屋根の色選びは、お住まいの印象を大きく左右する重要なポイントです。「落ち着いた雰囲気にしたい」「汚れが目立たない色がいい」といった理由から、グレーの屋根は非常に人気があります。
しかし、一言でグレーといっても、明るさや色味によって印象はさまざまです。
そこで本記事では、屋根の色をグレーにするメリット・デメリットから、外壁の色との相性、失敗しない選び方のコツまで、詳しく解説していきます。
屋根の色をグレーにするメリット
なぜグレーの屋根は人気なのでしょうか。
本章では、屋根の色にグレーが選ばれる理由である、3つのメリットをご紹介します。
屋根の色をグレーにするメリット
- 黒に比べて熱を吸収しづらい
- 汚れが目立ちづらい
- 外壁の色問わず合わせやすい
黒に比べて熱を吸収しづらい
屋根の色は、室内の温度にも影響を与えます。一般的に、黒に近い暗い色ほど太陽の熱を吸収しやすく、白に近い明るい色ほど熱を反射します。
グレーは黒と白の中間色にあたるため、真っ黒な屋根に比べて熱の吸収を抑える効果が期待できます。
また、遮熱性能を持つ塗料を選べば、熱による劣化を遅らせることもできます。夏の室温上昇も抑えることができるため、通常の塗料に比べても涼しく感じやすいでしょう。
汚れが目立ちづらい
屋根には、砂埃や黄砂、鳥のフン、コケやカビなど、さまざまな汚れが付着します。これらの汚れは中間色(灰色や茶色系)が多くく、その同系色であるグレーの屋根は汚れが目立ちにくいという大きなメリットがあります。
真っ白な屋根は排気ガスなどの黒い汚れが、真っ黒な屋根は砂埃などの白い汚れが目立ちやすいですが、グレーはその両方の汚れをカモフラージュしてくれます。
屋根といっても破風板などは下からでも見えるため、汚れの目立ちにくさは屋根の色を選ぶ上でも重要なポイントです。
外壁の色問わず合わせやすい
グレーはどんな色とも調和しやすい「無彩色」です。そのため、ベージュや白、黒といった定番の外壁の色はもちろん、ネイビーやブラウン、グリーンなど、あらゆる外壁の色と合わせやすいのが魅力です。
外壁の色選びの自由度が高く、モダン、スタイリッシュ、ナチュラル、シックなど、目指したいテイストに合わせてお住まい全体をコーディネートできます。
屋根の色をグレーにするデメリット
多くのメリットがある一方、グレーの屋根には知っておきたいデメリットも存在します。
屋根の色をグレーにするデメリット
- ① 明るい色よりは熱を吸収しやすい
- ② 光の当たり具合で色味が変わる
- ③ 近隣と被る可能性が高い
後悔しないためにも、事前に確認しておきましょう。
明るい色よりは熱を吸収しやすい
メリットの裏返しになりますが、グレーは白やアイボリーといった明るい色に比べると熱を吸収しやすい性質があります。
室内の温度上昇を最大限に抑えたい場合は、ライトグレーなどの明るめの色を選ぶか、日射反射率の高い「遮熱塗料」や「高反射率塗料」を選ぶとよいでしょう。
光の当たり具合で色味が変わる
これはグレーに限った話ではありませんが、屋根の色は太陽光の当たり方によって見え方が大きく変わるため注意が必要です。
特にグレーは、明るい場所では白っぽく、暗い場所では黒っぽく見える傾向があります。色見本だけで判断すると「思っていた色と違う」という失敗に繋がってしまいます。
跡述しますが、色を選ぶときは、室内だけではなく屋外で太陽光の下でどのような色に見えるかも確認しておきましょう。
近隣と被る可能性が高い
グレーは、その合わせやすさと汚れの目立ちにくさから、屋根の色として非常に人気が高い定番色です。そのため、ご近所の家と屋根の色が被ってしまう可能性が高くなります。
「個性を出したい」「他とは違うデザインにしたい」という場合は、グリーンやブルーの色味を帯びたグレーを選んだり、外壁や付帯部の色でアクセントをつけたりといった工夫が必要です。
【色味別】グレー屋根の施工例比較
グレーには、明るめから暗め、緑がかったものなどいくつかの種類があります。
そこで本章では「ライトグレー」「ダークグレー」「グリーン系グレー」「ブルー系グレー」の4色ごとに、屋根塗装の施工例をご紹介します。
色味 | 写真 | 外壁との合わせやすさ |
---|---|---|
ライトグレー | ![]() |
◎ |
ダークグレー | ![]() |
〇 |
グリーン系グレー | ![]() |
〇 |
ブルー系グレー | ![]() |
△ |
各色ごとに詳しく解説します。
ライトグレーの屋根の施工例
明るくモダンなライトグレーは、どんな色の外壁とも調和して家全体に開放感を与える万能な色といるでしょう。光を反射しやすいため、清潔感のある印象をだすこともできます。
シンプルモダンから北欧風まで幅広い住宅デザインに合うzほか、特に白やネイビーの外壁と合わせると洗練された雰囲気に仕上がります。遮熱性能が高い塗料を選べば、夏の室温上昇を抑えることも可能です。
ダークグレーの屋根の施工例
重厚感と高級感を演出するダークグレーは、家全体をどっしりと引き締め、汚れが目立ちにくい実用性も兼ね備えた人気のカラーです。
建物に風格を与え、特に白やベージュ系の明るい外壁と組み合わせると、美しいコントラストでメリハリの効いた外観になります。木目調の玄関ドアなどと合わせるのもおすすめです。
ただし、熱を吸収しやすいため遮熱塗料の塗布も検討しましょう。
グリーン系グレーの屋根の施工例
周囲の自然と美しく調和するグリーン系グレーは、ナチュラルで優しく、上品でおしゃれな雰囲気を創り出すことができるカラーです。緑は「アースカラー」と言われる色の一つで、安心感を与えか、周囲の植栽とも馴染みます。
アイボリーやクリーム色の外壁と合わせればカントリー風に、また、いぶし瓦のような趣もあるため和モダンな住宅にも適しています。苔などの汚れが目立ちにくい点も魅力です。
ブルー系グレーの屋根の施工例
爽やかで知的な印象のブルー系グレーは、都会的で洗練されたクールな外観を演出し、特にモダンな住宅に適したカラーです。
清潔感や清涼感があり、白い外壁と合わせるとリゾート地のようなスタイリッシュな雰囲気が際立ちます。シルバー系のサッシとの相性も良いです。
他にはない個性的な仕上がりを求める方におすすめですが、他の3色と比べると合わせにくい色となります。外壁を含め周囲とのバランスを考えるとよいでしょう。
【外壁の色別】各色と相性のよいグレー
先述した通り、グレーの屋根と一言でいっても明るさや色味によって与える印象は大きく異なります。
ここでは、人気の外壁の色である「ベージュ」「白」「黒」それぞれと相性の良いグレーの組み合わせを見ていきましょう。
そこで本章では「ライトグレー」「ダークグレー」「グリーン系グレー」「ブルー系グレー」の4色ごとに、屋根塗装の施工例をご紹介します。
色味 | 写真 | 外壁との合わせやすさ | 印象 |
---|---|---|---|
ベージュ | ![]() |
ダークグレー、チャコールグレー | 落ち着きのある、上品で温かみのある印象 |
白 | ![]() |
ライトグレー、ダークグレー、ブルー系グレー | 清潔感のある、モダンでスタイリッシュな印象 |
黒 | ![]() |
ライトグレー、シルバーグレー | 重厚感のある、クールで都会的な印象 |
各色ごとに詳しく解説します。
ベージュ系外壁と相性のよいグレー
温かみのあるベージュ系の外壁には、屋根にダークグレーやチャコールグレーといった濃いめの色を合わせるのがおすすめです。
屋根の色が全体を引き締めることで、ぼやけた印象になるのを防ぎ上品で落ち着いた雰囲気を演出できます。同系色のブラウン系グレーを合わせると、よりナチュラルで統一感のある仕上がりになります。
白い外壁と相性のよいグレー
清潔感のある白い外壁は、基本的にどんな色味のグレーとも合わせやすいです。
ライトグレーを合わせれば明るく爽やかに、ダークグレーならメリハリの効いたモダンな印象になります。また、ブルー系のグレーを選ぶと、地中海のリゾートのようなお洒落な雰囲気を演出することも可能です。
黒い外壁と相性のよいグレー
重厚感のある黒い外壁には、ライトグレーやシルバーグレーなど、明るめのグレーを合わせるとバランスが良くなります。
屋根を明るくすることで、家全体が重たい印象になりすぎるのを防ぎ、クールで洗練された都会的なイメージに仕上がります。屋根もダークグレーにすると、非常に重厚で威厳のある印象になります。
失敗しないグレー系色の選び方
「イメージと違った」という後悔をしないために、グレーの屋根を選ぶ際には以下の3つのポイントを必ず押さえておきましょう。
- 艶の有無も含めて考える
- 付帯部と同じ色味のグレーを選ぶ
- 見本はA4サイズのものを屋外で確認する
艶の有無も含めて考える
塗料には光沢のある「艶あり」と、光沢を抑えた「艶なし(マット)」があり、同じグレーでも艶の有無で見え方や印象が大きく変わります。
艶ありは光を反射して明るく華やかな印象になり、汚れが付着しにくいというメリットがあります。一方、艶なしは光を吸収し、重厚で落ち着いた印象を与えます。
どちらが良いというわけではありませんが、メンテナンス性で考える場合は艶ありの方が良いでしょう。
付帯部と同じ色味のグレー色を選ぶ
おしゃれな外観に仕上げるコツは、統一感を出すことです。手軽に統一感を出すなら、屋根の色を雨樋や破風板、鼻隠しといった「付帯部」と同じ色味のグレーにするのがおすすめです。
これらの付帯部は下からでも見えるため、屋根の色だからといって良く考えずに選ぶとイメージした外観にならない可能性があります。
屋根と付帯部の色を揃えることで、家全体をまとまりのあるすっきりとした印象できるでしょう。
見本はA4サイズのものを屋外で確認する
塗装の色選びで多い失敗が、小さな色見本帳だけで色を決めてしまうことです。同じ色でも、面積が大きくなると明るく薄く見える「面積効果」という現象が起こります。
必ず、A4サイズ以上の大きな塗り板(見本板)を取り寄せてもらい、屋外の太陽光の下で確認しましょう。
晴れた日と曇りの日、朝と夕方など、時間帯や天候を変えて見え方の違いもチェックするとベストです。
まとめ
グレーの屋根は「汚れが目立ちにくい」「どんな外壁とも合わせやすい」といった多くのメリットがあり、非常に人気の高い色です。一方で、「熱を吸収しやすい」「近隣と被りやすい」といったデメリットもあります。
後悔のない屋根の色選びをするためには、これらのメリット・デメリットをしっかり理解した上で、ご自宅の外壁の色との相性や、目指したいお住まいのイメージを明確にすることが大切です。
本記事でご紹介した「失敗しない選び方」も参考に、ぜひ納得のいく素敵な屋根の色を見つけてください。