリット④ 点検やメンテナンスがしやすい
陸屋根は危険性が少なくフラットな形状なため、屋上スペースとして活用するように設計すれば気軽に出入りが可能です。
屋根のメンテナンスは業者へ依頼することが基本ですが、簡単な点検やメンテンナンスであれば自分たちで行えるようになります。
さらに通常のメンテナンスと比較して足場代を削減できるなど、コスト面でもメリットがあります。
陸屋根のデメリット
陸屋根のデメリットとしては、以下の3点が挙げられます。屋根勾配がないことから、陸屋根は以下のようなデメリットも抱えています。
陸屋根のデメリット
- 最上階の温度調整が難しい
- 屋根裏のスペースが確保できない
- 水はけが悪い
デメリット① 最上階の温度調節が難しい
陸屋根はフラットな形状であることで、屋根と室内の天井との間でスペースがなくなります。
そのため最上階の部屋は、屋根に降り注ぐ太陽光の熱が直接伝わるような設計になります。
夏は暑く、冬は寒い環境になってしまうため、断熱材や断熱塗料を活用するなど対策をあわせて考えることが大切です。デメリット② 屋根裏のスペースが確保できない
フラットな形状である陸屋根を設置することで、屋根裏のスペースは限られてしまいます。
勾配のある屋根よりも屋根裏のスペースは生まれないため、収納スペースやロフトとしての活用は難しいでしょう。ある程度の収納スペースを確保したい場合には、設置前に業者と相談しておくことが大切です。
デメリット③ 水はけが悪い
陸屋根は平面であるため、勾配のある屋根と比較すると、水はけが悪い設計になっています。
水はけが悪いと雨水が溜まりやすく、コケやカビの発生にもつながるとともに、雨漏りのリスクも高まります。こうしたトラブルを防ぐために、陸屋根には防水工事をあわせて施すことが大切です。
陸屋根に防水工事は必須
陸屋根を設置する場合は、雨漏り対策のための防水工事は必須です。
なお、防水の効果は10~13年程度で劣化し、塗り替えが必要なことも押さえておきましょう。
定期的なメンテナンスを行うことで、長く安心した住まいを確保できます
陸屋根に防水工事を行わなかった場合
陸屋根に防水工事を施さなかった場合、雨漏りのリスクが高い状態の家になってしまいます。
材質がコンクリートや金属だったとしても、建材の内部には徐々に水が染み込み、腐食などの劣化につながります。
劣化が進行すると最悪の場合、家を手放す必要も出てきてしまうため、陸屋根の防水性は非常に重要です。陸屋根の防水工事の種類は?
陸屋根に施される防水工事には、以下の4種類があり、特徴や維持費用が異なります。
一般的なのは、場所や環境を選ばないウレタン防水です。
新しい家の陸屋根や、小さめのバルコニーの床等では、FRP防水もよく見られます。
防水工法 | 工事費用 | 特徴 |
---|---|---|
FRP防水 | 12,000~15,000円/㎡ |
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ウレタン防水 | 7,600~10,200円/㎡ |
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シート防水 | 6,300~8,400円/㎡ |
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アスファルト防水 | 7,000~10,000円/㎡ |
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①FRP防水

FRP防水とは、床に張ったガラス繊維を樹脂でコーティングする防水工事です。
FRP防水の耐用年数は10~12年、工事費用は1㎡あたり「12,000~15,000円」が目安になります。
施工後は約5年おきに表面のコーティングの塗り替え等のメンテナンスが必要となります。
陸屋根をFRP防水するメリット
- 強度が高く、人の出入りが多くても安心
- 軽量なため、木造の様に耐荷重性の低い家屋にも向いている
陸屋根をFRP防水するデメリット
- 伸縮に弱く、広い面積の陸屋根には適さない(15~20㎡以上)
- 表面(トップコート)は、5年おきに塗り替えが必要
「FRP防水」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「FRP防水とは? メリット・デメリット、かかる費用を徹底解説」
②ウレタン防水

ウレタン(塗膜)防水とは、陸屋根の床にウレタン樹脂を重ね塗りする防水工事です。
ウレタン防水の耐用年数は10~12年、工事費用は1㎡あたり「7,600~10,200円」が目安になります。
施工後は約5年おきに表面層の塗り替えメンテナンスが必要です。
陸屋根をウレタン防水するメリット
- 広さや形状などの成約が無く、他の防水工事が適さない陸屋根に向く
- 既存の防水の上から施工可能
陸屋根をウレタン防水するデメリット
- 工期が長くなりがち
- 塗膜の耐久性が低く、人の出入りが多い場所や重たい物を設置する場所には不向き
「ウレタン防水」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「ウレタン防水のメリット・デメリットは? 他の防水工事と特徴・費用を比較」
③シート防水

シート防水とは、塩化ビニル製やゴム製のシートを陸屋根の床に張りつける防水工事です。
シート防水の耐用年数は10~15年、工事費用は1㎡あたり「6,300~8,400円」が目安になります。
施工後は継ぎ目等や破れのメンテナンスをし、耐用年数を迎えたあとは再工事が必要です。
施工方法には、シートを床に直に接着する「密着工法」と、シートと下地の間に空気が通る「機械式固定法」の2つがあります。
陸屋根をシート防水するメリット
- 施工費用・メンテナンス費用共に安価
- シートの色やデザインも豊富
陸屋根をシート防水するデメリット
- 1箇所の亀裂や穴の影響が大きい
- 施工実績のある業者に依頼しないと失敗しやすい
④アスファルト防水
アスファルト防水とは、熱した液状のアスファルトで床に防水シートを張っていく防水工事です。
アスファルト防水の耐用年数は15~25年、工事費用は1㎡あたり「7,000~10,000円」が目安になります。
アスファルト防水層は非常に頑丈なのでメンテンナンスの必要はほぼありません。
陸屋根をアスファルト防水するメリット
- 防水性が高く耐久性がある
- 歴史のある工法のため、信頼性も高い
陸屋根をアスファルト防水するデメリット
- 重量が大きく家に負担をかける
- 施工時に強い臭いや煙が出ることがある
メンテナンスは「5年に一度のトップコート」

防水工事をした陸屋根の床を長持ちさせるには、約5年おきにトップコート(表面の保護材)の塗り替えをしましょう。
5年サイクルでトップコートを塗り替えることで、床の劣化が防水層に達する前にメンテナンスできますので、維持費を最大限安くすることができます。
トップコートの塗り替え費用は1,500~2,500円/㎡が目安になります。
「防水工法の比較や維持費」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「陸屋根の防水工事4種を徹底比較! オススメは「塩ビシート」防水」
陸屋根のまとめ
陸屋根の概要からメリット・デメリット、防水工事の必要性までを解説しました。
陸屋根のリフォームや修理・補修をお考えの際は、専門の防水工事業者に相談すると、安くて高品質な工事を受けられるためオススメです。
当ページからも、あなたの家のリフォーム適正金額や、業者からの相見積りを取り寄せることができますので、この機会にご利用いただければ幸いです。