コロニアルは、ケイミューが販売している「カラーベスト」の商品名のことです。
コロニアルの正式名称は「薄型化粧スレート」で、カラーベストやスレートとも呼ばれています。
しかし「コロニアルって具体的にどんな特徴をのある屋根材なの?」「自宅の屋根に採用しても大丈夫?」といった疑問や不安を持たれている方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、コロニアルという屋根材の特徴や、メリットとデメリット、年代別に3つに分かれる種類の比較などについて、詳しく解説しています。
- コロニアルとは、セメントと薄い繊維質を混ぜ合わせて薄い形状にした屋根材
- コロニアルは、価格が安く耐震性への影響が少ないが、汚れがつきやすくひび割れやすい
- 2000年までに建てられた家には、アスベストが含まれたコロニアルが使われている可能性がある
「屋根材の種類と特徴」についてより広く知りたい方はコチラ
>>屋根材10種類をランキングで紹介!メリット・デメリット、価格は?おすすめ屋根材50選まとめ
この記事を監修しました

株式会社Speee
小林 成光
所有資格
外壁アドバイザー、外装劣化診断士、ホームインスペクター
専門分野
外壁工事
職業
外壁アドバイザー、外装劣化診断士、ホームインスペクター
600件以上の現地調査を実施する過程で得た専門性を生かし、日本発のネット見積もりシステムでビジネスモデル特許を取得。ヌリカエにて、外装工事の専門家として、顧客・加盟企業のサポート・コラムの監修に従事。
コロニアルとは?

コロニアルとは、セメントと薄い繊維質を混ぜ合わせて薄い形状にした屋根材です。
ケイミュー株式会社が販売している「カラーベスト」の商品名を指します。
正式名称では「薄型化粧スレート」と言います。
別名の「カラーベスト」や「スレート」と呼ばれることもあります。
コロニアルのその他の意味
アメリカやイギリスの植民地だった場所の「建築様式・家具等を模倣するスタイル」を指す場合もあります。コロニアル屋根の特徴
コロニアル屋根には、次のような特徴があります。
コロニアルの特徴
- 日本瓦と比較して、薄くて軽量。瓦屋根の3分の1程度の重量。
- カラーバリエーションが豊富。定番職の黒・茶・グレーから、グリーンまで様々な色の製品が販売されている。
- 耐用年数は20~25年。他の屋根材と比べ価格が安く、コストパーフォーマンスに優れる。
コロニアルのメリット
コロニアルは多くの住宅で使われているスレート屋根だけあって、様々なメリットがあります。
主なメリットは以下の3つです。
コロニアルのメリット
- 他の屋根材に比べて安い
- 耐震性への影響が少ない
- カラーが豊富
それぞれのメリットについて詳しく解説します。
他の外壁材に比べて安い
コロニアルは、他の屋根材と比べて価格が比較的安価である点が大きな魅力です。
セメントと薄い繊維質を混ぜ合わせて作られた薄型化粧スレートであるため、製品自体の価格が抑えられています。
また、工事も比較的容易で多くの業者が取り扱いできる点も、コロニアルが他の屋根材と比べても低価格な理由の一つです。
そのため「なるべく初期費用を抑えたい」とお考えの方にとって、おすすめな屋根材といえるでしょう。
耐震性への影響が少ない
コロニアルは、その軽量性により住宅への負担が少ないため、耐震性に優れています。日本の伝統的な瓦屋根(日本瓦)と比較すると、約3分の1程度の重量しかありません。
そのため、地震発生時の建物の揺れを軽減し、家屋全体の耐震性を高める効果に期待できます。
コロニアル以外で軽量な屋根材には「ガルバリウム鋼板」がありますが、重さではガルバリウム鋼板の方が軽いです。
耐震性への影響を強く懸念される方は、ガルバリウム鋼板を選ぶとよいでしょう。
「ガルバリウム鋼板」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「ガルバリウム鋼板とは?デメリットやデザイン例を紹介!」
カラーが豊富
デザインの多様性もコロニアルの大きなメリットです。豊富なカラーバリエーションが用意されており、住宅の外観に合わせて好みの色を選ぶことができます。
例えば、屋根材の大手メーカーであるケイミューが販売する「コロニアルクァッド」は全12色、「コロニアルグラッサ」は全23色から選ぶことが可能です。
定番の黒、茶、グレーに加え、グリーンなど様々な色があります。さらに、「コロニアルグラッサ・シャッフル」のように複数のカラーを組み合わせたデザインもあり、単色とは異なるおしゃれな屋根に仕上げられます。
塗装によっても色を変えられるため、明るい色から落ち着いた色まで多様な表現を実現できるでしょう。
「コロニアルグラッサ」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「コロニアルクァッドの屋根材の評判は?コロニアルグラッサとの違いとあわせて徹底解説」
コロニアルのデメリット
コロニアルには様々なメリットがある一方で、いくつかデメリットもあります。
コロニアルのデメリット
- 汚れがつきやすい
- 衝撃が弱くひび割れやすい
- 他の外壁材に比べて断熱性に劣る
- アスベストが含まれている可能性がある
それぞれのデメリットについて詳しくご紹介します。
汚れが付きやすい
コロニアル屋根は表面がデコボコしており、汚れが付着しやすいという特徴があります。
特に、日当たりが悪い場所や湿気の多い環境では、コケやカビが発生しやすいため注意してください。コケやカビは見た目を損ねるだけでなく、放置すると屋根の腐食や雨漏りの原因となります。
コロニアルをはじめ、屋根材は定期的な清掃や塗装によるメンテナンスを行うことが重要です。
コロニアルをはじめとした屋根材の耐用年数について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「屋根の耐用年数は何年?屋根材ごとの寿命やメンテナンス方法も解説!」
衝撃に弱くひび割れやすい
コロニアルは薄い板状の屋根材であるため、衝撃に弱く割れやすいという点もデメリットです。
強風による飛来物の衝突や、建物の動き(乾燥収縮、地震、地盤沈下など)によってひび割れや反りが発生することがあります。
一度反りやひび割れが生じると、そこから雨水が内部に浸入しやすくなってしまいます。放置すると、防水シートの劣化や雨漏りへと繋がる危険性があるため、早期の補修が不可欠です。
他の外壁材に比べて断熱性に劣る
コロニアルは軽量かつ薄いため、断熱性が比較的低いとされています。そのため、特に屋根裏などは外気温によって室温が大きく左右される可能性があるでしょう。
コロニアル自体が持つ断熱性能は限定的であるため、遮熱塗料の利用など追加の対策を検討するのがおすすめです。
「遮熱塗料」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「遮熱塗料は効果なし?メリット・デメリットから断熱塗料との比較までを解説」
アスベストが含まれている可能性がある
現在の屋根材がコロニアルの場合、アスベストが含まれている可能性があるため注意が必要です。
1961年~2004年に販売された「カラーベストコロニアル」にはアスベストが最大で25%含まれています。そのため、この期間に住宅を建てられた方や屋根のリフォームをされた方は注意が必要です。アスベストが含まれた屋根材の場合、撤去費用が加算されるためリフォーム費用が一般的な相場よりも高くなります。
ご自宅の屋根がコロニアルの場合は、上記の条件に当てはまっていないか確認することがおすすめです。
コロニアルの種類(世代)別の特徴と見分け方
一口にコロニアルといっても、その種類は代表的なもので「ニューコロニアル(~2000年)」「コロニアルNEO(2001~2008年)」「コロニアルクァッド(2008年~)」と、3つの年代別に分けられます。
年代ごとに特徴や耐久性などが異なりますので、ご自宅の屋根がコロニアルの場合、どの種類かを見分けておく必要があるでしょう。そこで本章では、3つのコロニアルの種類ごとの特徴やその見分け方について詳しくご紹介します。
まずは、各コロニアルごとの写真や特徴などをまとめた比較表をご覧ください。
種類 | 写真 | 特徴 | 製造時期 | 可能性のある家 |
---|---|---|---|---|
ニューコロニアル | ![]() |
高耐久性だが、アスベストを含んでいる | 1979~2000年 | ・2000年までに建てられた家 ・過去25年で屋根リフォームをしてない |
コロニアルNEO | ![]() |
耐久性が低く、10年前後で劣化する | 2001~2008年 | ・築後10年前後で屋根の劣化が目立つ ・2001年以降に建てられた家 |
コロニアルクァッド | ![]() |
パルプ繊維による高耐久を実現した現在の主流 | 2008年~ | ・2008年以降に建てられた家 |
データ出典:「ヌリカエ」が行った2025年9月のデスクリサーチより
続いて、3種類のコロニアルごとにその特徴などについて詳しくご紹介します。
ニューコロニアル(~2000年)
ニューコロニアルは1979年から2000年頃にかけて製造された「第一世代」のコロニアル屋根材です。最大の特徴は、セメントの強度を高める目的でアスベストを含有していた点です。
このアスベスト含有により、ニューコロニアルは非常に高い耐久性を持ち、適切な手入れがなくても30年以上その屋根機能が維持される事例も珍しくありません。
しかし、アスベストによる健康被害が社会問題となり、2004年にはアスベストの使用・製造が法的に禁止されたため、現在は生産が終了しています。、屋根の施工時期を確認し、2001年以前の施工であればアスベストが含まれている可能性が高いです、
アスベストは飛散しなければ健康被害のリスクは低いとされていますが、改修時には専門業者による慎重な判断と対応が重要になります。ご自宅の屋根がこの時期の製品である場合でリフォームを検討する際は、アスベストに関する専門知識を持つ業者に相談し、安全かつ適切な工法を選びましょう。
コロニアルNEO(2001~2008年)
コロニアルNEOは、アスベスト規制直後の2001年4月から2008年頃まで販売されていた「第二世代」のノンアスベストスレート屋根材です。ニューコロニアルの後継品として市場に登場しました。
アスベストを使用しなくなったことで、以前のニューコロニアルに比べると耐久性が大幅に低下しています。そのため、築後10年から15年ほどで、屋根材の先端部分に欠けや細かなひび割れが目立ち始めることが多いです。
2025年現在、この第二世代のコロニアルNEOは多くの住宅で耐用年数を迎えており、屋根のリフォームやメンテナンスの検討が必要な時期に来ているでしょう。コロニアルNEOだけでなく、同時期に製造されたセイバリーNEO、スペリアルNEO、ザルフ、パミールなど、同様の耐久性を持つノンアスベストスレー屋根材も多数存在します。
ご自宅の屋根がこの時期の製品であれば、劣化症状が進行する前に、早めに専門業者に点検を依頼し、適切なメンテナンス計画を立てましょう。見分け方については専門業者の診断が確実です。
コロニアルクァッド(2008年~)
コロニアルクァッドは、耐久性が課題となったコロニアルNEOの後継として、2008年に販売が開始された「第三世代」のコロニアル屋根材です。現在も製造が続く、コロニアルシリーズの主流製品と言えます。
第二世代の改良版として、パルプ繊維を配合するなどして耐久性が向上しています。メーカーのカタログでは、耐用年数の目安を30年程度としていますが、まだ販売開始から10年強しか経過していないため、実際の長期的な評価はこれからです。
外観は第一世代のニューコロニアルと同じ形状をしているため、製造時期を知らなければ見分けるのが難しい場合があります。軽量で加工しやすい特性も持ち合わせており、現在では新築住宅の屋根材としても広く採用されているものです。
比較的新しい世代の屋根材ですが、メーカー推奨のメンテナンス時期を目安に定的な点検を怠らないことが、長期的な美観維持と耐久性確保に繋がります。正確な見分け方については専門家への相談が最も確実です。
よくある質問
コロニアルでよくある質問を下記にまとました。
コロニアルとスレートの違いは何ですか?
コロニアル屋根の耐久年数は?
屋根材のコロニアルとは何ですか?
コロニアルとは何ですか?
コロニアルとは、ケイミュー株式会社が発売するセメントと薄い繊維質を混ぜ合わせて薄い形状にした屋根材です。
軽量でデザイン性が高く、コストパフォーマンスが高いことが特徴となります。
2004年までに製造されたコロニアルの場合、アスベストが含まれている可能性があるので注意が必要です。コロニアルとスレートの違いは何ですか?
コロニアルとスレートは、同じ屋根材を指します。
コロニアルは、株式会社ケイミューが発売する屋根材でスレート屋根の一種です。
コロニアルを含めスレート屋根は、軽量かつ豊富なデザインが特徴で、現在多くの建物の屋根に使われています。
コロニアル屋根の耐久年数は?
コロニアル屋根の耐久年数は、アスベストが含まれているもので30年~40年、アスベストが含まれていないものが20年~30年となります。
耐久年数は、定期的なメンテナンスによって伸ばすことが可能です。塗膜の寿命が10年~15年程度となるため、このスパンでの塗り替えが推奨されます。
屋根材のコロニアルとは何ですか?
屋根材のコロニアルとは、屋根材メーカーのケイミュー株式会社が発売している、セメントと繊維質から成る屋根材の商品名です。
コロニアルは、スレートと呼ばれる屋根材の一つで、軽量で比較的安い、カラーバリエーションが豊富といった特徴があります。
コロニアル屋根のまとめ
コロニアルは、スレートという屋根材に分類されるもので、ケイミューの商品名です。
国内では多くの住宅で採用されており、他の屋根材と比べて安い、軽量で耐震性への影響が少ないといった点が特徴です。
しかし、ガルバリウム鋼板などと比べると素材自体の耐久性に劣るため、自宅に採用するかどうか判断に迷う際は慎重に検討するようにしましょう。