新築を建ててから10年以上経つと、外壁も少しずつ汚れが目立ち耐久性に不安を感じる人も少なくありません。ですが、いざ外壁塗装をしようすると知らない言葉が出てくることも多いかと思います。
塗装において重要な工程の一つに「プライマー塗装」がありますが「具体的にどんな工程をするの?」といった方や、自分で塗装を行う方のなかには「プライマー塗装でおすすめの製品はどれ?」といった悩みや疑問を持たれている方も多いかと思います。
そこ本記事では、プライマー塗装の意味や役割、おすすめの製品などについて詳しくご紹介します。
綺麗な塗装を実現させるための参考になれば幸いです。
参考記事:上塗りとは?外壁塗装に欠かせない上塗りの役割と、他の工程との違いを解説
プライマー塗装の意味と役割
プライマー塗装とはどのような意味なのでしょうか。言葉は聞いたことがあっても、役割まで知っている人は少なくありません。
外壁塗装をする際に困らないように、しっかりと言葉の意味と役割を知って把握しておきましょう。
プライマー塗装の意味
プライマー塗装とは、外壁塗装をするときに塗る下塗り塗装の1つ。外壁塗装は「下塗り」「上塗り」の2段階にわけて行うのが一般的です。プライマー塗装はそのなかで一番最初に行われる「下塗り」に含まれます。
「プライマー」の語源も英語の「primary」から来ており「はじめの」「最初の」という意味です。塗装のはじめに行う「下地」のステップになります。
プライマー塗装は最初に行うからこそ、塗装の基盤を担うものでありとても大切な役割を果たすのです。プライマー塗装の役割
プライマー塗装の役割は、上塗り塗料をしっかりと密着させることです。プライマーを塗ることによって上塗り塗料も均一に塗ることができるため、仕上がりも綺麗になります。また、外壁と塗料をしっかりと密着させる働きがあるため外壁自体を丈夫に保つことが可能です。建物の強度を保つためにも、プライマー塗装はとても大事な役割をもっています。
プライマー塗装で使用するプライマーの種類
塗装で使われるプライマーにはいくつかの種類があり、状況や用途に合わせて使い分けることが重要です。
よく使われるプライマーには、主に下記の2種類があります。
- 防サビ用プライマー
- 浸透性プライマー
各プライマーについて解説します。
プライマーの種類 ①防錆用プライマー
金属などに塗装する場合によく使われるのが、防サビ用のプライマーです。プライマーに防サビの顔料を混ぜたものになります。上塗り塗料との密着を強くする役割を持ちつつ、サビを防ぐことが可能です。
外壁のサビを取り除くためには、壁の表面を削らなければなりません。ですが、防サビプライマーの場合は塗るだけで効果を発揮するため、コスト削減にも繋がります。
プライマーの種類 ②浸透性プライマー
浸透性プライマーは、外壁により浸透しやすいプライマーとなります。コンクリートなどの素材を塗装するときによく使われるものです。
雨や凍結によって劣化している表面へ浸透させ、耐久性を高める効果があります。塗装したい場所や素材によってプライマーの種類は使い分けられます。
【塗装面別】おすすめのプライマー3選
プライマーは塗装面によって使うべきものが違います。
塗装面別でのおすすめのプライマーは、下記の通りです。
- 万能:日本ペイント「マルチミッチャクプライマー」
- プラスチック:染めQテクノロジィ「ミッチャクロン」
- 金属:アサヒペン「メタルプライマー」
各プライマー製品の特徴や価格についてご紹介します。
【万能】日本ペイント「マルチミッチャクプライマー」
名称 | マルチミッチャクプライマー | ![]() |
---|---|---|
メーカー | 日本ペイント | |
適用下地 | コンクリート、モルタル、木材、プラスチック、ガラス、アクリル板、亜鉛・クロームメッキなど | |
ラインナップ | 200ml、 300ml、 1L、4L | |
塗り面積(1回) | 1L :約15㎡(畳約9枚分) | |
乾燥時間 | 夏:3時間~、冬:4時間~ | |
価格 | 2,680円(1L) |
日本ペイントの「マルチミッチャプライマー」は、コンクリートから木材に至るまであらゆる素材に使える万能なプライマーです。
容量のラインナップも豊富なため、塗装面積に応じて選ぶことができます。
プライマー選びに迷う場合は、こちらの製品を検討してみるとよいでしょう。
【プラスチック】染めQテクノロジィ「ミッチャクロン」
名称 | ミッチャクロンマルチ | ![]() |
---|---|---|
メーカー | 染めQテクノロジィ | |
適用下地 | プラスチック、ガラス、亜鉛メッキ、アルミ、スチールなど | |
ラインナップ | 420ml、3.7L、16L | |
塗り面積(1回) | 3.7L:約50㎡(畳約30枚分) | |
乾燥時間 | 上塗りが溶剤系の場合:20 ~ 30 分、上塗りが水系の場合:2 時間程度 | |
価格 | 4,389円 |
染めQテクノロジィの「ミッチャクロン」は、プラスチックをはじめ様々な素材に使えるプライマーです。日本ペイントの「マルチミッチャクプライマー」とともに、プラスチック面の塗装におけるおすすめなプライマーとなります。
DIYや自動車板金、小物パーツなどの塗装シーンでもよく使われる製品です。
【金属】アサヒペン「メタルプライマー」
名称 | メタルプライマー | ![]() |
---|---|---|
メーカー | アサヒペン | |
適用下地 | アルミニウム、ステンレス、亜鉛・クロームメッキ、銅、真ちゅう、ブリキなど | |
ラインナップ | 100ml、 300ml | |
塗り面積(1回) | 300ml :約1.5~1.8㎡ (畳約1枚分) | |
乾燥時間 | 夏:15~20分、冬:30~40分 | |
価格 | 1,529円(300ml) |
アサヒペンの「メタルプライマー」は、あらゆる金属面に使えるプライマーです。水性塗料、油性塗料、ラッカー系塗料を上塗りできます。
容量のラインナップは100mlと300mlのため、塗装面積の少ない金属部位での使用におすすめです。
プライマー塗装を綺麗に仕上げる方法
プライマー塗装を綺麗に仕上げるためには、下記の流れで行います。
- 塗装面の汚れや穴を埋める
- プライマーを塗る
- 乾燥させる
各工程について詳しく解説します。
①塗装面を綺麗にする
プライマーを均一に塗るためには、塗装面に汚れや穴などがない状態にする必要があります。
まずはホコリや油分をクロスなどで拭き取り、穴や傷があれば平らになるように補修しましょう。穴はパテなどを塗って埋めます。
このように、塗装面の汚れを落とし表面を平滑にする作業が「下地処理」です。下地処理は、塗装の仕上がりを左右する重要な工程となります
塗装の下地処理について詳しくは、下記の記事もあわせてご覧ください。
>> 塗装の下地処理は何をする?箇所ごとの工程を紹介
②プライマーを塗る
塗装面を綺麗にして下地処理が完了したら、プライマーを塗っていきます。
刷毛で塗るタイプの場合は、毛の根本までプライマーを含ませてから量を調整し、一定の力で塗装面に塗り広げましょう。スプレータイプの場合は、一定のスピードで2, 3回ほど塗装面を往復させます。
一部分だけプライマーの量が多くならないよう、均一に塗ることがポイントです。量に偏りがあると、乾燥時間が伸びたり凹凸ができる可能性があります。③乾燥させる
プライマーを塗り終わったら、数十分から数時間ほど乾燥させます。乾燥時間は、使用するプライマーの種類によって変わるので注意してください。一般的に、スプレータイプの場合は乾燥まで1時間以内であることが多いです。
乾燥場所は、汚れが付きにくく風通しの良い環境が適しています。また、誤って塗装面に物などが触れないように注意してください。
プライマーは今ある塗装の上から塗れる?
今ある塗装の上からプライマーを塗ることは可能です。プライマーを塗ることで、新しく塗る塗料の密着が高まり、仕上がりが良くなります。ただし、今の塗装面の状態によってはプライマーがしっかりと密着しない可能性もあるので注意してください。
また、新しく塗りたい塗料がプライマーレス製品である場合、プライマーは必要ありません。今ある塗装の上から直接新しい塗料を塗れます。
いずれの場合でも、塗装面の汚れなどは拭き取って綺麗にしておきましょう。
プライマー塗装を行う塗装とは?
プライマー塗装を行うのは、最も一般的なのは外壁塗装をするときです。外壁の見栄えを綺麗にかえて、家を丈夫にしたいときに塗装します。
もう1つよく行われるのは「屋根」の塗装を行うときです。主な流れは壁の塗装とかわりません。上塗りをしっかりと密着させるために、下塗りを行います。カラートタン屋根の場合などは錆止めの用途もふまえてプライマー塗装を行うことも多いです。
プライマー塗装はDIYでも活用可能?
プライマー塗装は一般的なご家庭でDIYのために活用されることもあります。通販でも販売され、だれでも購入することが可能です。
例えばご家庭のアルミニウムやステンレスを塗装する場合はメタルプライマー、木材部分を塗装する場合は木部用プライマーを使用します。DIYを行う場合も、上塗り塗料の吸い込みを軽減させてくれるため、欠かせない塗装といえるでしょう。
業者でオトクに塗装してもらう方法とは?
業者に依頼すると費用が高いから…と諦めてDIYでの塗装を考えていませんか?
実は助成金や火災保険を使えば、業者での施工費が安くできるかもしれません!
「自分でプライマー塗装をするのが面倒」「安く施工してくれるなら業者に依頼したい」とお考えなら、是非とも利用したいですよね。
助成金・火災保険については、以下の記事で詳しく解説しています。是非ご覧ください。
プライマー塗装と、シーラー・フィラーの違いとは?
プライマーと似た意味で「シーラー」「フィラー」という言葉があります。外壁塗装を考えている方は、目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。ですが、知らない言葉を見て戸惑うことも少なくありません。具体的な意味と役割をしっかりとおさえて工事にそなえましょう。
シーラーの意味と役割は?
プライマーと最もよく並んで目にする言葉は「シーラー」です。シーラーもプライマーと同じ下塗り塗料の1つ。それぞれに大きな違いはありません。シーラーもプライマーの中の1つと考えていいでしょう。シーラーは英語の「seal」を語源としていて「ふさぐ」という意味があります。プライマーのなかでも上塗りと強く密着させるだけでなく、塗料のムラを防ぐ効果があるのが特徴です。シーラーを塗ることによって上塗り塗装の吸い込みをおさえて、しっかりと均一に塗装を行うことができます。
フィラーの意味と役割は?
プライマー、シーラーと同じくよく目にするのが「フィラー」です。フィラーとは外壁のデコボコを平らにならすための下塗り塗料です。ローラーを使うことで、たくさんの塗料を外壁に塗ります。
なかでも、一般的なフィラーは「微弾性フィラー」です。微弾性フィラーはシーラーとフィラーの役割を兼ね揃えた塗料。塗料のムラをおさえつつ、外壁のデコボコをならすことができます。
プライマー塗装が重要なのはなぜ?
プライマー塗装の意味や役割がわかっても、外壁塗装に必要か疑問に思う人も少なくありません。せっかくお金を払って塗装をするのですから、しっかりと納得したうえで行いたいですよね。
では、なぜプライマー塗装が重要なのでしょうか。ここでは、プライマー塗装が必要な理由について解説します。
プライマー塗装が必要な理由
プライマー塗装は見た目の仕上がりを綺麗にするためだけではなく、外壁を頑丈にするためにも必要な工程となります。
プライマー塗装の役割は「上塗り塗料と建材をしっかりと密着させること」です。塗料と外壁の間に隙間があると、その部分から外壁内部に雨水やさびが侵食する可能性があります。
塗料と建材をプライマー塗装により密着させることで、建物の強度を長期間保つことができるのです。
プライマー塗装を行わないとどうなる?
プライマー塗装を行わないと塗装が剥がれてしまい、壁が壊れやすくなってしまう可能性があります。塗料にムラができてしまい、見た目を損なう恐れもあるでしょう。
外壁と上塗り塗料が密着していないと、塗ってもすぐに塗装面に不具合が発生する可能性が高いです。
せっかく高いお金を払って外壁塗装を行っても、塗料が剥がれてしまっては意味がありません。建物を長く綺麗にキープするためにも、プライマー塗装は必要となります。
まとめ
プライマー塗装は、塗料を建材に密着させるために行う工程です。塗料がしっかりと密着することで、塗装の仕上り向上はもちろん家を長期にわたって丈夫に保つことができます。
また、塗装面の状態ごとに使うプライマーが異なるので注意してください。迷った場合は、どの塗装面にも使える万能型のプライマーを選びましょう。
最後に、本記事の要点を振り返ってみましょう。
プライマー塗装はなぜ必要?
プライマー塗装により、中塗り・上塗りの塗料がしっかりと下地と密着し、塗膜の耐用年数が高まります。詳しくはプライマー塗装の意味と役割をご覧ください。
プライマー塗装をするときには何を使えばいい?
あらゆる箇所に塗れる日本ペイントの「マルチミッチャクプライマー」や、プラスチック面などに最適な染めQテクノロジィの「ミッチャクロン」、金属面にはアサヒペンの「メタルプライマー」がおすすめです。詳しくは【塗装面別】おすすめのプライマー3選をご覧ください。
プライマー塗装を綺麗に仕上げる方法は?
プライマー塗装を綺麗に仕上げるためには、まず塗装面の汚れや穴を埋め、プライマーを均一に塗る必要があります。詳しくはプライマー塗装を綺麗に仕上げる方法をご覧下さい。
プライマー塗装をしなかった場合はどうなる?
塗装完了後すぐの見た目に問題はなくても、剥がれやすい塗膜になってしまったり、塗装ムラができやすくなってしまいます。詳しくはプライマー塗装を行わないとどうなる?をご覧ください。
↓↓塗料全般について詳しく知りたい方は、こちらの記事も併せてお読みください↓↓