外壁は常に紫外線や雨水にさられているため、コケやカビなどの汚れが目立つようになってきます。
汚れが目立つ外壁を綺麗にする方法に高圧洗浄があります。しかし「高圧洗浄は外壁が傷つかない?」といった不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、外壁を高圧洗浄するメリットとデメリット、外壁を傷つけずに作業する方法や高圧洗浄ができない外壁などについて詳しくご紹介しています。
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監修者:外装劣化診断士 小林 成光
600件以上の現地調査を実施する過程で得た専門性を生かし、日本発のネット見積もりシステムでビジネスモデル特許を取得。ヌリカエにて、外装工事の専門家として、顧客・加盟企業のサポート・コラムの監修に従事。
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外壁を高圧洗浄するメリット
高圧洗浄は高い水圧で汚れを簡単に除去できるものですが、それ以外にも多くのメリットがあります。ただし、高圧がゆえに外壁を傷つける可能性がある、外壁によってはできないといったケースもあるので扱いには注意がが必要です。
そこで本章では、まず外壁を高圧洗浄するメリットについて解説していきます。
外壁に高圧洗浄をかけるメリット
- 短時間で綺麗になる
- 頑固な汚れも落とせる
- ムラなく仕上がる
それぞれのメリットについて詳しく解説していきます。
短時間で綺麗になる
外壁を高圧洗浄をすることで、外壁の広範囲を短時間で綺麗にできます。通常の水洗いや手作業では時間のかかる汚れ落としも、水圧の力で一気に除去可能です。
時間や手間を大幅に削減できるため、忙しい方でも取り掛かりやすいでしょう。外壁の素材や状態に合わせた適切な水圧で洗浄すれば、建物を傷めることなく、見た目の美しさを簡単に取り戻せます。
頑固な汚れも落とせる
高圧洗浄は、こびりついたカビや苔、黒ずみなど、長年蓄積された頑固な汚れに対して特に効果的です。外壁は風雨や排気ガス、紫外線などの影響で少しずつ汚れがたまり、放っておくと落としにくくなります。
高圧洗浄なら、落としにくい頑固な汚れも水圧で落とすことが可能です。外壁塗装をする場合は汚れが残っていると、塗料が密着せず施工不良の原因なります。そのため、塗装前の下地処理としても高圧洗浄は必須です、
外壁についた汚れをしっかり落としておくことで、仕上がりや外壁の耐久性を上げることができます。
ムラなく仕上がる
外壁の洗浄を手作業で行うと洗い残しや力加減によってムラが出やすいですが、高圧洗浄機を使えば均一な水圧でまんべんなく洗えるため、ムラのない綺麗な仕上がりになります。
外壁塗装をする場合、洗浄ムラがあると塗装後に色の差が出てしまう可能性が高いです。汚れを均一に落とすことで、見た目だけでなく次の工程の仕上がりにも影響します。
外壁を高圧洗浄するデメリット
外壁の高圧洗浄では、水圧によって外壁が傷つきやすいといったデメリットがあります。そのため、洗浄する際は注意して施工する必要があるでしょう。
ボックスタイトル
- 塗膜に傷がつく
- コーキングが劣化する
- 近隣に水が飛ぶ
また、高圧洗浄が推奨されない外壁もありますのでこの点も留意してください。詳しくは、本記事の3章にて詳しくご紹介します。
塗膜に傷がつく
高圧洗浄は非常に強い水圧で汚れを落とすため、塗膜を傷つける可能性があります。特に劣化が進んでいる塗装面は、水圧により塗膜が剥がれたり細かい傷が入ってしまう[/text]ことがあるでしょう。
そのため、外壁の状態に合った適切な水圧で行う、または手洗い洗浄と使い分けることも必要になります。塗膜が傷つくと外壁の耐久性が落ちるため、高圧洗浄する場合は注意して行うようにしましょう。
コーキングが劣化する
高圧洗浄を行うことで、外壁の隙間を埋めているコーキング材(シーリング)の劣化を早めてしまう可能性もあります。経年劣化して硬化・ひび割れが始まっているコーキングは、高圧洗浄によってさらに劣化が進むことでひびが大きくなったり、部分的に剥がれてしまうこともあるでしょう。
洗浄後に打ち替えや補修を予定している場合は問題ありませんが、そうでない場合はコーキング材の状態をよく観察し、マスキングや補修も同時に行うことも検討する必要があります。
近隣に水が飛ぶ
高圧洗浄中は水しぶきや汚れた水が広範囲に飛散するため、近隣への配慮が必要となります。お隣の外壁の他、車や植物、洗濯物など水がかかると大きなトラブルに発展する可能性もあるため、高圧洗浄を行うときは注意してください。
不安な場合は、事前に挨拶を説明をしておく、洗浄中は適度に水圧を弱めるといった対策をしておくとよいでしょう。
業者が高圧洗浄を行う際は、業者が代理であいさつと説明をしてくれるケースが多いです。
高圧洗浄できる外壁とできない外壁
外壁にはいくつかの種類があり、高圧洗浄ができる外壁とできない外壁があります。そのため、家の外壁を高圧洗浄で綺麗に使用と考えている方は、まずご自宅の外壁は高圧洗浄できるかどうかを確認しておくと安心です。
高圧洗浄できる外壁とできない外壁は、以下の通りです。
・金属サイディング
・レンガ外壁
・モルタル外壁
【高圧洗浄できない外壁】
・窯業系サイディング
・タイル外壁
それぞれで詳しく解説します。
高圧洗浄できる外壁
高圧洗浄をしても大丈夫な外壁は「金属サイディング」「レンガ外壁」「モルタル外壁」です。これらの素材は水圧に対する耐久性が高いため、高い水圧によって傷がつく心配はありません。
特に、モルタル外壁は凹凸が多いため、ブラシなどでは落としにくい汚れも高圧洗浄なら短時間でスッキリ洗い流せます。金属サイディングやレンガも、定期的な高圧洗浄によって美観を保つことができ、長期間にわたって清潔な見た目を維持できます。
高圧洗浄できない外壁
高圧洗浄に向かない外壁としては、窯業系サイディングやタイル外壁が挙げられます。これらの外壁に高圧洗浄を行うと、塗膜の剥離やヒビ割れなどが起こるリスクがあります。
以下は、大手外壁メーカーのケイミューによる、窯業系サイディングのメンテナンス方法に関する部分の記載です。
また、タイル外壁はタイル自体は丈夫でも接着力が落ちていると剥がれやすくなるため注意が必要です。これらの外壁の洗浄では、手洗いか業者と相談し適切な方法で行うようにしましょう。
外壁を傷つけずに高圧洗浄する方法
高圧洗浄の水圧によって、外液を傷つけてしまう可能性があることは確かです。そのため、高圧洗浄を行うのであれば慎重な作業が必要になります。
そこで本章では、外壁を傷つけずに高圧洗浄する3つの方法について詳しくご紹介しますので、参考になれば幸いです。
- 水圧を調整して洗浄する
- マスキングをしてから洗浄する
- 風向きや水しぶきに気を付ける
それぞれ詳しく解説します。
水圧を調整して洗浄する
高圧洗浄は高い水圧によって汚れを落とせる反面、その強さで外壁を傷つけてしまう可能性があります。そのため、水圧の調整を行い外壁に傷かつかないような威力で作業するようにしましょう。
外壁材の種類や塗装の状態に合わせて圧力を弱めに設定すれば、表面を大きく傷つける心配は少なくなります。特に、築年数が経った外壁や再塗装後の壁は、強すぎる水圧に弱い可能性が高いため注意が必要してください。
最近の高圧洗浄機には圧力調整機能がついており、洗浄目的に応じて様々な設定ができます。不安な方は、まず目立たない部分で試してから本格的に始めると安心です。
マスキングをしてから洗浄する
窓サッシや電気配線、換気フードの隙間など、水が入り込むとトラブルになりやすい箇所には、あらかじめマスキングテープやビニールシートなどで養生を行いましょう。
洗浄しない範囲はカバーしておくことで家の中や水が侵入する心配や電気トラブルがなくなり、外壁以外の設備を傷めるリスクを回避できます。
また、劣化により外壁自体に隙間ができていると、そこから外壁内部に水が侵入する可能性があるので注意してください。作業前には洗浄箇所を確認し、隙間やカケなどがないかを確認することをおすすめします。
水しぶきや風向きに気を付ける
高圧洗浄は水圧によって、水が壁面から広範囲に飛びます。そのため、高圧洗浄によって近隣に水が飛散してしまう可能性があるので注意してください。風向きによっては 思わぬところにまで水が飛んでトラブルになる可能性もあるでしょう。
作業する場合は事前に近隣との距離や風向きを確認し、必要に応じて洗浄の向きや水圧を調整することをおすすめします。
高圧洗浄の種類を比較!
高圧洗浄には「ストレート噴射」「トルネード噴射」「バイオ噴射」の3種類があり、各タイプによって汚れの除去力や費用などが異なります。
以下は、それぞれが具体的にどのように違うのか比較した表です。
3種類ごとの特徴や結局どれを使えばよいのかなどについて、詳しくご紹介していきます。
ストレート噴射
ストレート噴射は、噴射する水が扇状やまっすぐ噴射されるもので、一般的な壁面によく使用されるタイプです。
適用水量が毎分12L以上の高圧洗浄機を使い、強力な水圧で汚れを落としていきます。費用は100円~300円/㎡です。家庭用の高圧洗浄の多くはストレート噴射タイプとなります。
トルネード噴射
トルネード噴射タイプは、先端が回転することでより強力な洗浄ができるものになります。
汚れの除去力が高い一方で、外壁の状態によっては傷がつきやすくなる可能性もあるので注意が必要です。そのため、外壁に使用する際は水圧を調整しながら壁面の状態に合わせて使用します。
費用は100円~300円/㎡と、ストレート噴射とあまり変わらないでしょう。
業者が使用する機械であればストレート噴射でも十分に強力なため、トルネード噴射でないからといってそこまで心配する必要はありません。
バイオ洗浄
バイオ洗浄は、特殊洗浄剤を使って高圧洗浄する方法です。
外壁の経年劣化とともにこびりついたカビやコケなど、通常の高圧洗浄では落とせないしつこい汚れを落とすことができます。
ただし、費用は200~400円/㎡と他の洗浄方法と比べて高額です。また、通常の高圧洗浄で十分な場合、バイオ洗浄は過剰になり費用対効果に劣る可能性があります。
バイオ洗浄を検討する際は、その必要性について業者と相談の上決めることをおすすめします。
外壁の高圧洗浄にかかる費用
高圧洗浄にかかる費用は、基本的には貸し出しの水道費用と業者の技術費用の2つです。
費用項目 | 日数 | 種類 | 費用相場 |
---|---|---|---|
水道代 | 半日~1日 | 高圧洗浄・バイオ洗浄 | 1,200~2,000円 |
技術費 | 半日~1日 | 高圧洗浄・バイオ洗浄 | 高圧洗浄100円~300円/㎡バイオ洗浄 高圧洗浄450円~850円/㎡ |
高圧洗浄用の業者に貸し出す水道費用
外壁の高圧洗浄にかかる費用の水道代は、依頼主負担です。
自宅にある水道を業者に貸し出すことが一般的で、水を業者に持ってきてもらった場合は運搬費などでかえって高額になってしまいます。
水道代はお住いの地域によって異なるのですが、一般的に東京都の場合で計算すると、約1200円~2000円が高圧洗浄の水道費としてかかると想定してください。
高圧洗浄機は1分間におよそ12~15リットルの水の使用量となります。
洗浄は外壁の汚れ具合によって作業時間が異なり、1日~半日で作業することになりますが、1日使用しても2000円程度と考えて大丈夫です。
下水道の場合は8立方メートルまで基本料金内で使用可能です。
上水道の場合は1か月の使用する水の量を日割り計算で1日当たりを算出します。
下水道は半月分で区切り算出するため、上下で異なります。
水道費の計算はかなり複雑なためここでは控えますが、おおよその金額は上記に記載した通りなので、参考にしていただいて大丈夫です。
高圧洗浄を業者に依頼する作業費用
外壁の高圧洗浄を業者に依頼する際は、作業をしてもらうための費用も必要です。
業者は専用の高圧洗浄機を持っていますので壁面や屋根のクリーニングに高い効果を出すことができます。
作業は外壁や屋根の汚れ具合によりますが半日~1日で作業は終えることができます。
基本的な費用の相場は、通常の高圧洗浄の場合は1㎡あたり約100円~300円。
バイオ洗浄を行う場合は洗浄剤が必要になりますので1㎡あたり450円~850円となります。
30坪の家で算出すると、費用はおよそ18,000円~50,000円となるのが一般的な相場です。
費用についてはしっかりと見積もりを確認し、計算式が適正に出されているかどうかを確認しましょう。
外壁の高圧洗浄の主な工程
外壁の高圧洗浄をする主な工程は基本的には、①足場組み立て後の汚水の飛散防止シートの設置→②洗浄用の水の確保・洗浄機の準備→③高圧洗浄となります。
それぞれの手順についてここから詳しく解説をします。
手順① 水の飛散防止シートの設置
外壁の高圧洗浄を行う際には、汚水が足場の外に飛んでしまい近隣の家に飛散しないように注意しなくてはなりません。
そのようなことにならないよう、飛散防止シートを足場まわりに張り、汚水が飛び散るのを防ぎます。
手順② 洗浄用の水・洗浄機の準備
外壁の高圧洗浄のための水を準備します。基本的には依頼主の水道を借りて業者が大きなタンクを持参してその中に水をためていきます。
洗浄作業は大量の水を高圧で噴射するため、タンクに水を溜めずに作業をおこなうことはできません。
洗浄機の準備も行い、ホースなどを家の周りに設置していきます。
手順③ 高圧洗浄
飛散防止シート、水、洗浄機の準備が整ったら外壁の高圧洗浄に入っていきます。
基本的に洗浄中に水が滴り汚水が流れて壁面を汚さないように屋根から洗浄をおこない、その後壁面の洗浄をします。
徐々に上から下へ汚水を流していき、最後に駐車場などのコケや汚れを落として完了となります。高圧洗浄は半日から~1日で終了し、完了後はしっかりと外壁を乾燥させます。
乾燥までしっかりとできていないと壁面が濡れた状態のままになってしまいますので、基本的には1日乾燥時間を設ける必要があります。
まとめ
本記事では、外壁塗装における高圧洗浄の必要性や高圧洗浄の注意点を解説しました。
これから工事を検討される方は是非参考にしていただき、高圧洗浄の必要性をしっかりと認識したうえで工事に取り掛かってください。
外壁や屋根を新たに塗装する際は、しっかりと高圧洗浄で家にこびりついている汚れを落として塗装に備えましょう。


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