「塗装会社から見積書をもらったけど、なにを確認すればいいの?」
はじめて外壁塗装をする方は、このような疑問を持たれているケースが非常に多いです。
塗装業界に詐欺や手抜き工事が多いのは有名な話です。
そのため、「相見積もりを取る」「見積書はしっかり確認する」などの基礎的な知識は、外壁塗装が初めての方でもお持ちであることがほとんどです。
しかし、実際に見積書の確認するとき、具体的にはなにを気にすれば良いのかまではあまり知られていません。
そこで、この記事では、初めて外壁塗装を行う方に向けて見積書のチェックポイントを詳しく解説します。
この記事を読んでいただければ、お手持ちの見積書が適正なものかどうか判断ができるようになるはずです。
なお、「外壁塗装に絶対に失敗したくない!」という方は、こちらの記事も合わせてご覧いただくことをおすすめします。
- ①外壁塗装の見積書で確認すべきことは全部で5つ。少しでも不安なことがあれば必ず塗装会社に確認すること。
- ②延床30坪の家の外壁と屋根の塗装は、シリコン塗料の場合およそ80万円~120万円。高すぎたり安すぎたりする塗装会社には要注意!
- ③見積もりは必ず複数の塗装会社からもらい、しっかり内容を比較して契約を決めるべき。
▼安心して任せられる業者を探す
外壁塗装の見積書の見方
まずは、ヌリカエの優良加盟店の例を参考にしながら、外壁塗装の見積書の見方を確認しておきましょう。
外壁塗装の見積書の模範例
品 名 | 詳 細 | 数 量 | 単位 | 単 価 | 金 額 | 備 考 |
---|---|---|---|---|---|---|
①仮設足場工事 | 223 | ㎡ | 700 | 156,100 | かけ外し・メッシュシート込 | |
②外壁塗装工事 | ASTEC シリコンフレックスⅡ | 期待耐用年数12~14年 | ||||
エピテックフィラーAE下塗り | 122 | ㎡ | 700 | 85,400 | ||
シリコンフレックスⅡ中塗り | 122 | ㎡ | 800 | 97,600 | ||
シリコンフレックスⅡ上塗り | 122 | ㎡ | 800 | 97,600 | ||
③屋根塗装 | ASTEC スーパーシャネツサーモSi | 89 | ㎡ | 2,200 | 195,800 | シーラー下塗り・3工程 耐候年数13~16年 |
④付帯塗装 | マックスシールド1500Si-JY弾性塗装 | 1 | 式 | 106,100 | 106,100 | 2回塗り |
⑤コーキング工事 | 縦目地打ち換え | 132 | m | 700 | 92,400 | 変成シリコンノンブリードタイプ |
サッシ廻り増打ち | 96 | m | 350 | 33,600 | 変成シリコンノンブリードタイプ | |
⑥高圧洗浄 | 高圧洗浄機使用(バイオ洗浄) | 211 | ㎡ | 200 | 42,200 | |
⑦諸経費・運搬費 | 上記金額合計の5% | 45,340 | ||||
小計 | 952,140 | |||||
消費税(10%) | 95,214 | |||||
合計 | 1,047,354 |
上記の見積書の例は、シリコン塗料で外壁・屋根・付帯部の塗装を行う場合の見積書の好例です。
内訳と各項目の費用が明記されているのが分かるかと思います。以下では、それぞれの項目(品名)の概要と相場をご紹介します。
見積書の項目(品名)の概要と相場
①仮設足場工事
仮設足場工事は、外壁・屋根の塗装のために家の周辺に仮設足場を設ける工事です。
外壁と屋根を塗装する場合には、必ず必要になります。
1㎡あたりの単価はおよそ700円~900円です。
なお、仮設足場工事のみ平米単価ではなく架平米(掛平米)という単位が用いられる場合があります。
②外壁塗装工事
外壁の塗装にかかる費用です。使用する塗料名と、各工程ごとの費用が明記されているとしっかりとした見積書といえるでしょう。
価格は、塗料代・人件費を合計した価格で算出するのが通例です。
平米単価は使用する塗料のグレードによって大きく異なりますが、下塗りが600円~1000円、中塗り・上塗りが800円~2000円ほどです。
外壁塗装の塗装は3回塗り以上が基本なので、2回塗りなどの記載があった場合は理由を確認してください。
③屋根塗装
屋根の塗装にかかる費用です。
外壁塗装と同じく、平米単価は使用する塗料のグレードで変動しますが、2000円~5000円ほどが相場です。
④付帯塗装
付帯塗装は、住宅の壁と屋根以外の箇所(付帯部)の塗装を指します。平米単価ではなく、「付帯部塗装一式」と表現されることもあります。
付帯部には以下のようなものが含まれます。
- ・軒天
- ・破風板
- ・雨樋
- ・鼻隠し
平米単価は塗料によって異なりますが、500円~1500円の間であることが多いです。
⑤コーキング工事
コーキング工事とは、サイディングボードの間の目地の部分の補修工事です。
コーキングが劣化すると雨漏りにつながるため、塗装の際に一緒にメンテナンスをするのが一般的です。
コーキング工事には打ち替えと打ち増しがあり、打ち替えは交換、打ち増しは劣化部分の補強です。
コーキングは面積を省いて「コーキング工事一式」などと書かれる場合もあるので、費用が相場とかけ離れてないかはきちんと確認しましょう。
万が一不審な点があると感じたら、「コーキング工事一式」の詳細を塗装会社に聞いてみるべきです。平米単価・工事内容などを確認してください。
コーキング工事の平米単価は500円~1000円ほどです。
⑥高圧洗浄
高圧洗浄とは、塗装工事に入る前に壁を水で洗浄する工事のことです。
高圧洗浄の平米単価はおおよそ200円~400円ほどです。
なお、高圧洗浄に使用する水は施主宅の水道を利用するのが一般的です。
⑦諸経費・運搬費
塗装工事で発生したゴミの処理や職人の交通費などを諸経費・運搬費として見積もりに掲載します。
この費用は平米単価・一式などではなく、工事費用の総額に一定の割合をかけて請求します。
諸経費・運搬費は、総工事費用の5%~10%ほどの塗装会社が多いです。
外壁塗装の見積書で確認すべき5つのポイント
ここまでで、外壁塗装の見積書の見方をご紹介しました。
では次に、見積書で確認すべきポイントを解説していきます。
外壁塗装の見積書を見るときは、以下の5つのポイントを必ず確認してください。
- ①見積書に塗料名が記載されているか
- ②塗装する面積がかさ増しされてないか
- ③各工事の平米単価が高すぎないか
- ④工事の工程が省略されてないか
- ⑤内訳に「一式」が多用されてないか
それぞれ詳しく見ていきましょう。
①見積書に塗料名が記載されているか
まず、見積書に使用する塗料の名前がきちんと記載されているか確認しましょう。
「シリコン塗料」「ウレタン塗料」などのグレードしか書いていない場合は、相場価格に対して適正な金額での請求か判断ができないので、避けるべきです。
シリコン塗料の中でも、非常に高価なものもあれば、リーズナブルなものもあります。
不当に高い金額での請求をされないよう、使用する塗料とその単価は見積書に明記してもらいましょう。
②塗装する面積がかさ増しされてないか
外壁や屋根の塗装する面積がかさ増しされていないか、自宅の坪数などをもとに確認しておきましょう。悪徳業者がよく行う手口として、「塗装面積を多く出して工事金額を引き上げる」というものがあります。
外壁・屋根の正確な面積は施主側で把握できていないことも多いので、そこにつけこんでくるのです。
これを避けるためには、以下の計算式でおおよその自宅の塗装面積を算出しておくなどの対策が考えられます。
【坪数からおおよその塗装面積を算出する】
坪数×3,3㎡×1.1~1. = 外壁面積
【延床面積からおおよその塗装面積を算出する】
延床面積 ×1.1~1.3 = 外壁面積
なお、相見積もりをとっていれば、各社の塗装面積の記載を見比べることでも、かさ増しの有無を確かめることができます。
③各工事の平米単価が高すぎないか
外壁塗装がはじめての場合、悪徳塗装会社は「どうせ相場は分からないだろう」と各工事の平米単価を高く見積もって出すことがあります。
各工事の一平米あたりの価格が高すぎないか、1章の費用相場をもとにしながら確認しておきましょう。④工事の工程が省略されてないか
塗装工事に必要な工程が省略された見積もりになっていないかも確認してください。いい加減な塗装会社の場合、必要な工程を省いて工事費用を安く出しているときがあります。
先述の通り、外壁塗装は3回塗り以上が基本で、サイディングの場合は塗装の際にコーキングも工事するのが普通です。
きちんとこれらが見積もりに含まれているかチェックしてください。
⑤内訳に「一式」が多用されてないか
最後に、内訳に「◯◯工事一式」という文言が多用されていないかを確認してください。
付帯部の塗装やコーキング工事の場合、「一式」という表現が使われていてもおかしくありませんが、外壁塗装や屋根塗装にも「一式」という記載がされているのであれば、詳細を聞いておくべきです。
平米単価や塗り面積が分からなければ、見積書が適正かどうか判断がつきません。
信頼できる塗装会社であれば必ず見積もりの詳細を説明してくれるので、遠慮せず聞いてください。
外壁塗装の費用相場っていくら?
80~120万円が一般的な費用相場
見積もりで提示された金額の妥当性を判断していただくために、ここからは外壁塗装の相場を紹介していきます。
過去、私たちヌリカエを利用した1,000人にアンケートを取りました。集計したところ、30坪の家であれば、大半の方が80~120万円のどこかに収まることがほとんどです。一方、150万円以上の工事金額になったという方も全体の10%ほどいました。
費用相場といっても、塗装する外壁の面積と、塗料のグレードによって金額は大きく変わってきます。一般的に家が大きいほど外壁の面積も広くなるため、たくさんの塗料が必要になり、費用は高くなる傾向にあります。
たとえば、20坪程度の家でしたら90万円ほどが相場となりますが、60坪程度の家ですと、110万円が相場となります。
日本は、30坪程度の家が一番多いです。一般的な家の大きさだと思われる方は30~40坪で、二世帯住宅や3階建てなど、比較的大きな家に住んでいる方は、50坪~60坪だと仮定し、相場を確認してみて下さい。
塗料のグレードによって費用も変わる
また、使用する塗料によっても大きく変わります。塗料にはアクリル、ウレタン、シリコン、フッ素といったグレードがあり、金額と性能は比例します。つまり、性能が良い塗料を選ぶと、必然的に金額が高くなってしまいます。
塗料についてもっと詳しく知りたい!という方はこちら↓
この中では、シリコン塗料が最も多く利用されています。もっともコスパがよい塗料だからです。特にこだわりがなければ、シリコン塗料をつかう前提で考えてよいと思います。
相見積もりが重要な理由
相見積もりとは、複数の会社から見積もりを取得することです。
ヌリカエでは、3~4社から相見積もりを取ることを推奨しています。
外壁塗装は塗装会社によって価格も工事内容も異なるため
外壁塗装には、定価が存在しません。また、会社によって提案してくる工事内容も違うでしょう。
そのため、安ければ良いというわけではなく、自分の家に合った工事を行ってくれる会社を探す必要があります。
適正価格かどうかの判断がしやすくなるため
初めての塗装の場合、もし1社だけで見積もりを取ると、提示された金額が本当に適正なのかという判断はつきません。
3~4社の見積書があることで、だいたいの金額感が分かり、明らかに相場とずれている見積もりを出してくる会社を避けることが出来ます。
悪徳会社に騙される可能性が減るため
上記のように他社と比較することで、悪徳会社にだまされたり、手抜き工事をされる可能性が減ります。
また、相見積もりであることを会社に伝えると、比べてもらうことを前提とした質の高い見積書を出してもらえる可能性も高くなります。
▼安心して任せられる業者を探す
塗装会社の選び方って?
それでは、塗装会社を選ぶために、どうすればよいのでしょうか。
まず塗装を依頼出来る会社には大手ハウスメーカー系、中堅リフォーム会社、地元の塗装業者という3つのタイプがあります。
それぞれに依頼した場合によって、安心感や費用の高さは変わってきます。以下で3つの特徴を見ていきましょう。
大手ハウスメーカー系はアフターフォローが充実
大手ハウスメーカー系とは、住宅建設会社のことです。家を建てるとき、大手ハウスメーカーに依頼したという方も多いのではないでしょうか。大手ハウスメーカーは保証やアフターフォローが充実しています。そのため、実際に点検時に外壁塗装を勧めてくる大手ハウスメーカーも多いようです。
中堅リフォーム会社はリフォーム全般相談が出来る
中堅リフォーム会社とは、大手ハウスメーカーより規模は小さいですが、リフォーム全般のことを相談出来る会社のことです。大手ハウスメーカーより広告費や人件費をかけていないので、中間手数料が比較的かかりません。
地元の塗装業者は最も低コストで出来る
最後に、地元の塗装業者とは、その地域に密着していて実際に施工を行う職人が在籍している会社のことです。
直接発注のため、中間手数料がかからず、地域に腰を据えて地道に営業を行っている会社が多いのが特徴です。また、営業マンと職人が同じ会社なので、伝達ミスなどが起こりにくいのもメリットです。
こんな会社には要注意な3つのポイント
まずは3~4社の相見積もりを取りましょう
見極めるには、複数業者から相見積もりを取ることが大切です。
なぜなら、3~4社の見積もりを取ることで、適正な工事内容、適正な価格が見えてくるからです。どこかの業者が嘘を言っていれば、それがはっきりします。
最も低コストで出来るといっても、地元の塗装業者に工事を依頼する場合は、その業者が悪徳業者ではないということを見極める必要があります。
▼安心して任せられる業者を探す
①大幅な値引きや期限の設定をしてくる
期限を条件にして値引きを提案されたら、要注意です。
「3日以内に契約をしてくれたら50万円値引きしますよ」などと言って、今決めなきゃ損すると間接的に煽ることで、契約を取ろうとしてくる会社もあります。
優良な会社は、姑息な営業手段は取らず、双方きちんと納得した上で契約を進めようとするので、こういった会社とは契約をしないようにしましょう。
②見積書の詳細が「一式」と書かれている
具体的な単位ではなく、「一式」という表現を多用している見積書は危険です。
なぜなら、消費者が塗装についての知識が少ないのをいいことに、単価を誤魔化している可能性があるからです。
まともな会社であればこういった誤解もされたくないので、きちんと詳細な見積書を提出するでしょう。
③誇大表現を使った説明をする
塗装が今後必要なくなるような塗料や工法は存在しません。しかし、数ある塗装会社の中には、「張り替えをすると一生塗装の必要がありませんよ。」「この塗料を使えば30年塗装不要です。」
などと誇大表現を使って契約を取ろうとしてくる会社も存在します。
ずっと塗装がいらなくなる万能な塗料や工法は現時点ではないので、注意しましょう。
良い会社を見つける5つのポイント
前章では、悪徳会社を避けるために押さえておくべき要注意ポイントについて解説してきました。では、一体良い会社というのはどのような条件なのでしょうか。
ヌリカエ編集部では、今まで多くの塗装会社さんと関わってきた結果、以下の5つのポイントを押さえていることが重要だと結論付けています。
①塗装の資格を持っているか
実は、塗装会社は有資格者でなくても経営を行うことが出来てしまいます。
しかし、長い実務経験がないと取得出来ない資格を持っていることで、少なくとも悪徳な会社であるという可能性はぐっと減るでしょう。
主に、知っておくべき資格は2つです。
1つめは、塗装工事業許可といって、少なくとも5年以上塗装業に関わっていないと取得できない会社に与えられる資格です。
2つめは、職人に与えられる資格の一級塗装技能士です。こちらは7年以上の実務経験が必須で、合格も簡単ではありません。
②社歴が長いか
開業から日が浅い会社が良くない、と言いたい訳ではありませんが、10年以上生き残る会社というのはかなり少ないものです。
ましてや塗装というのは、5年10年単位での保証が付く商品なので、社歴が浅い会社がその年月を保証してくれるという可能性は高くはありません。
少なくとも10年以上、塗装業を経営している会社に依頼した方が安全です。
③事例や実績をしっかり公開しているか
公式HPなどで、今までの施工事例を写真付きで載せている会社だと、言葉だけで実績を謳う会社より、目で実績をきちんと確認することが出来ます。
地域密着型の会社であれば、近所に施工したお宅もあると思うので、実際に見に行ってみるのも良いでしょう。
④対応をしっかりしてくれるか
例えば、挨拶がきちんとある、遅刻をしない、話に矛盾点がない、など基本的なことが出来ているというのは会社を選ぶ上での最低条件です。
塗装というのは、5~15年という長い目で良い商品だったか判断していくものです。
今後5年10年経っても、この会社にお願いして良かったと思えるようなところに依頼すべきで、妥協することはあまり良くありません。
⑤事務手続きをしっかりしてくれるか
きちんと契約書や見積書を書面で残しているか、口約束だけになっていないか確認しましょう。
書面にきちんと残っていれば、言った言わないの水掛け論を予防することにも繋がります。
まとめ
ヌリカエでは、優良業者の中から無料で一括の見積もりを取ることが可能です。
もし外壁塗装について悩んだら、中立な立場の相談員もご相談を承っているので、是非お気軽にご利用ください。
▼安心して任せられる業者を探す