本記事は、ご自宅のベランダや陸屋根(屋上)の防水工事をお考えの方に向けて、
・FRP防水とはどんな工事か?・FRP防水は自分でできるのか?
・FRP防水のメリット・デメリットは?
・FRP防水のトップコートを塗り替える目安は?
という疑問を解消できる解説を行いました。
特に、FRP防水「以外」の工事方法についても、特徴紹介と性能や費用の違いについて比較を行っています。
- FRPとは「防水用のプラスチック繊維」のこと
- FRP防水は軽くて丈夫。防水性も高いのが特徴
- FRP防水は費用が少し高いのと、施工できる場所をやや選ぶのが弱点
私の家だといくら?
FRP防水とは?
FRPとは?
FRPとは、「繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics)」の略称です。
住宅の防水に使われるFRPは、ガラス繊維を混ぜたプラスチック樹脂で、白いシートのような外見をしています。
FRPは、バスタブや自転車のボディパーツ、ロケットなど、防水性に加えて「軽さと強度」が同時に求められる場面で使われています。
FRP防水とは?
FRP防水とは、木やコンクリートで作られた床の上にFRPのシートを敷き、その上に樹脂を塗って硬化させる方法です。
硬化後は、プラスチックのような硬さの感じられる床面になります。
また、そのままでは紫外線に弱いため、保護のため「トップコート」という塗料が重ね塗りされます。
FRP防水は、住宅のベランダやバルコニー、陸屋根(屋上)のほか、ビルやマンションの屋上などにも幅広く使われています。
FRP防水の工程
- 床面の清掃
- プライマー(下塗り材)の塗布
- シート状のFRPを敷く
- ポリエステル樹脂で固める
- 「3.」「4.」をもう一度繰り返す(重ね張り)
- トップコート(表面保護の塗料)を塗る
FRP防水の工事は、1~2日で済むのが特徴です。
これは防水工事のなかで最も短い工期となります。
私の家だといくら?
FRP防水のメリット・デメリットは?
FRP防水のメリット
メリット① 高い水密性(防水性)
FRPは風呂の浴槽や宇宙ロケットなど、建築物よりもはるかに防水性が求められるものにも使われている素材です。
水を通さない力においては他の防水工法よりも高い「水密性」をもっています。
メリット② 非常に丈夫
FRP防水が施された床面は、固くて丈夫な仕上がりになるため、耐荷重性・耐摩擦性に優れています。 そのため、人や車の往来が多い屋上駐車場にも使用される防水工法です。
メリット③ 最も軽量
FRP防水層は、1平米あたり4kg前後と他の防水層に比べて非常に軽量です。
そのため、築年数が経った住宅のベランダなど、重さに弱いであろう住宅に向いています。
メリット④ 工期が短い
FRP防水は、塗膜の乾燥を待つ工程が少ないのも特徴です。
唯一、乾燥待ちが必要なトップコートの樹脂も、数時間程度で乾燥します。
そのため、トップコートを何層か塗り重ねる工事であっても、わずか1~2日で防水工事が完了します。
FRP防水のデメリット
デメリット① 費用がやや高め
FRPは防水工事の方法のなかでも、施工費用・メンテナンス費用がやや高めです。
詳しくは、次章で解説しています。
デメリット② 施工場所をやや選ぶ
FRP防水は、「木造」かつ「広い面積」(10㎡以上目安)の床面には施工できません。
理由は、FRPの防水層は固くて伸縮性が少ないためです。
もしそのような場所をFRP防水で工事すると、熱や湿度による変形ですぐにヒビが入ってしまう可能性があります。
私の家だといくら?
FRP防水にかかる費用は?
FRP防水の工事にかかる費用
FRP防水工事の際にかかる費用は、一般的な広さのベランダで約10~15万円です。
工事費用の内訳は、周囲の養生費用が1万円、高圧洗浄費が2,000円、下地補修代が2~3万円、FRP防水の施工に5~8万円、消費税が1万円です。
30年間でみた「FRP防水」にかかる維持費用
メンテナンスは5~6年に一度、表面の樹脂(トップコート)を塗り替えていく作業を行います。FRP自体の寿命は10~12年です。
30年間でみたメンテナンス費用は、1㎡あたり「24,300円」と、安さでは4工法中3位になります。
経過年数 | メンテナンス内容 | メンテナンス費用(1㎡単価) |
---|---|---|
0年目 | 新規施工 | 約5,800円 |
6年目 | トップコート塗り替え | 約2,300円 |
12年目 | 寿命・張り替え | 約5,800円 |
18年目 | トップコート塗り替え | 約2,300円 |
24年目 | 寿命・張り替え | 約5,800円 |
30年目 | トップコート塗り替え | 約2,300円 |
累計 | 約24,300円 |
私の家だといくら?
FRP防水がオススメなのはどんな人?
ご紹介した「メリット・デメリット」「費用の比較」をもとに、FRP防水がもっとも向いている場合を整理しました。
「FRP防水」はこんな人にオススメ- ● 工事場所によく人が出入りする
- ● 施工場所に重いものを置く
- ● 工事を早く終わらせたい
- ✔ 床面が木造かつ面積が広い(15~20㎡以上)
- ✔ メンテナンス間隔が短いとイヤ
FRP防水とその他の防水工事の比較
ベランダや陸屋根に用いられる防水工事には、FRP防水のほかに「ウレタン防水」「シート防水」「アスファルト防水」の3種類があります。
それぞれにかかる費用と一緒に、メリット・デメリットも比べてみましょう。
比較項目 | FRP防水 | ウレタン防水 | シート防水 | アスファルト防水 |
---|---|---|---|---|
メリット | 軽くて高耐久 上を歩きやすい |
場所を選ばず工事可 | 施工費用、維持費用ともに安い | 高耐久 |
デメリット | メンテナンス間隔が短い 伸び縮みに脆い |
耐用年数がやや短い | 場所をやや選ぶ | 重くて工事が大掛かり |
よく用いられる場所 | ベランダ | オールマイティ | 陸屋根(屋上) | 広い陸屋根 |
工事できない場所 | 木造かつ広い床面 | とくになし | 凹凸や傾斜のある場所 強風の多い場所 |
高重量が想定されていない場所 |
工事費用 | 4,000円~7,500円/㎡ | 3,000円~7,000円/㎡ | 2,500円~7,500円/㎡ | 5,500円~8,000円/㎡ |
維持費用(30年) | 24,300円/㎡ | 19,200円/㎡ | 16,800円/㎡ | 24,750円/㎡ |
>> ウレタン防水のメリット・デメリットは? 他の防水工事と特徴・費用を比較
私の家だといくら?
FRP防水のトップコートを塗り替える目安
FRP防水のトップコートを塗り替える時期の目安は、およそ7年~10年に1度です。
トップコートは、風雨や紫外線の影響を受け、日々劣化しています。
放置してしまうと、トップコートにチョーキング現象、ひび割れ・剥がれといった症状が起きます。
定期的にトップコートを塗り替えることで、FRP防水の劣化スピードを遅らせることができますよ。
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FRP防水の工事業者の選び方・探し方は?
以上が、FRP防水工法についての解説と、他の防水工法との比較になります。
最後に1点、FRPの防水工事を検討中の方によくある不安を解消したいと思います。
防水工事をする際、業者の腕や提示費用に不安がある場合は、複数の業者から「相見積もり」をとることがオススメです。
FRP防水に相見積もりをとるメリット
3社ほどの業者から相見積もりをとることで、
- ・適正金額が見えてくる
- ・業者の説明力や人柄が比べられる
- ・感じの悪い業者を避けられる
というメリットがあります。
FRP防水はとくに、熟練した業者に依頼する必要性の高い工事ですので、1社だけとやりとりをして決めてしまうのはややリスキーと考えられます。
業者の心当たりがないときは
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FRP防水は自分でできる?
FRP防水は、トップコートの塗装であればDIYは可能です。
ただしFRP防水を自分(DIY)でイチから行うことは、おすすめできません。
FRP防水は、正しい知識と高い技術力が必要となる工事です。
またトップコートは手に入りづらく、施工時に発火しやすいものもあります。
自分で行い失敗するリスクを考えると、最初から業者に依頼すると後悔しないでしょう。
私の家だといくら?
記事のおさらい
FRP防水とは何?
ベランダや屋上の床面をガラス繊維のシートで覆ったあと、表面を樹脂で固める防水工法です。軽さと強度に優れています。詳しく知りたい方はFRP防水とは?をご覧ください。
FRP防水のメリットは?
「防水性が高い」「固くて丈夫」「軽量で建物に負担が少ない」などが挙げられます。詳しくはFRP防水のメリットをご覧ください。
FRP防水のデメリットは?
「費用がやや高め」「広い面積の床面には施工できない」などが挙げられます。詳しくはFRP防水のデメリットをご覧下さい。
FRP防水にかかる費用はいくら?
一般的な広さのベランダで「10~15万円」が目安です。費用の内訳は、養生費用が1万円、高圧洗浄費が2,000円、下地補修代が2~3万円、FRP防水の施工に5~8万円、消費税が1万円です。詳しくはFRP防水にかかる費用は?をご覧ください。
以上、本記事があなたのご自宅の防水工事の検討に役立てば大変幸いです。
コラム:防水工事の用語集
FRP防水に関わるもの以外にも、防水工事の種類や用語をまとめてみました。業者の説明や資料が分からない、防水工事について自分でもっと深く調べたい場合などにお役立てください。
防水工法・関連用語など | 用語の意味 |
---|---|
ウレタン防水 | ウレタンゴムを床面に塗布して防水層を作る工法。耐用年数は10~13年程度。6~7年目にメンテナンス(トップコートの塗り替えなど)が必要。 |
FRP防水 | 床面にプラスチック繊維を敷いたあとに樹脂で固めて防水層を作る工法。耐用年数は10~13年程度。5~6年目にトップコートの塗り替えが必要。 |
アスファルト防水 | 床面にゴム系のアスファルトを溶かしながら敷いて防水層を作る工法。屋根・室内・地下などに使われる。重量があるため、ベランダには使われない。耐用年数は10~15年程度。6~7年目にトップコートの塗り替えが必要。 |
アクリルゴム防水 | 一般的に外壁に使用される。ベランダには使われない。耐用年数は10~15年程度。 |
セメント防水 | 床・壁・木造のベランダ・水槽・地下防水などに使用される。ベランダには使われない。耐用年数は10~15年程度。 |
塩化ビニル系シート防水 | シート防水の中では近年主流になっている。歩行可能で、小規模な建物や戸建て住宅・小面積の屋上などに多く採用されている。耐用年数は13~20年程度。 |
合成ゴム系シート防水 | シート防水の一種。かつては屋上で多く採用されていたが、密着工法のみで複雑な形状に対応しにくく、近年はあまり採用されていない。耐用年数は10~15年程度。 |
ポリオレフィン系シート防水 | 屋上の防水工事で使用される。耐用年数は10~15年程度。 |
エチレン酢酸ビニル樹脂系シート防水 | 屋上の防水工事で使用される。耐用年数は10~15年程度。 |
塗膜防水 | 液状の樹脂などで防水層をつくる工法。「ウレタン防水」「FRP防水」などが当てはまる。 |
複合防水 | 塗膜とシートの両方を用いて防水層を作る工法。 |
メンブレン防水 | 建物の表面を皮膜で覆う防水工法の総称。特定の防水工法ではない。「FRP防水」「シート防水」「ウレタン防水」ともにメンブレン防水に含まれる。メンブレン防水以外には、壁材などのつなぎ目を線状に埋めて防水する「シーリング防水」がある。 |
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